ファンタジーライフ ~転生先は異世界でした~   作:篠崎零花

33 / 37
最近、とても寒いですね…。皆さまはどうお過ごしでしょうか。


と関係ないことから始めましたが、今回は内容薄めかもしれません。
それでも大丈夫だって人は適当でも読んでくれると嬉しいです。


第32話 最近の噂

――優季視点

 

船岡鈴奈さんがついてくるようになった。

というか一緒に同行することになった、と言うべきなのだろうか。

鈴奈さん曰く『私を探している人達に会いやすくなる方法はお前達と一緒に行くことだ』とのこと。

どうしてそうなった。逆に会いにくくなるかもしれないというのによく分からない人だ。

 

 

 

まあ、それよりも問題は鈴奈さんってなにができるのかな……。

今度機会でもあったら色々と聞いてみるかな。言葉を濁らされそうだけど、ちょっとは教えてくれるでしょ。

 

 

 

 

 

なんて考えながらエントランスホールに新調されて間もない椅子に座っていると皆が戻ってきたらしく、扉の開閉音がした。

 

「いやぁ、まさかこうなるとはねえ…」

 

「そうだね…僕もそうなるとは思わなかったよ。まあ、今までなんか色々な人がいたし、情報もあったしと良い機会になったんじゃないかな?」

 

 

うん、色々な人って覚えられてない辺りさ、出すぎってことだよね。なにが、とは言わないけど。

 

 

「そう言って買い物ついでに最新の情報を調べにいったのは誰なんだろうな」

 

「私達だね。鈴奈さんにも手伝ってもらっちゃったけど」

 

それで遅かったのか…納得。

だからといって無言で出ていくのはやめようね?

 

「構わないよ。元より新しい情報が知りたかったんだ。だから気にするんだとしたらそこの悠希にした方がいいんじゃないか?」

 

名が出されたからなんとなく首をあげてみた。

するとさんに…じゃなかった。4人と目が合った。

いや、反応しないっていう手もあったんだけど、あえて反応してみたらどうなるのかってなんとなく思ってな?

 

 

「あ、悠希。大事な話があるんだけど…いいかな?」

 

「いいけど…どうした?なんかしでかした?」

 

「しでかしてないから!…いやね、そういうのじゃなくって。もうちょっと違う話なんだけど…」

 

 

茶化してみたらそう返ってきた上に真面目な顔をした。

ああ、うん。さすがにこれ以上はやめるか。

 

「分かった、分かったよ。んでもさすがにリーシャ達も座れる場所で話そうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リビング(らしい)場所でその重要な話とやらをした。

 

内容はと言えば

曰く魔王復活の影響は各地に出ている

曰く一部の村や町などは魔物や魔族による被害を受けたらしい

曰く非人道的な研究施設がある

曰く老齢の男性が冒険者ギルド設立に関わったらしい

曰く……

 

うん、噂が多いってことはよーく分かった。

どこからこの情報を仕入れたんだろうか?

そう思った俺は素直に聞くことにした。

 

「でもさ、リーシャ。ソルもそうだけど、その噂はどこで聞いたんだ?」

 

「どこでって…昼間から開いてる酒場とかだよ。ついでに精霊にも聞いたけど…ソルに対してまるで応援するかのような言葉をかけてく子が多かったんだよね。なんでかな」

 

「なるほど、そこはさすが精霊使いなだけあって情報を手にいれるのは比較的楽なのか。…んで、魔王による被害って…」

 

 

「かなりのものだな。むしろ3人がかけつけた場所以外は悲惨だ。それこそ復興もあんな短期間じゃ出来ないだろうな。死傷者だってもっと出ただろうさ」

 

俺がそこまで言うと鈴奈さんが急にそう言い出した。

その後、『気にしないでくれ』とは言っていたけど…。

おかしい。なんでそんなことを知っているんだ。

魔王に襲われ、逃げた後の町に見知らぬ顔の人物が3人いたことを。

 

 

「なんでお前、そんなこと知って―――」

「今日は早めに寝ると良い。寝室は2階で浴室は1階にある。君達同士の情報交換は寝室に入る前にはしておくんだな。…じゃあ、私は自室に戻るから。用があるなら好きに来てくれ」

 

とだけいって席をたった。

なにを隠したいんだろうか。

謎だらけすぎて分かることが少ない。けど、敵対してるわけじゃないし平気…かな?

 

 

 

 

 

 

そう考えているうちに沈黙に包まれてしまっていたらしく、誰もなにも話さない。

そんな中

「……じゃあ、俺からな。実は転生者について調べてたんだよ。短期間で情報も少なかったから手こずったよ」

と沈黙を破って言い出した。

 

 

「転生者…って俺とかのことか。でもどうして急にそれなんか調べたんだい?調べたところでなにもないと思うけど」

 

俺がそういうと誠也がなんか苦笑いしているように見えた。

 

「そうですね。ですが、聞いてみたらどうですか?なんの情報がなかったとしても、それが収穫になると思いますので。よく僕の知り合いがやってましたよ。……その人は知らないことが知れただけでも喜んでましたけど、僕と同じ二属性持ちだったんですよね」

 

 

うん、二属性持ちとかよく分からないけど、とりあえず聞いとけば損はないって言いたいんだろうな。

遠回しで言ってるんだか、言いたいことが分かってないのかはともかく。分かったよ、聞けばいいんだろう?

 

 

「分かった、分かった。とりあえず話は聞くよ」

 

「おう、悪いな。んで、転生者のことだが…どうやら片手で数えれる…らしい」

 

「らしいって…これまたあやふやだね。それって誠也さんが又聞きしたから?」

 

リーシャがそう聞くとその通りだと頷く誠也。

いやいや、誰に又聞きしたの?知ってる人でもいたの?

俺がそう思っているとまさかの鈴奈さんが聞いていた。意外だ。

 

 

 

「ああ、それが緑髪の女がそう伝えてるらしい。その女には連れがいて、そいつらは一応噂として広めるよう言ってるんだとさ。…ただここで問題がある」

 

「どこに問題があると言うんだい?今の話の流れじゃなかったよ?」

 

ありのままを言ってみたら誠也に呆れられたんだけど、どういうk………ああ、まさか。

 

「……あるもなにも、悠希。そんでもってリーシャさん。お前達の容姿がそのまま伝えられている。因みに悠希に至っては追加がある」

 

 

「転生者よりとんでもないこと、とか言わないよね。まあ、転生者に関しては否定しないけどさ」

 

 

事実なんだし。っていうかリーシャは本当のことしか言ってなかったんだな。

…変わりすぎて別人かと思ってたわ。本人に失礼だから言わないでおくけど。

あ、ソルに睨まれた。

 

 

「まあ、そうだよな。お前はやけに物知りだったし、違和感はあったんだよな。んで、お前の追加はだな……あの魔王を倒せる唯一の人間、だそうだ」

 

 

……はっ?今なんて?

 

 

「なるほどね。それで私に色々と…。普通ならそんな短期間で覚えれるわけないものを…。っていうかいつの間に学習能力を上げられてるのかちょっと分からないけど、この際どうでもいい」

 

 

ソルもなんか言ってたけど、大分聞き流したせいでよく分からなかった。

なんか元々僕たちは知識欲だとか好奇心だとか言ってた気がする。

 

 

「んで、悠希で間違いないんだよね?」

 

「ああ、そうらしい」

 

「どう見てもリーシャ(そこのおんな)とかわりない一般人に見えるんだがな」

 

「俺だって信じられないさ」

 

「流れでそこの女って呼ぶんじゃない」

 

 

さっきまで真面目な空気で話していたのが一気に崩れた。

どういうことなの。

 

 

「はいはい、とりあえずそんな物は気にせず依頼受けに行こうか。資金がなきゃ詰むぞ」

 

「「分かったー」」

 

「行ってもいいが、私はサボるぞ?」

 

「準備ぐらいさせてくれ」

 

因みに上から適当に答えたリーシャ&ソル、鈴奈さん、誠也。

碧喜、お前は分かってるんだろ。資金がなきゃやれることもやれなくなるぐらい。

鈴奈さん、お前は出来れば実力を知りたいからそこはサボらないでほしい。

っていうかソルも何気なくため口で話してるじゃないか。そうやって普通にため口で話せるなら俺達だけにでもいいからそれで話してほしい。話しやすくなるから。主に俺が。

最後の誠也は――

 

 

「いや、準備はしてからいくよ。足りない分は依頼を受けてからでも大丈夫か?」

 

「なるほど。そういうのは全然問題ない。むしろお前のことだからそりゃ準備はしてから行くよな…」

 

「そりゃね。ほら、村に行くよ」

 

 

適当に話を切り上げ、出ていこうと皆でぞろぞろと館から出ていこうとした時。

「今日は…今日もまともな依頼を受けたい」

という小声が聞こえたけど、なにも言うまい…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

館から近道を通ると少し歩いただけで町についた。

けど、どうやらある意味危険な道らしい。じゃあ、遠回りでいいんで安全な道でお願いします。

実際にそう言ってみたらこっちより時間はかかるよ?と言われた。リーシャとかがなんか説得してたけど、多分次からはそっちになる…かな?

 

 

 

町についた俺達は宿をとってそこで寝ることにした。

家がある俺と誠也は本当はそっちに行けばいいんだけど、誠也んちにも俺の家にも家族がいるしなぁ…。あ、でも俺の家は母さんだけか。今度なにか送ってあげるか。

 

 

そう思いつつ、ベッドで横になって寝た。

 

 

 

 

 

――碧喜(たまき)視点

 

夜、宿屋にある庭に出た私はこの町の精霊達と夜遊びという名の対話をしに来た。

ついでに夜空を見に。

因みに宿代は前にもらった依頼の報酬金から出した。ちょうどよかったんでね。

 

「リーシャ。そういえば君は幼い頃からよく精霊に好かれたけど、それって転生者だったからなのかい?」

 

そこら辺の精霊を呼んで世間話とか聞き出そうとした時、そう聞かれた。

 

「あー…それはどうなんだろうな。というか、そんなに好かれてた?あれが普通だと思ってたんだけど」

 

 

しかもわりと真面目に。

一応他の子の周りもチラ見とかはしてたんだけどさ、それなりにいたよ?

まあ、エルフってそんなもんなのかなーとかって思ったのもそこなんだよ?

 

 

 

「ああ、なるほど……なるほど。転生者って理由じゃなさそうだね。そうだとしたらリーシャ…君、周りからああいう対応されて当たり前だね」

 

 

い、いやいや。

あれさ、娘には過酷な旅させろ的な感じだったと思うんだけどな。

やられたらやられたで凄く(命的な意味も含め)大変だっていうのがよーく分かった。

 

 

「…あの対応で?私からすればそうとは思えないんだけどなぁ…」

 

「……まあ、自衛する(すべ)を知れたって思えばいいんじゃないかな?ほら、魔法とかも他の子より早く教えられたじゃないか」

 

「そうだといいんだけどさ…。魔法に関してはもっとあとでもよかったと思うの」

 

ため息つきつつ、そういうと肩?をすくめられてしまった。

仕方ない…。ソルだってそこまで知ってる訳じゃないんだし。

 

「そういうってことは魔法でなにか苦労でもしたのかい?」

 

「そりゃもうかなり。制御するのなんて幼かったから大変だったし、それ以外は威力の調整とか…。対象だって取りづらかったんだよ?」

 

私がそう言ったら「ああー…」とかいって頷かれた。

どうやら理解してくれたみたい。多分。

 

「でも厳しいばっかりじゃなかったんだろう?僕は見てないけど、他の子とかが言ってたよ」

 

「…まあ、そうなんだけどさ…。一つだけはそうでもなかったかなー…なんて」

 

「えっ?それってなんだい?」

と興味津々に聞いてくる。

いい加減、やりにきたことをさせてもらうよ。

さっきからそれまくって出来てないんだから。

 

 

「別になんでもいいでしょ?それより精霊達と話してそれとなく情報になりそうなの、聞き出すよ」

 

「はーい…」

 

 

残念そうな声だったけど、すぐに諦めてくれたみたいでよかった。

いくら契約したとは言え、紛れもない精霊だから好奇心は強いとばかり思ってたけど…そうでもないのかな。

 

 

そう考えつつ、私は次の日のために精霊達とある程度まで会話をした。

その後眠たさのあまり、違う場所に入ってしまったらしいけど、それは今の私に知るよしもなかった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。