最近暑すぎてバイクに乗ってないにいやん黒須賀部でございます。
いや、買い物にクロスカブ乗って、とかはあるんですが。
しばらくツーリングに出かけていません、とほほ。
さて、本編の方ですが
徐々に艦娘達の生活の準備が整ってきました。
赤城&大和も、やや描写不足の感がありますが
休戦協定を結び、友人として仲良く暮らせていけそうです。
まだ引っ越してから1日しかたってませんし
まだまだコレからの艦娘達の日常をお楽しみください。
では、第25話はじまります!
艦娘達がオレの家に来てから二日目の夜。
晩御飯の支度は大和の申し出で、一切を彼女にお任せして、オレは一人縁側で佇んでいた。
これが小春日和の昼下がり、などの状況であれば、まるで年寄りのような雰囲気だっただろう。
だがオレは別に年寄りになった訳じゃない。
コレにもちゃんと理由がある。
ア〇ゾンの時間指定で購入したアニメのBlu-rayが届くのを待っているのだ!
指定した時間まであと5分。
オレははやる心を落ち着かせるため、タバコに火を点けようとライターを取りだそうとしてた。
だが、そのライターは細く白い指にヒョイと奪われてしまった。
「ここで喫煙はダメだよ、にいやん?」
唇を尖らせた彼女はいわゆる艦娘と呼ばれる少女。
兵装実験軽巡の夕張だった。
緑を基調にしたちょっと丈の短い制服はとても似合っている。
予備役となり我が家で暮らすようになって、夕張はしばらく使うこともないであろう制服を普段着代わりにしていた。
緑のリボンを揺らし、ライターを後ろ手にかくす夕張。
オレはやれやれといった感じで、彼女に返すよう促す。
「たのむわ、もうココで吸わへんから返して、ソレ高かったんやで」
「100円ライターなのに?」
「ちっバレたか」
タバコ吸わないクセに、100円ライターの存在を知ってたのは驚きだ。
「部屋の中に匂いがこもると、私たちの服とか髪にまで匂い移っちゃうんだもん、ほんとやめてよね」
「へいへい」
そんなやりとりをしていると、ヤ〇ト運輸のトラックが我が家の前に乗り付けてきた。
うん、さすがヤマ〇運輸、時間ピッタリだな!
「毎度ありがとうございます!」
「はーい、何時もごくろーさま」
オレはもはや顔なじみとなった若い運転手が差し出した伝票にサインし、待望の荷物を受け取った。
若い運転手は一言「どうもー」と言い残し、次の配達先へ急ぐ。
「ソレなぁに?」
オレが受け取った荷物をみて、夕張が興味津々にオレンジの瞳をクリっとさせ、のぞき込んで来る。
ん?なにやら石鹸ぽい匂いが…どうやら夕張から香る匂いのようだった。
コイツ風呂上りなのか?と思ったが、あんまりクンカクンカしてるとただの変質者なのでやめておく。
「リリカルなの〇のBlu-ray」
「ぇ!?新劇場版の!?」
「おう」
「初回限定映像付き???」
「モチのロン」
「観たい!!」
実はこの夕張、オレより上をいくガチヲタなのだった。
同じ海軍工廠で働いていた頃、よく自分の好きな作品などについて語り明かしたものだ。
身近にヲタクトークの出来る友人が居なかったため、夕張とはよく気が合い、よく行動を共にしていた。
「ふむ、じゃあ夕飯の後、リビングの大画面で観よか」
「やったー!」
海軍工廠での作業時や抜錨時の彼女は、なかなかに凛々しい顔をしていたが
いざ己の趣味になると、見た目の年相応のかわいい顔をする。
「それじゃ、晩飯頂きにいこか」
「りょーうかーい」
オレは趣味を共有でき、肩ひじ張らずに付き合えるこの夕張を好ましく思っていた。
偶にうっかり男扱いして怒られるけど…。
さあ、まずは大和ホテルの晩飯をいただくとしますか。
オレは夕張と共にいい香りの漂ってくるキッチンへと向かった。
今日は大和謹製の特製ハンバーグを主体とした洋食だった。
コレには普段、夕食時にはあまり量を口にしないグラーフやろーちゃんドイツ組にも大好評だった。
「なかなかに上品な味だ、特にこのソース、これは好ましい」
グラーフは素直な感想を述べ、しきりに大和の料理を褒めちぎっている。
どうやらビールで出来上がっているようだった。
対して、ろーちゃんはこぼれそうな笑顔でハンバーグを頬張っている。
ほほに付いたデミソースを大和が拭いてやっている、こうみるとまるで親子の様に見え実に微笑ましい。
「そういや武蔵はどこ行った?」
「武蔵ちゃん、舞鶴に戻りましたよ、明日任務があるとかで」
問いに大和が答える。
来る時も突然だが帰るのも突然、そのあたりはやはり持って生まれた性格なのだろう。
皆のお替わりに対応してテキパキと、しかし流れるような動作の大和。
本人はホテル呼ばわりを極端に嫌うが、煽る意味ではなく本当にちょっとしたホテルの食事の雰囲気が味わえ気分も良い。
赤城などはすでに3回目のお替わりに突入していた。
夕張は片手に家電のマニュアルを持ち、もう一方の手で器用に食事をしていたが、大和に注意され渋々従っていた。
食事の手をいったん休め、夕張が語り掛ける。
「そう言えばにいやん、新劇場版は観に行ってたんだっけ?」
「ああ、大阪まで観に行ってたで」
「じゃあ内容ネタバレ禁止ね!絶対に」
「そりゃやったらシバかれてもしゃーないわな、了解」
「ん?一体なんの話しだ?」
二人の会話に興味を持ったのか、グラーフがたずねる。
「アニメの話しだよー、これから上映会するんです」
「ほう?そういえば夕張はかなり詳しいと聞く。日本のアニメは私も少々興味があってな、私も参加させてくれないか?」
ブフォ!
オレは盛大にふいた。
ソレはマズイ、あの超絶マジメドイツっ娘グラーフに、変身シーンなど観せたら確実オレの命はなくなるだろう。
(オレ:夕張、うまく断れ!)
オレはアイコンタクトで夕張に知らせた。
(夕張:まかせて!)ウインク
「はい、グラーフさんもろーちゃんも一緒に観ましょう」
ブフォォォ!
(メロン!きさまぁぁぁ!!!)
全然伝わってなかった、オレはもう神に祈るしか残された道はなかった。
さらにマズい事に、せっかくだから大和も赤城も観ると言い出し
オレはもうどうにでもなれ!とBlu-rayのパッケージをあけて準備をする。
しかしいざ大画面で観始めると、皆固唾をのんで次はどうなるのか?といった風にのめり込んでいるではないか!
グラーフなど、まるでろーちゃんかお前は!的レベルで、目を爛々と輝かせ噛り付くような勢いで見入っている。
(マジか!)
オレは心の中で叫んだ。
艦娘というのは、つい1年前まで、それこそ命懸けで深海棲艦と戦っていた。
非番と言えども気を抜けず、娯楽に飢えていたのだろう。
それはグラーフも同じで、しかも彼女は超がつくマジメな娘であった、そのため反動なのか以上のありさまになっていた。
約2時間近くに及んだ上映会は終わり、シーンと静まり返る。
オレと夕張は顔を見合わせ
(どうしたんだろう?)
(さあ?私にもわかんない)
再度アイコンタクト、今度は成功のようだ。
突然グラーフが目を輝かせながら叫ぶ。
「すばらしい!これが日本のアニメーションか!このように楽しく気持ちが昂るものだったのだな!」
「特に烈火の将か?彼女には目を見張るものがあった!我がドイツ騎士の誇りだ!」
「ろーちゃん犬がよかったなー」
ろーちゃんに続いて、大和も赤城もそれぞれ感想を述べていた。
オレの悪い予感は180度逆方向に当たったようだ、まさかドはまりするとは…。
夕張は皆の反応に気を良くし、自分も混ざって話し始めていた。
(恐るべしジャパニメーション)オレは一人、現実についていけなくなり呆然としていた。
はい、第25話終了です。
序盤から夕張の扱いがよくないのかなって事で
描写など増やしてみました。
しかし、なかなかうまくいかないもんですね。
以後精進致します。
では次回もお楽しみに!