せっかく転生したので最強の悪役を目指します。 作:Z-ONE
日常編、第一回はヴィータと政宗のとある休日の話。
とある休日の朝、八神家にて。
俺はいつもの日課である読書と一緒にはやての淹れる朝一番のコーヒーを飲んでいた。
「政宗、今日は私、これから診断があるから。ヴィータの事、お願いな」
「おう」
はやてがそう言うと朝稽古を終え、部屋で着替えてきたシグナムがリビングに入ってくる。
「我が主、お待たせしました」
「うん、ほな行こか」
はやてのその一言でシグナムが車椅子を押して、はやてとシグナムは家を出ていった。
それと入れ替わりで完全に寝起きのヴィータが部屋に入ってくる。
髪は寝ぐせでボサボサのまま、パジャマの裾で眠たそうな目をこすっている。
「……おはよ」
「おはよう、まずは顔を洗って来るといい」
「うん」
だらしない声で返事をしたヴィータはそのまま洗面所の方へと歩いて行った。
それを見送った俺は再び本に視線を戻した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「何で俺まで……」
俺は現在、ヴィータに連れられて町内会のゲートボール大会に参加することになっていた。
「どうせ家にいても本読んでるだけだろ? 丁度助っ人が二人必要だったからさ」
「シャマルが居るだろ? あいつの方がよっぽどコミュ力高いし、適任だろうが」
「シャマルは今日、はやてに頼まれて買い物に出かけてる」
「ザフィ……いや、何でもない。」
あいつは今、犬だった……人型でも犬耳があるし。
マッチョな褐色、犬耳の大男と少女とか完全に通報もんだよなぁ……
「どした? 考え事か?」
「いや、俺に逃げ道がないことを察して絶望してる」
俺がそう言って頭を抱えているとヴィータは俺に一本のスティックを差し出す。
「ほら、お前のスティック」
「あぁ、ありがとさん」
俺はヴィータの差し出したそれを受け取る。
ヴィータは手を離すと俺を指をさして不敵な笑みを浮かべて宣言した。
「トランプではお前に負けてばっかだけど、今日はアタシが勝つ! 絶対だかんな!」
ヴィータはそう言うと身を翻して自身のチームの方に歩いて行った。
俺とヴィータは夜にトランプゲームを一戦だけやるという謎の約束事がある。
いつも俺とヴィータは参加し、シャマルやシグナム、はやてを巻き込んで三、四人でやっている。
基本はババ抜きなのだが、ヴィータは絶望的にババ抜きに弱い。
というのもヴィータはポーカーフェイスという物が苦手らしくすぐ顔に出るのでカードが大体読める。
そのため大体、ジョーカーを引かれることなく敗北する。
だが、今日はゲートボール。
ゲートボールは完全にヴィータの土俵だ。
一方の俺は何とかルールがわかる程度な上に経験も皆無。
順当に考えたら勝ち目などない。
「仕方ない、少し本気を出すか」
俺も自身のチームに合流し、作戦会議を開始した……
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
その日の夜、今日も俺とヴィータはトランプの準備をしていた。
「だー! あの時、こうしてれば勝てたのにぃ……」
「見苦しいぞ」
結果から言うと、今回は俺のチームが勝利を修めた。
勝利と言ってもかなりの接戦でどちらが勝っても不思議ではなかった。
「ゲートボールでは勝てると思ったのにぃ……」
「残念だったな」
準備を終えて俺が席に着くとはやてがキッチンから出てきて声をかける。
「今日もババ抜きするん? 私も入れてー」
「あぁ」
「シグナム達もやろうや」
「えぇ、構いませんよ」
「はーい」
はやて、シグナム、シャマルの三人も席につく。
「今日は珍しくフルメンバーか」
「ちょい、ザフィーラの事忘れんといて」
「私はここに」
すると机の下からザフィーラの声が聞こえる。
「ちゃんとフルメンバーだろ?」
「せやな、それじゃあやろ!」
はやてのその一言で俺がカードを配っていく。
すると、昼間の様にヴィータが俺に指をさしてこう言った。
「昼間のようにはいかねーからな! トランプで勝ってやる!」
俺をそれを聞いて少し笑みを浮かべ、煽るように言う。
「やってみな」
ゲートボールの試合は書くとおそらく5000文字を超える激闘になるので割愛。
この日のババ抜きの様子は皆様の想像にお任せします。
次回はシグナムとの話になります。お楽しみに。
この作品の結末について自分の中ではいくつか候補があるのですが、どれが見たいですか? ぜひご協力ください。
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政宗消滅END(一応正史)
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政宗完全勝利END(現在構想とは真逆)
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政宗改心END(自分的にはなし)
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作者にお任せ(高確率で消滅END)
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消滅と完全勝利
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消滅と改心
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完全勝利と改心
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全部見たい