赤毛の紀行家   作:水晶水

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 PCで遊べるイースが半額だから、これを機会にオリジンをがっつりやってみようかなと思う今日この頃。


H.神殿攻略

Main Character:アドル=クリスティン

Location:バギュ=バデット

 

 

 

「そういえばジェバさん、これが何かご存知ないですか?」

 

「んん? 何だいこれは?」

 

「神殿で見つけた物なんですが」

 

「ふむ……私はこれが何か分からないが、ゴーバンに聞けば何か分かるかもしれないね」

 

「ゴーバンさんとお知り合いなんですか?」

 

「知り合いも何も、ゴーバンは私の息子だよ」

 

「えぇ!?」

 

 

 

 プレシェス山を登りながら、僕はフィーナさんが起きる前、ジェバさんに神殿から持ち帰った謎のマスクについて尋ねた時のことを思い返していた。急ぐ用事ではなさそうだが、登るついでにマスクのことを聞いていくのがいいかもしれないと思い、今は再び盗賊のアジトに向かっている途中だ。

 吊り橋がうっすらと見えてきたところなので、もうすぐ到着するだろう。

 

 

 

「これは……アレだな。隠された道を見つけ出す力があるっていうマスクだな。名前は確かマスクオブアイズって言ったか」

 

「マスクオブアイズ……」

 

 ゴーバンさんが口にした名前を復唱する。流石盗賊と言ったところか、道具に関する知識には舌を巻くものがあった。

 しかし、隠された道を見つけ出す力か……。そんな不思議な物を拾っていたとは。

 

「しっかし、魔物の巣窟に飛び込むたぁ、アドルも大胆なことをするもんだ」

 

「まあ、少し用事がありまして」

 

「はっはっは! あんなところに用事か!」

 

 ゴーバンさんが僕の肩を叩きながら上機嫌に絡んでくる。

 

「まあ、何にせよ油断だけはしなさんな。あそこには恐ろしい魔物もいると聞く」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 聞きたいことも聞けたので、僕はゴーバンさんに頭を下げてから盗賊のアジトを後にした。

 

 

 

Location:サルモンの神殿

 

 

 

 あれから真っ直ぐ神殿まで向かい、神殿の地下3階まで踏破した。魔物を斬り倒しながら全ての部屋も通路も探し回ったが、未だに本のほの字も見つけられない。

 女神像も全て手で触れて転移先も虱潰しで探したが、正直もうお手上げ状態だ。

そんなわけで、今は壁に背を預けて休憩している。

 

(地図に誤りがないことはちゃんと確かめましたが……そうなるといったい本は何処に……。まさか隠し部屋なんかがあったりするのでしょうか。………………隠し部屋?)

 

 ふと、ここに来る前にゴーバンさんに教えて貰ったマスクのことを思い出した。取り出してマスクオブアイズを付けてみると、前と同じように視界が灰色に変わる。

 しかし、今回は視界の色だけでなく、見えているものまで変わっていた。マスクをつける前まではあった目の前の壁が無いのである。

 

(なるほど、これが隠されたものを見つけ出す力……)

 

 実際に体験してみると何とも不思議なことか。マスクオブアイズの真価に驚きつつも、新たな探索範囲が現れたため、僕はその見えない通路の先へ歩き出した。

 

 

 

 あの見えない通路の先にあった女神像に触れて、今僕は神殿で一番最初に見つけた扉を更に大きくしたようなものの前に立っている。恐らくここの先にイースの本があるのだろう。

 

 意を決して扉に触れると、あの時と同じように扉が消滅した。扉の奥は広いホールのような構造で、入口の対角線上にまた奥へと続く扉があるのが確認できた。

 先の一件もあり、警戒しながらホールを進んでいると、扉の前まで来たあたりで足元が揺れているのに気がついた。何かが起きる気配を察知して、僕は警戒のレベルを更に上昇させる。

 その時、頭上から石や砂がパラパラと落ちてきて、それに合わせて視線を上に向けると、巨大な壁画が罅割れながら蠢いているのが目に入った。それを見て全身の毛が逆立つほどの悪寒を感じ取り後ろへ全力で跳んだ次の瞬間、それが壁画の中から勢いよく飛び出してきた。それは僕がさっきまでいた場所を易々と砕き、ギチギチと何かが擦り合わさるような音を鳴らしてゆっくりとこちらへ視線を向けてくる。

 巨大なムカデ、そう形容するのに相応しい魔物が僕の前に立ちはだかっている。目測で10メライほどの巨体は今までに味わったことのない威圧感を放っていた。

 

「一筋縄では……いかないようですね……!」

 

 神殿最後の決戦の幕は切って落とされた。


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