ファンタジーライフ ~転生先は異世界でした~   作:篠崎零花

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短めな本編ですが、ごゆっくり適当に読んでやってください。

※サブタイトルを分りやすくしてみました。


第25話 エルフは精霊と共に

――碧喜(たまき)視点

 

そのある場所は家からそれなりに歩いた場所にある。

そこは少しだけ木々で隠れているものの、小さな池のような湖沼(こしょう)がある。

 

水は澄んでいて、底まで見える。

若い精霊もたくさんいるのか、小さな人の形をした淡い光がたくさん見える。

 

「悪いけどさ、終わるまで木々とか草に隠れてもらっててもいいかな」

 

と小声で2人に伝える。

どうしてもこれは真面目にやらないといけないらしいし。

なにせ町で一番ふざけていると評判だった男でさえ精霊との契約は真面目に行ったらしいから。

 

「はいよ、分かった。隠れていればいいんだね?」

 

「うん。悪いね」

 

「仕方ないさ。俺達は承知の上で来てるんだから。な?誠也」

 

そう言われた誠也さんは一瞬「えっ?」って顔をしたけど、すぐに納得したような顔で頷いた。

 

「そ、そうだな。リーシャさんの近くじゃ失敗しかねないもんな」

 

ひきつったような笑みを浮かべながら言う誠也さんを見てつい、笑ってしまった。

なにせ近くで見ようとしたのが分かるぐらい動揺してるんだもの。

 

「な、なんだよ。俺だってそりゃ近くでじっくり見たいわ」

 

「ごめんね?でも、隠れてみてね。結構、大事だから」

 

そう言ってから小さめな湖沼(こしょう)の近くへ。

向かっている最中、一度止まって半身だけ振り返ると手短な木々に隠れているところだった。

まあ、近いけど木々でなんとかなるかな。

 

再度近づき直し……うん、じゃあ、やるかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――優季(ゆうき)視点

 

リーシャが湖沼(こしょう)に近づいてからしばらくするとその周りにさっきまで見えなかった淡い光が見え出した。

 

小声で話す分には多分あっちには聞こえないよね。

…まあ、少し離れてるから聞こえるか分からないけど。

 

「あれ、綺麗だな」

 

「……え?」

 

「ほら、あれ…綺麗じゃないか?」

 

「あ、ああー…。そうだな、綺麗だ。凄く、な」

 

二度目で聞こえたらしい、誠也がそう返してきた。

あの本に出てきた絵、そっくりだな。

あれで精神体か…。言葉さえ分かれば話せるとかもはや対話だね。

 

 

「精霊としか対話できないもんなのかな」

 

「さすがに無理だろ。むしろ精霊以外に精神体の種族っていたか?」

 

「ど、どうなんだろうな…」

とぼそぼそ話しているうちにかなり進んでいた。

というか話に夢中になりすぎたかな?

 

 

 

 

 

少しするとリーシャから淡い人形(ひとがた)の光が一つを残してゆっくり離れていく。

終わった、と言われる前についリーシャのそばに寄る。

 

「…綺麗だね、それ」

 

「契約したばかりだからこの見た目だけどね」

そういって困ったように小さく微笑む。

もう別人じゃないかってレベルまできているような気がする。

 

本当、碧喜(たまき)だったとは思えないほど色々と成長したというか…変わったというか…。

でも、この世界でも…もう一度仲良くなって付き合いたい。

 

そう思ってリーシャを見ていたら背後から

「もういいのか?」

という声が。

振り返ると誠也が俺と同じように木から出たところだった。

 

「うん、もういいよ。契約の儀式はちゃんと終わらせたからね」

 

「へえ、そうなのか。因みに精霊って契約したら名前とかつけるのか?」

 

「うん、つけるよ。もちろんネーミングセンスが問われるけどね」

 

なんて話し合っている。

へえ、ネーミングセンスか。

 

 

「それで、リーシャはなんて名前をつけたの?」

 

「ああ、名前はね…ソル、だよ」

 

そうリーシャが言うと淡い人形(ひとがた)の光がリーシャの周りがぐるりと一周した。

 

「ソル、か。覚えやすいし、いい名前だね」

 

「前もって考えてたからね。変な名前にはならないはずだけど」

と胸を張るリーシャ。あんまりないように見え……本人に失礼か。

 

「あ、一旦家に帰るよ。話は歩きながらでもいいかな」

 

そう言われ、俺は誠也と一度目を合わせ、頷く。

 

「はいよ、分かった」

 

「つくまでに話が終わらなかったりしてな」

 

「そんなことないと…思うよ?」

 

そういったリーシャは複雑そうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからしばらく歩きながら話をしたんだけど、ほとんど精霊の話だった。

リーシャはどこからその知識を得たのだろうか…。

まあ、十中八九両親だろうな。

でもリーシャの父親のしか見えなかったな…。リーシャの母親のはどうしたんだろうか。

 

そんな疑問は聞かないでおくことにしたけど。

 

 

 

 

少しかそれなりに歩いただろう。村の中心地についた。

「さてと。どうする?この村のこと、案内してあげてもいいんだけど…」

そういって振り返ってきた。

 

「俺はリーシャが平気なら…かな?」

「興味はあるが、その…いいのか?」

とそれぞれ返した。

 

「私は平気だし、そもそも…」

といって周りを見渡すリーシャ。

それにならって俺達も同じように見渡してみた。

 

そういえば…好奇の視線とかそういうのが向けられてもおかしくないというのに、誰もそういう視線を俺や誠也に向けていない。

むしろ俺達とかがいてもそれが普通だと言わんばかりに…。

 

 

「視線の話、だったのか?」

 

「うーん、半分だけ違うかな。まあ、忘れたしそれでいいか。まあ、とりあえず案内はするね。ついてきて」

 

そういうと淡い光と共に先に歩いてゆくリーシャ。

精霊……か。俺もそういうのじゃなくてもいいから他にも仲間いたら賑やかになるんだろうな…。

 

そう考えていたら

「おーい、悠希。ボケーッとしてたら置いてかれるぞー?」

と声をかけられた。

 

「あ、ああ…そうだね。行くよ」

そういって誠也と一緒にリーシャのあとを歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村には病院こそはなかったものの、似たものがあった。

光の精霊と契約した人が働いているらしいが、リーシャ曰く他の精霊を連れた人もいるらしい。それって精霊=精神的癒しというような扱いをしているようなものだけど……まあいいか。

 

村、という割には広く感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

リーシャの家に入るなり、リーシャは両親にもみくちゃにされていた。

 

「…精霊とまだ一緒になっただけなのに」

 

「1回目からその子なんて凄いと言っているんだ。いくら他の子供たちと同じように精霊と遊んだことがあるとはいえ…ね」

 

「お父さんがそういうぐらいなのよ。だからそこは素直に喜んでも良いのよ?」

 

そう言われているリーシャは本当に困ったような顔をしている。

 

「どうする?あれ。俺は放っておいても大丈夫だと思っているんだけど」

 

「そうだな。じゃあ、見ておくとするか」

 

「そうだね」

と小声で話し合う俺達。

そのあとに食べた夕食は豪華(ごうか)に見えた。


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