ファンタジーライフ ~転生先は異世界でした~   作:篠崎零花

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ゆっくりゆっくり物語は進んでいます。

幻想郷生活の方では番外編らしく番外編を投稿しておりますので、そちらも一読してみてはいかがでしょうか?


では、こちらの下から本編になります。


第34話 ダンジョンの仕組み、それと罠

――優季視点

 

準備をし終わった後、俺達は冒険者ギルドで借りた馬車へ向かっていた。

いやぁ、こういう全体依頼とか冒険者ギルドがある町や村、都市より離れた場所へ向かう冒険者達のための馬車があるとは思わなかった。しかも値段は無料。

 

でも、こうするってことは冒険者として働いてる人が多くなった…ということなのかな。

……どうなんだろう。

 

 

「どうしたの?悠希。なにか考え事?」

 

「あ、いや。…なんでもない。そうだ、リーシャ。前衛と後衛に分かれない?」

 

「そう。ならいいんだけど。……前衛と後衛に?今のメンバーで考えうる辺り、まず前衛は悠希と誠也さん。それで後衛は私とソル。鈴奈さんは……」

 

とそこまで言ったリーシャは腕を組んで首をかしげた。

うん、まだ前衛がいいかもしれないって言ってないし、本人にも平気かどうか聞いてないからそりゃ首をかしげても仕方ない。

 

道具に関しては皆別々に買ったから知らないけど、一応武器は俺がもう1本追加の剣、誠也は小さな盾、リーシャは弓矢、鈴奈さんは槍と盾。

 

 

 

「いやまぁ、考えてはあるよ」

 

「あったんかい!」

 

「まだ本人に聞いてないから平気かどうか知らなかったし…」

 

「はぁ……。鈴奈さん、こいつらが前衛か後衛かって話をしてるみたいなんだが、今大丈夫かー?」

なんてリーシャと話していたら、誠也が従者席に座ってる鈴奈さんに今の通りに呼びかけた。

おかげさまでその話題がしやすくなった。ほんとありがとう。

 

 

「ああ、全然問題ない。それで、前衛か後衛かって話だよな?」

 

「その話で一つお願いがあるんだけど、いいかな。鈴奈さん」

と俺が聞くと「構わない」って返ってきた。

 

 

「鈴奈さんも前衛に行ってくれたりはしないかな。平気そう?」

 

「なんだ、そんなことか。ああ、平気だ。むしろ私の体はこう見えて丈夫だから任せてほしかったのだがな」

と言ってハハハと明るく笑った。

そ、そうなのか。っていうかどこかで話してくれれば首をすぐにでも縦にふってあげられたのにな。

 

 

 

「じゃあ、前衛3人の後衛2人で大丈夫だね?」

 

「私はそれで問題ない」

 

「なんかパーティーみたい…」

 

「つっこむの今更な気がするんだが。気のせいか?」

 

「気のせいじゃないよ。凄く今更だと私も思ってる」

 

「「あはは…」」

 

と最後に誠也と鈴奈さんの呆れたような笑い声が聞こえた。

それからはしばらく静かに進んでいってたり、いってなかったり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく馬車に揺られているとだんだんゆっくりになってきた。

本当、冒険者ギルドって便利だよね。依頼を受ければ行き方も教えてくれるし。

そこまで自力で、っていうのが大変なんだけどさ。

 

 

 

「ああ、それっぽいのを見つけたからそろそろ降りてくれないか?皆が降りたら私は馬車をどうにかすっから」

 

「分かった」

 

と誰かが返事をした。

それを聞いた鈴奈さんが馬車を止め、それにあわせて俺から順に降りて、最後に誠也が出てきた。

 

 

 

 

んで、降りた俺は少し歩きながらその例のダンジョンを探してみた。

…えーと、どれだっけか。

 

「なにを探してるの?」

 

「そりゃダンジョンの入口なんだけどさ、リーシャは分かる?」

 

見渡すのをやめてリーシャの方を見ると苦笑いを浮かべた。

なにも言わないでそれはちょっと酷いんじゃないかな。

 

 

「誠也は知ってる?ダンジョンの入口の場所」

 

「……すまん。俺は道具の整理をしてて見てないんだ」

 

なるほど…。だからごそごそしてたのか。

そりゃ受け取った地図を見る暇もないよね。

となると見たのはさっき苦笑いしたリーシャと鈴奈さんぐらいか?

ソルは横から見れそうだけど、どうなんだろうなあ。

 

「…これは連れてった方がいいね、リーシャ。じゃないと僕ら…鈴奈って人に置いていかれるよ?」

 

「それはないと思うけど…。まあ、入口には行っておこうか」

 

困ったように笑いながらリーシャは言うと俺達の方を見た。

なるほど。とりあえず頷いておくかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入口に向かう最中、鈴奈さんと合流した。

曰く『馬車だけは安全だ』とか言っていた。まあ、ならいいんだけどさ。

 

 

洞窟の入口みたいな感じの出入り口から離れた場所で見えるのは階段と難易度の書かれた看板。

この難易度って誰が決めてるんだろうね。

そのうち知りたいものだよ。

 

…それはそうと、これからここに入るんだな…って思うとなんか緊張するね。

そこまで警戒する必要はないんだろうけどさ。全体依頼なんだし。

誰かがある程度までは攻略してるでしょ。多分。

 

 

「じゃあ、入ろうか。皆」

と鈴奈さんに声をかけられた俺達は各々の返事を返してから鈴奈さんを先頭に俺、誠也、リーシャとソルって言う感じに入っていった。

 

でも本当、なんでダンジョンへ続く階段は1人か2人しか通れないんだろうね。

誰かがそう作ったのかな。

でも、そうだとしたら誰なんだろうか…。

 

 

降りるとダンジョンらしく、広めの通路になっていて、前衛と後衛に早速わかれることに。

それからしばらく進んだけど、今までのダンジョンと違って大してモンスターがいなかった。

 

再度出たりしないって話は聞いたことはないけど…もしかして難易度によって再度入れるとかそんなんだったりするのかな。

なんか可能性としてはありそうだな。

 

 

 

 

更に奥に進むとモンスターが数体いたので、俺と誠也で倒した。

そこまで苦戦するようなモンスターじゃなかったのもあるんだけどね。

 

「それなりに入られてるっぽいね。……って言うか難易度が安全と普通以外に入るの初めてだから全然仕組みが分からないや…」

 

「そんなもの、すぐに分かった方が怖いと思うんだけどな。誠也はどう思う?」

 

「いきなり話を振るなよ、と言いたいがそうだな。それこそ理解できる奴を見てみたいぜ」

 

俺がなにを言いたいのか理解してくれた誠也のおかげでリーシャが納得してくれたようだ。

まあ、話の流れから分かってくれたのかもしれないけどね。さすが悪友(笑)。

 

 

 

 

 

 

そこからある程度進むとそれなりに広い場所に出た。

そこに現れたのは多少強いオーク。人間より少し大きいモンスター…とされてるらしい。多分。実際大きく見えるけどね。

でもあのオーク、まだこっちに気づいてないんだな。

 

 

「…誠也、鈴奈さん、行ける?」

 

「俺はいつでも」

 

「ああ、問題ない」

 

声を潜めて聞いたんだけど、確かに大丈夫そうだね。

リーシャは……視線を送ったら頷いてくれた。

ソルはまだ人形(ひとがた)の淡い光だから頷かれても…ああ、大丈夫なのか?

 

 

「じゃあ、行くか。俺、先に気を引いておくな」

 

誠也がそういうと先に小走りで近寄っていった。

 

「なら俺達はそれにあわせていこうか」

 

「そうだな」

「はーい」

「分かったよ」

 

少し遅れて俺達もその方へ走り出した。

リーシャとソルは多分少し後から来ただろうけど。後ろから詠唱する声が聞こえたし。

 

 

 

当たり前だろうけど、近付いたときに武器を持っているのが見えた。

やけに大きなこん棒だな、とは思ったけど。先もなんか丸くてでかいし。

当たると相当痛い…というか五体満足でいられればいいな、っていうようなレベルだろうな。

 

誠也の方が先に気づいてそうだけど。俺より先に行ってるんだし。しかも誠也は前衛の中では軽装だからなのか、凄い身動きが軽い。

体力を気にしないんであれば1人で倒せるんじゃないかな。

 

誠也に気が向いてる今のうちに強い一撃を仕掛けた。

低いうなり声に似たものを言いながら半身振り向きながらこん棒を殴り付けてくる。

それをバックステップでなんとか避けるとそこにオーク目掛けてリーシャ達の方から炎が飛んできた。

 

 

「助かった!」

 

「いいタイミングだったようでなによりー」

と返してきた声はリーシャのものだった。

その後すぐに風のように光が俺や誠也、鈴奈さんにまとうように出てきた。

 

身が軽くなったから支援?とやらなんだろうけど…

「僕からの細やかな手伝い、かな」

 

なるほど。攻撃魔法以外も使えると凄く楽そうだね。リーシャもそのうち使えるようになるのかな?

まあ、あとでソルにお礼しておくか。

 

 

 

 

 

 

その後は誠也がすばしっこく動いて気を引き、俺と鈴奈さんとで誰か1人が狙われないように攻撃しあい、リーシャとソルがそこに支援するように魔法を放ってくる。

 

おかげでそんな時間もかからずに倒すことができた。

落としたものもそこまで悪いものではなかった。

良いものだと強いて言うなら薬草を落としたぐらいかな。

 

 

 

 

 

「……まだ奥に進めそう?」

と心配そうに聞いてきたのはリーシャ。

結構立ち位置を変えて戦ってたから、体力でも心配してくれたのかな。

 

「俺は大丈夫だよ。他の皆はどう?」

 

 

「この程度なら私にとって準備運動にすぎないから気にすることはない」

「こんな奴と連戦しない限りは大丈夫だと思う。多分な」

 

「因みに誰も聞いてないだろうけど、僕はリーシャ同様そんなに魔力を消費してないから気にしなくていいよ」

 

 

…いや、それはそれで気にしないといけないからありがたいんだけどな。

リーシャかソルのどっちかでも無くなったら大変になるんだから。

 

 

 

「じゃあ、先に進もうか」

 

でも、俺がそう言うと鈴奈さんが険しい顔をした。

急にどうしたんだろう?

 

 

「どうしたの?鈴奈さん。今んところ心配するようなことは起きてないけど」

 

「いや、そうじゃないんだけどな…。そこまで気にするようなことじゃないし、行こうぜ」

 

そういってニッと笑みを浮かべてこっちを見てきた。

平気なんだか平気じゃないんだか…。

どっちにせよ、よく分からない人だ。

 

「ああ…分かったよ」

 

 

その時になにかリーシャとソルが話していたけど、違う言語なのか全く分からんかった。

何の話をしていたのか覚えていたらあとで聞くかな。

 

 

 

 

 

 

 

更に進むと、モンスターが時折いた。

でもそのモンスターはそんな複数で出てこない上にそんな強くないからなんなく俺達でも倒せた。

全然問題ないし、行けるとこまで行こう。

 

そう思って俺は皆に話した。

鈴奈さんにだけ苦笑いをされたんだが、どういことだ…。なにかあるなら話してきたらいいのにさ。

リーシャや誠也だって「この調子なら大丈夫」みたいなことを言ってきたのに。

まあ、いいや。進もう。


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