赤毛の紀行家   作:水晶水

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 巻きで攻略される廃坑。

8/17 誤字報告ありがとうございます。修正致しました。


L.Beat of the Terror

Main Character:アドル=クリスティン

Location:ラスティン廃坑

 

 

 

 レアさんの妹トークを何とか日が変わる前に切り上げさせて、へとへとになりながら宿で就寝した翌日、僕は予定通りラスティン鉱山の廃坑まで来ていた。

 割と最近まで使われていたと聞いていたので、比較的新しい地図が手に入るのを期待して、入り口の側にあったボロボロの小屋を探っていると、期待通り坑道内の地図を見つけることが出来た。

 

 必要な物を取り揃えて廃坑に入ってみると、一寸先は闇、中はまるで光を拒むかのような暗闇に包まれていた。当然このままでは探索どころの話ではないため、異空間から松明を取り出して明かりを灯すと、真っ赤な炎が廃坑を照らし出す。それでも先の方は見えないが、ないよりは断然マシである。

 入る前に見た地図によると、廃坑の第3層に坑道には似つかわしくない豪奢な造りの扉があるらしい。神殿にもあったあの扉と同じものだろうと当たりをつけ、一先ずはそこを目指すことにする。

 

 

 

 魔物が出現した場所だけあって、廃坑の魔物は草原街道や神殿にいたそれと比べるとなかなか手強い。多対一にならないように気をつけて魔物を斬り捨てながら、僕は廃坑を奥へ奥へと進んでいった。

 

 そのまま順調に歩を進め、僕は今例の扉の目の前まで来ていた。

 今回は最初から地図があったので、暗闇であったことを加味しても、ゴールが分かっていたのもあって、虱潰しで探索をした神殿の時よりかはかなり楽に探索できたと思う。

 

 恐らく、今回も大ムカデのような強力な魔物と戦うことになるので、しっかり息を整えてから、僕は意を決して扉に触れる。今までと同じように扉が消滅し、部屋の中から光が溢れてきた。どうやら神殿の地下のように自ら発光する素材で作られているようだ。

 松明をしまい部屋に入ると中には前方向に10メライ、横方向に30メライほどの空間が広がっているのが見て取れた。今回は特に怪しいものも見当たらないので、不意打ちにも対応できるように長剣を腰から抜いておき、四方に視線を巡らせる。

 ゆっくりした歩調で部屋の真ん中に来たあたりで、靴音だけが響いていた室内に何かの羽音が混じり始める。甲高い鳴き声も聞こえてきたかと思うと、何処からともなく赤黒い血のような色をした蝙蝠の群れが現れた。

 蝙蝠たちが僕の目の前に群がり、やがてそれは5メライほどの巨体を構成する。翼を持つ真っ赤な目をした赤黒い魔物がこちらを見据えてくる。

 

(こいつは長剣でも斬れそうですが……はてさて、どうなることやら……)

 

 威嚇するように剣を振り払い、こちらも負けじと睨み返す。そして、数瞬睨み合った後に僕らは同時に動き出した。


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