ファンタジーライフ ~転生先は異世界でした~   作:篠崎零花

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風呂回をやってみました。

誰得ですが、こういうサービスシーンもひつ…え?そうでもないですか?

まあ、上手く書けたか自信はありませんが、本編は下からです。
平気な方、寛容な方などは適当に読んでやってください。

※サブタイトルを分りやすくしてみました。


第14話 風呂にハプニングはつきものなのか?

――優季(ゆうき)視点

 

「ダンジョンが?でも、本来は難易度が変わることなんてない。そのはずだろ?」

と俺は疑問を抱きながらいった。

 

リーシャもダンジョンの存在は聞いていたのか知っているらしく不思議そうな顔をしている。

 

「あまりにも突拍子(とっぴょうし)な話になるんだけど…(なに)かが起きかけてる、とか?そんな感じなのかな」

 

「なんとも言えないのが現状だな。根拠があるとは言えんし。…ただ、冒険者ギルドができるって話もある。こっちは根拠があるらしい」

 

リーシャは首をかしげた。

 

「ダンジョンが発見されてから大分(だいぶ)()つはずだけど…なんでこの時になって()てるんだろうね」

 

それには俺も頷いた。

とはいえ、それにしたって不思議だ。

 

「でも、それも噂っていうか話に出てるんだよね。俺はそういうのとか気にしてなかったから知らないけど、誠也(せいや)(なに)か聞いてる?」

 

「少しは、な。だから俺の想像も含めて話す。多分今まではダンジョンと言えば危険。だからあまり行く奴もいなかったし、そういうのも必要なかった。でも最近になって唐突(とうとつ)に内部のモンスターが(なん)らかの理由で変化した。そうだと、俺は思っている」

 

というと俺達の顔を見てきた。

はぁ…と俺はため息をつく。

 

「その(なん)らかの理由…が分かれば苦労しないんだろうね。しばらくしても結果が出ないなら俺達で調べに行かないか?」

 

そこに紅茶を一口飲んだリーシャが

「でもダンジョン…入ったことある?最初は安全から入って肩慣らしとかするもんなんだよ?」

といってきた。

 

なるほど、入ったことでもあるのかな?

そう思いながら俺も紅茶を 啜(すす)り、クッキーを一つ食べる。

 

「その言い方だとリーシャさんは入ったことでもあるのか?感じからして無さそうに思えたんだけどな」

 

「あー…。一応は、ね。安全判定されていたダンジョンが近くにあったもんで、よく連れていってもらってたし」

 

驚く誠也(せいや)にリーシャが曖昧な笑みを浮かべながら教えた。

 

「なるほどね。でも、どうする?今や素人の俺達でもクリアできたかもしれないダンジョンでさえ危険になっているって感じだし。…話の流れでいくと、だけどね?」

 

「うーん…どうしたものかな」

そういうとリーシャは自身の腕を組み思索(しさく)にふけはじめた。

 

「ま、まあ…今日はもういいんじゃないか?明日にしようぜ。多分その方がいいだろ。それよりも……俺の分のチョコクッキーを1枚でもいいから残しておいてくれよ!普通のクッキーしか残ってないじゃないか!」

 

そう不満に思うのも無理はない。

なにせ話している最中、たまにチョコクッキーを俺とリーシャが食べていたから。

 

「いやぁ、悪い悪い。やっぱ考えると頭使うんでね。美味しい方をもらったぜっ」

俺はそういってニヤァとしたり顔を浮かべる。

 

リーシャにいたっては申し訳なさそうな笑みを浮かべ

「ご、ごめんごめん。ミルククッキーも美味しいんだけどさ、チョコクッキーも美味しくて…」

といった。

 

「だ、だからって1枚も残さないのは酷いじゃないか」

と言いながら誠也は机を両手で軽く叩く。

 

「なら今度、クッキーでも作ろうか?…リーシャと作るけど」

そういってからリーシャをちらっと見る。

 

リーシャは驚いた表情をしていた。

けど、気にしない。

 

「おっ。ならミルククッキーとチョコクッキーとチョコチップクッキーな?枚数は任せるが、その三種を作ってもらいたいんだが」

両手を机の上にのせながら前のめり気味(ぎみ)になりながら真顔でいってきた。

 

「わ、分かったよ…。リーシャは大丈夫?クッキー作りとか一緒にやってもらっても」

 

「うん、大丈夫だよ。でも、枚数はあとで決めようね」

俺が聞くと頷いてから返事をしてくれた。

 

「なら決まりな。残りのミルククッキーは全員で分けて食おうぜ」

それに対し俺達は頷いた。

 

 

 

 

 

そんな話をしてから少しもしないうちにリーシャがミルククッキーを手にしながら

「…村で食べたことのあるクッキーよりサクサクしてて美味しい。やっぱり木の実じゃないから…?」

なんてどこか懐かしそうにいった。

 

…いいね、エルフは。

何故か誠也(せいや)が「それは悠希が作ったんだ。今度、また集まるときにでもお前をまた誘ってやるよ」とか優しく笑みを浮かべながら言うほどだからね。

 

……って、誠也はエルフについて知ってるのか。

あとで俺が忘れてなければ聞いておくかな。

 

「誠也、でも問題がある」

残りのクッキーを食べてからそう俺はいった。

 

「問題?場所…に関してはどうにでもなるしな。もしかして、リーシャとの連絡手段のことか?」

と机の上に置いたままだったカードをデッキにしまいながら俺が言いたいことを当ててくれた。

 

「そこなんだよね。リーシャを俺の家に泊めておくってのもありだけど…」

そう一度言葉を(にご)らせてからリーシャを横目で見る。

 

「あー、それなら手紙があるよ。どうしても時間差が出ちゃうから急ぎの用の時には使えないけどね」

 

「手紙か…。でも、それ以外はないしなぁ…」

 

腕を組んで俺が悩んでいると

「あ、なら悠希のところでよさそうだな。リーシャの親には手紙を出せば平気だろ」

と誠也が言ってきた。

 

「そ、そういう問題か?……リーシャは?」

 

そう聞きながらリーシャを見るとデッキケースに俺のカードを入れていた。

 

「ん?あ、ああー…。多分平気だよ。なにせダンジョンに普通に自衛ができるようにと連れてく親だしね」

 

うん、それは普通に教えた方がもっとも安全で手っ取り早いと思うんだけどな。

 

「変に(おそ)ったら返り討ちにあいそうだな、こりゃ」

 

なにを考えてるんだ、誠也よ…。

 

「やらなきゃいい話でしょ?あ、こんな感じで大丈夫だった?」

半目で呆れたように誠也にいったと思ったら次に俺に振ってきた。

 

見せてきたデッキケースの中身は前にメイン、後ろにエクストラが入ってた。

確かこれは…癖だな。

「あ、ああ…ありがとう。悪いね、リーシャ」

 

「それならよかった」

そういってニコッと笑った。

 

誠也はその様子を不思議そうに見ていた。

 

 

 

そういえば、聞いてないことがあったな…。

忘れる前にでも聞くか。

 

そう思って前にいる誠也を見て

「あ、そうだ。誠也、風呂はどうする予定なのかな」

と聞いた。

 

「あー、それは忘れてたな。お前の家の風呂って借りてもいいか?」

 

「平気だと思うよ。父さんと母さんはよく外で風呂に入ってるしね。なんでそうしてるのかまでは聞いてないけどね」

 

「おっ、なら行かせてもらうことにするわ。あとそれはお前が信頼できる息子だからだろ、きっと」

 

誠也がそういった時、なんかリーシャが「自宅警備する息子…?」とかって小さく呟いていた気がするけど、つっこまないでおく。

 

「どんなんだし…。あ、リーシャは俺の家でいいからね」

 

「分かった。でも、1人で入るからね?」

 

その言葉に対して俺は首を横に振り

「入ったりはしないよ。だから安心してほしいな」

といった。

その時に誠也が企んでいるような顔をしていた気がするけど、横目でチラッと見えたぐらいだし多分気のせいだね。

 

フラグになってないといいんだけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくはサモンゲームやらなんやらと遊んだりしていたら夕方になっていて、リーシャと共に俺の家へ。

 

帰って少しもしないうちに夕食の準備をリーシャが手伝ってたけど…魔法で野菜を炒めるのはどうかと思うよ。

あのかなりおっとりした母さんが珍しく目を丸くしていたし。

 

 

食べてから家においてある時計で30分か40分かそのぐらいした時に誠也(せいや)が入ってきたのか扉の開閉音がした。

俺はリーシャと共にリビングにいるのでそっちまではここからじゃ見えない。

 

「こんばんはー」

 

「あら、誠也君。こんばんは」

 

「おっ、こんばんは。今日は泊まるのか?」

 

俺の父さんがそう質問したのが聞こえた。

 

「はい。泊まりにきました。あとは寝るまで俺達でも大丈夫なんで」

 

「そうだね、悠希と君がいれば大丈夫だろう。なら、あとは任せたよ。それじゃあ、僕達は行こうか」

そういう声がしたと思うと

「ええ、そうね。特にあの子は問題なさそうだものねぇ」

と母さんの声がした。

 

どうしたものやら…と思っていると

「本当に任されてるんだね。ある意味信頼されてるというか、なんというか…」

俺の前でリーシャが困惑した様子で呟いた。

 

 

「ん…?ああ、なんでか知らないけどね。別に気にしてはなかったけど」

 

わりとどうでもいいし…。

聞いてもいいけど、知るならこの世界の二次元を探りたい。

リーシャ、お前は肌白すぎて二次元からこんにちはした人みたいだぞ。

 

……と考えてるなんて本人には言わないけど。

 

 

「そ、そういうものなんだね。因みにつかぬことを聞くけどさ、この町に混浴できる風呂場なんてあるの?」

 

そう聞かれて『あぁ…やっぱり不思議に思うか』と思った。

 

「それがあるんだよ。しかも混浴できる場所だけ、体を洗う場所が別にある」

 

「不思議だよなー。その上、まさかの脱衣場と風呂場の間にあんだから」

 

玄関の方から来ながらそう話す誠也(せいや)

 

「……つまり、そこはタオルを巻いて入るのかな?」

 

「「そうなるな」」

 

今日、珍しく誠也とハモった気がする。

でもハモるのも無理はないさ。

俺達は入ったことあるんだし。

 

「そ、そうなんだね。ある意味心配になるけど…。はだけたりとかそんなのありそうだし」

 

「その話はたまにしか聞かないね。あったとしてもふざけてお互いのタオルを下ろしあった結果らしいし」

と言って俺はついさっきリビングに来た誠也をジト目で睨み付ける。

 

「た、確かに俺もやってるけどそこまではしてないからな!?」

 

「やってるんだね、あなた達も。そういうおふざけ」

そういうとリーシャは半目になって俺達を見てくる。

 

「いや、俺はやられてる側だからね!?抵抗しないとタオルが落ちて大事なところが他の人にも見られるんだぞ!?」

と机を叩きながら叫ぶ。

 

結構大事なことだしね。

俺で話題にされては困る。

 

「なるほど。誠也さんの言い訳はあるかな?」

その半目のまま、誠也へと視線を移すリーシャ。

 

「そ、それはだな……。ないっ!」

清々しいほど素直にいった。

 

「わぁ、とても素直ですね。ということは人々の目に友達のソレをさらけ出さして笑うド変態さんなんですね。ドン引きものですね」

半目で誠也を見ているが、さっきより呆れたようにも見える。

 

「そ、そういうのじゃないからな!?っていうか何気に黒いな…」

と言い終えると困ったように小さく曖昧に笑っていた。

 

「うん、気のせいだと思うよ。因みに湯浴み(ゆあみ)の順番とかって私が先でも平気かな?」

 

湯浴み?

いきなりそんな単語を出されたので、俺は思わず首をかしげた。

 

「湯浴み…?どういう意味なんだろう」

 

「順番って言うぐらいだから風呂のこと…なんじゃないか?」

 

誠也すら分からない、という風に首をかしげている。

 

「あ、ああー…。誠也さんのであってるよ。湯浴みはお風呂のことなんだよ。私の村ではよく風呂に入るときとかのことを湯浴みって言っててね。その癖でも出ちゃったんだろうね」

 

「なるほどな。なら、俺はすこーし悠希とサモンゲームをするから先に風呂に入っててよ。悠希もいいよな?」

 

「またするのか。いいけどさ…。ああ、いいよ」

呆れたような顔を浮かべ、頷く。

 

その時にチラッと見えた誠也の顔はなんか悪巧みしているような顔に見えたような気がした。

 

――実際そうだったらしく、まさかあんなことになるなんてその時の俺には知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――碧喜(たまき)視点

 

先に風呂に入らせてもらえる、ということなので入ることにした。

 

あの2人はまたサモンゲームをするらしい。

そのうち私も“また”やってもいいかな。

ルールとか色々違う点がありそうだけど。

 

 

脱衣所へ入る扉を開け、入る。

 

洗面台が正面に見えて、左横に棚が置いてある。

そのかごが棚に5個ほど並んでいるのを見る限り脱いだ物をそこへ入れるらしい。

 

それを見てまず上に着ていた服を脱ぎ、かごへいれる。

 

「……んっ」

私はお母さんよりかなり小さいので、あっちで言うCのブラジャーなるものと下着も脱ぐ。

 

それから風呂用と思われるタオルを借りさせてもらう。

そこまで長くないし、体を拭く用じゃないと思いたい。

 

 

それらをしたあとに後ろを振り向くと真ん中に長方形の窓がついている扉があるんだけど、もうすでに湯気で向こうが見えなくなっている。

 

開けて入るとそこまで広いわけじゃないけど、今の私の身長ならのびのびと使えそうだと思った。

 

洗う前に風呂でも入るかな。

そう思って先に浴槽へ足を入れ、そのままの流れで座る。

 

「……ふぅ」

ついそんな安堵のため息をついてしまった。

 

体とか頭とか洗うのはあとにしよう。

そう思った私はもう少し風呂に入っていることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――優季(ゆうき)視点

 

1試合だけするつもりだったサモンゲームは結局5試合してしまった。

たまに誠也や俺がトイレへ席を外したりなどをしたものの、1試合数分単位で終わるものがあったため短時間で終わらせることができた。

 

「そうだ、悠希。そろそろ風呂に入ったらどうだ?」

 

「なら、あと1試合したら入るよ」

 

そう俺が言うと誠也が困ったように笑った。

 

「分かった分かった。あと1試合な?それ以上はさすがに風呂に行けよ」

 

「はいよ。じゃあ、シャッフル(あんど)カットね」

 

「あーいよ。時間的にさっさと出来るデッキにしたし、すぐに終わるだろ」

 

「終わったら入るって。でも、どうかな?」

 

そういって再度始めたサモンゲームは俺の手札がさっきまでの5試合よりも良く、数分足らずで終わらせてしまった。

なので再戦を挑んだのだが、風呂へ入るようにと何度も言うので仕方なく風呂に入ることに決めた。

 

その時、『風呂から上がったらもう1戦してくれる』という約束も何気なくしてもらえた。

 

 

 

脱衣所へ入り、左にある棚に置いてあるかごに着ていたものを全て入れる。

そして、腰にタオルを巻いて風呂に入ろうと扉を開けたら湯気(ゆげ)で中が(すご)く見えづらい。

 

でも、誰かの日焼けの一つもしていない白い(はだ)の背中が見えた。

 

 

扉の音で気づいたのだろう。

振り向いたその誰かは……

「―――変態っ!」

といって俺に向け風呂椅子を投げてきた。

 

「ちょっ!ごめんっ!」

辛うじて避け(少し当たって痛かった)、脱衣所から出ようとするが何故か開かない。

 

何度も何度も開けようとするが、ビクともしない。

 

「…な、なんでだろう…」

と困った顔をしながら呟いた。

前みたいな関係だったら、なにもなかったんだろうけど…。

 

「……どうしたの?」

急いで体を流したのか、水滴を滴らせながらリーシャが、風呂場の扉から顔を出して聞いてきた。

それを見てすぐに俺は背中を向けた。

 

「あ、開かないんだ。だから、その…悪い」

背中を向けたまま、そう返す。

 

「それだったら…まあ、仕方ないね。……一緒に入る?」

 

「そうなんだよ。…って…え?本当にいいのか?」

 

『一緒に入る?』なんて今の関係では出てこなさそうな言葉を言われ、自分でも驚くほどのすっとんきょうな声が出てしまった。

 

「だから、出れないなら一緒に風呂に入ろうって言ってるの。ただ…体洗ってるときは目、そらしてね」

 

はあ…とため息をついて振り返る。

「分かったよ。…でも背中ぐらい、洗ってもいいか?」

 

聞かれて悩むような仕草をとるリーシャ。

だけど、数分で決めたらしく首を縦に振ると

 

「いいよ。でも背中…だけだからね」

 

といって再度風呂場へ入ってしまった。

 

あとで元凶を凝らしめてやろう。

俺はそう決めると気まずい思いで風呂場へと入っていった。


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