ファンタジーライフ ~転生先は異世界でした~   作:篠崎零花

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乗り物について、なんですがそこまで凝って書いてはいません。

全て手抜き、というわけではありませんので平気な方やお前みたいな大ざっぱもいいんじゃないかって方はありがとうございます。

こんな感じでやっていきます。

※サブタイトルを分りやすくしてみました。


第8話 荷物運びは異世界流で

――碧喜(たまき)視点

 

それなりに大きい建物が見えてきた。

見上げるとたまに空へ飛んでいく竜が見える。

気のせいだろうか、人と荷物が見えたような。

 

 

「ここがその家まで荷物を送ってくれる場所だよ。値段は確か1度につき1000円。どうなんだろうね」

 

「わ、私に聞かれても分からないかなー。とりあえず安いんじゃないかな、とだけは言っておくけど」

 

「そりゃそうか。まあね、馬車でなんかで頼もうものなら2000円近くかかるからね」

 

「それ、値段逆なんじゃないかな。それで大丈夫なの?」

と曖昧な笑みを浮かべながら少し不安に思った。

 

「……た、多分?平気なんだよ、きっと。とりあえず入ろうか」

 

「そうだね。値段はともあれ、荷物がへって楽になるしね」

 

そういう感じで中へと入ると案外広く感じた。

様々な種族の人達がそれなりにいる。

 

上の方を見ると『馬車をご利用の方はこちら』と『ドラゴンをご利用の方はこちら』という看板が左右に見えた。

 

真ん中には日時、天候、気温などが出ており、そこまでいらないんじゃないかなと思うけど凄く便利だなぁ。

 

「いつも俺達はドラゴンの方を使っていてね。馬車はあんまり使わないようにしているんだ」

 

「やっぱり馬車の方が荷物とか狙われやすいの?」

と、なんとなく想像したものを聞いてみた。

 

「らしいね。ここで働く母さんの知り合いに聞いたんだけど、この世に飛行魔法とかそういうのがない上に馬車は無防備になりやすいから、だってね」

 

「なるほどね。確かに空を飛ぶ方法は今のところ飛行船しかないから空で運ばれたらほぼ無理だもんね」

 

そういうと頷く悠希。

 

そうしたら今回はどちらを使うのだろう。

話の流れからしたらお互い選ぶのはドラゴンなんだけど。

 

「因みに悠希はどっちを選ぶの?私は聞いててドラゴンでもいいかなーと思ったんだけど」

 

そう聞くと不思議そうな顔をされた。

どうしてだろう。

そう思って首をかしげた。

 

「いや、今回は馬車でもいいかなってね。一応、乗ることは可能だし。あ、リーシャもこっちに来てくれるよね?」

 

「そうなの。ああ、それって荷物を見る代わりに安くなったりしそうだよね。……え?それってどこに?」

 

と聞き返すと入口から見て右側へと歩き出す。

それにならって私も歩き出し。

 

「まあ、ついてくればわかるよ。ついてくればね」

 

その後、ニコッと笑うとこう言った。

「あ、因みにもちろん、送る場所は俺の家だよ。帰りは飛行船のおかげで安全は保証されてるしね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――それから5分後、もうすぐで『こちら、馬車専用窓口』という入口に入るといったところで

「悪い悪い、大分待たせたな」

と駆け足で近寄ってきた姿が。

 

手にはさきほどより中ぐらいより少し小さい袋が二つの増えていた。

 

愁斗(しゅうと)、遅いよ。もう少しで置いていくところだったぞ?」

冗談混じりな口調でそういう悠希の顔はどこかいたずらっ子のような笑みを浮かべているようにも見える。

 

「なっ、それは酷くね!?確かに見ながら買ったから時間くったけどさー」

 

クスッと思わず私は笑い

「欲しいものだとしても見ながらじゃあ、遅くなるのは仕方ないよ?何度も来れるならその時、また見ればいいのに」

 

「今度来たときになかったら買えないし、一目惚れしたからどうしようもないんだよなー」

 

その言葉に呆れたような顔にかる悠希。

別にいいんじゃないかな?とは思うけど、それならそうと言えば待ったというのに。

 

「そうか。とりあえず俺達は馬車に行ってくるよ」

 

「仕方ないだろ?おう、分かっ…って『達』?リーシャさんも、なのか?」

不思議そうに私と悠希とを交互に見て聞いてきた。

 

「そうなるね。知り合いまでとか同じ場所なら相乗りできたはずだしさ」

 

な、なんか勝手に話が進んでない?

確かに大丈夫だけどさ。

 

「んじゃ、俺荷物だけドラゴンで送ってもらうから悪いが―――」

 

「わかった、いつもの場所で合流しよう」

と悠希が頷くと愁斗は空いていた右手を一度だけ上げ、そのまま『こちら、竜専用窓口』の方へ向かっていった。

 

「さあ、今のうちにやってこようか」

 

「そ、そうだね…」

 

色々と大丈夫なのだろうか。

少し心配になりながらもついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――優季(ゆうき)視点

―それから更に5分後

 

「はい、リーシャ・フェルマーって人の荷物も俺の家にお願いします。馬車にはいつもの場所で乗ります」

 

よし、これで手続き終わりっ。

面倒くさかったな。

 

「ねぇ、さっきのだと私はあなたの家に行くことになるんだけど?」

半目でジトーとこちらを見ながら言ってくる。

 

「ああー…。そりゃ、そうなる風にしたからね。泊まるぐらいできるでしょ」

 

「私ができてもあなたの家はどうなのか分からないでしょ?」

 

 

まだ半目で見てくるか…。

まぁ、よそよそしさが消えた辺りよしとしようか。

 

「大丈夫だよ、きっと。とりあえずくれば分かるって」

相手の右手をとり、いつも合流場所として使っている場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

――歩いて2~3分の荷物輸送所から目の前に見える場所に馬車は止まっていた。

2頭の馬がついている。

 

すると御者台(ぎょしゃだい)からリーシャの耳より短いとんがった耳をもった男性が降りてきた。

 

「いつも使っていただきありがとうございます。今日はいつもの場所でよろしいですか?」

今回も同じ御者(ぎょしゃ)の人にきてもらえたようだ。

 

名前は聞いたことがないけど、ハーフヒューマンだという。

本人曰く『お客様に分かりやすく言えばハーフエルフですね。家族からこっちで仕事を見つけた方がこの村ほど苦ではないと勧めてもらいまして』だと聞いたことがある。

 

その後、『すみません、余計なことを…』とか申し訳なさそうにいってたけど、別に問題ないと思う。

同じ人にずっと頼んでたわけだし。

 

因みに実際、俺達みたいに同じ人をリピートする人は多いらしい。

ただリピートしたところで値段は変わらない。

…仕方ないね。

 

「うん、そこでお願いするよ。っと愁斗はまだなのかな?」

 

「みたいだね。……でも間に合ったみたいだよ、ほら」

とリーシャがいって荷物輸送所の方へ視線を向けると俺達を見つけたらしい愁斗(しゅうと)が右手を振りながら半ば走ってこっちへ来ていた。

 

 

その人も気づいたらしく

「その人を待ってから出発いたしましょうか」

と言ってくれた。

 

よかった。

おかげで愁斗も一緒に町へ帰れる。

 

「悪い悪い、待たせな。んじゃ、町へ戻ろうか」

リーシャはどこか呆れ返ったような視線を俺達に向けてきているのは気のせいだと思いたい。


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