第三話です。
今日は、日曜日。
というか、今日も、日曜日だ。
この作者は、日曜日しか知らないのだろうか。
前話からは、なんだかんだで一週間が経っている。
もし読んでいないという方は、ブラウザバックして、読みにいってください。
この作者も、きっと喜ぶでしょう。
駄文失礼した。
とにかく、日曜日。
俺は、ボーダー本部の食堂にいる。
今日ここに来たのは、先週食べた料理がおいしく、また食おうと思ったからだ。
やはり、美味い。
何の料理かは伏せておこう。
何と言っても、この作者は料理描写がヘタクソだからである。
読者のご想像にお任せする方向で。
二度目の駄文、失礼しました。
だが、こんな俺の平穏な日常も、簡単に崩れる。
「おう、黒分寺。」
「風間さん、こんにちは。また勧誘ですか。」
「いや、まあ、そうなんだが。」
「その前に、俺と10本勝負をしてもらう。」
「へ??」
つまり、こういうことらしい。
風間さんは、俺を勧誘していたが、実際の戦闘ぶりは見ていない。
だから見せてもらう、と。
そういうわけで、昼食を食い終わった後、個人戦をしに行くことに。
俺は、なんだかんだで個人戦はかなり久しぶりだ。
その相手が、攻撃手2位。
・・・。頭おかしいんじゃないのかな?
「ああ、言い忘れてた。」
戦いの前に、風間さんが一言。
「俺が勝ったら、部隊入りの件はちゃんと真面目に考えてくれよ。」
そんな条件...。はあ。
「ちなみにですけど、もしも俺が勝ったら?」
「俺に勝つ奴を、みすみす逃せと言っているのか?」
・・・。ですよね。言われると思いました。
まあとりあえず、戦うか。
一本目。
動きが悪すぎて、あっさり負ける。
二本目。
何となく思い出してくるも、二連敗。
三本目。
開始早々の鉛弾を当て、有利に展開。勝利する。
四本目も、同じようなやり方で連取。
五本目。
流石に三連続で同じやり方は通用しない。
だが、そんなことは分かっている。レイガストを
そこから、近距離で
五本終わって3-2。リードしている。
こうなったら勝ちにいきたい。と思うのが、普通だろう。
そして、六本目。
開幕の鉛弾はかわされる。しかも、逆に腕を斬られてしまう。
こうなれば一発逆転を狙って守りに徹する。
しかし、風間さんの技に敗れ、あっさり3-3と追いつかれる。
七本目。
開始早々でグラスホッパーを使い、さらにスラスターオン。
そのまま突っ込んで斬りかかる。
勝利したかのように思われたが、間一髪でかわされていた。少し削っただけ。
だが、このままいけば倒せる。そう思って距離を詰めたが、それは間違えていた。
俺が風間さんを倒したと思った瞬間。
思わぬところからスコーピオンがでてきた。
結果、相打ちとなり、引き分けに終わる。
そして、八~十本目は、頑張るものの三連敗。
個人戦は、俺の3勝6敗1分けとなった。
その後。
俺は風間さんと話していた。
「やっぱり負けちゃいました...。」
「3本も取られるとは、まあ、噂通りと言ったところか。」
「でも、最後は全然手も出ませんでしたよ。」
「俺は、そう簡単に負けるわけにはいかないんでな。」
やはり、分かっていたことだが、風間さんは強い。
ここは、3本とれたことを素直に喜ぼう。
「ということで、黒分寺。」
風間隊入り、考え直してくれ。というタイミングで、
「宵!!」
いきなり遼が俺のもとに来る。
「どうした、遼?」
「さっき、病院から連絡が入って、お前のお母さんが...!」
!!!
* * * * * *
病室で、今にも亡くなってしまいそうな女性が一人。
その病室に、駆け込んでくる一人の少年。
女性に駆け寄る。「お母さん!お母さん!」とその子は叫ぶ。
女性はうっすらと目を開ける。
「宵...。ごめんね、何もしてあげられなくて...。」
そんなことない、と言うように首を強く横に振る少年。
それを見た母親の顔には。
笑顔が浮かんでいた。
「宵。あなたが一番大切だと思えるものを見つけなさい。」
「あなたが困ったときに、助けてくれる友達をつくって。」
「もっと、自分を大切にしないとだめよ。」
「こんな親で、ごめんね...。ありがとう、宵。」
これが、彼女の最期の言葉となった。
必死に母親の名前を呼ぶ少年。
もちろん、その声は届かない。
黒分寺明璃。
くしくも、今日で去年の余命宣告からちょうど360日。
一年の余命に数日届かず、亡くなった。
その後。
残された黒分寺宵。
ふと、母が書いたと思われる手紙を見つける。
『宵。あなたにこの一年助けられた。私が落ち込んだ時、もう何もかも諦めそうになった時。
私のことを励ましてくれた。本当に感謝してる。本当に、本当に、ありがとう。』
『それと、もっと自分を持ちなさい。あなたは、副作用を理由に、自分を出すことを諦めてる。
でも、今のあなたには、友達がいる。存在をしっかり認識してくれる、素晴らしい友達が。
怖いかもしれない。でも、勇気を出した先には、きっと幸せが待ってる。頑張って!』
『なんで、風間隊に入らないのか。私なりに考えてみたんだけど、合ってるかな?
あなたは、周りに引け目を感じすぎている。自分に自信を持っていないんだよね。
あなたには、せっかく才能がある。くすぶらせておくなんて、私はダメだと思うよ。』
「ははっ、全部見抜かれてる。・・俺ってば、ダサいな。」
彼は、そうつぶやく。
「・・ダサすぎるよ。・・ホント。」
そう言う彼の頬を、幾筋かの涙が伝う。
美しい、涙が。
その病室の外には、美しい夕焼けが広がっていた。
* * * * * *
半年後。
俺の所属する部隊は、他のいくつかの部隊と一緒に、ネイバー遠征にいくところだ。
太刀川隊、加古隊、そして、風間隊。
母が亡くなった後、遺された言葉に背中を押されて、俺は風間隊に入隊。
本来ならB級からやり直しのところだが、実力が認められ、特例としてそのまま入隊できた。
俺は、自分の逃げ場として、ボーダー隊員になった。
ココには、いろんな人たちがいて、毎日が楽しかったから。
そして、奇跡的に、才能があったから、楽しく続けられた。
誰かを守りたいとか、そういう正義感は持っていなかった。
自分にとって、一番楽な選択をしていただけなんだ。
そんな俺は、風間隊に入る資格はない。
そう思っていた。
でも、母の言葉で気付くことができた。
俺にも、頑張らなくてはならない理由があることに。
俺は、あの時。大規模侵攻の時。
動けずに、ただ見ることしかできなかった自分を清算しなければならない。
だから、俺は戦う。
最も大事だと思っていた人はもういないけれど、
助けなければならない人、感謝している人はまだいる。
その人たちに応えるために、俺はこれからも歩みを止めずに進んでいきたい。 完
無事、完結ということで。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!!
少しだけでも、印象に残る小説となったでしょうか。
そうであれば、嬉しいです。
それでは。
感想等を残していただければ幸いです。
読了、誠にありがとうございました!!