毎日鎮守府   作:馬鹿とオタク

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はい、前回とちょっと差が開いちゃいましたね。
まあ、週1を目指してるんでまだペースは落とさずにいたいですね。

あと今回の建造の時の話なんですが、建造ドックのことをわざとガレージだとかいう風に書いています。そりゃあしょっぱなからあれを建造ドックなんて命名できないでしょ。

あと、今回も前回に引き続き長いです。
短くしようとしたけどやっぱり無理だったよ。(諦め)

ちなみにこの小説は2017年夏イベに向けて貯蓄やレベリングの合間に書いているので、誤字とか脱字があるかもしれません。(今更)



はじめての建造!~3日目~

「じゃあ、昨日は吹雪が頑張ってくれたことだし、今日は休みだ!ゆっくり体を休んでくれていいぞ。」

 

 

「はあ!?あんた何言ってんの?一日働いたから次の日休むなんてどうかしてるの?」

 

 

「司令官さんが優しいのは嬉しいんですけど、私も叢雲ちゃんの意見に賛成です。今日も頑張れます!」

 

 

「うーん、そういってもな...。君らはまだ見た目も子供なんだし、それにここは鎮守府以外はまだできたてほやほやなんだぞ?そんな所が一日や二日休んだところで問題なんてないだろう。気にするな。」

 

 

「ほんっとにあんたは馬鹿ね!...でも、わたしたちのことを考えていてくれるってのは理解できたわ。じゃあ、今日はあんたのために休んであげる。」

 

 

「司令官さんは頑固ですからね...。わたしもまだまだいけますが、今日は司令官さんの言葉に甘えて休んでおきます。ですが明日はしっかり出撃させてもらいますからね!」

 

 

まあ、言いくるめることには成功したな、そういえば、この子たちは命を賭して海の上で戦ってくれているんだよな...。そしたらやっぱり何か褒美とか欲しいよな...うーん。何をあげればいいかわからないし、本人たちに聞いてみるのがいいだろうな。

 

ちなみに余談だが今朝は何も無かった。みんなで軽い朝ごはんを食べたぐらいかな。あと俺がちょっと叢雲に怒られたくらいだった。

 

 

「なぁ、二人とも何か欲しいものとかあるか?」

 

 

「欲しいもの...ですか?」

 

 

「まだ、来たばかりだし、特にこれっていうものは思いつかないわね。ところでどうしていきなりそんなことを聞いてきたの?」

 

 

「いやまぁ、みんな国のために働いてくれているわけだし、特に俺がしてあげられることが何もないから、せめて何か欲しいものでも買ってあげられないかなーって。しかし、俺が君らぐらいの歳の女の子の好きなものなんて考えもつかないから、普通に聞こうと思ったわけだ。」

 

 

しかし、特に欲しいものもないなら仕方ない、現金を給料として渡すか、下手に変なものを買って渡すよりぜんぜんましだろ。

 

 

「じゃあ、ほら給料だ。国のために働いてくれてありがとな。感謝してる。」

 

 

「はぁ!?こんな、現金なんて貰えないわよ!それに、もらったところで私たちには使う場面がないじゃない!」

 

 

「そうですよ司令官さん、もらえるのは嬉しいですけど、私たちには使う機会がないじゃないですか。」

 

 

「どうしてだ?確かに街は遠いが、一応俺が車を出してやるぞ?」

 

 

実際この鎮守府には俺が前持っていた一般車も駐車場に停めてある。なので特にこれといった問題はない。

 

 

「は?何を言ってんのよあんた。私たちが鎮守府から出ていいわけないでしょ?艦娘が街にいたら驚かれて怖がられるでしょ?もっとよく考えてから発言しなさいな。」

 

 

「そうですよ、司令官さん。司令官さんは私たちのことを人間だと見てくれていますけど、知らない人からしたらやっぱり恐怖の対象ですよ。」

 

 

「そんなもん大丈夫だろ。ただのセーラー服着てるとびきり可愛い女の子とぐらいにしか思われないって。」

 

 

「はぁ...もういいわ。行きましょ、吹雪。」

 

 

「えぇ!?叢雲ちゃん、そんなに早く折れちゃっていいの?私たち怖がられるかもしれないんだよ?」

 

 

「うちの鎮守府のトップの司令官が今日は休みだっていってるんだし、こんなのなんだから仕方ないじゃない、それに、街に行って私たちがどう思われてるのかを知ってもらう方が手っ取り早いわよ。」

 

 

「大丈夫だ!俺に任せろ!」

 

 

 

 

 

 

そうして、みんなで俺の車で街まで行くことになった。

 

 

「そうだな、とりあえず何か欲しいものはあるか?」

 

 

と、俺は街までの途中に事前に決めておきたかったので、後ろに乗っている二人に聞く。

 

 

「そうね。まあ、もし何事もなければ、またこの街にくるだろうし、まず服かしら、私は一応吹雪から寝巻きは貸してもらっているけど、さすがに申し訳ないし。」

 

 

「別にいいんだよ叢雲ちゃん。でも、私ももし何か買えるのだとしたら服ですかね。やっぱりずっとこの服っていうのもあれですし。」

 

 

「じゃあ、まずは服だな。おし、もうそろそろ着くぞー。」

 

 

そして俺はそこそこの大きさの服屋の駐車場に停め、車から降りた。

デパートとかの方がいいだろうが、さすがに艦娘たちがあんな風に言っているのだから、デパートまで連れて行ってあげる勇気はなかった。

 

しかし、二人はすぐには降りてこなかった。

 

 

「どうしたんだ?二人とも、着いたぞ?」

 

 

と、俺が後ろのドアを開けると、二人とも手を繋いだまま、降りようとはしなかった。

 

 

「そ、そんな簡単に降りれるわけ無いじゃない!やっぱりちょっと抵抗があるのよ!」

 

 

「す、すいません。司令官さん。私、やっぱり怖いです...。」

 

 

やっぱり二人とも怖いのか...仕方ない。ちょっと強引だが、無理矢理にでも連れ出そう、きっと大丈夫だ。

 

俺は二人を半ば抱きかかえるようにして車から連れ出した。

 

 

「ちょ!ちょっと!やめなさいあんた!あいた!頭ぶつけたじゃないの!」

 

 

「し、司令官さん!まだ心の準備が!」

 

 

そして俺は陸では非力な二人の可愛い女の子を車から連れ出すことに成功した。

 

 

「とりあえず店の中に入らないと始まらないだろ?ほら、大丈夫、何か変なことを言う奴居たらありもしないわいせつ罪で訴えてやるから。」

 

 

「仕方ないわね...じゃあ、もし変な奴が居たらちゃんと私たちを守ってよ?」

 

 

「司令官さん、お任せしましたからね?」

 

 

「大丈夫だ。安心しろ。」

 

 

そして俺らは一通り服屋で買い物を終わらせた。何事もなく客として扱われたことに二人ともとてつもなく驚いていたが、俺の想像どおりで安心した。

 

え?何だって?買い物シーン?そんなものはない。カットだカット。ただ、二人ともセンスはあったとだけ言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、なんともなかっただろう?君たちは誰がどう見ても普通の女の子にしか見えないんだ。だから大丈夫だっていう確信はあったんだよ。」

 

 

まあ、正直デパートまで連れて行ってあげれる確信はなかった訳だが。

 

 

「そうですね...わたし、誤解してました!ありがとうございます!」

 

 

「そうね、確かに私たちが誤解してたわ。そ、その...あ...あり...がと。」

 

 

「大丈夫だって。俺は君らの上司なんだ。部下のことは上司が守るのが普通なんだぞ。」

 

 

というわけで現在は鎮守府まで帰っている途中だ。残念だが、外食できるほどの金がもう無い。今日は吹雪と叢雲であげた給料は使わせず、全部俺の自腹で払ってあげた。

 

 

「もうすぐ着くぞ。しかし、まだ昼か。とりあえず鎮守府に帰ってから昼飯にしよう。」

 

 

「そうね。緊張が解けてお腹が空いてきたわ。」

 

 

「私もお腹が空きました...。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、俺らは鎮守府へ帰った。本当は二人にジャンクフードでも奢ってあげたかったんだが、ほんとに一文なしなんだ。俺の財布には後うまか棒が5本買えるくらいの金しかない。まあ、でも銀行に軍から給料がさっそく振り込まれていることだろうし、それに普通に生活する分には金は使わないから問題ないな。

 

 

「そういえば今日のお昼は何を作るの?もしかして昨日のカレーかしら?」

 

 

「そういえば、余分に作ってましたっけ。」

 

 

「あぁ。昨日の夜と同じだがそれでもいいか?」

 

 

「私は別に構いませんよ。カレー美味しいですし。」

 

 

「私も別に構わないわよ。」

 

 

ということで今日の昼はカレーを食べた。まあ、昨日から寝かせてた奴だ、コクというものはよくわからないが、まあ美味しかった。

 

 

「そういえば、建造というのができるんだろう?一体どこでできるんだ?建造や開発ということができるのは教えられたが、どこでできるのかまでは聞いてなくてな。」

 

 

今はみんな執務室でくつろいでいる。まあ、俺はみかん箱の上で書類仕事をしているわけだが。

 

 

「確か工廠でできるはずです。この鎮守府には...何処にあるんでしょうね?」

 

 

「とりあえず、歩いて探した方がいいんじゃない?そっちの方が早いでしょ?」

 

 

「そうだな。じゃあ、みんなで工廠を探すか。」

 

 

そして俺たちは工廠探しを始めた。まあ、大して時間もかからないだろう。工廠なんて明らかに大事そうな施設。普通に鎮守府の建物内にあるだろうしな。

 

結果俺たちは20分とかからずに工廠を見つけることは出来た。

 

 

「ここが工廠か...まあ、想像とだいぶ違うな。もっと工場っぽいのかと思っていたんだが。ん?これは...なんだ?生物?」

 

 

これは、本当に何かわからない。手のひらサイズに小さい人のようだが...小人か?しかし小人なんてこの世にいないはずだが、まあ、吹雪たちに聞けば分かるか...しかし、吹雪たちに聞いてばっかりだな。俺も自分でしっかり勉強しないとな...。

 

 

「なぁ、この生物はなんなんだ?」

 

 

「司令官さんは始めてみるんですね。この方たちは妖精さんです。主にしゃべることはできませんが、慣れてくると仕草だけで何を言いたいかわかるんです。妖精さんたちは主に工廠での建造、開発。そして家具の作成などをしてくれるはずです。」

 

 

数人の妖精さんたちはうんうんと頷く。結構仕草は愛らしい。

 

 

「そうか、じゃあここが工廠なんだな。妖精さん、これからよろしくたのむ。」

 

 

すると妖精さんたちはどこからかスケッチブックを取り出し、数人で押さえて一人がマッキーペンを持って何か書いている。これは...よ、ろ、し、く?一応言葉も書けるのか。

 

 

「あぁ、よろしく。」

 

 

と俺が近くにいた猫をぶら下げた状態で持っている一人の妖精さんの頭を撫でようとしたとき。その妖精さんからとてつもない殺気を感じた。まるで触ったら殺すぞとでもいいたいような。

 

 

「す、すまない...。なんか気に触ったようだな。」

 

 

「あんた何やってんのよ。ここには建造するために来たんじゃないの?」

 

 

「そういえばそうだったな。ところで妖精さん建造ってどこでできるんだ?案内してくれるか?」

 

 

すると一人の妖精さんが頷いて工廠の奥の方に行った。よく周りを見渡してみると主砲だとか艦載機だとか書いてあるいろいろなプレートが掲げられていたり、ガントリークレーンがあったりして艦娘用なんだと改めて理解できた。さすがにこの大きさじゃあ本物の大きさの艦載機なんて作れないよな。

 

そんなことを考えていると4つの大きめのガレージのようなものがある場所に行き着いた。

 

 

「ここで資材を消費して艦娘を建造できるんだな。じゃあさっそく建造をしよう。」

 

 

すると妖精さんがスケッチブック程度の大きさのマジックボートとペンを持ってきた。見てみると、資材とかいてあり、その下に燃料、弾薬、鋼材、ボーキサイトと書いてある。おそらくこの横に一つずつ数字を書くんだろうな。ん?よくみると下のほうに小さく最低でもすべての資材は30!それ以下で建造はできないぞ!と書いてある。

 

 

「そういえばこの鎮守府にはどれくらい資材があるんだ?妖精さん、確認したいんだが。」

 

 

すると妖精さんは俺の横あたりを指差してきた。そちらを見ると手の届く範囲に上から紐が垂れ下がっていた。

 

たぶんこれを引けってことなんだろう、妖精さんの言うとおりに紐を引いてみると上から木製のプレートが下がってきた。木製のプレートには入れ替え可能な数字が薄い厚紙のようなものに書いてはめ込んである、よく体育祭などのスコアボードなどに使われているものと類似していた。

 

 

「ボーキサイト以外は2000強...ボーキサイトだけは1600弱、というところか。うーん。まあ、駆逐艦は一番燃費がいいし、そうだな。とりあえず全部最低値で3人呼んでみるか。」

 

 

そういえば中将から聞いたんだが、どうやら、建造と名のつくものの、どちらかといえば召喚といった方が正しいらしい。ただし呼ぶ艦娘によってやはり資材の量はぜんぜん違うらしく、大体の艦娘はどのくらいの資材で呼び出せるというのが分かっているらしい。実際そんなことはどうでもいいが。とりあえずうちには艦娘が少ないので気にする必要は無い。

 

そんなことを考えていると、それぞれのガレージの前に妖精さんが来て大きめのタイマーのようなものを置いていった。

 

 

「ん?これは...何の時間だ?なぁ、そこの妖精さん。もしかして、建造には大なり小なり時間がかかるのか?」

 

 

すると妖精さんはこちらを向いて一度だけこくり、と頷いてから忙しそうにどこかへ行ってしまった。それじゃあ、さっきの所に戻るか、二人も待たせていることだしな。どうやら艦娘は建造のガレージのところまでは入って来てはいけないらしい。なんか一応提督だけ入れるらしい。どうしてだろうか、よくわからないが何かしら妖精さんの力が加わっているんだろう。

 

 

「二人とも、待たせたな。ちょっと仕様を理解するのに時間がかかっちゃってな。」

 

 

「あんたほんっとうにとろいのね。まぁ、いいわ。」

 

 

「で、どうでした?司令官さん。建造はどうなったんです?」

 

 

「あぁ、どうやら建造は必ず大なり小なり時間がかかってしまうらしいんだ。だから何かして時間を潰そうかと考えていてな。二人とも何かしたいことはあるか?」

 

 

「それなら、わたしは訓練場に行ってみたいわ。」

 

 

「訓練場?そんなものがこの鎮守府の敷地内にあるのか?」

 

 

「わかりません。大本営には無かったですから。ですが、あってもおかしくないと思います。」

 

 

「っていうかあんたまだこの鎮守府全部見て回ったことないの!?」

 

 

「す、すまない。初日は駆逐艦寮を探すまでに大体の施設は回れるだろうと思っていたんだが、結構すぐ駆逐艦寮が見つかってな。だから正直他の所を見て回る暇が無かったんだなこれが。」

 

 

「はあ、まあいいわ。じゃ、見て回りましょう?」

 

 

「そうだな、じゃあ行こうか。吹雪も一緒に行こうぜ?」

 

 

「はい!もちろんです!」

 

 

そして俺たちは外に出て、訓練場を探した。実際建造の完了を待つ間といっても、すぐに行かなければ行けないという訳ではないので、まあ、ゆっくりと外を歩きながら探した。

 

 

「お、ここは空母の訓練場だな。弓道場に似ているが...的が遠い気がするな。というか本当にあれ狙えるのか...?」

 

 

「空母のお姉さんたちは矢や式神を艦載機に変えて攻撃するからあのくらい遠いほうが狙いやすいらしいですよ。」

 

 

「そうか、お。ここが駆逐艦用の訓練場っぽいな。」

 

 

「そもそも駆逐艦訓練場っていうのはなくて軽巡洋艦の人たちと大体一緒にされているのよ。本当に駆逐艦だけの訓練場があるのは国内でも最大級の鎮守府だけよ。」

 

 

「そうですね。そもそも駆逐艦を軽巡洋艦や練習巡洋艦の方たちが鍛える、といった感じですからね。基本は一緒なんですよ。」

 

 

「そうだったのか。すまない、本当に艦娘には教えられてばかりだな。ありがとう。」

 

 

「ふん、そもそも大雑把にしか教えられてないんでしょ?なら仕方ないわ。これからどんどん覚えていきなさいな。」

 

 

そうして俺たちは訓練場の中を見て回った。外から見たときよりも中は広く、それでいてシンプルなつくりだった。訓練場のほとんどは海に面していて、実戦と同じような海上訓練をするんだろうと安易に予測できた。それと、予想以上に叢雲がうきうきしているのには驚いた。意外と叢雲って好戦的なんだな...。立ち振る舞いは少しいいとこのお嬢さんっぽい感じだったが、まあ、人は見かけによらないっていうしな。

 

 

「よし、訓練場の場所は確認できたな。じゃあそろそろ戻るか、そろそろいいくらいの時間じゃないか?」

 

 

時間を見ると建造を始めてからすでに1時間30分は経っていた。ガレージの前でタイマーを見てきた時は最長で1時間22分だったはずだからもう終わっているだろう。

 

 

「どんな人が来るんでしょうね!気になります!」

 

 

「そうね。変な人じゃないといいんだけど。」

 

 

「じゃあ見てくるな。仲間が増えるんだ!楽しみだな!」

 

 

そして俺が奥のガレージに見に行くと、3つのガレージのシャッター全てに「済」と書かれた木の板が立てかけられていた。俺は近くにいた妖精さんに声を掛ける。

 

 

「妖精さん。このシャッター開けてくれないか?建造は完了しているんだろ?」

 

 

すると妖精さんは奥の方に行った。どうやら他の妖精さんにも伝えに行ったみたいだ。さすがに一人じゃ無理だったのだろう。

 

少し経ってから妖精さんが戻ってきてこっちに向かって親指を立てて合図してきた。いつでもいいということだろう。

 

 

「よし、じゃあ開けてくれー!」

 

 

すると3つのガレージのシャッターが同時に開けられた。

 

するとそれぞれぜんぜん違う制服の女の子が3人。しっかりと建造に成功したみたいだ。まあ、失敗したなんて話も聞いたこと無いが。

 

 

「はじめまして、突然ですまないが自己紹介は少し待ってくれ。工廠の入り口にうちの艦娘がいるから、その子たちと合流してから自己紹介をしてくれ。」

 

 

そして3人の新しい艦娘を連れて吹雪と叢雲のところへと戻った。

 

 

「お待たせ、二人とも。新しく入った3人の艦娘たちだ。さっそくだが、3人とも自己紹介をしてくれ。」

 

 

「じゃあ、私からかしらね。私は夕張型一番艦、夕張よ。よろしくね。ちなみに機械いじりとかが得意だから、出撃とかよりも鎮守府に置いてくれると嬉しいかな。」

 

 

「わかった。善処しよう。しかし、この鎮守府には今ここにいる艦娘たちで全員なんだ。すまないが、しばらくは主力として出撃してもらうことになる。よろしくな。」

 

 

「じゃあ、次は僕だね。僕は白露型二番艦の時雨。よろしく。得意なこと...というのは特にないんだけど。しいて言うと運がいいことぐらいかな。」

 

 

「君は運がいいのか...!それは人生にとっても良いことだ。誇ってもいいぐらいの...何て言うんだろうな、特性?だ。存分に誇っていいぞ。よろしく。」

 

 

「じゃあ最後は私だね。私は暁型二番艦の響。よろしく。私は戦争でソ連に一度送られたんだ。その時の名残なのか、艦娘となった今でも少しだけロシア語が出ちゃったりするんだ。だけど、あまり気にしないでくれて構わないよ。」

 

 

「そうか、実は俺もちょっとした趣味でロシア語をかじっているんだ。だから、君の言葉もいずれは全部理解できるようになりたいな。それに、よかったら俺にもロシア語を時々でいいから教えてくれ。言葉は知っていて損はないしな。」

 

 

そうして新しい3人の艦娘の自己紹介が終わり、吹雪たちもそれぞれ自己紹介をした。

 

 

「ところで、僕たち3人は提督の自己紹介を聞いていないんだが、提督は自己紹介をしてくれないのかい?」

 

 

「そういえば、私もあんたの自己紹介聞いてないわね。吹雪は聞いたの?」

 

 

「いえ、私も司令官さんの自己紹介は聞いていないですね。」

 

 

「ぜひ聞かせて欲しいな、私も気になる。」

 

 

「そうね。私たちのことを知ってもらったんだから提督のことも教えて欲しいな?」

 

 

「まあ、いいだろう。俺はとある事情で大本営の中将に提督にされ、一般の提督と違い、まともな勉強もせず中将から大雑把に君たち艦娘のことなんかを教えられてここに配属されたんだ。呼び方はなんでもいいぞ。特に気にはしないからな。煙草は吸わない。酒は...まあ、誘われたら飲む程度だ。他には...そうだな。叢雲なんかにはよく変人だとか言われているが、そんな自覚はない。君たちのことは軍艦ではなく少女たちとして見ている。だから、扱いも人間と同じようにさせてもらう。これからよろしくな。」

 

 

「あんたの自己紹介が一番長いってどういうことよ...ったく。まあ、いいわ。」

 

 

「そうだろ。俺のことなんて対して気にすることでもないさ。さて、そろそろ夕方だ。夕飯にしよう。」

 

 

 

そうして俺たちは夕飯を食べてからみかん箱しか置いていない執務室で座ってみんなと談話して、夜にみんなを寮に帰してから残っていた少しの事務作業をみかん箱を机代わりにして進めていた。現時刻はマルヒトマルマル。そろそろ終わりそうだ。ちなみに夕飯は麻婆豆腐だった。

 

 

「よし...この申請書にサインすれば...やっと終わった...!これで寝れるな。」

 

 

そう言って自室に向かおうとしたとき

 

 

「司令官...失礼するよ...。」

 

 

と顔を赤らめた響が入ってきた。片手にウォッカを持って。

 

 

「響...!明日は早いんだから、もう寝ないといけないぞ?」

 

 

「まぁまぁ...これも親睦を深めるためだよ。さぁ、司令官、そこに座って?」

 

 

と俺にみかん箱の前に座るように指示されたとおりに胡坐をかく。

 

すると、響は俺の足の上に座ってきた。

 

 

「お、おい。響一体どうしたんだ?夕方とぜんぜん違うように見えるが。それにそのウォッカはどうしたんだ?」

 

 

「いや、自己紹介の時に酒は飲めると聞いたからね。ちょっと晩酌に付き合ってもらおうと思ってさ。あとこのウォッカは妖精さんから頂いたものだよ。」

 

 

「まあ、別に構わんが。もう夜も遅いんだ。明日も仕事だし、ほどほどにしろよ?」

 

 

「わかってるさ、不死鳥の名は伊達じゃないよ。」

 

 

そうして、俺と響はウォッカが無くなるまで飲んだ。一本無くなって安心していると響がどこからともなく二本目、三本目を取り出してきたときには焦ったが。まあ、酒はほとんど飲まないが、別に弱いというわけでもなく、どちらかといえば強い方だったので。泥酔することはなかった。しかし、響は俺の胡坐の上で寝てしまったため、駆逐艦の子たちを起こさないようにこっそりと部屋に入り、ベットに響を寝かせてきた。ちなみに今、駆逐艦たちはみんなで一つの部屋を使っているらしい。夕張は軽巡寮に一人だが。今は仕方ない。すぐにでも新しい軽巡の子をうちの鎮守府に迎えてやらないとな。後、響を寝かせるときに誰かの視線を感じたんだが、まあ、気のせいだろう。ちなみに今日は久しぶりに1人で寝た。少女たちに気を使って寝なくてよかったので、よく寝られた気がする。

 

 


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