ファンタジーライフ ~転生先は異世界でした~   作:篠崎零花

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知り合いから進めてもらった小説や他の方の小説が面白すぎてなかなか自分のに手がいかなかった篠崎です。

ですが、このような小説でも少しでも見てくれる方がいるので凄く嬉しいです。
本当にありがとうございます。

色々とグダグダな小説かもしれませんが、今後も適当に読んでやってください。

※サブタイトルを分りやすくしてみました。


第28話 長は複数いる

――優季視点

 

「…巨大蜘蛛は女性大好き、ミミックは変態…。ここにまともな依頼はないの?」

 

依頼掲示板の前に立つなりこうぼやいたのはリーシャ。

そりゃそうだろう。

2つしかまだ依頼を受けてないのにどっちもそんな変わった依頼なのだから。

 

「…そうだね。普通なの探そうか。誠也、協力してくれるよね?」

 

「そ、そうだな。いい加減普通に達成できる依頼を受けたいしなっ」

 

「それだったら明日に回せそうなのがいいんじゃないですか?そうですね…こういうのとかどうですか?」

とソルが言うと身長があれば届く範囲の依頼書をとってきた。

(因みにソル以外のでかい順は年齢を含めて誠也、俺、リーシャ。ついでに言っておくと、誠也は俺より少し年上)

 

 

その依頼書…というかその紙の内容はこう記されていた。

『洋館調査』

 

 

「…明日に回せる依頼、なのかな?これ」

率直に思ったことを言った。

それしか思いつかなかったってのもあるけど。

 

「大丈夫でしょ。心配なら、聞いてこようか?」

というと未だ浮いて依頼書を持つソルに手を差し出した。

 

「い、いいや、別に。受けるときに聞いてくる」

 

そう言われて不思議そうに首をかしげるリーシャ。

そんなに疑問を抱くようなもんじゃないから気にしないでくれると嬉しいかな…。

そう思ったけど、試しに黙っててみることにした。

 

なんか呆れたような目線を誠也の方から向けられたような気がするけど多分考えすぎだと思う。

 

 

 

 

受ける時、明日に回したいことを伝えたらあっさりとOKを出されてしまった。

そんなあっさりと出してしまっていいものだろうか。

 

『もし受けたっきりだったらどうするんですか』、なんて聞いてみたら『そう聞かれる時点でしないと思いますよ』と笑顔で返された。

 

因みにそのことをリーシャ達に伝えたらソルを除く2人に笑われた。

酷いんじゃないかな?

 

 

 

それから依頼書を折りたたんでから俺の懐に入れ、冒険者ギルドの外へ出た。

視界の隅に入った空の感じからして多分もうすぐで夕方になるんじゃないかな。

いやぁ、暑かったのが涼しく……ってなんか一つ忘れてないか?

 

そう、それは…

 

「そういやあと少しで夕方だけど…ソルの方は大丈夫なのか?」

 

「あー、ソル?大丈夫もなにも…」

 

「ここにいますよ。ここ。リーシャさんが森などによく出されていて助かりました」

と話しているのでリーシャをよく見てみると頭に人形(ひとがた)の淡い光があった。

 

「森とバランス感覚に関係性は……いいか。でもちょっと歩きづらいから本音で言えば降りてほしいかなー…なんて。出来れば座ってる時とかにしてほしいかな?」

 

「あれ、それってそういう時はやっていいという風に聞こえますよ」

 

「そのつもりだよ。その方がまだバランスがとりやすいしね」

 

「なるほど…そうなんですね」

 

 

…人間も動物判定できるんだとすれば、もうすでにソルの見た目は小動物だぞ?

と言いたかったけど、これが分かるのリーシャぐらいだな。

っていうか人族が人間以外もいるし、それ以前にここは異世界だ。

 

そんなネタを今、言えるのだろうか…。

 

 

 

「そういう話をここでするのはいいけどさ、外に出て夕食でも…どうだ?そろそろ行っておかないと都市ほどじゃないが、混んで並ぶぞ?」

 

「おっと、そうだね。リーシャ、行こうか」

 

「うん、そうだね」

 

そう話して外に出る俺達。

「あっ、だからといって置いていくのはあんまりですよー!」

という声が後ろから聞こえたが、リーシャが頭から下ろしたんだろうなと思い気にせず飲食店に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくした後、夕食を食べ満足した俺は自分達の家にでも帰ろうかー…と考えたので、リーシャと誠也に伝えた。

 

まあ、伝えたまではよかったんだけどね?

リーシャがなにか言いたそうにしているのを見て誠也が不思議そうな顔をしたんだけど、なにを言い出すつもりなのかな?

 

「私の家に泊まらない?森の中だし、凄く疲れもとれやすいと思うの。それに飛行船ならはやいよ?」

 

「い、いいのか…?一応俺達、野郎だから狼だぞ?」

 

と提案してきたリーシャに誠也がいった。

俺もまさに考えたことだが…俺達、ちゃんと男として見てもらえてるのかな…。

不安になるぞ、うん。

 

「ん?多分大丈夫でしょ。なにかあったら寝ててもソルが先に気づいて私を起こすし」

 

いや、そういう問題じゃ――

 

「……リーシャ、どうやらそういう問題じゃないみたいですよ。そう、悠希さんの顔に書いてあります」

 

「書いてないから!」

 

半ば叫ぶようにいうとリーシャが笑った。

今のやり取りが面白かったのかな。

 

 

「まあ、とにかく。泊まるか泊まらないかはお任せするよ。でも泊まって寝たら疲れは大分とれると思うんだけどな。どう思う?」

 

 

まあ、否定はできない。

何回か泊まってみた感想は疲れなんて吹き飛ぶ、だったから。

まさかエルフの村とかで寝るのがあんなにも楽だとは思ってもみなかったが。

 

 

「いいんじゃないか?ハッキリ言って色々と大変だが、背に腹は変えられんだろ」

 

「お前が言うとしっくり来るね。…まあ、そうだね」

 

「んじゃあ……?」

と言って首をかしげるリーシャ。

 

「分かったよ、親に一言いうからそれぞれの家に一回寄らせてもらってもいいかな?」

 

「あー、全然構わないよ。むしろ気にしないで。言っておいた方がいいだろうから」

 

本当は言わなくてもいいんだけどな…と思ったけど、言った手前、行かないでおくとそれまた不思議がられるんだろうなーと。

 

それぞれの家に行って親に聞いてみたら、俺の親も誠也の親もちゃんと帰ってきてくれればいいと言ってきた。

心配すらしないのか…と思ったけど、どうやら完全にしてない訳じゃないらしく、どうも素直に言ってこないだけだったようで。

誠也の親はもう顔に出てたけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーシャの言葉に甘え、俺と誠也だけが飛行船の乗船料金を支払った。

因みに俺は無理を言ってリーシャの分を払った。

どうやら今世では払ってもらうことがあんまりなかったらしい。

 

まあ、それは別にいいけど。

 

 

「それにしても…道だけは暗くならないんだね」

 

「そりゃあね…。ただでさえ村が森の中にあるんだから暗くなるのも早いのにこういう街灯みたいなのをおかないわけにはいかないでしょ?ちょっと見た目は変わった形になっちゃうけど」

 

「そうみたいだね…」

 

「明かりがどうついてるのか気になるが…リーシャさんは知らない、か?」

 

「私はちょっとねー」

とはぐらかしている。

村へと続く道を歩きながらそう話す俺達。

 

っていうか、リーシャ…まさか知らない?

んー…あとでこっそり聞いてみるかな。

俺が聞くことを覚えていたら、だけど。

 

 

…それにしても街灯が独特な形をしているな。

植物みたいな…そう、それこそつたみたいなもの。

その先端は若干丸まっていて、ランタンみたいなものがそこにぶらさげられている。

 

 

「……お二方にとってそんなに珍しいですか?あれ、エルフの村長が村長になるときに作った代物みたいですよ」

 

「…っ!?…ってなんだ、ソルか。いきなり声をかけてくるからビックリしたじゃないか」

 

「いや、ソルはさっきからいたよね。リーシャのそばに。ちょっと思考しすぎじゃないかな?人のことあまり言えないけど」

そういうとなんか呆れたような視線を向けてきてる気がする。

失礼な。

俺も町や都市以外の街灯を見るのが初めてだっての知らないわけじゃないだろうに。

っていうか誠也は……ああ、驚きすぎて声が出なかったんだね。

 

「し、仕方ないじゃないか。初めて見たらそうなったりはしない?」

 

「あ、ああー…そりゃそうか。ごめんね、悠希と誠也さん」

納得したような顔でそういってくれた。

 

 

 

 

 

 

それから少し歩くと村が見えた。

夕方だからなのだろう、耳のとんがった人達が多く見受けられた。

前は余裕がなかったり、忙しかったりと見てなかったけど、耳が長かったりリーシャみたいにやや短い人達がいたりたれてたり…。

俺達の耳をとんがらせ、少し長くしたような人達もいることから、ハーフヒューマンも普通にいるらしい。

 

多分、俺達の存在に慣れた…もしくは俺がリーシャやそれ以外の人達と親しくなったからか?

…まあ、いいか。

まさか本当にいるとは思わなかったけどね。

迫害とかなんてないと思うが…もしかして、狙われやすいとか?そんな卑怯な手を使う奴…あ、いたか。

 

 

「おーい、思考に浸るのはいいけど、食べるところが一度でも混むと大変だよー?」

 

「あ、ああ。分かった。それは俺の胃的に困るし、食べなきゃこの世の中やっていけん」

 

「お、おおげさな…。でも、分からなくもない」

 

「……リーシャってエルフなのに人間寄りの思考なんだな。俺の気のせいかもしれんが」

 

と誠也が言うなりリーシャが曖昧な笑みを浮かべた。

おーい、無言は肯定なんて言われたらおしまいだぞー。

 

 

「あー…多分、町とか都市に興味があったからじゃないか?ほら、都市で初めて会った時からやけに言葉が通じたじゃないか。それって普通は出来ないと思うんだよね」

 

「観光客がよく行き来している場所はそうでなくとも話せてるみたいだけどな。そこはどういうんだ?悠希」

 

そう言うと俺をジッと見つめてくる。

どうしたものかと思ってリーシャを見るとなにか言いたそうな顔をしていた。

余計なこと話されてもなー…。

しょうがない、やるだけやるか。

 

 

「そりゃ―――」

 

この後、リーシャに日本語…もとい、人語が通じない穴場に連れていかれた。

めちゃくちゃ美味しかった。


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