毎日鎮守府   作:馬鹿とオタク

1 / 26


初投稿です。

この小説は艦隊これくしょん〜艦これ〜が元になっております。

特にシリアスな場面なんかもなく毎日の提督と艦娘たちの日常をほのぼのと描いていけたらいいなぁと思って執筆しました。
ちょっとしたシリアスならいいよね...?多分無いと思いますけど。
誤字脱字などありましたらお知らせください。

注意【この作品に出てくる艦娘たちには、キャラ崩壊などが含まれている可能性があります。また、リクエストなどは受け付けていません。私の鎮守府にいる艦娘たちを少しずつ出していくつもりです。】

では、お楽しみ下さいませ。




はじめての艦娘!~1日目~

 

 

ここは柱島鎮守府...と言っても鎮守府の正門の前だ。まだ鎮守府とは言えないかもしれない。

 

 

現在は4月中頃。この柱島鎮守府の前には一般人のように思えるパーカーとジーンズの男と、数人の軍人と思わしき人物が共にいた。

 

 

1人の軍人と思わしき男が口を開く。

 

 

「ここから、あなたが配属される柱島鎮守府です。規模はあまり大きいと言えませんが、良いところです。本日からここであなたには提督をしていただきます。よろしいですね?」

 

 

あなたと呼ばれた一般人のような男はただこくりと頷く。

すると軍人らが正門をあけ、中に入るように促す。

男が流されるままに門をくぐると、数人を門の前に残し、1人の軍人だけ男とともに鎮守府の中に入る。すると門は閉ざされ、1人の軍人と男だけになった。

 

 

「とりあえず...案内してくれますか?でないと大きくないとはいえ100人以上の艦娘達が住む施設なのですから必ず迷うと思うので。」

 

 

「そうですね、ではまずあなたの主な仕事をする場となる執務室に案内しましょうか。そこからは艦娘に任せますので。」

 

 

「そうですか、わかりました。では、お願いします」

 

 

そして男は軍人に連れられるままに執務室へと辿り着いた。ただ1つの違和感を残して。

 

 

 

「あの、すいません。」

 

 

「はい?なんでしょう。何かいましたか?」

 

 

「いえ...あの...逆なんです。」

 

 

「と、申されますと?」

 

 

「なんで人っ子1人いないんですか?」

 

 

そう、男はずっと不思議に思っていたのだ。この鎮守府に来た時からずっと。それは鎮守府は大きいとはいえ100人以上艦娘がいるのだから1人くらいすれ違ったっていいはずなのに未だに誰1人見ていない。というか鎮守府の中すら多少の掃除はしてあるのものの、全くと言っていいほど人がいた気配がない。

 

 

すると予想だにしない返事が返ってきた。

 

 

 

「何を言っているんです?ここは元は無人の鎮守府ですよ?」

 

 

「は?」

 

 

「と言っても大本営から1人駆逐艦の子が配備されるので安心して下さい。そろそろ来ると思います。では、軍服はこちらに用意していますので先に着替えておいて下さい。そのままだと一般人と間違われますからね。提督殿。」

 

 

「えっ?いや、ちょっとまっt」

 

呼び止めようとしたが、軍人はすぐさま扉を閉め、足早に立ち去ってしまった。

 

 

「えぇぇぇぇえええええぇぇぇぇえぇぇぇええええええ!!??」

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず提督と呼ばれた男は落ち着き、軍服に着替えて今日から配備される駆逐艦の子が来るのを待っていた。執務室には2つ扉があり、1つは廊下へと続く扉、もう1つは提督の部屋だった。

 

 

「(ふむ、まあ自分の部屋にトイレや風呂がないのが残念だが、まあ我慢するとしよう。そういえば風呂やトイレは艦娘と一緒なのか?だとするとマズイぞ!もしもこの先で風呂の中で艦娘たちと鉢合わせることになってしまったら俺は変態扱いされてしまう!だとするとどうしようか...時間制にするか...?いやでもそれだと俺も艦娘もゆっくり自由に入ることができなくなってしまうな...うーん。どうしたものか」

 

 

 

などと考えていると突然勢いよく扉が開き、大きなリュックサックを背負った1人の女の子が執務室に入って来た。提督は突然のことに驚いたがすぐに平静を取り戻し、女の子の方へと向き直った。すると女の子はリュックサックを自分の右側に降ろし、敬礼をしてから自己紹介を始めた。

 

 

「本日より大本営から配属となりました!特型駆逐艦1番艦の吹雪です!よろしくお願いします!」

 

 

なんだこの子!?もしかしてこの子が艦娘か?確かに今特型駆逐艦と聞こえたが、もしかしてこんなに小さな子がこの国を護っているというのか!?

 

提督はとても上に立つ人間とは思えないくらいの動揺をしたが、一度深呼吸し、気を取り直してから状況を確認した。

 

 

「君が特型駆逐艦1番艦の吹雪...ちゃんで間違いないかな?」

 

歳の離れた女の子と話すなんて緊張するな...こんな子がもっといるのだろうか?そうなるとまず吹雪ちゃんで少しずつ慣れていくしかないか。

 

「はい!私が吹雪です!」

 

と、吹雪は敬礼をして返事をする。よく見ると、とても端正な顔立ちをしていて、真面目そうな印象を提督は受けた。

 

 

「と、とりあえず。これから君が1番長い付き合いになると思う。これからよろしく頼むよ」

 

 

「はい!私にお任せ下さい!司令官!」

 

 

「とても元気があっていいことだ。ところで質問なんだが、いいか?」

 

 

「はい!私に答えられることなら!」

 

 

「もしかして...艦娘はみんな君のような子たちばかりなのか?」

 

 

「?...どういう意味です?すいません、よく意味がわからないのですが」

 

 

しまったぁぁぁぁああああああ!!!これじゃあ俺が吹雪ちゃんを嫌がってるみたいな言い方じゃないか!そうじゃなくてだな!もうちょっと考えろよ俺!

 

 

「い、いや...もしかして艦娘には君くらいの年齢の子ばかりなのか?」

 

 

「いえ。私たち駆逐艦だけがこのくらいの年齢です。戦艦や空母の方たちはもっと大人の女性って感じですよ?」

 

 

「そうか...それなら良かった...」

 

 

「それは...どういうことなんですか?」

 

 

「いや!その...だな。君らぐらいの年齢の子たちと話すのなんてなにぶん慣れていなくてだな...その、不快にさせてしまったのなら申し訳ない!」

 

俺は本気で謝る。精神年齢が年相応で今の意味を変に捉えられてしまっていたらとても傷つくことが容易に想像できたからだ。

 

 

「そんな、司令官さんが頭を下げないで下さい!理解できなかった私にも非があるんですから!」

 

 

「そんなことはない!今のは俺が悪かった!」

 

 

 

 

 

 

少し場を落ち着かせ、俺は話を切り出した。

 

「ところで吹雪はこの建物の構造は把握できているか?」

 

 

「いえ、私は直接執務室へ来ましたから...ほとんど知りません」

 

 

「じゃあ、探検するか!初日だし疲れているだろうから出撃なんて今日からするものでもないだろう!」

 

 

「はい!ところで、荷物はどうすればいいでしょうか?」

 

 

「そうだな。とりあえず最初は駆逐艦寮を探しにいこう。そこで部屋を決めてから荷物は移動しよう。それまではここに置いていていいぞ。」

 

 

そうして俺と吹雪は初日から親睦を深めるために他愛もない話をしながら鎮守府の中を歩き回った。

 

 

「お、ここだな。いくら駆逐艦が小さいと言っても結構寮は広いんだなー。」

 

 

「駆逐艦は1番数が多いので相対して寮も大きいんですよ。戦艦や空母のお姉さんたちと同じくらいの大きさはあると思います。」

 

 

「そうか、そりゃそうだな。駆逐艦が多いというのは聞いていたからな。まぁ、この鎮守府には艦娘は吹雪しかいないけどな。」

 

 

「でもこの先たくさんの子たちと巡り会えますよ!大丈夫ですよ!」

 

 

「そうだな。まあ期待しない程度に期待しておこうかな。とにかく駆逐艦寮も見つけたし、時間ももう遅いからとりあえず部屋を決めようか、といってもたくさんあるからな。どこにしようか困るなら俺が適当に決めるが...どうする?」

 

 

「じゃあ...お願いします。特に部屋自体に差はないので、どうにも決めにくくて...」

 

 

「わかった。じゃあここにしよう。」

 

 

と俺は目の前にあった何の変哲も無い部屋を選んだ。実際俺はほとんど寮側には来ないだろうし、どこでも大丈夫だろう。

 

 

「わかりました!じゃあ荷物を取りに戻らないと行けませんね。」

 

 

「そうだな。よし!じゃあ戻るか。」

 

 

「はい!」

 

 

と、俺らは普通に戻ろうとしたわけだが今ちょうど廊下の異変に気がついた。

 

そういえば電球が一つもついてない。

 

このことを吹雪にも伝えようとしたが、吹雪もやはり感づいていたようで、怖かったのか俺の服の端を少しだけ掴んできた。やはり見た目どおりの年齢のようで、怖いのだろう。めっちゃほっこりした。

 

 

「電球は切れて...る訳じゃなくて元からついていないんだな。これからは少しの間は大変になりそうだな。共にがんばろうな、吹雪。」

 

 

「はい!」

 

 

見えずらい廊下を外の月明かりだけを頼りに執務室まで歩いていく。

まあ特別方向音痴という訳でもないので、何の障害も無く執務室にたどり着くことができた。

 

 

「はい、じゃあこれが吹雪の荷物だ。...ふむ、いや、やっぱり俺もついていこう。こんなに暗くちゃ不安だろうしな。じゃ、行こうか。」

 

 

「あ、あの...すいません。一つだけ...お願いを聞いてくれますか?」

 

 

「おお?どうしたんだ吹雪。なんでも言っていいぞ?」

 

 

すると、吹雪は腰をくねらせながら、恥ずかしそうに言った。

 

 

「あの...一緒に...寝てくれませんか?」

 

 

一体何を言ってるんだこの子はぁーーーーー!?

 

 

「ま、待て吹雪!一体何を言っているんだ?そ、そういうのは俺のような今日あったばかりの普通の男じゃなくてだな!!」

 

 

と俺が死ぬほど動揺していると、吹雪は自分の言葉が誤解を招いたことに気がついたのか、吹雪もとても動揺していた。

 

 

「ちゃっあのっちがうんです!これはその!私だけ駆逐艦寮に一人だけで寝るっていうのはあのっすっ少し寂しくてですね!駆逐艦寮も遠いですし...その...よかったら一緒に寝てくれないかなっていうだけで...」

 

 

「あぁ...なんだ、てっきり体を求められているのかと思ってしまった。俺の理解力不足だ。すまない。」

 

 

「いえ、私の説明不足です。こちらこそ変な誤解をさせてしまいごめんなさい。後その言い方セクハラですから気をつけて下さいね?」

 

 

「す、すまない。今後改める。ところで、いいのか?なんというか...その...わたしの部屋にはベットが一つしかないのだが...いや!俺が床で寝ればいいだけだな!すまん変な勘違いさせて!」

 

 

と俺が年端も行かない少女相手にありえないレベルの隠しきれない動揺を見せていると

 

 

「いや...だ!大丈夫です!私はその...別に司令官さんと一緒でも大丈夫です!」

 

 

大丈夫だ。俺はロリコンではないから別に吹雪にそういう気持ちを持ったりしない。が、だ。少女とおっさんが同じ布団で寝るんだぞ?これだけは阻止せねばいろいろとまずいことになる!そして俺はあわや提督をクビになり警察に強○魔として突き出されて普通に刑務所行きだ!それは本当にヤバイ!

 

 

「いや!やっぱり俺は遠慮しとくよ!俺は床で寝てるから!」

 

 

「いやいや!それは部屋の主である司令官に失礼にあたります!なのでもし司令官が床で寝るとおっしゃるなら私も床で寝ます!」

 

 

「いやいや!それは駄目だ!君くらいの年齢の少女に床で寝させるわけにはいかない!」

 

 

「で、でも!わたしだけが司令官をおいといて司令官のベットで寝るなんてありえません!な...なので司令官がよければ一緒でも構いませんので...」

 

 

「わ、わかった!吹雪がそこまで頑固強いとは思わなかった!仕方ない...。別に俺は嫌なわけではないが、その...世間の目というものがあってだな。だから俺は駄目だと言ったんだが...。」

 

 

「だ!大丈夫です!私からお願いしているわけですから!」

 

 

「いや...まあ、そういう訳ではないんだが...まあ、もう決まったことだ。決まったことは変えられないからな。ところで、そろそろ夜ご飯にしないか?もうそろそろ8時だ、まあ春だから冬ほどではないといっても少し暗くなるのが早いからな。食べるものは...そうだな。たぶん鎮守府にはないだろうが、俺が一応インスタントのラーメンをいくつか持ってきている。やかんもあるからお湯を沸かせば食べれるだろうしな。」

 

 

「は!はい!私もうおなかぺこぺこです...。」

 

 

そして俺たちは食堂へ向かった。ところで余談なんだが、執務室と提督の自室と食堂にはしっかり電球がついていた。まあ、執務室自体もよくよく見てみれば立派な机もなく、みかんの絵柄がついたダンボールがいくつか転がっているだけだった。しかし作ってから一回も使われてないからか、壁などは綺麗なままで安心した。しかしカーテンもなく、誰が見ても窓といえるであろう窓が二つついているだけだった。

 

食堂に着くとまず一番に驚いたのは食堂自体の大きさだった。やはりたくさんの艦娘がここで食事をすることになるのだろう。100m以上は余裕であるんじゃないか?しかし思っていたより普通の食堂なんだな。

 

 

「なあ、吹雪」

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

「どこも食堂ってこんな感じなのか?ここの食堂は奥に行くだけでもめんどくさいレベルの大きさなんだが...」

 

 

「うーん...どうでしょうかね?ですが私は大本営所属でしたのでこれよりさらに食堂は大きかったのですが、たまに鎮守府から召集がかかって来た提督さんと秘書艦がとても驚いていましたしどこの鎮守府もこのくらいの大きさなんじゃないですかね?」

 

 

「そうか...大本営には行きたくないな...この移動は大変そうだ。」

 

 

「まあまあ、そこまでめんどくさがってちゃこの先大変ですよ?」

 

 

「まあ、そうだな!よし、じゃあ夜ご飯食べるか!といってもインスタントだからやかんを探さないとな。」

 

 

そして俺たちは味の濃ゆく安いインスタントラーメンを腹いっぱいになるまで食べてから執務室へ戻って寝た。

 

 

そういえば風呂はちゃんと提督用があって安心した。正直大浴場は艦娘たち専用だし一人ゆっくり風呂に入れるというだけでも収穫はあったな。

 

そして別に吹雪とは何も無かった。まあ何かあったら軍法裁判で俺の首が飛んでただろうしな。とはいっても娘と一緒に寝る父親の気持ちを味わった気がした。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。