艦隊これくしょん ‐NextArea‐   作:セルラ

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二十八話目です!

今回は短いかもしれません。

気楽に見ていただけると嬉しいです!


第二十八話 (友好関係)

提督「賑やかだなぁ…」

 

わいわいしている食堂の中心で提督はそう呟いた。

吹雪も他の艦娘の元へと向かっている。

提督は吹雪から受け取った資料に目を通し始めた。

 

その資料に書かれていたのは

提督がいない間の資源消費量と増加量や出撃回数、その状況

そして昨夜の被害状況などだった。

 

提督「・・・龍驤、翔鶴、利根が轟沈…か…」

 

少し悲しげな表情でそう呟いた。

この鎮守府には五航戦の二人がいたが瑞鶴はこの祝勝会にも姿を見せていなかった

足柄は参加しているがその目線は何処か違う方向を向いている。

 

提督「守れないものもある…か…」

 

提督は最前線辺りで敵の猛攻をたった一人で防いでいたが

そのせいで鎮守府付近が疎かになっていたのだ。

 

提督「この『樹奈』っていう艦娘が行方不明か…どういう事だ?

  それにレ級が巨大がしたかのような深海棲艦の出現だと…?」

 

提督はにわかには信じられないと言ったような表情をした。

新型の深海棲艦が何故ここに出現したのかが分からない。

 

提督「そして…深海棲艦との協力か…」

 

提督はチラッと深海棲艦を見た。

別に『嫌だ』と言う訳ではないが…何故助けてくれたのかがわからなかった。

 

提督が資料とにらめっこしているうちに一人こちらにやってきた。

 

提督「えっと…何か用かな?双子棲姫…さん?」

 

深海双子棲姫が提督のもとにやってきたのだ。

双子棲姫は提督の正面の席に座った。

 

双子棲姫「貴方にキキタイことがあるんだけど…イイカしら?」

 

双子棲姫はどうやら提督に聞きたいことがあるみたいだ。

だが何となくだが何を聞きたいのかが分かった気がする。

 

双子棲姫「ワタシタチと…友好関係を築いてホシイノ」

 

提督はその発言を聞いて驚いたような表情をした。

まさか友好関係を築くために来るとは考えてもいなかったのだ。

 

提督「・・・何故、友好関係を築こうと思ったのかい?」

 

双子棲姫は少し考えた。そして言葉をつづけた。

 

双子棲姫「私たちハ穏便派ナノ。」

 

そう言うと双子棲姫は肩にあった紋章を見せて来た。

何処かで見たことがあるような気がする…

 

双子棲姫「この紋章ハ穏便派の証みたいなモノ。

   私たちハコレデ仲間かどうかヲ判断しているの。」

 

提督「何故この紋章が?」

 

双子棲姫は少し困ったような顔をした。

正直、この秘密を人間に伝えてもいいのだろうか。

双子棲姫はチラッと視線を離島棲鬼に送った。

離島棲鬼が一瞬だけ頷くのを双子棲姫は見逃さなかった。どうやら言ってもいいみたいだ。

 

双子棲姫「この紋章ガデルってことは…もう、『戻れない』トイウワケなの」

 

双子棲姫は自分の知っている限りの事を提督に話した。

 

深海棲艦も沈み過ぎたら艦娘になることがある事。

紋章が出て後に沈んでしまうと艦娘にも成れないまま消えてしまう事。

轟沈した艦娘が低確率で深海棲艦になってしまう事。

そして…見たことのない深海棲艦が現れている事。

 

双子棲姫「・・・以上が私タチノ知っているジョウホウね

    それで…私達ト友好関係ヲ築いて貰えるノカシラ?」

 

提督は少し考えた。

きっと彼女が話していることは真実だろう。

だがそれでも深海棲艦だ。

彼女達と友好関係を築く…と言う事は国を裏切るのも同然だ。

 

ん…?待てよ…?国を裏切る?

国は俺達を見捨てたよな。

それならもう既に俺は国から裏切られてるじゃないか。

それに彼女達は仲間を助けてくれた。断る理由などないだろう。

 

提督「勿論だ。お前達は助けてくれた恩があるしな。

  友好関係だけではなく、この鎮守府に滞在してもいいさ。」

 

双子棲姫「本当ニ?いいの…?」

 

不安げな表情で双子棲姫はこちらを見て来た。

提督は握手をするために自身の右手を差し出した。

 

それを見た双子棲姫は今まで見たことのない笑顔で手を取った。

何だ…深海棲艦にも感情があるじゃないか…

 

双子棲姫「アリガとう!えっと…?」

 

提督「提督でいいよ。よろしくね。双子棲姫さん。」

 

双子棲姫は提督と握手した後電に呼ばれて再び宴会の中心に戻っていった。

どうやら提督よりも溶け込めているようだった。

 

提督は片手にグラスを持ちそのままワインを飲んだ。

 

提督「ゴホッ!ゴホッ!」

 

…むせ返ってしまった。そういえば、酒は苦手だった。

仕方なくワイングラスに水を入れて飲むことにした。

そんなことをしていたら後ろから声を掛けられた。

 

????「ホウ、ワインハキライナノカ」

 

振り返るとそこには北方水姫がいた。

帽子のようなものは外していて、正直壊状態と見分けがつかない。

彼女の片手にもグラスが持たれている。

 

北方水姫「シカシ、ヨクミトメタナ。フツウノチンジュフナラ

    ゼッタイニソンナコトハシナイトオモウガ」

 

提督「お前達には助けられた恩があるって言っただろ?

  それにお前達も困っているようだしな。困ったときはお互い様と言ったやつだ」

 

水姫は少し固まっていたがすぐに言葉を繋いだ

 

北方水姫「ソウカ。ジャア、アリガタクイサセテモラウゾ」

 

提督「ああ、もちろんだ!。

  そうだ。折角グラスがあるんだから一杯飲んで行けばいいじゃないか。」

 

提督は自分の右にあるワインをさしながらそう言った。

水姫は考えているようだったが…

 

北方水姫「ワカッタ・・・・イタダコウ」

 

提督はワインを北方水姫のグラスに注いだ。

北方水姫は注がれ終わった事を確認して一気に飲み干した。

瞬間、彼女は吹き出し、むせ返った。

 

提督「お前もワインダメなのかよ!?」

 

北方水姫「ダッテェ‥コンナアジダトカオモッテナカッタンダヨォ!」

 

水姫が涙目で尚且つ上目遣いでこちらを見ている。あっ、可愛い。

彼女の表情はもう艦娘だったと思う。

 

ジッと見ていたのがばれてしまって水姫がそっぽを向いた。

 

北方水姫「ワ、ワタシハモウイクカラナ!」

 

そう言って行ってしまった。

むう…少し残念だ。

 

時計は8時になったがまだまだ宴会は続いているようだ。

提督は再び資料に目を落とした。

 

              ~続く~

 

 

 

 

 

    

 

 

 




後書きでは艦娘や提督の紹介をしていきたいと思います。
興味ない方はブラウザバック推奨ですよ~



・提督
この作品の主人公。
数年前の深海棲艦の侵略攻撃によって故郷を失う。
艦娘に恨みを持っているようだが……?

性格は基本的には優しく真面目だ。だが自分や仲間が危険にさらされると
怪物へと変貌してしまう。
現にもう2回怪物へと変貌している。
怪物へと変貌するのは…それは彼の何かを犠牲にしてしまう事。
それが何なのかは分からない…

とりあえずは提督の紹介をさせていただきました!

次回もまた宴会ですね!
次回もお楽しみに!

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