青春memory   作:N"our"vice

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初めましての方は初めまして!久しぶりという方は、久しぶり!夏風櫂です。

 人気作家が大量にいるこのグループN"our"viceですが、こんな無名の自分をこの小説に参加させてくれたことには感謝しかありません。えぇ、本当に……。

 他の皆さんに比べれば劣っていて、文章が拙くて、ネタがキモいとは思いますが読んでいただければ嬉しいです!

 では、秋原詠斗と親友たちのバカ騒ぎへどうぞ!


詠斗と俳句とバカ騒ぎ

 

 

「マスター、起きてください。朝ですよ?」

 

 ふと聞こえてくる少女の声を目覚ましに俺は起きる。

 目に入ってきたのはミミをピョンピョンとさせ、毛で覆われた手で身体を揺さぶってくるロリ少女。そう、ケモノだ。ロリだ。略してロモノだ。可愛いし尊いし可愛い。可愛いは正義って誰か言ってた気がする。

 

 「う……んっ…………おはよう」

 

 「おはようございます、マスター。ご飯にします?シャワーにします?2時間1500円コースにします?」

 

 「飯食うから準備してくれ……」

 

 最後の危ないフレーズは聞き流して飯と答える。

 というかなんだ。2時間1500円ってどこぞのホテルや。しかも意外と安いじゃねぇか。

 

 「では、マスター。まずは私のミルクを」

 

 「あぁ、今日も濃厚で旨いぞ」

 

☆☆☆

 

 「うん、無いな。なんだこのクソ文章は」

 

 4月14日晴れ。絶好の引きこもり日和。この回は秋原(あきはら)詠斗(えいと)でお送りします。……誰に言ってんだろうな。

 有名web小説投稿サイトに投稿していた『ケモノを愛するすべての君へ』の第一話を読み直していたのだが……正直言ってキモい。キモすぎてキモい。キモすぎて語彙力無くなってきたかも。

 

 「やっぱ、深夜テンションは怖ぇな……」

 

 投稿された日時を見ると午前の1:39だった。ほんと、当時の俺は何を考えていたのだろうか?謎過ぎてわけが分からなくなってきた。

 こんな文章でも中々の評価をもらっていたことに驚く。去年から今まで投稿していたので計38話、平均文字数は8320。まぁ、途中でバトルとか深夜テンションのエッチぃシーンもあったから喜んでもらえたのは嬉しいが、今となっては読者の気持ちが分からなくなる。俺もよく振り返らずに書き続けたなって思う。

 冒頭部分のあのやり取りで《よかった!》《エッチなシーンに期待しています!》という感想が来ていたのだが、《キモい。書くのやめろ》《まったくエロくねぇし。タヒね》という感想も来ていた。ここまで否定されるとキツいが、俺の小説では当たり前の反応だろう。他人の作品だったら☆0しか付けない自信しかないしな。これ、普通。

 

 「まず文章がなってない。段落のつなぎ方もダメだな………………。投稿やめよ」

 

 思い立ったが吉日がモットーの俺は活動報告で一言添えて投稿休止を宣言する。1つの章がちょうどよく終わってキリがよかったのもあるし……次は新規開拓するか。苦手なラブコメ?ま、それについては後で考えるか。

 そう考えていたとき、急に俺のスマホが机から落ちる。バイブで落ちたのか、いつも激しいな。と思いながら取り、開く。連絡内容を見て、重大なことに気づく。

 

 「週末課題やってねぇぇええええ!」

 

☆☆☆

 

 「さて、今回集まってもらったのは訳がある。お前ら、例のプリントは持ってきたか?」

 

 俺の呼び掛けに合わせ、俺の部屋に集められた3人の精鋭たちはそれぞれプリントを取り出す。書かれている内容はどれも同じである。

 週末課題とは何なのか、一応説明しておこう。週末課題、別名《クエスト》。毎週木曜日に提示されるものであり、終わらせて提出すれば評価という報酬がもらえる。難易度は☆1~☆8まで。なお、今週の難易度は☆5のもよう。

 

 「よし、やってないな。…………では、これより第42回週末課題攻略作戦本会議を始める」

 

 じつは結構な頻度でやってたりする。

 

 「今回の攻略対象はお前らが持っているそのプリントだ」

 

 パーティーメンバーは九重(ここのえ)(そう)高道(たかみち)海斗(かいと)日比谷(ひびや)実音(みおん)と俺の3人。

 

 「このクエストを早く終わらせて…………早く遊ぶぞぉお!」

 

 「「「おぉおおおおお!」」」

 

 「バカやってないで早く終わらせなさいよ」

 

 士気が高まってきたところで英莉星(えりぼし)(あや)が口を挟んでくる。ちっ、いつまでも海斗に付いてきやがって……!

 

 「こっちは課題が終わって暇なんだから……」

 

 「なら、冷蔵庫から麦茶取ってくれ。あと、みんな分のグラスを」

 

 「なんでよ、めんどくさい……適当に遊んでッ⁉」

 

 自分のジョブも確認せずに違う部屋に行こうとしたため、俺は彩の前に瞬時に移動する。

 

 「な、何よ……」

 

 (海斗の水着写真1枚無料……どうだ?)

 

 (……分かったわ。その代わり、いいのを用意してよ?)

 

 (もちろんだ。んじゃ、よろしく頼む)

 

 彩との取引も終え、自分の定位置に就く。実音は上手くやったみたいだなという顔で、創は呆れた顔で、海斗は訳が分からんという顔でこちらを見てきた。こういうときの海斗は扱いやすくて助かる。

 

 「じゃあ、まず俳句から作ってくか。お前ら、基本知識はあるよな?」

 

 「5・7・5……だったよな?」

 

 海斗が言う。

 

 「春夏秋冬いずれかの季語も入れるんだよね」

 

 創が言う。

 

 「なら……出来た‼」

 

 実音が言う。というか、もう出来たのか。こいつが出来なかった理由は知識がなかったから……?いや、そんなことは無いよな。流石に小学生でも分かるはずだし……な。

 

 実音の作品

 <水着回 触手遊び 肌ポロリ>

 

 「「分かるわ~」」

 

 海斗と声がハモる。やっぱりこの点では共感できるところはあるな。あいつも一応、オタクだし。

 

 「バッカじゃないの」

 

 ここで彩からの罵倒が。ま、当たり前だろうな。

 

 「む、その言い方はないだろ彩。触手は素晴らしいんだぞ!異種生物が関わってくる作品ではこれが王道になっていて主人公が助けるという素晴らしいイベントがあるんだ。その時の女の子と触手のもつれ具合といったら、グヘヘwww」

 

 「実音、せっかくの容姿が台無しだぞ。思考をまともにしろ」

 

 「容姿がまともじゃないやつに言われたくない」

 

 「んだとテメェ!こいつ(海斗)よりはまともだわ‼」

 

 「はぁ⁉もういっぺん言ってみろ!ゴ○ドフィンガー食らわすぞ!」

 

 「まったく………………ほら、3人とも。彩が麦茶持ってきてくれたよ」

 

 創がパンパンと手を叩き、やり取りの中に入る。彩も彩でちょうど喉が渇いた時に持ってきたから、タイミングを計ったんだろう。ほんと、いいやつだ。なんで、海斗はこいつの気持ちに気づかないんだろうとつくづく思う。

 

 「お、彩どうも。というか遅かったな。詠斗の冷蔵庫が汚なすぎてどこにあるか分かんなかったのか?」

 

 「冷蔵庫はきれいだったけどバカがいたわ。麦茶のパックを容器に入れないで冷蔵庫で冷やしてるバカが」

 

 「あ、え、マジで?悪い。確認してなかったわ」

 

 「ちょっと薄いかもだけど我慢して飲んでちょうだい。ないよりはマシでしょ?」

 

 「そうだな。詠斗のバカが作ってねぇ方が悪いし」

 

 「だから悪いっつってんだろ」

 

 「いや、思ってねぇだろ。つーか、すっぱ!何入れたんだよ⁉」

 

 「……みかん。海斗はみかん好きだし、今の時期にしては暑いからビタミン必要だと思って」

 

 「あ、おう、どうもな……」

 

 海斗はこの前の一件(3話参照)もあってか余計なことを言わないようにしている。いや、てか、こっちからしてみるとお前らはイチャイチャタクティクスやってるだけだからな。人前でイチャつくのやめろ。彩は顔を赤らめて「べ、別に良いわよ……///」ってデレてんじゃねえよ。「……死ねばいいのに」って言った創は放っておこう。ちょっと可哀想だ。

 

 「おい、イチャこら野郎。俳句はできたか?」

 

 「なんで俺を見てイチャこら野郎って言うんだよ」

 

 「「目の前でイチャついてんだろうが!!」」

 

 「はぁ……わぁったわぁった。俳句出来たから読むぞ」

 

 創の作品

 <死ねばいい 破局しろ リア充>

 

 「創くん、なに発表しちゃってるの⁉キャラぶっ壊れてない⁉」

 

 「イチャついてる海斗がムカついた。後悔はない」

 

 あ、創の目に光が灯ってない。これ、ガチなやつだ。

 

 「というか、季語含んでないからアウトだろこれ!」

 

 「何を言ってるんだお前は。創はちゃんと忌語を使ったぞ?死ねとか破局しろとか、な?」

 

 「それは忌むべき言葉だろ⁉」

 

 「そんなに騒ぐなって……いやぁ、やっぱいい俳句だね。流石、創だよ」

 

 「あー、抗議しても埒があかねぇ!これが俺の作品だ!読みやがれ!」

 

 海斗の作品

 <あはれなり みかんの皮と 雪景色>

 

 「……ふんっ」

 

 「「「はぁ……」」」

 

 さっきまで無関心だった彩は海斗の俳句を読みに来た。しかし、期待してたことを言われなかったのかすぐに拗ねてしまった。その反応をみて、俺らもため息を吐く。

 

 (((また、みかんかぁ……)))

 

 「おいおい、彩。なに拗ねてるんだよ?どうだ、傑作だろ?」

 

 ここで彩にふるあいつもスゴいな。自ら墓穴掘りに行ったぞ。仕方ない、ここで助け船は出しとくか。

 

 「じゃあ、俺の発表するぞ」

 

 「俺の評価は一切なしかよ!」

 

 創の作品

 <わーすごい よくがんばったね お疲れさま>

 

 「川柳で返すんじゃねぇよ!つーか、誉めてねぇだろそれ!本当に評価はないのかよ⁉」

 

 「……なぁ、発表していいか?」

 

 海斗が暴走ぎみだな。彩も不機嫌になってるし……つーか、俺のゲーム起動してるぅ。格ゲーやってるし。え、うまっ。強くね?え、そこで……おぉー、スゲ。後で対戦しよ。

 んじゃ、気を取り直してと言って俺は続ける。

 

 「じゃ、俺の作品な」

 

 詠斗の作品

 <線香で 落ちろ蚊トンボと 子は遊ぶ>

 

 「シロ○コの名言だしてきたね。いいと思うよ」

 

 「夏の子どもの無邪気っぽさが出てて良いね」

 

 創と実音は口を揃えて誉めてくる。一方、海斗は……

 

 「え、彩、どうしたの……ってジュースを何で入れんの⁉麦茶入ってたんだけど⁉」

 

 「薄かったんでしょ?ならいいじゃない」

 

 「そういう問題じゃねーよ⁉」

 

 「そんなにみかんが好きならずっとみかんを愛してれば?」

 

 怒りが収まらない彩に意地悪をされていた。そんなに傷つくなら自分から行けばいいのにと思うのは俺だけなのだろうか?

 

 

☆☆☆

 

 

 「うっし、これで俺の五連勝!」

 

 「また負けた……どんだけ強いんだよお前は」

 

 あれから二時間、俺らと宿題の勝負は俺らの勝ちで終わり、皆は自由に過ごしていた。創と実音と彩ははしゃぎ疲れたのか眠ってしまい、海斗と俺は機動戦士の格闘ゲームをしていた。海斗はゴッドを使い、俺はデスサイズヘルを使う。ちなみに勝っているのは俺。

 

 「かなりやりこんだからな!海斗には負けねぇよ」

 

 「いつかボロボロにしてやる。ゲームでもリアルでもな」

 

 「やれるもんならやってみろ。俺が返り討ちにしてやる」

 

 口で競い合っているのがおかしくなったのか、顔を見合わせて笑う。そして、

 

 「なぁ、詠斗。この関係……いつまでも続くよな?」

 

 と、くそ真面目な質問が来る。

 

 「は、なに?留年したいの?」

 

 「いや、大人になっても続くかなって気になってさ……皆、夢とかあるし」

 

 「そうだな……他人の夢に口出しできる立場じゃねぇよ、俺たちは。けどさ、この関係は変わってほしくはないよな。夢を諦めてまで友情を優先しろとは言わねぇ」

 

 「俺さ、このメンバーでバカやってるときが一番楽しいんだよ。たとえ、会う機会が少なくなっても忘れないよな、この生活は」

 

 「そりゃぁな。毎日が刺激的すぎて忘れるのはできねぇよ。ま、唯一忘れるのは勉強面の知識じゃね?」

 

 「はは、そりゃあ違ぇねぇな」

 

 冗談混じりに話し合って笑って、時には泣いて、時には喧嘩して―――そんな毎日。だけどそんな毎日が一つずつ思い出として記憶に刻み込まれていく。青春の大切なセーブデータとして―――メモリーとして。

 

 

 

 詠斗の作品

 <春色に 輝く俺たち 忘れない>




次回の投稿はイチゴ侍さんです!
次回もよろしくお願いします!

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