ファンタジーライフ ~転生先は異世界でした~   作:篠崎零花

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どうも、篠崎です。
今回からサブタイトルを分りやすくしてみました。
他にもサブタイトルを変更してみたのですが…いかがでしょうか。


関係ないですけど、寒いですね。皆様もお体には気を付けてください。
では、下から本編になってますので適当にゆっくりどうぞ


第31話 洋館の処遇について

――優季視点

 

町に移動した俺達はローブの女性の言う通りに冒険者ギルドまで寄り道せずに行った。

その間、リーシャがソルと歩きながら話していたけど…なにを話してたんだか。

あとで覚えていたら聞くことにするかな。

 

 

 

その人を連れて左側のカウンターに行ったら前の人と同じ人が出てきて…その人を見るなり驚いていた。

 

「ど、どうしたんですか?その人は…。あの館に誰かいるという情報はなかったはずなんですが…」

 

「あ、あぁ…本人が連れてくれば分かると言ってたからそれで…」

 

「すみません、私じゃどうしようもないので上の人呼んできますね。お手数かけますが、そこで待っててもらえませんか?」

そういうなり後ろへ行ってしまった。

 

 

 

それを見てなのか、乾いた笑い声がする。

何年前からあるんだか知らないけど、この冒険者ギルドのシステムが出来たのはかなり最近だし、仕方ないと思うんだけどな。

それも知らないなら無理もないか。

 

「冒険者ギルドも新しいから仕方ないんじゃないかな。…ところで元々はなにをしていたの?」

 

「あー…ちょっと、な。……そう、館に引きこもってたんだよ。本とか読んでた方が楽だったからな」

 

「そ、そうなんだ…」

そう言葉を濁す女性に苦笑いで答えるリーシャ。

それ以上言わないのは気にして、なんだろうな。

 

 

 

そう思っているとソルが俺のそばによってきた。

「……あの、大きな声では聞けないことなんですが、聞いてもいいでしょうか?」

 

とそんなヒソヒソ声で話してくるので思わず首をかしげてしまいそうになった。

…なんかあったっけか。

 

「あ、あぁ…構わないけど。なにかな」

 

「悠希さんってやけに落ち着いてますよね。それが不思議だなって思いまして。リーシャや誠也さんはそうでもないみたいなのに……どうしてですか?」

 

 

そう来たか。

まあ、当たり前な質問だわな。

背後からローブの女性が現れた時に俺だけが笑ってたから。

ローブの女性のことを笑ったんじゃないんだよ?違うからね?

 

そんなことを誰へとなく思ってから冷静になる俺。

 

 

 

「そんなことないと思うぞ。リーシャや誠也みたいに相応な反応をする時は俺だってするし…違うかな?」

 

「……まあ、そういうことにします。そろそろ話を切り上げないとコソコソ話してるなんてってリーシャが気にしますから。また今度、聞くことにしますね」

そういってリーシャの方に飛んでいった。

そのままなにか軽く話をしたようだけど、言語が違うから全く分からない。

まあ、こっちもこっちで話が進みそうだな。この冒険者ギルドの上の人が出てきたから。

 

 

因みに見た感じ若い女性なんだけど、耳がとんがっている。

これも関係ないんだけど、そのとんがった耳はリーシャと同じような長さに見える。

 

 

出てきた時、その人を見てまるで幽霊でも見たかのように驚いていた。

 

「え、えっと…」

 

「あなたは下がって大丈夫よ。私がこの人達と話をするから」

未だ困惑気味な男?(見た目は男と言いがたい受付の人)に微笑みながらそう告げると受付の人が一礼してから下がっていった。

 

 

 

 

「ところであなたは船岡鈴奈(ふなおかすずな)…その人でいいのね?」

 

「ああ、そうだ。間違いはない」

 

あっさりとそう言いきって頷く女性。

へぇ、なんだ。なんか事情があって探されてたのかな?

そう思ったけど、なんか違和感を感じる。

 

 

「……冒険者ギルドの設立に手を貸してくれた人達がいるんだけども、その人達が心配していたわよ。それこそ一日中探すんじゃないかって思うぐらいに」

 

「そう、だったのか。…それは失念していたな。会ったのも大分前だし、てっきりもう…」

 

 

そこまで言うと口を閉ざした。

大分前って…一体誰のことだろう。っていうかそりゃ設立に手を貸した人ぐらいはいるだろうなとは思っていたけど、本当にいたとはね。

その人達と知り合いってことは……どういうこった。

 

 

「あー、そう話してるのはいいんだけどさ。鈴奈さん…でいいんだね。顔とか見せてもらってもいい?駄目なら諦めるからさ」

 

「それは私…いえ、僕からもお願いしたいです。宜しいでしょうか?」

 

 

 

そういうと複雑そうな顔をしたような気がする。

俺もソルの一人称がいきなり『僕』になってなんか違和感があるけど。

 

「それもそうか。不審者だと思われても困るしな」

そういってフードを外すと肩甲骨までは行ってそうな長い銀髪が出てきた。髪の長さはリーシャとほぼ同じかな?

目は…青色っぽいけど、なんか違うな。別の色が混じってるみたいだけど、分からないね。

 

にしても身長がそれなりに高いのもあってスタイルは良い方なんだな。

 

 

「なんだ、隠すような格好ではないじゃないですか。なにか理由でもあったんですか?」

 

「どこかの誰かさんが心配性でな。その私を心配して探していた人がそうだったろ?」

 

 

そう言いながら女性に顔を向ける。一応女性の顔を見てみたら、その通りなのか苦笑いを浮かべてる。

……まさか、手伝った理由が冒険者ギルドがあれば捜索依頼とかも兼ねて出せるからとかだったりしないよね。

突拍子もないし証拠もほぼないから、ありえないような話なんだけどね。

 

 

「まあ、いいんじゃないか?なんだったら、会えるまで一緒にいないか?」

 

「ああ、それがよさそうね。本人がよければって話なんだけども。どうかしら?」

 

「ああ、構わない。むしろその方が会いやすそうだからな」

そういうと俺を見てきた。

どういうことだろうか。俺はその人達ときっと関係ないと思うよ?

 

 

 

「なら、もう大丈夫そうね。あ、依頼書はまだ持ってるかしら?」

 

あ、忘れてた。

そうだよ、俺達は報告にきたんじゃないか。なんで忘れてたんだろう。

えっと、確か…

 

 

「あ、すみません。僕が持ってます」

 

「あれ、なんでソルが持ってるんだ?まあ、いいけど…出せる?」

 

「はい、出せますよ。ちょっと待ってくださいね」

そういってなにかし始めるソル。

それを微笑ましい表情でリーシャが見てるんだけど、なんか兄弟とか姉妹みたいだな。

外見の性別がどうなるのか楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

それから少しして依頼書を出し、報酬を貰った俺達。

ついでに何故かその館を俺達がもらうことに。代表は俺になったけどね。

 

んでもって俺達はそこを拠点にするために買い物に出かけるはめになった。

……ソルに変化が起きつつあるのを(リーシャ以外の)俺達は知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――碧喜(たまき)視点

 

ソルが成長しつつあるのは感覚で分かっていた。

一人称に変化が出るとは思わなかったけどね。

 

あれからそれぞれの親を順番に行き、今までの経緯を話して説得して回った。

連絡手段がないのは本当困っちゃうね。

どうにかならないのかな。

 

 

「それは大分きついと思うけどね。そこんところ、どうかな?」

 

「そ、そうなんだけどさ…。夢とか見たいものじゃない?」

 

 

そうすれば楽に今ここにいるとかそういうのを教えられるのにな。あとどこにいるのかを聞ける。

 

 

「なんとも言えませんね、そればっかりは。でもその夢が実現するとなると確かに楽にはなりそうですね」

 

「ねっ、でしょう?でも結構問題があるんだよね。魔法が使える使えない以前に」

 

 

そういうとソルが不思議そうにした。

そりゃそうだ。ソルが想像しにくくて仕方ないのかもしれないものだし。

 

 

「それ、とは?消費魔力量とかもありそうですが」

 

「あぁ、それもあるね。でも、それを常時消費ってしてたら回復も間に合わないし、かといって魔力で充電っていう手もあるけど…」

とそのあとはぶつぶつと言いながら文字通りに頭を抱える私。

それをニコニコしながら見るのはどういうことかな?

 

 

 

「まあ、他の精霊とも交流しておきたいし…その間になんとかなるかな?」

 

「あー…確かに。僕は火と氷だから出来ないかもだけど、他の精霊にだって複属性持ちの子がいますし、会えるかもしれないてすからね。あっ、僕の知り合いでも紹介します?両手で数える程度ですけど、少しだけ複属性持ちが混じってますし」

 

「へぇ、さすが。んじゃあ、それは困ったときにでも」

 

といって会話を切り上げようと悠希達を見る。

……おーい、いつの間にサモンゲームをやってるの?

まあ、いいや。そっちに行こう。

そう思って悠希と誠也の方へ向かった私はちょうど背後で見えなかった。

ソルの姿が一瞬変化したことに。


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