ファンタジーライフ ~転生先は異世界でした~   作:篠崎零花

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今更ながらこの異世界の日時は太陽暦に近いものを採用しています。

太陽は1つ、月も1つ。

今回も読みやすければいいのですが…。

※サブタイトルを分りやすくしてみました。


第12話 隠れた名店と契約精霊の進化説明

――碧喜(たまき)視点

 

2人である程度荷物を片付け、近くの食事処までやってきていた。

昼前だからなのか人はそこまでいない。

 

すんなり通された私達は2人席に座った。

 

それからお互い、別々のメニューを見て(なに)を食べるのか考えていたけど

「……し、視線が私達に集まるのは何故」

メニューを机に開いたまま置き、半目で正面にいる悠希のことを見ながら呟いた。

 

「そりゃ周りからしたら珍しいんだろうね。俺達みたいな2人組は」

見ていたのだろう、置いたままのメニューから視線を私に向けていった。

 

「そうなんだろうけど…。と、とにかく頼もうか。すみませーん、いいですかー」

と、大きな声を出して呼ぶ。

 

「少々お待ちください」という声が聞こえ、前を向くとじっと私を見ていた。

 

「なにかな、悠希」

 

「いや、なんでもないよ。でも聞きたいことができた。やっぱり魔法ってリーシャが使うようなのがあれば別のもある?」

(なか)ば真顔で聞いてきた。

 

「うん、ちゃんとあるらしいよ。こっちでは精霊魔法と属性魔法って呼んでるんだけど、違いは一つ多いか少ないか程度であまり大差ないんだよね」

 

そういうと頷くと同時に「なるほど」といった。

 

「そうそう一応教えておくね。ハーフヒューマン…分かりやすく言えばハーフエルフの人も精霊との契約の可否は個人差があるんだけど、精霊魔法を使ったり四大精霊に手助けを求めることはできなくもないよ」

 

それをきくと面白いことを聞いたというような感じの表情になった。

「なるほどね。それはそれで色々と……。ま、まあとにかく今の俺は属性魔法だけでいっかな」

なにかを言いかけたようだけどやめたようだ。

なにを考えているんだろう。

 

そう考えているとタイミングよく、なのか店員がやってきてこういった。

「お待たせしました。ご注文はなんでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

店員に食べるものや飲み物を頼んだ後。

「ああ、そうだ。これも教えておくね。契約した精霊は最初から連れ歩けたりできるんだけど、ぼんやりとした光にしか見えないんだよ。でも姿をとれるようになったら人型になれたり、獣型になれたりするみたい」

 

「連れ歩いてるのはさすがに俺でも見えるよね?」

肩をすくめてそう聞いてきた。

 

私は頷いて

「そうだね。ハッキリ、というぐらい見えるかな」

そういった。

 

なにを想像したのか、納得したような顔を浮かべた。

「まあ、でもそういうのもありだね。もし、リーシャとかが大丈夫だったら今度試したいのがあるんだ。その時もまた聞くけどいいかな?」

 

「そ、そうだなぁ…。今はまだ大丈夫だよって言い切れないけど、いいよ」

そういうとなんか楽しみなのかどうなのか。

笑ったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――優季(ゆうき)視点

 

少しゆっくり食べ終え、外に出ると昼過ぎだからなのか人通りがさっきより少し多かった。

日が、上辺りにあるせいか少し暑い。

 

「そうだ。リーシャ、図書館へ一緒に行ってくれないかな。どうも1人で行くと探しにくくてさ」

 

「探しにくい?町の図書館なんてそんなに広くないはずじゃないの?」

 

俺は首を横に二度振る。

 

「俺も最初は思ったよ。でもそうじゃなかった。そのせいで読みたい本もすぐに見つけられないんだよね」

そう話してたら思い出してきた。

乾いた笑いを思わずしてしまう。

 

「そ、そんなになんだね。分かった、行くよ」

そういうとリーシャが頷いてくれた。

 

「ならこっちなんだ。来てくれるかな」

そういって、俺はリーシャを連れてその目的地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――碧喜(たまき)視点

 

図書館の外見を見る。

うん、どう見ても…

 

「よくある少し大きめな図書館だね。広めだからそりゃ本なんて探しにくいだろうけど…想像しにくいね」

 

そういって私は腕を組んだ。

 

「中を見れば分かるんじゃないかな。ほんと、疲れるから」

というと「行こう」と半身だけ振り返り、私を見てきた。

 

冗談でしょー、なんて思いながら頷いた。

 

私達は中へ入るため、改めて入口へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中へ入るなり、私は驚いた。

ジャンル別とはいえ、そこそこの量があったから。

 

届かないほど高い本棚とかはない。

強いていうなら私の身長では届かないことかな。

悠希を見上げられるほどだしね。

 

「あー…そういえばリーシャの身長までは考えてなかったな。とる手伝いはしてあげるよ。探すの手伝ってくれるんだしね」

 

「あ、ありがとう。そうしてくれると嬉しいな」

曖昧な笑みを浮かべながら私はいった。

 

 

 

入口から少し進み、肝心なものを聞き忘れたことを思い出した。

 

「そういえば今日は(なん)の本を探すつもりできたの?」

 

そう聞くとハッとした表情になった。

「そうだったね。今日は2冊から3冊ほど読みたい本があってね。こっちの方にあるはずなんだけど…」

そういって少し奥の本棚へ向かい始めた。

私もその後を追うように歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――それからしばらくして。

 

私は図書館の椅子に座り、机に上半身を伏していた。

その反対側にいる悠希は面白そうだと言う本、剣に関する本、属性魔法に関する本を適当な順でぱらぱらと読んでは別の本を読んでいる。

 

私のは1冊。

精霊、ユニコーンなどの存在する物について記された本を閉じた状態で頭のすぐ右横に置いてある。

 

「真面目なんだかそうでないんだか…。別にいいんだけどね。それで、お目当てのはあったの?」

そう聞いてから顔だけあげる。

 

「んー、面白そうっていった奴がその一つかな。残りの2冊はなんとなくだよ」

 

「そうなんだ。…というか剣は独学だったんだね。その割にはやけに慣れていたようだけど…」

 

私がそういうとニッと口元を笑みの形にして

「気のせいだよ、それは。ところでリーシャはなんでその本なのかな」

とむしろ聞き返された。

 

私は上半身を起こし、本を手元に引きずる形でちかよせた。

「改めて知ろうかなって。初めて知ったのもあるけど」

 

そういって周りを見渡す。

そこそこの人がいるとはいえ、皆探すのに苦労しているみたい。

 

「なるほどね。さすがリーシャ、偉いなぁ」

なんて言うと机に少し身を乗り出して私の頭を()でてくる。

 

「な、なんでそんな風に撫でるのかな?とりあえずやめようか」

呆れたように半目でジッと見つめた。

 

「はいはい。それで、なんか興味のあるものでも書いてあった?」

 

「興味が出た…というかこうなるんだなって思ったのはあったよ。ほら、ここ」

 

私はそういうと本を開き、精霊のページにする。

そこには契約した精霊がどのような感じに変化するのか、というような絵が描かれていた。

 

見せた絵はぼんやりとした小さな人にも見える形の光から犬や猫などの獣の形や女性や男性にも似た人の形などが数ページに渡って描かれていて、分かりやすい。

 

「なるほど。確かにリーシャは猫っぽいし―――」

言葉を遮るようにして頬を叩く。

乗り出していた上半身を戻して座り直す悠希。

 

「猫っぽくもなんでもない。というか、なんの関係もないよね?」

 

「はいはい、そうだねー。…まあ、色々あるんだね、精霊にも」

と話していると開いたままの本を閉じ、3冊を手に持った。

 

「じゃあ、戻してくるけどリーシャも戻す?手伝うよ」

 

「あー…うん。お願いしてもいいかなー。三、四段目以降が届かなくて」

そういって私は座っていた椅子から降りる。

降りた後、机の上の本をとった。

 

やっぱり悠希のお腹か胸の下辺りしか身長がないらしくまたもや見上げる形に。

 

「分かったよ、渡してくれるだけでいいからね。それと…やっぱり小さいのは不便(ふべん)そうだね」

 

「そうだね、やりづらいこともあるから不便(ふべん)だよ」

といいながら手にした本を悠希へ渡そうと差し出す。

 

「でもそればっかりは仕方ないね。そのうち大きくなるんじゃないかな。…あ、リーシャの読んでた本は一番上のだったよね?」

 

私は頷いてから

「うん、一番上からとったのだよ」

といった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――優季(ゆうき)視点

 

「ちょっと寄りたいところがあるんだけど、いいかな?」

 

図書館を出るなり、俺はそう聞いた。

 

「そこってどういう店?言えるようなものなのか知りたいな」

 

「ああ、小物屋かな。リーシャの頭に(なに)か一つアクセサリーをつけたいって思ってね」

俺がそういうと「なるほどね」といって頷いた。

 

「こういう町だから(たい)したものはないけど、可愛いものは多分あると思うよ。ついてきてくれるかな?」

 

「そういうのもあるの?いいねぇ…。あの村にもあるっちゃあるけど、どの服にもあうような無難(ぶなん)でシンプルなものが多いし。お土産はもうちょっと種類が多いけど」

 

(うらや)ましい、って言いたいのが分かるほどの表情でいうリーシャ。

 

お、お土産だけはしっかりしてるんだね。

フォローとして『どの服にもあうシンプルなアクセサリーもいいと思うよ』とか言いたいけど…どうしたものか。

 

「まっ、まあ行こうか。こっちにもシンプルなものが少しあるかもしれないし、ね?ね?」

苦笑いを浮かべながらそういった。

フォローになっているかどうかはさっぱりだけど。

 

「…とりあえずそうする」

リーシャがそういったので、行くことになった。

 

俺もあとでちょっとした場所に寄らせてもらおうかな。

そう思いながら。


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