そちらもゆっくり投稿していきますので、どうか生ぬるい目で見ていただければ幸いです。
では、下から本編になります。
※サブタイトルを分りやすくしてみました。
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依頼を受ける人用の受付(さっき入口で見たカウンターは右側で、こっちは左側。どっちも窓口は3ヵ所)のところへさっきの『巨大蜘蛛退治』という依頼の紙を見せに向かう俺達。
ちょっとリーシャの顔が嫌そうに見えるのは蜘蛛が苦手だからなのだろうか。
ごめんね。でも、多分簡単で収入がよさそうなのがこれだったから。
本当はゴブリンとかダンジョン調査でよかったんだけど、次…ね。
そう思いながら、受付まで近づくと受付に立っている左の若い女性が手をあげた。
「こんにちは。こちらで受注を受け付けています。今、手に取られているそれをお受けになるのでしょうか?」
「うん、そうなんだ。俺とこの2人で、受けたいんだけど…」
と、そう言いながら俺はその人の前にあるカウンターに依頼書を置く。
「はい、分かりました。ところで、こちらは初めてのご利用ですか?」
「ああ、うん。初めて、だね」
「そうですか。えっと、冒険者としての登録で大丈夫でしょうか?」
「うん、皆もそれでいいよね?」
といって半身だけ振り返って2人にそう聞く。
「それについては大丈夫だ、問題ない。むしろなったらなったで、季節ならではの依頼とか受けやすくなりそうだな」
と誠也がいい、リーシャはただ無言で頷いた。
多分『それで平気。問題ないよ』って意味だろうけど…前世で同棲してた俺じゃなきゃ想像するのも難しいと思うんだが。
その様子を見聞きしていた受付の人はカウンターから手形のくぼみがある薄くて小さなものを取り出した。
「では、こちらで左手を登録してもらえませんか?あと名前もよろしいでしょうか」
異世界ファンタジーの欠片もないな。
いや、トランプとかそういうのが量産されてるんだからそれっぽいのはあるのか…?
そう考えているとリーシャが先に左手でやっていた。
「って、リーシャ…お前…ためらいないな」
「そりゃあね。しておいて損はない。あ、そうだ。受付の姉さん、近いうち精霊と契約するんだけど、それについては大丈夫かな」
「はい、分かりました。では、リーシャ様は精霊使い見習いで受けさせてもらいますね。ですので、精霊と契約してもそのままで大丈夫です。お二方は冒険者として、となりますけど宜しいでしょうか?」
「ああ、平気だ。んで、これだな?」
そういって誠也がそれに手を当てる。
それを見ると受付の人はリーシャに氏名を書く紙を手渡していた。
俺はため息をつく。
「分かった。先に氏名を書く事ってできるかな?」
「はい、できますよ。こちらに…よろしいでしょうか?」
そういった受付の人はリーシャに渡した紙を俺にも渡してくれた。
それから少しして登録を終えた俺達は、依頼を受けて例の場所に向かった。
徒歩で向かったため、それなりの時間がかかったものの、なににも遭遇せずに行けた。
「ところで蜘蛛の巣もでかいのかな」
つくなりそういったのはリーシャだった。
「でかいんじゃないかな?ほら、巨大蜘蛛っていうほどなんだし」
「それもそうか…。……うん?」
話しているとふいにリーシャの体が浮いた。
「リーシャ、どうした?いつ飛べるようになったんだ?」
「わ、私…飛べるようになってなんかないよ。それに…そんな魔法なんてあるのかな」
そう言われ、腕を組んで首をかしげる俺。
「なんなんだろうな…」
そう言っている間にどんどんリーシャの体が空中に浮かんでいく。
でもずっとではなく、途中で止まった。
「おー…なんか結構浮いたよ?大丈夫かな、私」
そう、上から話してきたので必然的に俺と誠也は上を向いた。
「なぁ、あれ…教えた方がいいかな」
「多分な。逃げれるかどうかはともかくとして」
とこそこそと相談し始めた俺達をよそに上ではもうことが始まっていた(らしい)。
「っていうか、あれはあれでそれなりの高さが……うん?」
そこまでいって上を見上げてみる。
巨大蜘蛛がリーシャの近くにいて、当の本人はその蜘蛛を目を見開いて凝視していた。
それで俺が見たときはちょうど、巨大蜘蛛がリーシャの体を糸でぐるぐる巻きにしているときだった。
「そうだな。…って突然どうした?」
といった誠也も顔をあげて、ようやく気づいたらしい。
「「……あっ」」
「ちょっとそうじゃなくて助けて!?」
と叫んできたので俺は誠也の方を見る。
誠也も俺の方を見てきていた。
「なにげに体だけにしているんだな。あれ」
「しかもさっき、前足で頭を撫でようとしていたように見えなかった?」
なんて話していたら叫び声が聞こえてきた。
再度、上を向くと前足のひとつで頭を撫でられていた。
「なんか大丈夫なんじゃないかな、あれ」
「でも依頼…討伐しないと終わらなくね?」
「あ、それもそうか。んじゃ今から助けるわー!」
大きな声でそう伝えるとリーシャとその頭を撫でていた蜘蛛が一緒にこちらを見た。
「おっと、こりゃまずいね」
そういって右腰に指してある
女であれなら男はどうなるか分かったもんじゃないし。
「その先にどうにかすりゃ大丈夫だろ」
と言いながら短剣を左腰から取り出しているけど、魔法をまだ知らないからなのかどう立ち回ろうか悩んでいる顔をしている。
「ああ。来いよ、スパイダー。糸の貯蔵は充分か?」
「い、いきなり性格が変わったな。別にいいけどさ…いくぞ!」
そう話していると蜘蛛も巣から降りてきた。
やっぱりサイズはでかい。
どうにかして倒してリーシャを降ろすしかない。
だからこそどうにかする。
「――ああ、そうだね」
そういって2人同時に蜘蛛へ肉薄した。