ファンタジーライフ ~転生先は異世界でした~   作:篠崎零花

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余談ですが、ハーフヒューマンってまんまな種族名をつけたのはハーフエルフ以外も出したいから、じゃないんですよね。

私の中ではハーフエルフ=人間やエルフの両方から迫害を受けている、という風にイメージが出来上がっていまして。

それだったら、もうありえないだろという全種族普通に交易中!みたいなことがしたくなり、つけました。

なんかもう似たようなものは既に出てそうですが。

まあ、そんな余談でした。
下から本編です。適当に読んでやってください。

※一部分かりづらい場所がありましたので少し追記いたしました。大筋に変更はありません

※サブタイトルを分りやすくしてみました。


第23話 冒険者ギルドへの報告と村へ行こう

――碧喜(たまき)視点

 

あれから大分たって、巨大蜘蛛は倒された。

私も少し時間がかかったものの、降ろしてもらえた。

ある意味トラウマができそうな体験だったな…。

 

「2人共、怪我とか大丈夫?」

 

擦り傷とかそういうのが見えたのでそう聞いてみた。

 

「俺は問題ないよ。ありがとうね、リーシャ」

 

「別にいいよ。誠也さんは?」

 

同じように聞くと肩をすくめる誠也さん。

 

「ああ、悠希があそこまで動いてくれたおかげでな。軽傷ですんだよ」

 

「そっか、ならいいんだけど。……にしても、なんか新しいトラウマとか出来そうな体験だったなあ、と」

そういって思わず苦笑いを浮かべる。

 

「ま、まあ思い出す前に報告しに戻ろうぜ。……でも、なにか持ってった方がいいのかね」

と困ったように誠也さんが呟いていると悠希が右腰の鞘に剣を戻し、懐から依頼書を取り出す。

 

するとそこには報告待ち、というハンコがいつの間にかされていた。

 

「……どこで理解してるんだか、つっこまないでおこうか。なんか気になるけど」

 

「気になるどころじゃないよ…。まあ、確かに知らぬが仏、なんだろうね」

 

「そうだな…。ま、まあなにも持って帰る必要がないなら安心だな」

 

「そうだね」

なんて会話をし、冒険者ギルドへと戻る私達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして戻った私達は悠希を先頭にして冒険者ギルドに入る。

受付のところまで行くと同じ人が手を振って「こちらです」と呼び掛けてくれた。

 

 

依頼書をカウンターにおくと受付の人が口元を緩めた。

「分かりました。完了した依頼の報酬はこちらになります。では、お疲れ様でした」

 

そういって袋をカウンターにおく受付の人。

 

「うん、また今度ね」

といってカウンターから離れる。

蜘蛛関係の依頼はもうあんまり受けたくない。

あいつ、撫でてくるし…。

っていうか虫って頭撫でてくるっけ?

 

 

「とりあえず、これでいいみたいだね」

 

また掲示板の前にたつ私達。

なんか忘れてる気がする…。

 

「そうみたいだね。ところで俺達なんか忘れてないか?」

 

私は首を一度かしげてから

「気のせいじゃないの?」

といってみた。

 

私自身、まだ思い出せてないし。

情報を調べるんだっけ?

悠希と顔を見合わせたまま、固まる。

悠希なんて腕を組み出した。

 

「あ、情報を聞くんじゃなかったか?見た分の」

 

「「……あっ」」

 

そっちを忘れてたなんてね。

悠希の顔を顔だけ動かして見てみる。

 

「ま、まー…聞くのを抜きにしてもそれなりの情報が得られたんじゃないかな?」

 

「ああ、そうだな。それとも聞くのはまた今度にするか?」

 

「それでいいんじゃないかな。今は全部把握しきれないだろうし、出来ても今の私達じゃ厳しいんじゃないかな。ゆっくり現状を知っていこう?」

とそういって私はおどけたように肩をすくめてみせた。

 

「それもそうだね。…ところでリーシャ。精霊はまだ平気なの?」

 

ああ、もしかして精霊との契約に関する話かな?

まあ、聞いてみるかな。

ついてくるか、ついてこないかって。こないんだったら1人だし、来るんだったら少し離れたところにいてもらわないとだし。

 

「そうだね、そろそろだよ。そうなると悠希達は一緒に来るか別行動って選択肢があるけど…どうする?」

 

「俺はリーシャと一緒に行くよ。精霊とか見てみたいしね」

 

見てみたいって…。

まあ、いいけど。

 

「誠也さんはどうする?一緒にきてもいいし、こなくてもいいよ。ただ来るんなら一つだけ守ってほしいかなってのがあるけど」

 

困ったような笑みを少し浮かべながら誠也さんにも聞いてみた。

 

「俺もいいのか?いいのなら超興味あるし、行きたい。んで、守ってほしいのってなんだ?」

 

「あ、それは俺も気になる。なになに?」

 

2人共、興味津々で聞いてくる。

そんな興味の出るようなことじゃないんだけどなあ。

別にいいけど。

 

「私が契約する前後は少し離れたところで黙ってみててほしいなー…ってことだけだよ。それだけやってくれればいいよ」

 

「分かった。それだけならいいよ」

 

「我慢はしてみるよ。できなかったらごめんな」

 

いや、それはちょっとなぁと私が思って苦笑いを浮かべると悠希が左腕を自身の腰に当てた。

 

「その時は無理矢理でも口を押さえて静かにさせてあげるよ。口元だけだから大丈夫だろうしね」

 

「あ、普通に黙っとくわ。心の中だけでハイテンションになるわ」

 

なんか知らないけど、話はまとまったみたいかな?

んなら、そろそろ行けそうだね。

 

「んじゃ、飛行船で行こうか。そっちの方がいいし」

 

「はいよ。あ、その袋は俺が管理するわ」

そういって手を差し出された。

 

「はいはい、分かったよ」

と私は返して適当に渡した。

 

それを見て誠也が笑った。

いやいや、面白いところなんてなかったと思うんだけどな?

 

「じゃあ、行こうか」

その私の一言をきっかけに冒険者ギルドを出たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――優季(ゆうき)視点

 

飛行船の乗り場についた俺達は3人分でチケットを買うとお土産屋を見て回ることにした。

親に土産(みやげ)を買うのを忘れたとかそんなんじゃないらしいけど…多分迷子が出たり、俺達と一緒に色々なところへ向かったからつい、なんだろうな。

 

……ってそうなると結局忘れたってことになるのか。

そうか。

 

 

「色々あるね、お土産。下手したらいっぱい買っちゃいそう」

そう言いながら笑うリーシャ。

 

「だから俺と一緒に、なんでしょ?誠也は『俺もなにかしら一つか二つ買っていく』って言っていっちゃったけどさ」

 

すぐ隣のお土産屋に、なんだけどね。

 

「いいんじゃないかな、それも。都市限定のものとかあるんだろうし」

そういって表情を緩めるリーシャ。

限定のお土産、か。

そういや最近トランプ以外に実用的なものが増えたらしいからね。それでも買いにいったのかな?

 

 

「ああ、そうだね。リーシャにも一つ買ってあげるよ」

 

そういうとリーシャが驚いたような表情を浮かべた。

いや、そんなに意外なことじゃないと思うんだけどな。

転生してから初めて、だからなのかな?

 

「あ、ありがとう。でも、買うかどうかは悠希に任せるよ。私はなんも言わないでおくね」

 

「……そっか。分かったよ」

 

「うん、それに…私に欲しいものを聞いてそのお土産を買ったらお土産で返すからね。ループしちゃうよ?」

 

何故かそういってきた。

まあ、確かにその繰り返しはある意味大変なことになるね。

どれを買ってあげるかとかそういう意味で。

 

…なら。

「俺も一つか二つぐらいは買ってくよ。時間も平気そうだしね」

 

「そうだね。ここ以外にもあるみたいだし、あとで3人で行ってみる?」

 

「そうだな。んじゃあ、ちゃっちゃと買うわ。誠也にも言わないといけないしね」

 

そういうと俺とリーシャはお土産を集中しながら見て、選ぶことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくしてお土産屋とお土産屋の間で合流した。

 

「いくつ物買った?」

 

なんとなく気になって聞いてみた。

因みに俺は1個。なんとなくハンカチを買ってみたってだけなんだけどね。

絵柄が三首の犬をデフォルメしたものだったからつい衝動買いしてしまった。

 

「私は2つかな。白いハンカチと精霊とかがたくさん載った本かな。…でも、どうやってこの本を作ったのか疑問だね」

 

「方法はないわけじゃないだろうけどな。協力してもらうとかそんなん。っていうか、そういう本あるもんなんだな」

 

確かに…。

あとで読ませてもらうかな。

 

「それで誠也はなにを買ってきたのか、聞いてもいいかな」

 

「俺は初心者向けの属性魔法について書かれた本だ。悠希、あとで一緒に読もうぜ」

 

と笑顔で誘ってきた。

初級でも覚えたい、か。

それには賛成だな。

その分、戦闘のレパートリーとか色々と増えるしね。

 

「おっ、いいのか。なら、そうさせてもらう。因みに俺は三首の犬がデフォルメされたハンカチね」

 

「そ、そんなの売ってたんだ…」

と何故か半目で見てくる。

売ってるのが不思議だったのかね。

 

「確かにな。まあ、そういうこともあるだろ。あとの続きは飛行船で話さないか?」

 

「そっか、出る少し前から乗れるみたいなことを買ったときに言われたもんね」

そういうとリーシャは二度頷いた。

 

でも少し前って…またまた分かりづらい。

素材不明の時計でも置けばまた変わると思うんだけどな。

まあ、その時計は多くないらしいし仕方ないけど。

 

「んじゃ、そろそろ向かうか」

 

俺がそういうと2人は頷いてくれた。

それにしてもリーシャの家のある村か…。

エルフが多いだろうけど、どうなってるんだろうなー。

 

そんな思いと共に俺達は飛行船に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――碧喜(たまき)視点

 

しばらくして、飛行船は森の近くにある飛行船場に止まった。

降りるなり、森の方を見て夏だなあと思った。

 

青々しい木々。冬になると葉っぱがなくなってすっごい寒いけど、季節が分かりやすくていい。

 

「なるほど、あの森にあるのか?」

 

そう言いながら私の視線の先にある森を指差す悠希。

 

「うん、そうだよ」

といって頷いた。まあ、そこの住民と一緒じゃないと行けないような村じゃないんだけどね。

 

道ならちゃんとあるし。

 

「へぇ…。外から軽く見ただけじゃ分からないな」

 

「どう見ても森だしね。でもエルフのいる村は大体こうだからね?」

そういって私は苦笑いを浮かべる。

 

見たことはない、とは言えなくなった。

というか、自分でそう言ったから見たことないっていうの難しくなっただけなんだけどね。

一応どこも似たようなものだと、長老が言ってたしそうなんだろうけどさ。

 

「んじゃあ、行こっか。エルフの村へ」


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