ファンタジーライフ ~転生先は異世界でした~   作:篠崎零花

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ゆっくりやっていたら大分時間がたつものですね、篠崎です。

どなたでも適当でも読んでもらえれば嬉しいです。

※サブタイトルを分りやすくしてみました。


第26話 覚えがはやい精霊と二度目の依頼

――碧喜(たまき)視点

 

もみくちゃにされた後、2人を自室に案内して荷物の場所を教えた。

 

「日本語…ですか?それって人語のこと、ですよね。私はそう聞きましたけど、やっぱり覚えるべきなんですか?」

 

「うん。出来れば、ね。でも覚えたらそこにいる私の知り合いとかと普通に話せるようになるよ?…少ないメリットだけど、悪くはないと思う。どうかな」

 

そういってカードとかその他を見たりする2人を背後から見る私達。ちょっと不審者かな?

 

「……そこまでリーシャさんが言うのなら覚えてみます。直接話せた方がすぐに聞けて私も楽になりそうですからね」

 

「それはどうも」

 

そう話していると荷物を確認したらしい2人が近づいてきた。

「なんかこれさ…俺達が泊まること前提になってないかな?」

 

「え?そうなの?どれどれ…」

とわざとらしく言って(ここ重要)から部屋を見る。

いつもの部屋と違って布団が二つほど増えているのと悠希達の荷物があるぐらいかな?

それ以上に問題はないはずなんだけどなー…と考えながら首をかしげる。

 

 

いや、分かってるんだけどね。

布団が二つあるのは、悠希と誠也さんが泊まること前提になっているからこそなんだと。

 

「困っちゃうね」

 

「リーシャさんや他の皆さんの人となりも分からないのでまだなにも言えませんよ」

 

「…そ、そうだったね」

 

「いや、別の言語使うのなしにしてもらえないかな。俺達が分からない。…因みに布団は誰が用意したの?」

 

そう言いながら悠希が私のベッドの横に()かれた布団二枚を指差す。

あのしっかり敷いたようで少しシワができている敷き方は…お母さんだな。

お父さんはむしろ少し距離をおいておかない。

 

分かりやすいね。

 

「ああ、多分あれはお母さんかな。……ってあ。な、なにもきいてないよ!?多分家に泊めるつもりなんだろうなぁとは思ったけど!」

 

 

「……素直な奴だな、リーシャさんって」

 

「素直で悪いことはあんまりないぞ?…そうだね、聞いてないなら仕方ない。泊まらせてもらうことにするよ。誠也は?」

 

「そうだな。まだ悠希の部屋より広いから泊まるのによさそうだ」

と誠也さんが口角を片側だけつり上げながらいうと悠希がなんか怒っていた。

 

十分あれでも広いと思うんだけどな。

そう思っていると横に浮遊しているソルが楽しそうに笑っていた。

見ていて微笑ましかったのかな。

 

 

 

 

その後、流れ的に泊まることになった悠希と誠也さんは夕食も食べることに。

食卓に精霊がいることに驚いていたけど、そんなに驚くことかな?

 

 

 

 

町が元通りになるまでのしばらくの間、飛行船を使って私の住む村と悠希達の住む町とを行き来していた。

そんなある日、いつものように歩いて冒険者ギルドへ向かおうとしていた時、大分復興した町の一角にある看板がおいてあったのを偶然見かけた。

 

そこには

『冒険者ギルドの支店も発足(ほっそく)いたしました。そちらでも本店同様ご利用ください』

と書かれていた。

 

な、なんかチェーン店みたいな看板だね。

誰が書いたのやら…。凄く分かりやすいからいいんだけどさ。

 

 

 

因みに今、資金稼ぎのために冒険者ギルド(町の支店)へきている。

前より依頼が増えた気がする…。

 

「なんか増えたな。これが時間の経過というやつなのか」

 

と依頼書が張られた掲示板を見ながら誠也さんが呟いた。

 

「そればっかりはどうしようもないね。その分危険になった、というわけだろうし」

 

「大丈夫ですよ、皆さん。私とリーシャがいればどうにかなります」

 

「あー、そうだね。精霊使いがいるのといないんとじゃかなり違うしね」

 

そう言って悠希とソルが私を見る。

うん、精霊使いだからって万能じゃないんだぞ?

 

「そうでもないんだけどな…。んで、どれにするの?」

と言いつつ淡い光を放つソルを横目で見つめる。

日本語によく似た人語を覚えたのもあるのか、どこか姿が変わるような(きざ)しがある。

最初だから大して変わらないだろうけどね。

 

 

 

「んじゃあー…これとかはどうかな」

そう言って渡してきたのはミミック退治依頼。

前に受けた巨大蜘蛛退治より何故か高い。その上、何枚もある。

だというのに今とったのはあまり触られなかったらしくシワのない綺麗な紙(他の依頼書はものによってはシワができたりしている)。

 

なんだか嫌な予感がする…。

そう思ったけど、誠也さんはもう頷いていた。

 

「おっ、いいんじゃないか?ミミックっていうほどだし、よっぽどのことがなければ死なないだろ」

 

「死んだら元も子もないと思うんですけどね。そこのところ、どう思いますか?」

 

「ぐっ…そ、それを言ったらなんも言えないんだが」

 

「駄目な人なんですか?あなたは。リーシャさんもなにか言ってくださいよ」

 

 

えっ、いきなり私に振るか!?

こ、この場合は…

 

「そ、そうだよ!勇気と無謀は違うんだって親かそれ以外の人に言われなかったの!?」

 

と流れのまま、そう言う。

私も私で元も子もないなーとは思ったけど、気にしないことに。

 

誠也さんは気まずそうに黙ったけど、悠希は呆れた様子だった。

「誠也も色々と無理してたしなー。怪我だってたくさんしてたしなー。そこのところもどうなのかな?」

 

あ、自爆したな。

誠也さん”も”なんて自分もそうみたいに言うってことは何回か病院…だったかな。そこのお世話になってるな?

そうやって思いながら半目で見つめる。

 

「と、とにかく受けようか!話はそれからだよ!」

 

そういうと手にしている依頼書を左側のカウンターへ早足で持っていった。

あれはあれで話をそらそうとしたんだなー。

 

 

仕方ないか。

「…準備、しておこうか」

 

「そうだな」

 

そう会話していると精霊であるソルは頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――優季(ゆうき)視点

 

ミミック退治依頼を受けた後、安全とされたダンジョンの中に入っていた俺達。

なんともまあ、安全とは言えないダンジョンだけど。

 

確か存在する難易度は安全、普通、注意、危険だったか。

その中で一番下と言うのにそれなりに強いモンスターがそれなりにいる。

 

まあ、魔王とやらの封印が解けた現状じゃそれでいい評価…なのだろうか?

 

「考えるのは良いけど、ぼさっとしてると今みたいに不意打ちうけるよ?」

 

「うけますよー」

 

そう言ったのはリーシャと精霊のソル。

その2人の視線の先を追ってみるとスライムゼリーと布片や木片が見えた。

 

「前のことを思い出してただけだよ。いやぁ、久しぶりにあれしたいなーと」

 

「村にゲームなんてものはなかったけどね。っていうかそれよりミミック探し、でしょ?」

 

「よく誠也もソルもいるのにその単語を平然と出せるね…。それはいいとしてそのミミックまだ見つからないね。宝箱の1つもないし」

 

そういうとソルだけが首をかしげた。

 

「ゲームについてはさっぱりだけど、宝箱云々(うんぬん)に関してはなんとも言えないな。見つかるのはモンスターばかり…。俺達以上にリーシャがモンスターとの戦闘経験があって凄く助かっているよ。あと悠希にもな」

 

そう言われ、抜いたままの剣を手にしたまま誠也を見る。

どういうこった。俺は独学で木刀をふったりとか水鉄砲をカスタムしようとして失敗するとか…あ、これリーシャと出会う前だ。

 

 

「そんなことはないよ。俺は独学で軽く鍛えたにすぎないからね…」

 

大した理由とかそういうのはないんだけどね。

でも、親しい人を守れる力にはなったしよかったと思っているけど。

 

 

「…ねぇ、あそこのあれ…なにかな?お宝?」

突然そう言うリーシャ。

俺と誠也は思わずリーシャを見るとある方向を指差していた。

因みにソルも不思議そうにリーシャを見ている。

 

んで、気になると言うことでそっちを見ると今まで見つからなかった宝箱が見えた。

木製っぽそうだけど、色がついてて分かりづらい。

 

「あれはなんだろうね?ようやくって言ったところだけど…」

 

「怪しいですよー?大分」

 

とソルが言うがリーシャや誠也、俺も興味がつきない。

3人で顔を見つめあわせると頷き―――そこへ近付いた。


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