青春memory   作:N"our"vice

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今回は雪桜(希う者)さんによる投稿です。よろしくお願いします


テスト勉強

 

 

5月中旬

今週はテスト週間

これが意味することは中間テストが目の前だということ。

もちろん受験生たる俺らは勉強をしなくてはいけない

(当然他の学年も等しくテストが待っているので勉強しなければならないのは同じだが)

 

そうはいってもテスト週間だ。

今年は受験を控えるがゆえに勉強はもはや外せない。

 

でも部活がない!

下手をすればこれ以降はそんな休めと言われているようなことはないかもしれない。いや、ない(反語)

 

ともかく、これだけ時間があるのだから1日くらい遊びに行きたい。

それがだめでも1日徹夜でゲームをし続けたい!

 

……絶対に親は許さないよなぁ。

テストの成績下がったらどうするんだって言うんだろうな。

 

「……せ……ん……」

 

っていうかなんで俺の部屋にはテレビが無いんだよ。

折角この前小遣いをはたいて買った「ぎゅうどんファンタジー」をまだクリアしてないのに。こんなに時間があるんだし少しくらいいいじゃんよ!

 

「…うせ……ん…」

 

まじでうちの親は俺を縛りすぎだと思うんだよな!だいたい高校生なのに小遣い月3000円とか絶対に足りないだろ。

バイトもしたいのに親が許さないから出来ないし、もう納得いかな……

 

「反応しろ!!透閃!」

 

「ぐはっ!!」

 

えっ、なになに!チョップ!?チョップなの!?

 

なにが起きたかわからないけどとりあえずみんなが一斉にこっちを向いたのはわかった。

 

「あっ、な、なんでもないよ。なんでもないから!アハハ~……」

 

目の前でごまかしているのは白月だった。

 

「ったく、なんだよ白月。いきなりチョップかますほどのことでもあったか?」

「あったんだよ。気付いてないの?自分が今何してたか。」

 

俺が……何かしてた?

今はテストとうちの親に対しての不満を考えてたし机の上には数学の授業でもらった宿題のプリントがあるくらいだし。

心なしかそのプリントが自分の記憶よりだいぶ進んでいる気はするが。

 

「……何してたんだ?」

 

「気付いてなかったか……

君ね、数学のプリントを訳のわからないことを延々と呟いきながら解いてたんだからね?

数学だし、式を復唱してるのかと思えばそれとは全く関係ないことを呟いて、でも腕は数字を書き続けて。

 

……少し、気味が悪かったんだから。」

 

「え、まじか。そりゃ悪かった。」

 

「ふふーんだ。わかればよろしい」

 

なんだか白月が少し勝ち誇ったような顔をしていて思わず、お前は小動物かとツッコミたくなるのを必死で押さえていたことは秘密である。

 

「それで、どうした?なにか用事でもあったか?」

「今は昼だよ、透閃くん。お弁当一緒に食べようって思ってきたのに君はそんなことにすら気付けないのかい?」

「いや、お前はいつも他の女子と一緒に食べてるじゃないか。いきなり俺のところ来てもわかんないよ。」

 

「あ、それもそうだったね。失敬、失敬(笑)」

 

だめだこの子やっぱりアホの子だった。

 

「ってそうじゃないの、それ以外に言うこともあるの!

あの……勉強、教えて下さい……ば、場所とかはどこでもいいから。なんならそっちの家まで行くよ!」

 

……ああ、そういうことか

何はともあれ突然の誘いだ。どうするかと聞かれれば了承する。そうに決まってる。

 

「いいよ、勉強くらいならいくらでも付き合ってやるよ。

でも悪いな。うちで、っていうのはたぶん親が許しを出してくれないんだよなぁ」

「そ、そっかー、じゃあしょうがないね」

 

「そうだな……放課後でいいなら図書室でやるか」

「……!うんっ!じゃあよろしくね♪」

 

 

~~~~~~~~~~

 

私自身の机に戻る途中、少しずつ我に帰る私。

 

ちょっと飲み物買ってくるなんていうベタな嘘を言ってご飯を一緒に食べるグループから抜ける。

 

教室を出て渡り廊下まで来たところで止まった。

 

 

ああ、緊張した。

透閃くんがご飯食べてるところを後ろから驚かしてやろうと思っていたのに、透閃くんったらご飯食べてないどころかぶつぶつ何かを呟きながら手が動いてるんだもん。

 

そんなの……心配しちゃうじゃない

 

って、そんなことはいいの!

そんなことっていうかなんで私勉強教えてなんて言っちゃったの……

しかもこれって、2人でってことになるよね。図書室で他の人がいるとはいえ2人で……

 

 

はっ!私の身が持たない!!

 

 

えええええ、えっとととと

と、とっ、とりあえず━━━━━━

 

 

~~~~~~~~~~

 

瞬先生に捕まっていつもの「課題だせ」の説教をくらってから俺は図書室に向かった。

 

「あー……朱音がいるのは全然違和感ないんだけど、なんで真也までいるんだ?」

「お久しぶりですね!透閃先輩!

僕は絶賛あかねえに連れられテスト勉強中ですよ」

「いやいや、お前の実力ならまだテスト勉強必要ないレベルのところだろ?」

「いやー……それがで…「春休みサボった結果高校入学直後の学力検査のテストでそうとうな点数を取ってきたのよ」

ってあかねえ、それストレートに言わないでよ!!」

 

なるほど、真也がそれで朱音に泣きついて助けてもらったってわけか。朱音のことだからサボろうとしてた真也を見て『前回の反省してないの?』なんていう風に言って勉強させてるんだろう。

朱音は教え方はうまい方だろうし、問題のチョイスがうまい。

 

え?なんで知ってるかって?

 

……身をもって体験しましたのよ

 

「まあ、がんばれ…」

「ちょっ!なんですかその含みのある励ましは!」

「ふ、ふたりとも静かにしよう?図書室だから、ね?」

 

白月の制止で気付かず大きな声を出していたことに気付く。

 

「……勉強するか」

「そうですね」

 

~~~~~~~~~~

 

 

「ここは、定数項の約数をxに代入してみて式が0になるやつを探していく。で、見つけた解が出てくる式とそれで元の式を割ったのにわけるんだよ」

 

「二次関数はグラフさえかければおおむね解けるわ。まずは平方完成。徹底しなさい」

 

着々と勉強を進めて行くなかでふと教えてもらう側の二人は思っていた。

 

(わかってはいたけど……二人って抜かりなくやってくれるけどなかなか厳しいよね)

 

とはいえ、かれこれ1時間くらいやってたため二人としては少し休憩したいところ。

 

「私、ちょっとトイレ行ってくるわ。透閃、真也がサボらないよう見ててちょうだい」

「あ、トイレなら私も行く」

 

ようやく休憩……

あかねえも透閃先輩も真面目すぎだろぉ……

 

「ちゃっちゃとそこだけやっちゃえ。終わったら少し長く休憩してもいいって朱音も言うだろうから」

「わかってますよ。」

 

言われなくたってやる。キリが悪いのは元々嫌いだし変に途中で休みをいれると頭になかなか入らないし。

 

「……透閃先輩はあの先輩のことが好きなんですか?」

「白月のことか。別に嫌いじゃないけど好き……とは違うかな。」

「じゃあ、あかねえを狙ってるんですか?」

「ばっ!……そういうのじゃ……ねえよ」

 

あ、これは明らかに。

 

「あかねえには黙っときますよ」

「なっ!?べ、別に朱音のこと好きなんて……」

 

素直だなぁ…ま、こういうことで揺さぶったり口を出すのはやぼってもんさ。

あかねえに男子の友達なんて珍しいし、もしかしたら透閃先輩のことあかねえも好きなのかもしれないし。

 

まあ、先輩頑張って下さいな。

 

「ところで話は変わりますけど、ここどうやればいいんですか」

「この流れで聞くのかよ……えっと、これは---」

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

「つっきーはどこがわからなかったの?」

「へっ?」

 

今はトイレに行く途中。なぜか図書室のあるこの棟にはトイレがないからちょっと遠いけど教室棟までいかないといけないっていうちょっと不便な面があったりする。

階段を下りながら朱音ちゃんが話しかけてきた。

 

「わからないから透閃に聞いたのでしょう?というか、いつもなら透閃よりも先に私のところに来るじゃない」

 

「あはは、実はわからないところはなかったんだけど、その……このままだと勉強しないで時間過ごしちゃいそうだなと思って。ほ、ほら、透閃くんってそういうところ真面目だし。いっしょに勉強すれば私もやる気になれるかなって」

 

嘘をついた。

本当は誘うつもりなかったけど間違えて誘っちゃっただけって。それだけなんだから朱音ちゃんに言ったって別に何もないはずなのに。

 

でも、なんか言わない方がいいと思った。

 

今の一言だけでなぜかとても後ろめたく感じる。

 

 

きっと、朱音ちゃんに咄嗟に嘘をついたせい。

 

……きっと、そう。

 

 

「ふふっ、そうね」

 

朱音ちゃんはそれしか言わなかった。

 

その時の朱音ちゃんの顔が、無邪気に笑う無垢な子供のような微笑みで、また後ろめたく感じた。

 

~~~~~~~~~~

 

朱音たちが戻ってきてしばらくやって

 

「もう6時か。そろそろ終わろうか。切りのいいところで帰ろう」

「そうね、このままだと暗くなっちゃうわね」

 

「終わりだー!」

「終わりだよー!」

 

白月と真也はようやく終わった見たいな顔をしている。

 

……そんなに厳しかった?

そんな厳しく教えたつもりはないんだけどな~

 

「白月、そこの展開間違ってるぞ。」

「あっ、最後の最後で間違えちゃった」

「先輩、終わりって言葉を聞いて気が抜けましたね」

「ふふ、貴方らしいわね」

 

こうやって、笑ってみんなでいられる。

 

やっぱり、みんなでいるのは楽しい。

 

 

 

改めて、俺は2人と友達になれてよかったって思った。

 

 

 

 

……あっ、真也はイレギュラーだから。

 

 

 




次回はうぉいどさんによる投稿の予定です。次回もよろしくお願いします

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