スパイさんと拷問員さん。   作:ブリキの玩具

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スローペースですねえ。すみません。


3話

 ゆっくりと歩を進めるタツミ殿に続き、長い廊下を歩いていく。

 コツ、コツ、という音が廊下に響き渡る。コツ、コツ、という音の間にタツミ殿の杖を

つく音が交じる。

 しばらく歩くと巨大な扉が見えてきた。それをタツミ殿が一人で開けようとしたので、

駆け寄って開けるのを手伝った。

 タツミ殿は微笑みながら、小さな声で「ありがとう。」と言った。

 

 扉を開けた先には小さめの草原が広がっていた。そこには砂埃が発生していた。部分的

に、異様な大きさで。

 タツミ殿は懐から小型の笛のようなものを取り出すと、それを吹いた。

 すると草原に発生していた砂埃は徐々に薄れていった。

「お呼びしました?」

 その中から女が出てきた。

 その女はスパッツを履き、上半身にはどこかの会社のマークであろうものしか刺繍され

ていないなんとも飾りっけのないジャージを着ていた。上半身のジャージはともかく、下

半身にスパッツしか履かないのはどうなんだ?この国のファッションなのか?私が言うの

もなんだが、

「うむ。」

「御用っすか?」

「この子じゃ。」

 タツミ殿はちらりとこちらを見た。スパッツ女はタツミ殿の視線の先にいる私を見た。

「ああ!この子が例の敵国のスパイさんっすか!」

 そういうとスパッツ女は、いきなり私の手をガシッと掴んだ。

「よろしくね!私、マーホス!みんなからはマホって呼ばれてるっす!気軽にマホって呼

んでほしいっす!」

 いきなり手を掴まれて何かされるのではないかと思い、手をひこうとしたが、マホの屈

託のない笑顔を見てやめてしまった。

 あの笑顔は凶器だ。此方の戦意を削ぎ、警戒心をなくしてくる。顔に血が集中し、フラ

フラとしてしまうし、鼻から流れ出てこようとする何かを堪えなければならない。何だこ

の感覚、ヘスネの時といい私は同性愛者になったのか?そもそも自覚がなかっただけで

元々同性愛者だった?もうわけがわからなくなってきた。

「ああ!マホ、気をつけなさいといつも言っておるじゃろ。」

「んぇ?…あ!そっか!ごめん!」

 そういうと、マホは私の手を離した。

「なんか私、手ぇ握りながら笑うと相手の顔を赤くして思考をとめちゃうみたいなんす。」

「うぇ!?ああ、うむ!わ、私はだいじょうぶだぞ!」

「ほんとっすか!嬉しいっす!」

 そういうとマホはまた私の手を掴んであの笑顔をみせてきた。しかも嬉しさからか今度

は手を掴みながら上下に振っている。

 あ、まずい。また来る!

「すまない!!やっぱり無理だー!!!!

 




明らかにシュタインズ・ゲートというアニメの阿万音鈴羽に影響されたキャラです。
なんか頭のなかに浮かんだのが之でした。

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