ファンタジーライフを投稿させてもらっている篠崎零花です。
因みにこの小説……今さらなんですが、季節がありまして夏です。
分かりやすいよう季節感も出していく予定です。
※誤字を訂正しました。
※サブタイトルを分りやすくしてみました。
――
洞窟を出た俺達、それと紗耶香は魔物と遭遇した。
いや、遭遇するの早すぎるよね。
目の前にいる魔物は少なくて3体。
でも、さっきから見てるとぷるぷると震えるその透明な水色の水滴の形によく似た体、前を見るためだろう2つの目と思われる黒色のなにか。
「うん、なにあれ」
思わず俺はそう呟いた。
前世では確かにゲームとか色々やってたけど、基本一人称視点とか三人称視点の対人戦が主だった。
銃撃戦みたいなのもかなりやった。
ロールプレイングゲームも少しはしたけど、こんなのいたっけ?
「あ、あー…。そこにいるのはスライムだね」
と後ろからいつの間にか前に出てきたリーシャがいった。
「え?スライム?あれが?」
「うん、そうだよ。その状態なら弱いし、倒すとゼリーになるからなにかと使えるよ」
なるほどなるほど。
スライムゼリーは使える、と…………えっ?
俺はリーシャの方に顔を向ける。
「とりあえず倒そっか。あ、
「あ、いいですよ。弱いと言え、油断せず倒せば私でも平気なはずですから」
紗耶香はそういうと「あっ」と呟くとそのまま続けて
「援護はお願いしますね。あと朝の挨拶も」
と補足するかのようにいった。
「援護はしてあげるけど、朝の挨拶は言葉だけで我慢してほしい、かな」
「仕方ないですね。あとで勝手に挨拶代わりのボディータッチをしますから」
「いや、勝手にするのも駄目だからね!?」
そうはなしながらスライムに近づくと、ある程度の距離から攻撃を始めた。
紗耶香は双剣(どっちも短剣らしい)を使い、リーシャは火の玉や氷の粒といった魔法のみを使っていた。
距離をとってあったのもあるのだろう。
3体いたスライムは反撃もむなしく倒されましたとさ。
でも、最初に話している間に攻撃すれば…って跳ねたり体当たりのようなことしかしてないのを見ると不意討ちも厳しそうだな。
そりゃ油断しなければ大丈夫、といえるのかもしれないけど…あれでも魔物だし…なんとも言えないね。
「これがスライムゼリーだよ」
落ちたゼリーを持っていた小さめな袋にいれると1つだけ拾って見せている。
「へぇ、それがなんですか」
「そんなのがいたりするんだな」
と誠也も近づいてリーシャが持っているゼリーをまじまじと見る。
「案外料理とかに使われてたりしてね」
と冗談気味にいい、笑う。
「あ、いや。それが本当に入っててね。料理以外にも使われているみたいだけど」
「そ、そうなんだ…」
じょ、冗談でいったのにな。
そう俺は思った。
「というか…しれっと持って帰るんだね、それ」
「まあね。スライムゼリーって使わないんだとしても道具屋とかに売れるし」
「そ、そうなんだ…」
それから、町へ向かって歩き始めた俺達。
「そういえば、町や都市だけらしいわね。時間が分かるのは」
といきなり母さんが言った。
「あれ、そうなんだ。ない場所の方が少ないと思ってたんだけど…」
俺がそういうと
「私が住んでる町にはないよ?だから時間なんてざっくりと決めてて…」
「私のところもないので、リーシャさんと一緒ですね。ただその分は頭の固い人達がどうにかしてくれています」
リーシャがそういうと
「そうだったんだ…。と、なるとドラゴニアとかジャイアントのところもそうなのかな」
「話によるとそうらしいわよ。ドラゴニアのところは日差しでどうにかしているって噂だけども」
そこまで話が進むと疑問に思うことが1つある。
それは町や都市に存在する時計の素材。
なにで代用しているんだろう…。
そう考え、聞こうと思ったとき
「なぁ、だとしたら町とかにあるあの時計はどう作ったんだ?というか時計ってそう簡単に作れるものなのか?」
と大体聞きたいことを誠也が聞いていた。
「いってもいいのだけども…あくまで噂よ?それでもいいのなら、答えるのだけども」
本当はそっちが本来の性格なのかと聞きたいけど、時計の方が気になるしね。
それに父さんを信頼してた、ともまだ言えるかもしれないし。
そうなると信頼しすぎと思えるかもだけど。
「俺は構わん。噂でも前からあるって言われたら気になるしな。悠希はどうだ?」
「そうだね…。今は噂に留まっているんだとしても、もしかしたらそこから分かるかもしれないし」
俺達2人にいわれ、小さく頷く。
「分かったわ。それはね……”祖龍”がもたらしたって話なのよ」
「な、なんか一狩りされそうな感じだね」
「ひ、一狩り?どういう意味なのかしら、それは…」
きょとんとした表情を浮かべる母さん。
なんでだろうか、とそう思った時に心を読んだかの
「一狩りっていっても分からないと思うよ。フロンティアとかそういう現代にあったものがこの世界にあるわけじゃないんだから」
と耳元にささやいてくれた。
そのためにわざわざ近付いてくれたらしい。
そして、俺が離れるとリーシャは
「一狩りっていうのはさっきのモンスターを倒す行為とかだよ。こう、普通に倒すより一狩りの方がなんかそれっぽくなるでしょ?」
といっていた。
そうか、必ずしも異世界とか転生とか、そういうのを理解してくれる人ばかりじゃないしね。
しかもはなしてないし。
話をしても信じる人が多いわけじゃないだろうしなぁ。
今さらになって気づかされた。
「なるほど、そうだったのね。息子とはいえ、たまにはそう格好よく言ってみたい年頃だものね。つい失念していたわ」
といって俺に優しく微笑むと再度歩くために前を向いた。
…思春期だと思われていたらいいんだけど。
――休憩とかをはさんだから、町につくのにかなり時間がかかってしまった。
多分徒歩だっていうのもあったのだろうけど、そこまで離れていなかったことに感謝だね。
でも、町について目についたのは半壊状態の家やでこぼこになってしまった道など。
赤い液体のようなのも所々見えるが、倒れている人は何故かいない。
「…因みにリーシャ、1つ聞いていいかな」
「うん、いいよ。と、いうか悠希達に隠すことなんてないから普通に聞いてほしいな。…聞かれる場所によるけど」
そういってくれたので、
「なるほど。ならさ、エルフって精霊と契約したら敵意とか感じないの?」
と聞いてみた。
「ああ、それ?うん、そうだね。なにせ『精霊と契約するまで』を条件にした魔法らしいからね。因みにこれ、親は子供1人につき一度しか使えなくて重ねてかけることはできないんだって…そう、両親から聞いたよ」
どんな魔法だよ…。
そう思ったけど、もしかしたら危機察知能力とかを上げてるだけかもしれない。
精霊が必ず見えて、魔法も使える。
俺の知る条件だけでもこうなのだから、自衛の一つもできないと辛いのだろう。
「なるほどね。でもそうなると、混血児になったらどうなるのかって聞いた?」
「あー、それはなんとも…。それに私もそっちの話は聞かなかったからなぁ。混血の人なんて村にもいるし」
「えっ、都市以外にもハーフヒューマンなんていたのか!?」
その言葉を聞いて驚く誠也。
だけど、俺はお前の声で驚いたわ。
そりゃいるでしょ、例えハーフだとしても自分の住む家が、村や町があるんだからさ。
「う…うん。いるよ、普通に。そりゃまがりなりにもエルフなんだし…」
「そ、それもそうか。半分とは言え、エルフなんだもんな…」
「んで、そういう人が住む村より都市や俺達の住む町のような場所の方が生きやすいってのもあるんだろうね。それでこっちでも見かけるんじゃないのか?」
なるほど、納得といった表情で俺を見る誠也。
お前にも抜けてるところ、あるんだな…。
そう思っているとリーシャが突然呟いた。
「……若い精霊達が驚いてる……?」
「ど、どうしたいきなり。町なんだから精霊なんてあまりいないと思うんだけど。と、いうか若いとかあるんだね」
「ああ、こういう場所なら普通にいるよ。しかも、契約できる子ばかり」
「そりゃ凄いな。んで、悠希が聞いたことを聞くようで悪いんだが、その若い?精霊が驚いてるってどういうことだ?」
横道にそれかけた話が誠也がそう聞いたおかげで、リーシャも気づいたらしく「あっ」とかいっていた。
「それがね…大きな音に驚いてるんだけど、その発生源が広場みたいなんだ…」
そういうリーシャの顔はどこか気まずそうだった。