まだ平和は続きます。
本編どうぞ。
※第2話ではなく第3話でした
※サブタイトルを分りやすくしてみました。
―――悠希?視点
ついた先は飛行船の乗り場だった。
「ってことは…これで行くんだね」
「そうだよ。今のところ、馬車より安く、且つ速いからな」
「馬車の方が遅いのは仕方ないと思うけどな。地上だし」
呆れたような視線を
「それもそうか」
と肩をすくめ、
「まぁ、行こうか。チケットは用意してあるからさ」
そう言って乗船口を指差した。
「はいよ」
―――飛行船内
人間以外にドワーフが乗っている。
それ以外にも耳の長い人達が僅かに乗っていてさすが都市だと改めて認識する。
「馬車よりは…広いし、浮力もあるから平気なのか」
「そういうもんじゃないのか?きっと。どうなんだろうな」
と言うと落ち着ける場所を探し始める愁斗。
「どうなんだろう、分からないね。でも…どっちもいいものだね」
そう言いながら窓辺により手すりに腕をのせながら外を眺めた。
――数十分か一時間後
都市の飛行船乗り場についた俺達はさっそく噴水のある公園まで向かった。
「久しぶりにこっちに来ると凄いな。都会って感じがする」
「何度見ても凄いとしか言えないけどね…」
そう言って俺は一度周りを見渡す。
様々な種族の人がかなりいるせいか人口も多い。
しかも噴水の近くにある人の像はそれなりの大きさがあって何気に目立つ。
……?
何故か噴水の近くにある椅子に座っている少女に目が行った。
容姿は長い髪の毛で、後ろ髪の上部分だけ結っている。
その横から少し短めのとんがった耳が見える。
顔を見ると、明るい
最後に服装を見ると、白いノースリーブのワンピースにほんの少しヒールの高い白色のサンダルを身につけていて可愛いと思った。
「おっ、あの子可愛いと思わね?」
なんて言いながら俺の肩に腕をのせ、指差す
「まあ、そうだね。可愛いんじゃないかな」
「おっ、お前もやっぱりそう思うか」
(今の、適当に返したんだけどな)
と俺が呆れながら考えた、その時。
「んじゃ、悠希。お前行ってこいよ」
「は!?なんでそうなる。別に愁斗でも構わないと思うけど」
「俺じゃ駄目なんだよ。ほら、いいから行ってこいって」
と言い、肩に回していた手で強く背中を押される。
渋々行きながら一度だけ振り返るとニヤニヤと笑っている
目の前まで行き、とりあえず声をかけることにした。
「どうしたんですか?」
「幼馴染み同然の友達と来たんだけど、飲み物買ってくるって行ったきり戻ってこないの。それでここで待ってるだけだよ」
それだけ、にしては不安そうだ。
「探さないんですか?その友達を」
「うん。近くだって言ってたし、それにあの子…方向音痴なの」
それはまずいんじゃないだろうか。
って言うか近くだって言うことは…かなりの方向音痴だな、その友達は。
「……ところであなた、名前は?」
思考を遮るように聞いてきた。
そこでようやく俺は
(名乗ってなかったか…。そりゃ、警戒もされるわな)
と気づいた。
「それは悪かった。俺の名前は
―――碧喜視点
――時間を遡って数時間前
私達は飛行船を降りるなり噴水のある公園へと向かった。
「凄いねー。これじゃ下手したら迷子になりそうだよ」
公園とは言え、かなり人がいる。
だからふざけてそう言った。
「大丈夫よ、わたくしにはリーちゃんがついているんだもの」
「いや、誰がナビよ」
「わたくしの保護者と言ってほしいわ」
「それはまた違う気がするかなー…」
なんて他愛ない会話をしながら噴水近くについた。
「あっ、そうだわ!わたくし、ここで美味しいと評判の飲み物を売っている店を知っているのよ。いるかしら?」
「それはいいね。うん、欲しいからお願いできる?」
「ええ、いいわよ。そんなに高くないし、この公園からすぐの場所だからすぐに戻ってくるわね」
そう言ってニコッと笑みを浮かべるノーラ。
方向音痴だから、不安だな…。
その後、まさか心配していたことが実際に起こるとはその時の私は思っていなかった。
――現在
短い黒髪の少年が目の前に歩いてきた。
茶色よりの黒い瞳、半袖Tシャツに長ズボンのカジュアルだけど、かなりラフな格好。
おしゃれとは言えないけど、変に目立たない服装だと思った。
そんな少年と会話していてふと、名前を聞いてないなと思った私は名前を尋ねてみた。
するとその少年は幸野悠希と名乗った。
その名前を聞いて思わず前の世界にいた
「あなたのことが知りたいの。友達からでも良いから付き合ってもらえないかな?」
と勢いで言ってしまった。
「……えっ?」
固まる相手。
それもそうだ。
いきなり告白のようなことを言われたら誰だって困る。
「あー、その前に名前とか聞いておきたいです」
「私の名前はリーシャ・フェルマーだよ」
「そうですか。では――」
と
「悠希ー、まだやってるのかー?長いぞー」
「別にいいじゃないか」
「そりゃーそうだけどさ」
と言うとこちらを見て
「あっ、初めまして。俺は
と名乗ってきた。
「そ、そうなの。…宜しく」
「ちょっと俺らとこれから遊びに行きませんか?こいつも喜ぶと思うんで」
と言いながら肩に回した腕で軽くふざけた感じで揺らしている。
「付き合わせる前に手伝ったら?愁斗がなに考えているんだか知らないけど、この子…友達が方向音痴みたいで、戻ってこないらしい」
「マジか。一緒に探してやる。友人の名前はなんだ?」
いきなり悠希の肩に回していた腕を離すと真面目な顔をして私を見てきた。
「…ノーラ・リーンって言う名前だよ。この近くに美味しい飲み物を売っている店があるって行ってきりなんだけど、知ってる?」
「なるほどな。悠希、探してやろう。俺、先に行ってるからお前もその子連れてきてくれ」
と言うと走って行ってしまった。
「あー、まぁ。歩きながら話そうか」
と言って立ち上がる私。
「分かりました。俺も聞きたいことがあったのでお願いしたかったところです」
そう言うとお互い歩く速度をあわせながら愁斗の向かった場所へ歩き始めた。