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では、一話目、どうぞ!
影が薄い。
存在感がない。
昔から、そんな風に言われてきた少年。
名前は、
小学生の時。
運動会のかけっこで、一位をとってもスルー。
遠足でも、すぐ近くにいたのに、捜索騒ぎに。
修学旅行では、部屋にいないと勘違いされる。
中学生になって。
体育の授業で、高度な技をしても顔を向けられず。
テストで学年4位をとっても、周りの反応はなし。
嫌になった彼は。
目立とうとすることをやめた。
そうすると、気持ちもどこか楽になった気がした。
彼は、友達なんて必要なかったんだと思った。
しかしそれは、ただ強がっていただけ。
彼の心の隅には、寂しさが残っていた。
彼は寂しさに気づかないよう平静に過ごそうとした。
中二になり。
独りの生活に慣れてきて、平穏に過ごしていたが。
大規模侵攻に遭う。
彼は一人っ子で、家は母子家庭。
彼が被害を受けることはなかったが。
しかし彼の母は、トリオン兵による攻撃を食らった。
幸い、奇跡的に一命はとりとめるが、致命傷を負った。
余命約一年と宣告される。
黒分寺宵は、母が攻撃される瞬間を目の前で目撃していた。
ただ見ることしかできなかった自分を呪った。
死も考えた。
追いつめられていた彼を救った人がいた。
彼は存在感が皆無なはずなのに。
その人の名は、歌川遼。
彼は、ボーダーというところに所属していて、寡黙だったが目立つ方の男だった。
しかし最初、彼はその救いの手を拒む。
他人と接することを長年避けてきた彼は、簡単にそれを受けいれることができなかった。
しかし、歌川の優しさに心が満たされ、だんだんと心を開く。
そしていつしか親友に。
また、別の出会いもうまれる。
菊地原士郎。
彼は、歌川と同じく、ボーダーに所属。
正論という名の、毒を吐く男。
強めの言葉をかけてくる菊地原を避ける人は、少なくない。
だが、人と話していない闇時代を抱える黒分寺の心には、会話そのものが楽しかった。
しかも、菊地原は黒分寺の存在を見失うことがない。
これは、黒分寺にとって、更に救いだった。
いつしか彼は、学校に行くことを苦にしなくなっていた。
歌川と菊地原。
この二人との出会いが、彼を絶望の淵から救い出したのだ。
そして彼は、二人に進められ、ボーダー隊員となる。
ボーダーで彼は、多くの人と出会う。
たくさんの、素晴らしい人たちと。
そして彼は、真実を知る。
自分の存在感がなかった訳。
彼は、このサイドエフェクトを持っていた。
ボーダーのオプショントリガーに、『カメレオン』というのがあるのだが、彼は常にその状態にある。
もちろん、それとは違い、透明になっているわけではない。
また、『カメレオン』使用中は、他のトリガーを使うことはできないが、そういう弊害はない。
彼は、サイドエフェクトが理由で、他の人たちに存在を認識されていなかったのだ。
さらに彼は、トリオン量も多かった。
当時のトリオン量ランキングで、一位に躍り出るほど。
まあ後に、雨取という女の子にそれはあっさりと抜かれてしまうのだが。
彼の元父は、競艇選手。
母は、元体操選手だったという。
さらに、二人の祖父は、陸上選手と野球選手。
スポーツマンの遺伝子を持つ彼は、運動能力が高かった。
彼が最初に受け取ったトリガーは、レイガスト。
守備に寄った、攻撃手用トリガー。
少々重いが、攻撃力、耐久力どちらもある。
彼は、その才能を駆使し、入隊後すぐにB級に上がる。
その驚異的なスピードはボーダー内で話題となる。
しかし、彼のサイドエフェクトにより、例の3バカに絡まれたりということはなかった。
彼は、その隠密性から狙撃手も考えたが、とある出会いから万能手になる。
それは、銃手用オプショントリガー。『
トリオン量を多量に消費する。
敵のシールドを無視して攻撃可能だが、射速が遅く、避けられると不利。
彼は、トリオン量も多い。
敵にも見つかりにくい。
それは、運命の出会いと言ってよかっただろう。
結果、彼は、攻撃手と銃手を兼ねる万能手となった。
周りから見ても、彼自身の目から見ても。
彼は、ボーダー隊員向きだった。
自身でもそう思っていたはずだろう。
彼は、自分の居場所を見つけた。
輝ける場所を発見し、生きる意味を見つけた。
だからこそ、彼は。
歌川、菊地原の二人との出会いに心から感謝している。
しているのだが。 続
★黒分寺宵、トリガーセット・能力値
メイン: レイガスト 、スラスター、グラスホッパー、FREE
サ ブ:アステロイド(拳銃)、 鉛弾 、 シールド 、FREE
トリオン量:18、攻撃:6、機動:7、技術:6
防御・援護:10、射程:3、指揮:1、特殊戦術:2 Total:53
読んでくださり、ありがとうございました!
神視点、主人公紹介回でした。
次回からは、主人公視点が中心になります。
あと二話、お付き合いいただければ嬉しいです!
では、また。