鉄騎~大地を征く艦娘たち~   作:にいやん黒須賀部

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おはこんばんちは!

なのは新劇場版観ました。
今回もなかなかの出来で睦月感激ィ!

何より、バイクに乗ったキリエの活躍シーンとかシビレましたね。
私の貧弱な知識からでは、モトネタの車種が確定出来ませんが
なんとなーくグラディウスっぽく感じました。

あってるかなぁ?



上映前にちかくでポップコーンをくちゃくちゃ食べてるお兄さんにイラっとしましたが
本編がはじまる直前には静かになってくれてホッとしたり。


今月末には、艦これ劇場版のBlu-ray発売されますね。
結局観に行けなかったので、今からすごく楽しみです。


まぁそれは置いといて
夕張ちゃんのお話しその7。
第13話、はじまります。





13:旗艦夕張、出撃します!その7

ここは京都府、美山かやぶきの里。

約40戸からなる茅葺屋根の集落だ。

 

そこに二人の艦娘が観光&撮影をたのしんでいた。

航空母艦の赤城と、軽巡洋艦の夕張だ。

 

 

二人は集落の中を談笑しながら歩いている。

 

 

「もぅ、夕張さんは意外とイジワルなんですね?///」

 

「あははは、だってこんなチャンス滅多にないでしょ?青葉や白露型の子達も喜んでましたし、いいじゃないですか」

 

 

先ほど赤城のドヤ顔を写メにとって皆に送信した件で、赤城はお冠らしい。

ただ普段からの柔和な雰囲気で、今も少し困ったような照れてるような感じなので

言葉のように怒ってるわけではなさそうだ。

 

 

「いつか仕返ししますからね?お楽しみに♪」

 

「ひぃぃぃ加賀さんみたいな表情やめてください」

 

「本人が聞いたら気分を害しますよ?加賀さんはああ見えて繊細なんですから」

 

「知ってますー」

 

 

 

加賀とは、赤城と同じ一航戦の空母で、表情がかたく冷たい印象をもたれてる艦娘である。

赤城と大の親友で、戦場、鎮守府を問わず、ほぼ一緒に行動していることで有名だ。

しかし今現在、当の加賀は呉鎮守府にて、後輩の五航戦の指導任務に就いている。

 

任務が明ければ、めでたく予備役となり、赤城と合流することになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、ちょっと早いけど、予定通りお昼ご飯にしましょう」

 

「はい。ところでどこか食堂でもあるんですか?」

 

「駐車場のとなりにあるんですが、今回私はこんなモノを用意しています」

 

 

といった赤城は、自分のバイクのBOXから大きな弁当箱と水筒を取り出した。

 

 

 

「たくさん作ってきましたから、ふたりで半分こしましょう」

 

「ぇ、私は赤城さんみたいにたくさん食べれないですよぅ」

 

「大丈夫、好きな量だけ食べてもらえれば、あとは私が受け持ちますよ」フンス

 

 

戦闘と食事に関しては、誰にも負けないと自負する赤城は、何故か自慢げに胸を張る。

どうも彼女は美人であるのに、こういうところで残念な印象があるのだ。勿体ない。

 

(注:暁ちゃん「これを赤城の慢心と言うのよ」)

 

 

 

 

駐車場の片隅にチェック柄のレジャーシートを敷き二人は座る。

お弁当箱の包みをひろげると、それはおおきな三段のお重になっていた。

 

 

「お重の三段式甲板空母?」ププッ

 

 

夕張は赤城に聞こえないように呟く。

やっぱり赤城さんちょっと天然可愛い、これも写メ撮っておこうと決めた。

 

 

 

お重を広げると、色とりどりのおかずが目に飛び込んできた。

おむすびや玉子焼き、から揚げ、タコさんウインナー、ポテトサラダなどなど。

見た目に美しく、実に美味しそうだ。

きっと鳳翔さんにおそわってるに違いない完成度の高さがあった。

 

艦娘なら誰でも知ってるが、料理の鍛錬も欠かさない赤城。

そう、食事に関しては慢心しないのだ。

 

 

 

 

「はい、取り皿よ。すきなだけ食べてね?」

 

「わーい、いっただきまーす」

 

 

お弁当のおかずはそれぞれ濃ゆ過ぎず薄すぎず、絶妙なバランスの味であった。

そして、ほんのりとした塩加減のおむすび。

それらを頬張りながら、しかし、少し暗い思いが浮かんできた。

 

 

 

夕張を含め艦娘は、この世に現れてから間もない。

たかだか6年ほどである。

その間の殆どを深海棲艦との戦いに費やし、人並みの生活は送ってこなかった。

 

夕張は、もし自分が普通の人間だったら、幼い頃に、母親のお手製のお弁当を持って

たくさんの同級生や友達と遠足などで楽しむことが出来たことだろう、と思いを馳せる。

 

 

「どうしたの?味が濃かった?」

 

「…ぁ、いえ、ちょっと考え事をしてました」

 

 

しまった、せっかくの楽しいお昼ご飯の時にくらい顔をしてしまっていたらしい。

夕張は赤城に変な心配はかけまいと言葉を濁す。

 

 

 

 

 

「ふぃー、赤城さんもうお腹いっぱいです。美味しかった~」

 

 

殊更明るく振舞って、さっきの件を忘れようとする。

赤城をよくみると、いつもの柔らかい笑みがそこにあった。

よかった、この人はいつも通りだ。

 

 

 

赤城も夕張に続いて食べ終わり、ごちそうさま、と手を合わせる。

大食艦ではあるが、行儀の悪いことはしない。

これが食事に対する一航戦の誇りだ!と言わんばかりに。

 

 

 

 

 

その後二人はとあるダムのそばの道を抜け、一路篠山市へと向かうことにした。

平坦ではあるが、カーブの多い県道を西に進む。

クネクネまがったダムの道を駆け抜け、川沿いの直線がひたすら続く道にスイッチ。

 

そこに川の名前がしるされた看板が立っている。

 

 由良川

 

以前、白露型の3人と走った宮津方面の道沿いにも流れていたあの川だ。

ゆるくカーブを描き穏やかに流れる川は、まるで由良のあの長くきれいな髪のように映る。

 

 

 

『夕張さん、実は私キャンプ道具を持参してるんです』

 

『ぇ???』

 

『ちょっと時期外れではあるけれど、今夜はキャンプなんてどうかしら?』

 

 

海上の長距離航海時、無人島などで野営の経験はあったが

レジャーのキャンプは未だ未経験の世界だった。

夕張は期待に胸を躍らせ返答する。

 

 

『はい、よろこんで!』

 

『それじゃ決まりね。早速設営に向かいましょう』

 

『了解です』

 

 

 

 

 

 

 

やや大きな山の道を越え、田園風景ののどかな国道をひたすら西へ。

2時間ほど走っただろうか。

こじんまりとした丘のような場所にたどり着いた。

一面芝生が生い茂っているが、ところどころ何かが燃えたような跡が残っている。

 

二人はほかにだれも居ない芝生の中にバイクを乗り入れ、こけないように慎重に停車させる。

 

赤城が器用に荷物の荷解きをしつつ「はい、到着です」と知らせた。

 

ざっと見渡して、炊事場やトイレだけがちょこんとある、やや殺風景な感じの場所だった。

ここはとある場所にある、無料のキャンプ場で、事前予約も必要ない、ほぼ自由のサイトだ。

そばを鉄道が走り、並行して川が流れている。

 

 

 

「たまたま見つけたサイトなんですけど、深夜は落ち着けますよ。私の秘密の隠れ家です」

 

 

そう赤城は自慢げに夕張に語る。

キャンプ初体験の夕張としては、判断基準がイマイチ判っていなかったが

たしかに静かでのんびりできそうではあった。

 

 

「今からテントを設営しますから手伝ってくださいな」

 

「はーい」

 

 

ブラウンのテントを取り出し、テキパキと組み立ててゆく。

大きさ的には4人くらいはなんとか入れそうなテントで、入り口の前に同色のタープも張る。

これで突然の雨にも対応可能となり、心に余裕をもってくつろげるナイスアイテムだ。

 

設営や撤収はさすがに手慣れたもので、ものの10分もしない内に完成。

戦争中はつらいことが多く、当然平和が一番だが、こういったスキルはその戦争によって身に着いたものだった。

 

 

 

 

「それじゃあ買い出しとお風呂にいきません?」

 

「お風呂!?」

 

 

多少驚きながらもうれしそうな表情をみせる夕張。

鎮守府での入渠はあまりすきではなかったが、お風呂自体は大好きだった。

しずかちゃんほどではないにしろ。

 

 

 

「ここから20分くらいの所に大きな入浴施設があるんです。サウナもあるわよ?」

 

「ひゃあ、良いですね行きましょう!」

 

 

 

先に買い出しをして、その足でついでに入浴、ということになり、早速出発する。

10分も走れば大型スーパーがみえてくる。

夕張は田舎のお店って店舗も駐車場も広いねー、とやたら感心していた。

 

 

「赤城さん、キャンプって言えばカレー?」

 

「えっと、今日はおおきな鍋はないので、焼肉にしましょう」

 

「焼肉!?やったー、タレは私が選んでも良いですか?」

 

「はい、おねがいしますね」

 

 

 

二人は手分けして、肉野菜などをテキパキと買い物籠に詰めていく。

 

 

「夕張さん、ちょっと呑みません?」

 

「えっと、チューハイでしたら」

 

「それじゃあ決まりね、私はビールっと、ふふ、夜が楽しみね」

 

酒類コーナーでそれぞれ2本づつカゴに入れる。

会計は仲良く割り勘といきたいところだったが、赤城がここは譲れません!と先に済ませてしまった。

 

 

 

買い出しを終えた二人は、次に山の中腹にある入浴施設に向かった。

地域住民だけでなく、他県からも訪れる人が多い有名な温泉だ。

 

嬉しい事にこの施設、バイク用の駐車場も完備していて数十台も置けるスペースがある。

 

二人は入り口でスリッパに履き替え、受付に進んでいく。

夕方であるが多くのお客さんで賑わっていた。

受付でタオル類などレンタル品を借りて、脱衣所に向かう。

 

 

 <<自主規制>> 

 

 

ゆったりと温まった二人は、温泉の定番、牛乳一気飲みを終え「プハーッ」とハモる。

ここは恥ずかしがらず、男前に堂々と腰に手を当て飲むのが正解である。

 

 

 

しっかりくつろいだ後、二人はキャンプ地に引き返し、お待ちかねの夕食タイムの始まりだ!

 

 

 

夕張は調理の支度をする赤城に「山側に焚き付け用の枝とかひろってきてくださいな」とお願いされ、指示に従う。

このあたりもしばらくのどかな天気が続いていたのか、拾った枝の多くはキレイに乾燥ししていた。

15分ほどで両手にっぱいに枝を拾うことが出来た。

 

その間に赤城は、小型の鍋に米を入れ研ぎ、水にさらしてしばらく寝かせる。

小型のガスバーナーを2基設置し、片方はこれも小型の四角いフライパンをのせ、予熱を加えておく。

 

夕張が戻ると、すっかり調理の準備は完了していた。

 

枝を数本集め火を点ける。

ちょっと小さいけれど、焚火の炎が薄暗くなってきた辺りと夕張の頬をほのかに赤く染める。

 

 

「わー、やっぱりこれがあると、なんか雰囲気でますね!」

 

「でしょう?」フンス

 

 

また赤城のドヤ顔だ。

実は当人はかなり気に入っているのかもしれない、と夕張は思った。

 

 

 




13話、無事終了です。

何故か誰かほかのキャラと居ると、影の薄くなるメロンちゃん。
ちょっと扱いが悪かったかも?とやや反省です。


さてしばらく続いてきました艦娘個別編、夕張回ですが次回でいったん終了です。

次はどの艦娘にスポットをあてましょうか?
乞うご期待ですよ!





タグに「キャンプ」を追加しました。
本文一部修正しました。

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