副作用:影が薄い。   作:kwhr2069

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短編、これで終わりとなります。
第三話です。


急ノ編

 今日は、日曜日。

というか、今日も、日曜日だ。

 

 

 この作者は、日曜日しか知らないのだろうか。

 

 前話からは、なんだかんだで一週間が経っている。

 

 もし読んでいないという方は、ブラウザバックして、読みにいってください。

 

 この作者も、きっと喜ぶでしょう。

 

 駄文失礼した。

 

 

 

 とにかく、日曜日。

 

 俺は、ボーダー本部の食堂にいる。

 

 今日ここに来たのは、先週食べた料理がおいしく、また食おうと思ったからだ。

 

 

 やはり、美味い。

 

 何の料理かは伏せておこう。

 

 何と言っても、この作者は料理描写がヘタクソだからである。

 

 読者のご想像にお任せする方向で。

 

 二度目の駄文、失礼しました。

 

 

 だが、こんな俺の平穏な日常も、簡単に崩れる。

 

「おう、黒分寺。」

 

「風間さん、こんにちは。また勧誘ですか。」

 

「いや、まあ、そうなんだが。」

「その前に、俺と10本勝負をしてもらう。」

 

「へ??」

 

 

 

 つまり、こういうことらしい。

 

 風間さんは、俺を勧誘していたが、実際の戦闘ぶりは見ていない。

だから見せてもらう、と。

 

 

 そういうわけで、昼食を食い終わった後、個人戦をしに行くことに。

 

 

 俺は、なんだかんだで個人戦はかなり久しぶりだ。

 

 その相手が、攻撃手2位。

 

 ・・・。頭おかしいんじゃないのかな?

 

 

「ああ、言い忘れてた。」

 

 戦いの前に、風間さんが一言。

 

「俺が勝ったら、部隊入りの件はちゃんと真面目に考えてくれよ。」

 

 そんな条件...。はあ。

 

「ちなみにですけど、もしも俺が勝ったら?」

 

「俺に勝つ奴を、みすみす逃せと言っているのか?」

 

 ・・・。ですよね。言われると思いました。

 

 

 まあとりあえず、戦うか。

 

 

 一本目。

 動きが悪すぎて、あっさり負ける。

 

 

 二本目。

 何となく思い出してくるも、二連敗。

 

 

 三本目。

 開始早々の鉛弾を当て、有利に展開。勝利する。

 

 

 四本目も、同じようなやり方で連取。

 

 

 五本目。

 流石に三連続で同じやり方は通用しない。

 

 だが、そんなことは分かっている。レイガストを(シールド)モードにして、スラスターオン。

 

 そこから、近距離で拳銃(アステロイド)をぶっ放し、勝利を収める。

 

 

 五本終わって3-2。リードしている。

 

 こうなったら勝ちにいきたい。と思うのが、普通だろう。

 

 

 そして、六本目。

 開幕の鉛弾はかわされる。しかも、逆に腕を斬られてしまう。

 

 こうなれば一発逆転を狙って守りに徹する。

 

 しかし、風間さんの技に敗れ、あっさり3-3と追いつかれる。

 

 

 七本目。

 開始早々でグラスホッパーを使い、さらにスラスターオン。

 

 そのまま突っ込んで斬りかかる。

 

 勝利したかのように思われたが、間一髪でかわされていた。少し削っただけ。

 

 だが、このままいけば倒せる。そう思って距離を詰めたが、それは間違えていた。

 

 俺が風間さんを倒したと思った瞬間。

 

 思わぬところからスコーピオンがでてきた。

 

 結果、相打ちとなり、引き分けに終わる。

 

 

 そして、八~十本目は、頑張るものの三連敗。

 

 

 個人戦は、俺の3勝6敗1分けとなった。

 

 

 その後。

 

 俺は風間さんと話していた。

 

「やっぱり負けちゃいました...。」

 

「3本も取られるとは、まあ、噂通りと言ったところか。」

 

「でも、最後は全然手も出ませんでしたよ。」

 

「俺は、そう簡単に負けるわけにはいかないんでな。」

 

 

 やはり、分かっていたことだが、風間さんは強い。

 

 ここは、3本とれたことを素直に喜ぼう。

 

 

「ということで、黒分寺。」

 

 風間隊入り、考え直してくれ。というタイミングで、

 

「宵!!」

 

 いきなり遼が俺のもとに来る。

 

「どうした、遼?」

 

「さっき、病院から連絡が入って、お前のお母さんが...!」

 

!!!

 

 

*  *  *  *  *  *

 

 病室で、今にも亡くなってしまいそうな女性が一人。

 

 その病室に、駆け込んでくる一人の少年。

 

 女性に駆け寄る。「お母さん!お母さん!」とその子は叫ぶ。

 

 女性はうっすらと目を開ける。

 

「宵...。ごめんね、何もしてあげられなくて...。」

 

 そんなことない、と言うように首を強く横に振る少年。

 

 それを見た母親の顔には。

 

 

 笑顔が浮かんでいた。

 

 

「宵。あなたが一番大切だと思えるものを見つけなさい。」

「あなたが困ったときに、助けてくれる友達をつくって。」

 

 

「もっと、自分を大切にしないとだめよ。」

 

 

「こんな親で、ごめんね...。ありがとう、宵。」

 

 

 これが、彼女の最期の言葉となった。

 

 必死に母親の名前を呼ぶ少年。

 

 もちろん、その声は届かない。

 

 

 黒分寺明璃。

 

 くしくも、今日で去年の余命宣告からちょうど360日。

 

 一年の余命に数日届かず、亡くなった。

 

 

 その後。

 

 残された黒分寺宵。

 

 ふと、母が書いたと思われる手紙を見つける。

 

 

『宵。あなたにこの一年助けられた。私が落ち込んだ時、もう何もかも諦めそうになった時。

 私のことを励ましてくれた。本当に感謝してる。本当に、本当に、ありがとう。』

 

『それと、もっと自分を持ちなさい。あなたは、副作用を理由に、自分を出すことを諦めてる。

 でも、今のあなたには、友達がいる。存在をしっかり認識してくれる、素晴らしい友達が。

 怖いかもしれない。でも、勇気を出した先には、きっと幸せが待ってる。頑張って!』

 

『なんで、風間隊に入らないのか。私なりに考えてみたんだけど、合ってるかな?

 あなたは、周りに引け目を感じすぎている。自分に自信を持っていないんだよね。

 あなたには、せっかく才能がある。くすぶらせておくなんて、私はダメだと思うよ。』

 

 

「ははっ、全部見抜かれてる。・・俺ってば、ダサいな。」

 

 彼は、そうつぶやく。

 

「・・ダサすぎるよ。・・ホント。」

 

 そう言う彼の頬を、幾筋かの涙が伝う。

 

 美しい、涙が。

 

 

 その病室の外には、美しい夕焼けが広がっていた。

 

 

*  *  *  *  *  *

 

 半年後。

 

 俺の所属する部隊は、他のいくつかの部隊と一緒に、ネイバー遠征にいくところだ。

 

 太刀川隊、加古隊、そして、風間隊。

 

 

 母が亡くなった後、遺された言葉に背中を押されて、俺は風間隊に入隊。

 

 本来ならB級からやり直しのところだが、実力が認められ、特例としてそのまま入隊できた。

 

 

 俺は、自分の逃げ場として、ボーダー隊員になった。

 

 ココには、いろんな人たちがいて、毎日が楽しかったから。

 

 そして、奇跡的に、才能があったから、楽しく続けられた。

 

 誰かを守りたいとか、そういう正義感は持っていなかった。

 

 自分にとって、一番楽な選択をしていただけなんだ。

 

 

 そんな俺は、風間隊に入る資格はない。

 

 そう思っていた。

 

 

 でも、母の言葉で気付くことができた。

 

 俺にも、頑張らなくてはならない理由があることに。

 

 

 俺は、あの時。大規模侵攻の時。

 

 動けずに、ただ見ることしかできなかった自分を清算しなければならない。

 

 

 だから、俺は戦う。

 

 最も大事だと思っていた人はもういないけれど、

 

 助けなければならない人、感謝している人はまだいる。

 

 

 その人たちに応えるために、俺はこれからも歩みを止めずに進んでいきたい。    完




無事、完結ということで。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!!

少しだけでも、印象に残る小説となったでしょうか。
そうであれば、嬉しいです。


それでは。
感想等を残していただければ幸いです。

読了、誠にありがとうございました!!

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