赤毛の紀行家   作:水晶水

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 キャラ紹介を活動報告に上げているので、よろしければそちらもどうぞ。

 Deckさん、zeronetwoさん、評価ありがとうございます!


エピローグ -Feena-

Main Character:フィーナ

Location:ゼピック村

 

 

 

 朝の一幕からは特に何事もなく時が過ぎた。2人に手伝ってもらったのですぐに家事も終えて、今は各々が自由に過ごしている時間だ。

 こういう風に何もすることなくぼんやりとしていると、記憶を失ってからのことをよく思い出す。目覚めたら冷たい床の上に倒れていて、拘束されるようなことは無かったけれど、固く閉ざされた鉄格子からたまに見張りの魔物がギョロリと目を向けてくるのがたまらなく怖かった。

 いつ終わるともしれない地獄のような日々を過ごして、気が狂いそうな時もあったけど、ある時それは突然終わりを告げた。

 

 何かに抱きかかえられて目を覚ますと、そこには赤があった。何も変わることのなかった景色に、懐かしい気配を漂わせて突然現れたそれは、私にとっての王子様だ。今思うと、もうこの時から私はアドルさんに恋をしていたのかもしれない。

 そこからはあっという間に助け出されて、囚われの日々とは違って、1人の女の子としての生活が始まった。慣れないことばかりで大変ではあったけど、記憶が無い私に優しくしてくれる人がたくさんいて、私は忙しくとも充実した日々を送ることが出来た。

 本集めの合間に会いに来てくれたアドルさんに、何も分からないなりに必死にアプローチをして、それで少し困った表情をしながらも相手をしてくれるアドルさんが大好きで、アドルさんのために色々頑張ってジェバさんをよく呆れさせていたのも昨日の事のように思い出せる。

 

 ダームの塔から眩い光が放たれて、その時に私の記憶は戻ってきた。突然のことに混乱していると塔の方から姉さんがやって来て、そこからすぐに黒真珠を封じるためにイースへと上がっていった。でも、イースにたどり着く前にダームの呪縛に囚われてしまって、アドルさんが中枢に来るまでずっと動けないでいた。

 囚われている間もアドルさんは命をかけて戦っていることを思うと、その状況が酷く歯がゆくて、それでもやっぱり祈ることぐらいしかできなかった。

 ダームのところへ行くアドルさんを送り出す時も、本当は行って欲しくなかった。本来関係がないはずのアドルさんを死なせてしまうかもしれないと思うと、胸が張り裂けそうになってしまって、でも、アドルさんはそういうことも全部分かった上で、イースを救うために笑って引き受けてくれた。

 その笑顔を見てつい安心してしまって、やっぱり私はこの人のことを心の底から愛してるんだなって。

 

 だからこそ、黒真珠の封印にだけは巻き込むまいと、愛する人に生きていて欲しいという思いでアドルさんへの想いを振り切ろうとしたけど、アドルさんは私がアドルさんのことを大好きなのと同じぐらい私のことを愛してくれていて、その時に告白の返事としてプロポーズまでしてくれて、女神として最後の役目を果たそうと思っていたけど、自分はもう女神じゃなくてただの1人の女の子になれたってことに気がつけて、そうしたら、アドルさんと死ぬまで一緒に生きていたいって気持ちがだんだんと強くなっていった。

 

 それから、本当に3人とも生きたまま黒真珠を封印することが出来て、今は本当に幸せな生活を送っている。一緒に生活することで、今まで見ることが出来なかったアドルさんの一面を見つけるのが最近の楽しみで、毎日が発見の日々だ。

 

「アドルさん」

 

「はい、何でしょう?」

 

「何でもありません♪」

 

 アドルさんのベッドの上から、何かを書いているアドルさんにそう呼びかけた。不思議そうな顔をするアドルさんに微笑み返し、私は自分の左手に視線を落とす。左手の薬指にあるアドルさんと一緒に買った、お揃いの元クレリアのエンゲージリングがつけられているのを見て、自然と口角が上がっていくのが何だかとても面白い気がした。

 

「明日、ですね」

 

「はい、長く待たせてしまいましたが」

 

 もう何度目かも分からないぐらいの問いかけにも、こうやってアドルさんは律儀に返してきてくれる。

 

「えへへ、幸せにしてくださいね?」

 

「任せてください」

 

 書き物を止めてアドルさんがこちらに向き直り、優しい瞳で私を見つめてきた。何だかたまらなくなって、私はベッドから立ち上がってアドルさんへ抱き着くと、彼もそっと抱き返してくれる。

 じっとお互いに見つめ合い、いつまでもこんな風に暮らせていけたらいいなぁ、と思いながら、私はアドルさんの胸に沈んでいった。




 そういえば、この世界はスク水なんかがあったりしますけど、イース世界の衣服の発展の歴史ってどうなってるんですかね。ゲームのビジュアル的な問題って言われたらそれまでなんですけども。

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