青春memory   作:N"our"vice

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今回はへびーさんによる執筆です。
よろしくお願いします


合宿に向けて

 

 

「えー、今週末には勉強合宿なのでしおりに従ってしっかり準備しておいて下さい。それじゃ、号令」

 

 

 日直の声で帰りのHRが終了した。つまりここから生徒は自由の身になれるということになる。部活に精を出すも良し、友達同士でクラスに残って勉強するも良しだ

 

 まあ…勉強合宿の直前ということもあってみんな支度に忙しそうだけど。俺も例に漏れなくそうだしね

 

 だって仕方ないじゃん!学校が終われば多少遊ぶ時間はあれど、帰ると家の手伝いをしろって言われるんだから。それが夜まで、そこから宿題があればそれを処理して、無かったら疲れて寝ちゃったりして、その他エトセトラエトセトラ……ね、時間無いんだよ

 

 直前に準備していない事実を親に言うと、若干怒られはしたものの、今日は休暇──という名の買い出しに行く猶予を獲得することが出来た。不幸中の幸いだな

 

 とはいえ一人で買い物行くのもねぇ…

 

 

「ん?どうしたの創、ボーッと突っ立って」

 

「ああ、詠斗。ちょっとね…そうだ、今日この後暇?勉強合宿用に買い物行きたいんだけどさ」

 

「問題ないけど。とはいえ二人ってのもなぁ…よし、あいつ連れて行こう。先校門行っとけ」

 

「? お、おう。了解」

 

 

 なんか、詠斗の連れてくる奴って大体察しが着くような気が…どうせあいつだろ。ニヤついたドヤ顔でサムズアップを決めてたし

 

 ま、いいか。言われたとおり校門で待ってれば

 

 

 

 

 

 

「待たせたなーっ!」

 

「……はぁ、来たよ。よく分かんないけど」

 

「やっぱ海斗だったかー」

 

 

 海斗の首根っこを掴んだままずっと連れてきたんだろう、海斗が見て分かる位ぐったりしてる。あと、凄い不服そうな目で詠斗の事見てる

 

 

「やっぱってなんだよ!詠斗に無理矢理連れてこられてなかったら俺だって来てないっての!」

 

「どうせお前もなんか買う物あるんだろー?まあ暇だろうし着いて来いよ」

 

「……俺はこの前彩と行った買い物(デート)ついでに揃えたから」

 

 

 その瞬間、詠斗の出す雰囲気が変わった。察しは着く。十中八九、今海斗が惚気たからだろう。うん、俺もなんか…イラッときたかも

 

 

「創、良かったな、今日の買い物代全部海斗が払ってくれるってさ」

 

「更に俺と詠斗に好きな物1つ買ってくれる?うわーさっすが彼女持ちは違うなー」

 

「そんな持ち合わせないから!創まで俺を苛めるか?!」

 

「苛める?違うよ。ねぇ詠斗」

 

「創の言うとおり。原因はお前だからな」

 

「俺、悪いことしてないよね?!」

 

 

 そんな言い合いをすること数十分、学校の近くにあるショッピングモールに到着した。ここは食料品、日用品、本に薬に楽器にと、基本的な物なら何でも揃う。学校に近いという立地の良さからうちの高校の生徒も数多く通う人気モールだ

 

 そこの2階、目当ては日用品売り場にありそうな──

 

 

「お、あったあった。コンパクトな歯ブラシセット」

 

「そういうの持ってないのか?」

 

「残念ながらうちにあるのは麺棒くらいですので…」

 

「いやそれは流石に無いだろ」

 

「ま、これが無いのは冗談じゃないけどね。こんなの中学の修学旅行行った以来行方不明だって」

 

「まあ…分からなくはないかも」

 

「それじゃ、はい海斗っ」

 

「マジで言ってる…?マジで買えって言ってる?」

 

 

 歯ブラシは俺の手によって海斗へ。因みに肩はがっちりと詠斗が押さえているので逃げ道は無い。残念というか自業自得というか…つまりそういうことだ。ま、流石に買わせるのは可哀想かな

 

 

「ホントに買いたいんなら買ってきてもいいよ?俺は結構冗談のつもりだったんだけど、海斗が買いたいんならその意欲は買わないといけないよねー」

 

「だったら初めから自分で行けよ!紛らわしいんだよ!」

 

「日頃の行いだな、海斗」

 

「詠斗は俺を目の敵にし過ぎ」

 

「ソ、ソンナツモリナイケドナー」

 

「ダメだこれ…」

 

「じゃあ俺買ってくるから、好きにイチャついててよ。詠斗相手なら誰も文句言わないだろうし」 

 

「俺にそういう趣味はないっ!!」

 

 

 なんか海斗が後ろの方で騒いでるような気がするけど、ま、気のせいだろ。レジ行こっと。邪魔しちゃ…悪いよね?どうせすぐ終わるし詠斗に任せとこ

 

 ささっと会計を済ませて戻ってくると、ベンチに海斗と詠斗が普通に座ってた。なんだ、何もしてないのか。…でもその割には詠斗が満足げなような…

 

 

「お待たせー。どうしたの詠斗」

 

「お、来た来た。創、たこ焼き好きだよな?」

 

「たこ焼き?うん、好きかな。それが?」

 

「なんか買わないとお前らどうせしつこいだろー…仕方ないから後で買ってやるよ」

 

「おぉー…太っ腹さん」

 

「後でな。まずは創の買い物を──」

 

「奢ってあげて?」

 

「それは奢らない!」

 

 

 その後、新しい消しゴムやシャーペンの芯、遊ぶ用のトランプなど、必要な物や必要そうな物を一通り買い揃えたので、俺たちはみんなでフードコートで一休みしていくことにした。因みに言うと、詠斗はあれからたこ焼きの事しか頭に無かったようで、凄いフードコートに向かうのを急かしてた。そこまでか?たこ焼きって。今だって、凄い美味しそうに食べてるし

 

 

「詠斗ってそんなたこ焼き好きだったっけ?」

 

「ん~?いや、普通に腹減ってて。昼食ってないんだ、忘れたからな」

 

「学校で買えるじゃん」

 

 

 海斗が一緒に買ったらしいたい焼きを囓りながら、真っ当なツッコミを入れている。確かに買えるよ。それも相場よりちょっと安く買える

 

 

「海斗さん…俺にそんな金があるとお思いで…?」

 

「たかだか数100円だろ。1つくらい買えばいいのに」

 

「その1つが、2つ3つとなり、人は破産していくんだ…」

 

「要は昼飯忘れては買ってた結果、無一文になったのな。理解理解」

 

「…創の家バイト募集してない?」

 

「うちの蕎麦全部無くなりそうだから却下」

 

「じゃあうどんにするから!賄いはうどんで我慢するから!」

 

「賄いを欲してる時点で却下!」

 

「…ケチか」

 

「少しは自分の行いを省みろよ」

 

 

 なんだかんだで海斗は言われたことは真面目にこなしてくれるからもしもの時に頼めるし、セットで彩が着いてくる確率高いから頼む気ではいるけど…詠斗はなぁ…そもそも接客が無理そう。怒らせてそう。だから頼むなら相当ピンチな時になるかな

 

 

「うんうん、やっぱ俺くらい気の利く男じゃないとな」

 

「否定しない。海斗役立ってるし」

 

「たはぁーっ!無理かぁー!」

 

 

 …ん?とか話してる間にたこ焼き無くなってるし!詠斗…せっかく海斗が買ってくれたんだから分け合うって精神は無いのかねぇ

 

 

「たこ焼き…詠斗お前食べ尽くしたな…?」

 

「創も1つ食べてた」

 

「いやそれだけなんだが?!」

 

「いいじゃん。どうせ買えれば蕎麦食べれるんだろ?俺の空腹感に免じて許してくれ」

 

「はぁ…ま、そんな気はしてたけどね」

 

「ど、どうする?買ってくる?創の金で」 

 

「いや、いいよ。俺もそんな金無いし。あ、今度これのお返しするわ」

 

「1つしか食べてないのに…」

 

「それは詠斗に言ってくれ。買ってくれたのは事実だしね」

 

「悪いなー、で、何かくれんの?」

 

「う~ん…蕎麦粉?」

 

「は?」

 

 

 

 うちがちゃんと仕入れている蕎麦粉だから店で売ってるやつより味がしっかりしてるし、なによりすぐに用意できる。うん、プレゼントに最適…っ 

 

 

「俺蕎麦打てないからいい…遠慮しとく」

 

「じゃあ白い粉で」

 

「それはなんかニュアンスが違う!」

 

「じゃあ俺が貰おうじゃないか」

 

「それはもっと違う!」

 

 

 フードコートでのひと揉めも、結局詠斗に収入があり次第何かを買ってあげると言うことで落ち着いた。それがいつになるのかは分かんないけど…それは別に俺は関係無いかな

 とりあえず家帰って支度しないと

 

 

 


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