不慣れでおかしい場所もあるかもしれませんが、生ぬるい目で見ていただければなと。
※サブタイトルを分りやすくしてみました。
――悠希?視点
「……ぷっ。あっははは!なにを言い出すんだと思ったらそれか!笑えるね」
なんて笑い出す男性。
俺にはよく分からない。
前世の名前としてあげられたその名はよく知っている名前だったから。
「笑っていられるのか?俺もちょうどお前のような奴には然るべき場所に行ってほしいって思ったところだからな。遊園地とはいえ、都市だし呼べばすぐだろ」
「甘い考えだな。そんな余裕があるとでも――」
と言っている最中に
「そういうセリフを言ってる
とリーシャが遮って言うのとほぼ同時に
そのまま槍の柄の部分を片手で抑え、もう片手で殴りかかろうとするが空いていた片手でそれを受け止める。
その間にリーシャが呪文を唱え、風をその両足に
「なっ…!気を許してやればこいつ…!」
と言ってリーシャの方へ向いた瞬間、痛そうに小さく声を出した。
「なるほど、魔法って案外便利なんだな」
小さな隙をよしとし、愁斗も同じように距離をとる。
よく見ると背中の服がちょうど回し蹴りされた付近だけ少し破け、僅かに赤い液体が見えた。
「砂ぼこりもこうなれば痛いんだよ。他にも応用のしようはある」
「なるほどなるほど。多種多様な魔法も組み合わせによっては脅威になるってわけだ。でもお前…まさか自分から近づいてくれるとはなぁ!」
と言って正面にいた愁斗に背中を向ける形で振り向き、そのまま槍で左側を斬りかかろうとした。
その時、ずっと見たまんま呆けてた俺は明らかな情報源であるリーシャに死なれては困る、そう思って隠し持っていた鞘入りの剣を右手で取りだして――
そのまま、左手で取り出すのと同時に槍めがけ振り上げた。
「なっ……!?」
両刃の槍だというのを利用して、あえて狙って当てて止めた。
「――そんなに驚くことかな?俺にはよく分からないね」
そのままこちらを斬り伏せようとしても早さで押し返してしまえば問題はない。
そしてそのまま流れで、押し返された槍を視界の隅に入れつつ懐へ入り、首元に刃になっている方を押し当てる。
「…くっ。場所のチョイスをミスったな」
その呟きにひっかかる。
「何故間違えたと分かる?魔法について驚かない辺り、お前だってなにか使えたりするんじゃないの?」
と警戒しながら睨み付けて問う。
そう言われたからなのか、それとも手詰まりだからなのか呆れたような表情を浮かべ出す。
「いやなに。他にも大事にしておきたいのがあるだけさ。それのせいで建物を放棄できない。……ん?」
続きを話そうとした男がいきなり黙る。
どうしたんだろうか、という疑問はすぐに溶けた。
何故か。
それは―――
「…あっ。えっと、その。ごきげよう?」
なんともばつの悪そうな声。
男が俺の当ててる剣の刃すれすれの状態で声の持ち主を見ており、俺はその視線をたどっていく。
リーシャや愁斗も同じようにしたのか、「あっ」という声が聞こえた。
「お、お前…生きてたのか?」
連れさらった張本人が間の抜けた声で問う。
『お前がいうな』とか『そこまでやっておいて気づかなかったのか?』とかつっこみをいれたいのは山々だけど、俺も驚きしかない。
「生きてるもなにも…寝てたのよ、ずっと。なにか物音がするなーって思ったらこの有り様でわたくしがびっくりしたわ」
「そ、そうか…。寝ていた、のか…」
とあっけにとられる男に対しリーシャは
「むしろそんな状況でよく寝れたね!マイペースって域を越えてるからぁ!」
なんてつっこみをいれている。
もうシュールすぎて呆れる。
(っと、剣ぐらい隠しておくか)
と1人、違うことを考え押し当てていた剣を離し、鞘にいれる。
「とりあえず手足についているものだけでも、いいかしら?」
「おっ、おう!」
そう威勢よく返事をしたのは愁斗だった。
――碧喜視点
なんとも収拾がつかなくなった私達は通報するだけ通報し、黒幕であった男に情報の塊である道具などを押し付けて出てきた。
ノーラは一応家族に連れていってもらった。
大丈夫そうとはいえ、なにかされていたことを考えると妥当なのかもしれない。
現在は遊園地から離れ、喫茶店の中にいる。
私が目の前には左に悠希、右に
どうやら聞きたいことがたくさんあるらしい。
「それで、なにかな?聞きたいことって」
紅茶を一口飲み、そう聞く。
口を開いたのは悠希だった。
「まず俺から。この世界に現存する種族とお前の前世が知りたい」
「なるほど。種族はハーフヒューマンを含め六つ。人間、エルフ、ドワーフ、ジャイアント、ドラゴニア。そしてハーフヒューマンだよ。ハーフヒューマンは文字通り混血種で器用貧乏とかになりがちだけど、あなどれないよ」
なにせハーフヒューマン。
分かりやすい種族名で、その名の通り混血種のことを指す。
今のところエルフとのしか見かけていない。
私の村の図書館にいたんだっかな…。
「そうなのか。人間とエルフは分かるけど、それ以外はなに?」
「んー。なら、ドラゴニアを優先して教えようかな。お父さんから教わったんだけど、竜の力を扱う種族なんだって。分かりやすく言えば竜の祝福、加護を受けた人間…みたいな?」
「余計に分かりずらいな。それだと見た目が俺達と一緒で見分けもつかないんじゃないか?」
そう
「いや、竜…ってことは目立たない場所に特徴が表れるんじゃないかな。例えば使用できる魔法などが竜に関することだけ、とか」
と適当に言った(ように見えた)。
「多分そうなんだと思う。それ以外は私も分からないかな。ドラゴニア以外はまだ分かりやすいと思うから今度ね」
と言うと改めて聞いてきた。
「それで、お前の前世ってなに?」
「それは――と、その前に愁斗さんはそういうのどう思ってるのかな?」
そう言われると肩をすくめ
「俺は前世を信じるってわけじゃないが、ありえない話でもないしな。あと今後、お前もらち……じゃなかった。一緒に遊ぶ仲になるんだからな」
なんだか、不穏だな。
「ほどほどにしてあげなよ?」
「分かってるって」
…大丈夫だろうか。