青春memory   作:N"our"vice

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今回でキャラの初登場は(おそらく)最後です

今回の話は、
原案:雪桜
制作:夏風櫂
ということになってます。
この前書きを書く私の時間の都合上、このような形になっていますが、キャラ崩壊はないはずです!
それではどうぞ!

……あっ、先生を忘れてた


真也の策略(?)

 

 

「助けて、あかねえ!」

 

 

「え、いやよ」

 

「えっ……」

 

………上杉真也15歳

 

ただいまピンチです。

 

 ~~~~~~~~~~

 

 

「で、どうしたの?」

 

「その~……勉強教えて下さい!」

 

「……はい?まだ授業も始まったばっかりで中学の内容とさほど変わらないでしょう」

 

「それが、春休みにサボったせいで入学してすぐのテストが悪すぎて再テストにされました……」

 

自分がサボったんです。悪いんです。

でも、半年やらないだけでこんなに出来なくなるものって定着してなさすぎだろ、自分。

 

「ちゃんと勉強してない真也が悪いんでしょ?私は関係ない、以上。私は用事があるから帰るわ」

 

う、不味い……!これでは、今週末の再テストに間に合うかどうか……悪いね、あかねぇ。アレを使わせてもらう!

 

 「ま、待って‼」

 

 「な、何……?」

 

 「僕を助けて……」ウルウル

 

 

 

(あかねぇであろうと女子であることに変わりはない。ならこういう上目遣いに弱いはず……!ここで堕ちてくれないと僕の学力が危うい!)

 

 堕ちる、誤字に非ず。

 

 校門の前で静寂なる戦いが行われる。一方は上目遣い、もう一方は……少し引くような目で。普通ならうぶなカップルみたいに思われるが、この空気の中ではバチバチとお互いの欲望がぶつかり合っている。まさに冷戦状態である。

 

「はぁ……分かったわよ。ただし、教えるのは一時間だけ。ほら、図書館に行ってさっさと終わらせるわよ」

 

「ありがとう、あかねぇ‼」

 

我ながら酷いと思う。相手の弱みに漬け込んで自分だけの利益を得る。だけど、こうでもしないと戦い《再テスト》は戦い抜けない。生き残れない。これからの高校生活が危うい!だから、悪いけど犠牲になってもらうよ。

 

 ~~~~~~~~~~~~

 

 Q.次の英文を日本語に訳しなさい。

 The world is beautiful but there is only evil.

 

 上杉真也の答え

 「世界は美しいが悪魔だけいる」

 

 虹村朱音のコメント

 だいたいの単語の訳は合ってるけど応用が効いてない。日本語の勉強もすること。

 

 

 Q.このときの主人公の気持ちはどんなものだったか?

 「僕には応援してくれる人がいる!だから、負けられない‼勝ちたいんだ‼」

 

 上杉真也の答え

 「強いぞ~カッコいいぞ~フハハハハハハ」

 

 虹村朱音のコメント

 世界一の大馬鹿者

 

 

 ~~~~~~~~~~~~

 

「真也。あなた、バカなの?」

 

「これでも真面目にやったんだよ!」

 

「英語はまだ救いようがあるわ。それなのに、現代文のこの様は何なのよ‼」

 

「仕方ないじゃん!地歴みたいに暗記じゃないし、化学みたいに反応起きないしさ!紙の中の人の心情なんて分かるわけないじゃん!」

 

僕のテストを見て呆れているあかねぇに僕は声を荒げて反論する。すると、声が大きすぎたのか図書委員から注意されてしまった。

 

「……アンタ、勉強してないでしょ?」

 

「ぅえ!?あ、いや、その……」

 

「中学の頃は点取れてたのにねぇ……遊びすぎじゃないの?」

 

「地の聖隷が僕を呼んでいて……」

 

「くだらないこと言ってないで。ほら、早くやるわよ」

 

そう言われ、テキストを広げる。

高校の教科書か……。見ただけでも目眩がする。

 

「で、高校の内容に入っていないのにこの点数は何?」

 

「えっと……」

 

「どうせ余裕ぶっこいでて受験勉強もろくにせず一年間遊び呆けていたんでしょ?そりゃこんな点数にもなるわよ

よくこの学校にノコノコと入学できたものね」

 

「うっ……」

 

「宿題も答えを写して終わり。そんなとこなんじゃないの?」

 

 全部見透かされてた……。

 

「それで分かんないところは?」

 

あかねぇはそう聞きながら後ろの髪をゴムで束ねる。

僕さ、たまに思うんだけど……女子高生(美少女に限る)の髪を束ねる仕草って可愛いよね。

 

「分かんないところは……全部です」

 

「……分かんないところが分かんないじゃなくて?」

 

「分かんないところは分かってる。……全部」

 

「どんだけ遊んでたのよ‼いいわ、みっちり教えてあげるから覚悟しておきなさい!」

 

 

 1時間後……

 

 

「なにっ!?ここで……こんな場面でルンバを稼働させるだと!?くっ……そんなこと、そんなことさせるかよぉぉぉぉぉーっ!」

 

「バカなこと言ってないでよほんと……」

 

 

 2時間後……

 

「お、終わったぁー……」

 

「ま、こんなとこね。このくらい覚えとけば再テストは余裕で受かるわ」

 

勉強会しからかれこれ2時間。公式、文法、単語の意味など、短い時間の中でみっちりと教えられた。久々にここまで集中した……。流石に1年間のブランクはキツかったみたいだ。

 

「ん?おう、真也じゃんか」

 

「え、あ、えっと……健誠、さん?」

 

突然、声をかけてきたのは同級生の天下谷健誠さん。去年、大きな手術をして留年してしまったらしい。年上ということもあって少し接しづらい部分もある。

 

「ハハ、同じクラスなんだから『さん』はやめろって。健誠でいいよ健誠で」

 

「あ、じゃあ、そう呼ばせてもらいま「敬語もなしな?」……はい」

 

「ほら、返事から」

 

「う、うん……じゃ、じゃあ…………」

 

「じゃあ?」

 

「ケンチー?」

 

「ひっぱりハンティングかい……ま、気に入ったしいいか」

 

知的を思わせる彼の眼鏡姿は普通の女子を魅了するという。普通の女子を。うん、普通の女子を。これ以上は言わないから察して。

 

「ところで、ケンチーはなんでここにいるの?」

 

「あー、北条先生から頼まれてさ。教材の出し入れを手伝ってくれって」

 

「あ、そうなんだ。そういうことなら僕も手伝おっか?」

 

「お、マジで!?ありがとな!」

 

ケンチーの手伝いをすることになった。ということは、あかねぇに礼を言って別れないと!

 

「あかねぇ、そういうことだから先に帰ってていいよ‼」

 

「年頃の女子をこの時間に一人で帰らせる気?」

 

「……あれ、友達は?」

 

「帰ろうとしてるところをわざわざ引き留めて勉強に付き合わせたのはどこの誰だったかしら?

それに、そもそもこの時間までさすがに友達も待ってないわよ。」

 

「あっ…そ、そうだね。じゃあ、待っててくれる?」

 

「もちろんよ。ここで勉強してるから終わったら声かけて」

 

うん、分かった。と返事をしてケンチーの方についていく。あのあかねぇが残ってるということは……うん、嫌な予感しかしない。

 

 ~~~~~~

 

「それでさ……その女の人がさ……あ、そこにゴキブリいるから。それでさ……」

 

「ゴキブリの情報をさらっと流さないでくれるかな!?僕、虫嫌いなんだから‼」

 

「なんだよ、昆虫博士みたいな顔してるのに」

 

「顔は関係ないだろ!?」

 

「悪ぃ、悪ぃ。前の学年では日常茶飯事でさ、まだ抜けきれてないんだわ」

 

前の学年……留年したっていうことで今のクラスの皆はバカにしている。僕は本人から事情を聞いたから何も言えないけど……。癖が抜けきれてないっていうことは、やっぱり寂しいのだろうか?

 

「ね、ねぇ……」

 

ケンチーは寂しくないの?と言おうとした瞬間に1つの思考が脳裏をよぎる。出会ってまだ2週間の人間が言えることか?それはただの同情になって相手に失礼じゃないか?と。

 

「ひ、人に嫌と言われた事はしちゃダメなんだ。しちゃうと絶対に後で自分に返ってくるから気をつけてね」

 

とっさに思い付いた変な説教じみた言葉で会話を紡ぐ。やっぱり、まだ踏み込むべきじゃない。

 

「ハハッ、分かったよ。ありがとな」

 

「あ、う、うん……」

 

 ~~~~~~

 

北条先生に渡すものも渡し、図書室へあかねぇを呼びに言って帰りの準備を済ませて帰路に着く。

 こうやってあかねぇと帰るのも何年ぶりだろうか?多分、中1以来かな。

 

「あかねぇ、何か企んでることがあったら言ってよ」

 

「帰りにミセスドーナツに寄って帰るわよ。今日のバイト代払ってもらうんだから」

 

嫌な予感的中……。

 

「やっぱり、お金は飛んでくんだ……」

 

「当たり前でしょ?昔みたいにお姉ちゃんが遊んであげるから。ほら、行くわよ!」

 

「可愛く言っても意味ないってばぁ!」

 

僕の嘆きは夜の街の喧騒の中へと消えていく。英世は2枚飛んでいった……。

 

ちなみに再テストは満点合格で逆に先生に怒られた。最初から本気でやれ、と。




次回の投稿は夏風 櫂さんの予定です。よろしくお願いします!

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