ですが、私なりに完結まで頑張っていきたいと思います。
因みに下から本編です。
※サブタイトルを分りやすくしてみました。
――
…まぁ、正直いって遠回しな言い方をする父親だった。
あの時が一番分かりづらかったけどね。
「……ところで母さん。あの洞窟の中にいるの?そのドワーフが本当に?」
半目で目の前にある俺達なら簡単に通れそうな洞窟の入口を見ながら聞いた。
「ええ、そうよ。…って、馬車から降りるときに教えたじゃない。どう見ても普通の洞窟だけども、ドワーフはそういうところに住むんだって」
母さんも洞窟の入口を眺めながら答えた。
「そ、そういうものなんだね…」
とだけ呟いて今度は洞窟の入口を少し見上げてみる。
やっぱり自然すぎて分かりづらい。
奥を見るとちょっと看板がうっすらと見えて違和感があるけど。
「本当、信じにくいけどね。でも、私も住んでいるところが森の中だからあんまりここのこと、言えないんだよなぁー…」
「しかも自分らで掘ったっていう噂だから
「ところで…。見るのはいいけども、そろそろ入るわよ。もう暗いのだから」
なんて眺めながら話しているとそう言われてしまった。
「うん、そうだね。いくら魔法を扱えるリーシャがいるからって暗い場所じゃ大変だしね」
「うん。でも、それより問題は私達と話が通じるかってところなんだけど…」
とリーシャがためらいがちに俺達を見回す。
「あー、そこは大丈夫よ。父さんが言っていた名前とかを出せばいいのだから。あとは…悠希、あなたの名前でも出してみたらいいんじゃないかしら?」
「しっかりしたな、って思ったら俺の母さんは母さんだったよ!リーシャ、精霊にここのこと知ってるのがいないか聞けるかな」
思ったことをつっこむみたいなノリで
「ん?精霊に?…いいけどさ、聞く前にいい加減目立ってると思うんだけど。それについてはどうかな」
――ああ、そうか。
リーシャだけ、耳がそれなりに長くとんがっていることを
「それもそうだね。なら、一応入ろうか。2人も平気だよね?」
「ええ、全くもって平気よ」
「そうだな…一応入った方が大丈夫そうだしな」
とそれぞれの返事をしてもらったところで、俺達はぞろぞろと入っていった。
洞窟内に入ると身長の低い人達――まぁ、ドワーフしかいないからそうなんだろうけど――が行き
そんな中、こちらに気づいた1人のドワーフがこちらに近寄ってきたけど、見た目は10代前半から後半の少女。
「あっ、あなたはエルフですか!?そうですよね、耳が短めとは言え、とんがっているんですから!」
……え?
今、俺達になにを話してきたんだろうか?
全くもって分からない。
「あ、ああ…うん。そうだけど…ってもしかして、お父さんが言ってた話、本当なの?ここに”イフリート“っていう性格が世話焼きの母親みたいな上位精霊がいるっていう…」
「そうなんですよー。そのせいか、よくイフリートと男達が言い合いをしていることが多くて困ってるんですよ。アドバイスとかくらい聞けって話なんですけどね」
「そ……そうなんだ」
何故かドワーフの少女と話しているリーシャがいきなり困ったような曖昧な笑みを浮かべた。
いったいなにを話してるんだろうか…。
「母さん…2人がなに話してるか分かる?通訳欲しいんだけど」
「…通訳できるならとっくにしてあげるわよ。誠也くんは分かる?」
「俺も分かりゃ端的にでも教えたんだが…まだ他の言語を一つも覚えてないから全然話せん。こりゃ無理だ」
俺も含め全員無理、ということになり最終的に3人でリーシャとその少女の会話の終わりを待つことになった。
「って、失礼しました。つい
「構わないよ、愚痴をこぼした方が楽になるだろうしね。うん、この人達は私の知り合いだよ。…ところでつかぬことを聞くけどさ、この言語以外で話せるのってなにかな」
「……すみません、これ以外で他に覚えているものだとドワーフ語ぐらいしか…。覚えてる人は覚えてるんですけどね。それで、なにか用があるんですか?」
「そっか…。えーと、それは待ってね」
リーシャが俺達の方に振り向いてきた。
「私がエルフだから近寄ってきた子みたいなんだけどさ、改造とか大好きなドワーフとか
「話の内容はなんだったの?」
そう俺が聞くと「簡単にいうね」とリーシャがいった。
「イフリートを契約させた人がエルフで、それ繋がりで私達のところに来たみたい。それで私達はなんの用できてるのか、だって。そう聞いてきたよ」
なるほど。
そんな感じの話をしていたのか。
「だったらまずはドワーフについて聞いてみたらいいんじゃないか?知らなかったら案内でもしてもらってもいいと思うけど…どうかな」
誠也はそういうと俺と母さんの顔を交互に見た。
「いいかもしれないわね。もしかしたら運良く見つけられるかもしれないものね」
「運良くって…まあ、俺もそれでいいと思う」
それを聞いたリーシャは頷いて、さっそく聞くことにしたようだった。
しばらくしたあと。
俺達はあるドワーフの家の前に案内してもらってそこに立っている。
リーシャが扉の前で、残る俺達はその後ろ。
「…ところでなんで私が前なの?」
「いいじゃないか、前でも。…ところでそろそろノックしない?」
そう俺がいうと半目で俺を見てくる。
よく半目になるな、リーシャは。
「まあまあ。リーシャだとなにかと楽なんでしょ?だからよ、きっと。そこまで気にしなくていいと思うわよ?」
「う……。分かったよ。ノックするよ」
そういってようやくリーシャは家のドアを三回叩いた。
重いものを置いたらしい、少し大きめな音のあと。
少しもしないうちにそのドワーフの少女と対面を果たした。
――???視点
ふむ…封印が解けてしまったか。
もう少し持ってくれるとばかり思ったんだがな…。
そう思い、一旦家の外へ出る。
「そうなると俺みたいな年寄りの出番…ってわけか。参ったな」
そう呟くと
「じいさん、いきなり外へ出てどうしたんですか」
と言いながら外へ出てきた。
灰色の前横後ろがほぼ揃えられた短い髪を持つ俺の知り合い。
やっぱりその深い赤色の目と日焼けしたその肌が特徴的で覚えやすいな。
「いやな…魔王の封印が解けたような気がしてな。それで外になんとなく出たんだよ」
そういうと納得したように頷いた。
だけど、すぐに真面目な顔をする。
「そうでしたか。でも確か僕の記憶が正しければ前みたいにダンジョンにだけいたはずの魔物などが外にも出てくるようになってしまうのでは…?」
「お前はドラゴニアになる前からそうやって気配りのできる男だったな。悪く言えばお人好しだが。……そうだな。前に魔王が現れたときみたいになるだろうな」
「それじゃ大変じゃないですか!どうにかしないと」
「どうにかするのはいいけどな。お前、こういうときこそ冷静にならにゃ助けられるもんも助けられないぞ。手から余計に命がこぼれ落ちる。それは良くないと暴れる祖龍を大人しくさせる時に教えたじゃないか」
と相手の言葉を遮ってまでいった。
そう言われると申し訳なさそうにする。
「は、はい。分かりました…。でっ、でも今回も封印するわけには行かないと思います。だからといってまた僕達が倒しにいくわけにもいかないでしょうし」
「ああ、そこなんだがな…
そういって俺は腕を組んだ。
「それって…じいさんがデュランダルっていう切れ味のいい剣を使ったからであって貴方の孫にはないんじゃないですか?」
と俺の孫を心配してなのか、そういってくれた。
やっぱりお前を選んでよかったよ。
「いんや、そこは大丈夫だ。デュランダルより白く、世界を救うかもしれんあいつに持たせるにぴったりの剣があることを知っててな」
そう言いながら俺は右手の人差し指だけをたてる。
「そ、それってなんですか?」
不思議そうに首をかしげる。
そうか、まだ
「この家にはないんだけどな。……名をエクスカリバー、という」