「――提督ッ⁉」
未だにゴーヤ酒一杯に苦戦している私の視線の先で、提督がいきなり倒れこんだ。
それを見た周りの艦娘達は私も含めて慌てて駆け寄ったが、提督をその胸に抱き支える間宮は口の前で指を立て、しぃ、と小さく囁いた。
「気分が優れないようでもないですし、おそらく呑み過ぎて眠ってしまったようです。昨日も眠っていないようですし、このまま眠らせてあげましょう」
糸が切れたかのように崩れ落ちた提督の寝顔を見てみれば、起きている時の引き締まった表情とは対照的に、ひどく緩んでしまっているように思えた。
いや、流石に眠っている間も表情を引き締めろというわけではないが、いい夢でも見ているのだろうか。
提督を囲んで輪を作りながら、艦娘達はそんな提督の姿を物珍しそうに観察する。
私の隣の龍驤がいつものように飄々とした様子で口を開いた。
「ほっほぉ~? あの鉄仮面の司令官も寝顔は随分可愛いんやなぁ。何やら笑ってるみたいやね。なぁ、瑞鶴」
「いや、笑ってるというかにやけてるというか、鼻の下が伸びてるというか……ふんっ、心配して損したわ。案外酔い潰れたんじゃなくて、間宮さんの胸に埋もれたショックで気絶してたりして」
「貴女とぶつかっていれば無事だったという事かしら」
「加賀さんちょっと表に出ようか⁉ 行くわよ、龍驤さん!」
「いや何でうちまで巻き込まれてんねん⁉」
「哀れね」
「やかましいわ!」
「さぁ! いよいよ吾輩と筑摩、利根型姉妹の挨拶の時間じゃ! 真打は遅れて登場するものなのじゃ! なーっはっはっは! ……って何事じゃー⁉ 筑摩ーッ! ちくまァーーッ⁉」
「あらあら、利根姉さん? どうやら提督は酔い潰れてしまったようですね」
厠にでも行っていたのだろうか、高笑いしながら店内へと入ってきた利根がいつものように素っ頓狂な声を上げた。
未だに挨拶が出来ていなかった千歳と千代田も、残念そうな表情を浮かべる。
「えぇー……どうしよう、千歳お姉」
「残念ね。提督とお酒を酌み交わしながらお喋りできると楽しみにしていたのに。次の機会を作ってもらえるのかしら」
「あっ! 千歳お姉、いくら提督相手でも二人きりで呑んじゃ駄目よ! 絶対私にも声をかけてよね!」
「さぁ、どうしようかしら。千代田には内緒で……ふふっ」
「駄目っ! 絶対に駄目なんだから!」
中の騒ぎを聞きつけたのか、外に出ていた大淀達が慌てて駆け寄って来た。
長門と金剛ら戦艦達が提督に駆け寄った余波で駆逐艦が数人木の葉の如く吹き飛ばされてしまう。非常に迷惑だった。
「ノォォーーッ⁉ こ、これは一体どういう事デスカーッ⁉ テートクゥーーッ⁉」
「ば、馬鹿なッ⁉ もしや敵襲か⁉ くっ、この長門がいない隙を狙うとは――!」
「この二人は置いておいて、まっ、間宮さんっ! 何があったんですかっ⁉」
間宮が大淀達に改めて説明しているのを眺めていると、私の背後に立っていた妙高姉さんが困ったような表情でこう言ったのだった。
「先に酔い潰れた方が負け、という取り決めだったわね。おめでとう那智、貴女の勝ちよ」
「妙高姉さんも人が悪い……私がゴーヤ酒とやらで未だ足踏みをしている事くらい知っているだろう。その間に提督は何杯呑んだと思ってる」
「呑むペースも呑んだ量も勝敗には関係ないルールだったでしょう? 立ち合いを任されたこの私が貴女の勝ちだと判定しているのよ」
妙高姉さんの言葉に私の方が面食らってしまったが、よくよく考えてみれば妙高姉さんはこういう人だった。
あくまでも今回の呑み比べは「先に酔い潰れた方が負け」という取り決めしかしていない。これは私の落ち度であった。
呑むペースを落とそうが、呑む量を減らそうが、それは作戦の一つとして容認されてしまうという穴があった。
無論、この那智がそんな小細工を弄するつもりがあろうはずも無いし、あれだけの量をあれほどのペースで呑み干していた提督も同様であろう。
『敬意を払うべき者から酒を注がれる際には、杯を空にするのが礼儀だ』と提督は語ったが、まさに有言実行だった。
私の後に潜水艦や戦艦、駆逐艦など数多くの艦娘と挨拶を交わしていたが、あの男はなんと全ての艦娘に注がれる酒を、全て一息に飲み干していたのだ。
それはつまり、この鎮守府の艦娘全てに敬意を払っているという事に他ならない。
金剛型に至っては一人で何回も注いでいたのだから、果たして提督は何杯の酒を呑み干してしまったのだろうか。
一方で私はゴーヤ酒をどうしても飲み干す事が出来ず、酔ってすらいないような状況だ。
そんな状況で、提督が最後に何を食べていたか。私は思わず自分の目を疑った。
磯風が忠誠の証だと言って持ってきた炭の塊を、提督は顔もしかめずに黙々と完食していたのだ。
それを見て、流石に私も悟らざるを得なかった。
提督が相手にしていたのは私だけではなく、この横須賀鎮守府の艦娘全員だったのだと。
未だに私が飲み干す事の出来ていないゴーヤ酒とやらも、あの磯風の作った焼き焦げた炭の塊も、提督にとっては、提督の望んでいた「艦娘達の自然な姿」だったのだろう。
提督に気を遣わずに背中に抱き着いた潜水艦、提督を枕にして眠りこけていた工作艦、私が言える立場では無いが侮蔑とも取れる厳しい言葉を投げつけた駆逐艦。
無礼と取られてもおかしくは無いそのどれもが艦娘の自然体であり、それこそが提督の求めていたものだった。
私との呑み比べもその一つに過ぎなかった。
最終的には艦娘の物量に負けて提督は酔い潰れてしまったが、私は試合に勝って勝負に負けた、という事なのだろう。
「そうだな……私の勝ち、か。フッ、普通に呑み比べても負ける気はしないが……奴には敵う気がしないな」
今回の負けさえも、あの男は喜んで受け入れるのだろう。
賭けを提案した時には、もしかするとすでに自らの負けを悟っていたのかもしれない。
あれだけの智謀の持ち主ならば、むしろそう考えた方が自然だ。
「ふふっ、本当に不思議な人ね」
「足柄……その、済まなかったな。私もこんな席で呑み比べなどに誘うべきでは無かった。皆にも悪い事をした……」
仕方が無い、とでも言いたげな表情の足柄であったが、どこか嬉しそうにも見えた。
足柄は騒がしい艦娘達に囲まれながらも全く目覚める気配の無い提督を見つめながら、口を開いた。
「いいえ。多分、それで良かったと思うの。提督は私達が気を遣わずに接してくるのを喜んでいたようだったから……那智姉さんが呑み比べに誘ってきた事も、きっと嬉しかったんだと思うわ。それに、提督も口では那智姉さんに負けてられないなんて言っていたけれど、おそらく呑み比べがなくても、お酌されたお酒は全て飲み干していたと思うわよ」
「そのせいで足柄のカツカレーに手を付けられなかったと聞いた時には、思わずお説教をしようかと考えてしまったけれど。それも想定内だというなら流石に……」
「みょ、妙高姉さん、それは大目に見てあげて」
妙高姉さんは怒っているというわけでは無いが、少し呆れているようだ。
良くも悪くも公平で融通の利かない性格だ。
足柄のカツカレーを食べるという約束をしていながら、考え無しに酒を呑む事で腹を下し、結果として足柄が遠慮する羽目になった事は、流石に提督と言えども落ち度であると考えているのだろう。
ましてや最初からカツカレーに手をつけられなくなる事すらも想定内であったというならば、それは当然失礼にも程があると。
しかし、当の本人はすでに納得が出来ているようで、小さく溜息をついて言葉を続けた。
「腹痛のせいで私のカレーを食べられなかったのはおそらく想定外よ。そう、本当に不思議な人……昨夜、私達に最高の勝利を与えてくれた頭脳を持ちながら、艦娘全員を大切に思うあまりにこんなヘマをやらかしてしまうなんてね。ふふっ、私のカレーを楽しみにしていたって言ってくれた時の提督の表情、妙高姉さん達にも見せてあげたかったわ。普段は凛々しいのに、今にも泣いてしまいそうな、あんなにも悔しそうな顔をされてしまったら、許すしか無いわよ」
そう言って困ったように笑う足柄を見てしまっては、妙高姉さんも何も言えるはずが無かった。
私と目を見合わせて、私達も肩をすくめて笑うしか無かったのだった。
「完全無欠の完璧超人、というわけでは無いみたいね。なんだか少し安心したわ」
「そうだな。私達にもまだあの男を支える余地はある、という事だ。聞いていたな、羽黒」
「ふぇぇえっ⁉」
ぽん、と羽黒の肩に手を置くと、羽黒は素っ頓狂な声を上げて肩を震わせた。
どういう事でしょうか、などと涙目で訴えてくるものだから、私はその目を見据えながら言葉を続けた。
「提督を支えるのは秘書艦の役目だ、という事だ。那智型……いや妙高型の名に賭けて、鹿島に負けてられんぞ」
「そ、そんなぁ……そ、そもそも勝負する事では……」
「いいえ羽黒。私が思うに、改二になる為に貴女に足りないのは勝利への執念! 勝ちへのハングリー精神よ!」
「足柄姉さんまで……みょ、妙高姉さん、何とか言って下さい」
羽黒は縋るように妙高姉さんにそう言ったが、当の妙高姉さんは、隣の香取と何やら楽しそうに言葉を交わしていた。
「うふふ。うちの鹿島も羽黒さんに負けないように頑張らないとですね。香取型の名に賭けて」
「お手柔らかにお願いしますね。ふふふ、うちの羽黒も負けられませんね」
「あらあら、まぁ」
「いえいえ、うふふ」
「な、何を競い合ってるんですかぁ!」
涙目の羽黒に縋りつかれるも、妙高姉さんはそれを気にせぬように私にこう言うのだった。
「あぁ、そうそう、那智。そう言えば、敗者は勝者の言う事を聞くという賭けの件だけど、提督に何を言うつもりなの?」
「む、そうだな……羽黒をどうかよろしく頼むと伝えておこう」
「ふぇぇええっ⁉ や、やめて下さぁいっ!」
◆◆◆
――翌日。
「……朝潮? 荒潮の姿が見えないけれど」
「はいっ、大淀さん! 昨夜、司令官が追いかけてきて捕まえてくれなかったからと、未だ布団の中でふて寝しています! いかがいたしましょう?」
「叩き起こしてらっしゃい」
「了解しました!」
提督が酔い潰れてしまった事で強制的にお開きとなった歓迎会から一夜明けた。
私室までお連れしようかとも思ったが、あまり動かさない方が良いかもしれないとの意見を受け、提督にはその場に敷いた布団で休んでもらう事になった。
添い寝しようと布団に潜り込もうとする金剛やイク達を長門さんに引きずり出してもらい、私はその場にいた面子に、提督に任された備蓄回復作戦について簡単に説明をして――現在に至る。
提督の姿の無い執務室に、横須賀鎮守府のほぼ全ての艦娘が集合している。
時刻はマルハチマルマル。
あれだけ大量に呑んだからか、提督はこの時間になっても目覚めなかったが、私達はそれにほとんど戸惑う事が無かった。
何故ならば、提督が前もって私にこう指示をしてくれていたからだ。
『私の許可を待たずに、大淀の判断で開始して構わない。報告も随時で良い。ただし、なるべく迅速に頼む』
思えば、提督はこのような状況を考えて、私に備蓄管理を任せてくれたのだろう。
現在の備蓄状況の回復については一刻を争い、迅速な行動が求められる。
そして途中で力尽きたとはいえ、全ての艦娘に平等に対応した事で酔い潰れてしまう事も、あの提督ならば予測済みだと考えてもおかしくはない。
――前提督の場合、その日の気分で酒に溺れ、翌日も二日酔いで仕事にならないといった事が多々あった。
その間、私達は指示を受ける事も出来ず、かと言って何もしなければ厳しく叱責されたものだ。
深海棲艦のはぐれ艦隊が近海に迷い込んできたものを迎撃すれば、「兵器の分際で儂の指示も無しに勝手に動くとは何事だ!」と怒鳴り散らされ。
それに従い動かなかった事で近海の漁船等に被害が出れば、「指示が無ければ満足に動けないのか! それくらいの判断も出来ないのか!」と怒鳴り散らされた。
ついでに言えば、酒に溺れるのも、「誰のせいでストレスが溜まっていると思っているんだ!」との事だった。
ふと、それを思い返せば、提督がただ一言残してくれた言葉の有り難さが身に沁みた。
私に構わず、大淀の判断で動いてくれ、と。
そして提督は艦娘一人ひとりに真摯に向かい合い、物量に押し負けて酔い潰れてしまった。
あれほどの智謀を持つ方が、何も考えずに酔い潰れてしまうはずなど無い。
提督は自分がいなくても鎮守府の動きが止まらないように、すでに手を打ってくれていた。
そう。真の右腕たる、この私に――。
『――お前を信じてるからな』
『それだけは、改めて伝えておきたかったのだ』
『私を一番上手くフォロー出来るのはやはり大淀しか考えられんからな……』
『これからも、至らない私を支えてくれ』
提督が私に、私だけにかけてくれた御言葉が頭の中で反芻される。
つまり、提督が酔い潰れてしまった事は、私への信頼の裏返しなのだ。
たとえ自分がいなくとも、この大淀がいれば艦娘達を上手くまとめ、備蓄管理をこなしてくれるだろう、と。
大淀に指揮を任せる事で、自分は酔い潰れるまで目の前の艦娘達に全力で向かい合う事ができるだろう、と。
私がいるから、提督は安心して酔い潰れる事ができたのだ。
よ、よぉし、よぉし……! 頑張らねば! その信頼に全力で応えねば!
「大淀、ドヤ顔」
「もういちいち指摘しなくていいんじゃない?」
明石と夕張が呆れたようにそう言うのが聞こえたので、平静を装いながらコホンと小さく咳払いをした。
寝ぼけ眼をこすりながら、荒潮が朝潮に手を引かれて入室してきたので、私は改めて執務室に集まった艦娘達に向かって口を開いた。
「それでは全員揃いましたので、改めて本日の作戦について説明します。本作戦の主眼となるのは、先の遠征により発見された敵資材集積地からの資材確保、輸送作戦です」
私の考えた作戦はこうだ。
先の戦いで発見された三箇所の敵資材集積地。
北東のA島、東のB島、南東のC島に、それぞれ私が振り分けた艦隊を向かわせる。
ただ、いきなり輸送部隊を向かわせるのではなく、念には念を入れて、まずは精鋭駆逐隊で構成された先遣隊による偵察を行う事とした。
「北東のA島へは時雨、夕立、江風。東のB島へは暁、響、雷、電。そして南東のC島へは朝潮、大潮、荒潮、霞ちゃんの――」
「ちょっ、ちょっと待って!」
私の声を遮ったのは満潮だった。
それは私にも想定内の事であり、事実、とても悩ましい所だ。
今回の先遣隊には、先の遠征部隊として提督が選んだ駆逐艦の精鋭達を再び編成した。
そこで、霞ちゃんと満潮を入れ替えるか否か……提督はあの戦いにおいて、少しでも練度の高い霞ちゃんを選んだが、今回の作戦に関してはどうかという事だ。
「私じゃ、やっぱり私じゃ力不足って事、でしょうか……」
今にも泣いてしまいそうな満潮を見ていると心が痛む。
私の判断では、今回の作戦に関しては満潮でも十分であるとは思う。
制海権を取り戻した今の領海内であれば、満潮も十分すぎるほどに高い練度を持っているからだ。
それを知りながらなお霞ちゃんを編成した私も、少し提督の事を意識しすぎであろうか。
どう声をかけようかと躊躇している私に、川内さんが声をかけてくる。
「大淀、昨日の遠征については、提督も厳しい航路になる事が予想できてたから、少しでも練度の高い霞を編成したんだと思うけど。今回の作戦もそうなの?」
「そ、それは……申し訳ありません。確かに、私も提督の事を意識しすぎているようです。正直に言えば、満潮の練度ならば今回の任務をこなすに十分すぎるほどだと思っています……」
「まぁ、それも無理はないけどさ。大淀の指揮能力は私達だって信頼してるんだし、自分の判断に自信を持ちなよ。満潮は昨日だって、私達の夜戦演習に最後まで着いてきてたし、練度は十分だと私は思うよ?」
川内さんの意見は、満潮に対する同情や哀れみなどでは決して無かった。
満潮の練度をしっかりと見極め、公平に判断した故の言葉であった。
先の戦いにおいて提督が心を鬼にして、満潮が傷つく事を知りながら編成から外したのは、勝利の為に最善を尽くす為。
今回の作戦内容であれば第八駆逐隊の中で満潮だけを外す意味など皆無。提督に囚われ過ぎて本質を見失い、満潮を傷つけるだけの意味の無い編成をしてしまうところであった。
そんな事を提督は私に求めているであろうか――否。
迷いを持ちながら提督の模倣をするのではなく、私が最善と思った判断を下す事こそが、提督の求めている事のはず。
提督の事を意識するあまり自分を見失いかけていた私に、川内さんはそれを気付かせてくれたのだ。
「……川内さん、ありがとうございます。私もこれからは提督に囚われ過ぎず、自分の判断を信じる事にします」
「うんうん。頼りにしてるよー」
「ちなみに満潮、同じく夜戦演習に参加していた夕雲達は疲労困憊して休息中だけど……無理をしていない?」
「はっ……はいっ! 勿論、です!」
一抹の不安はそれだった。
昨夜の歓迎会において、提督は川内さん達に夜戦演習の許可を出し、早速それに巻き込まれた夕雲、巻雲、秋雲、風雲は現在揃って布団の中。
這う這うの体でお風呂に浸かり、泥のように眠っているはずだ。
練度の差もあるとは言え、厳しい演習を受けて満潮も全然平気というわけにはいかないだろう。
見た所問題は無さそうだが、無理をして疲労を隠していなければ良いのだが……ここは満潮の熱意と練度を信頼しよう。
【先遣隊兼遠征部隊】
・時雨、夕立、江風
・暁、響、雷、電
・朝潮、大潮、満潮、荒潮
【鎮守府近海警備兼資材回収部隊】
・伊168、伊19、伊58
「――先遣隊はまず、ドラム缶では無く主砲と電探を装備し、目的地までの偵察と輸送部隊の露払いを担います。現在の領海内であればせいぜい迷い込んだはぐれ艦隊程度しかいないと思われる為、貴女達ならば後れを取る事は無いはずです。イムヤ達潜水艦隊は、普段通り近海のパワースポットを巡って資材回収を行いつつ、敵艦隊を見つけ次第排除して下さい」
私の言葉に、名を呼ばれた駆逐艦、潜水艦の皆はにわかに活気づいた。
「提督さんにもっと褒めてもらうっぽい!」「きひひっ、時雨の姉貴も提督に褒めてもらえるように頑張ろうな!」「ぼ、僕は別に……」「第六駆逐隊、一人前のレディとして」「司令官にもっともーっと頼ってもらうのよ!」「なのです!」「ハラショー」「朝潮型、司令官の期待に応えるわよ!」「アゲアゲで参りましょう!」「うふふっ、華麗に出撃よ~」「伊号潜水艦隊の力、見せてあげましょう!」「いひひっ! 提督のご褒美、期待しちゃうのね!」「ゴーヤはお休みが欲しいでち!」などと、てんやわんやの状態だ。
こんな光景を見るのは――初めてだった。
皆の戦意が溢れんばかりに高揚しており、もはや光り輝いているようにすら見える。
どうやら提督は、たった一晩で皆の心を掴んでしまったようだった。
酔い潰れてまで、一人ひとりに全力で向き合った賜物であろう。
そして提督が安心して酔い潰れる事が出来たのは、信頼できる右腕の存在があってこそ。
何だか私まで嬉しくなってしまった。
「先遣隊による偵察と露払い終了後、輸送部隊を出撃させます。こちらはドラム缶を満載し輸送に主眼を置き、効率的かつ疲労が溜まらない程度に複数の艦隊で交互に反復出撃を行います。輸送に特化する事で不足する戦力は、各旗艦の方々に補ってもらう事となります。特に大発動艇を装備した千歳さんの艦隊が輸送部隊の主力となりますので、よろしくお願いします」
【輸送部隊】
・千歳、千代田、皐月、水無月、文月、長月
・香取、朧、漣、潮
・川内、朝雲、山雲、霰、霞
・神通、浦風、磯風、浜風、谷風
・那珂、長波、高波、藤波、沖波
・夕張、朝霜、早霜、清霜
本来はここに天龍、龍田さん、そして夕雲、巻雲、秋雲、風雲で、もう一つか二つくらい輸送部隊が編成できたはずなのだが……。
私の知らないところで天龍が大破していたり、第十駆逐隊が全員立ち上がる事も出来ないほどに疲労困憊していた事には頭を抱えてしまった。
聞けば天龍と龍田さんに夜間哨戒任務を命じたのは他ならぬ提督だと言うし、川内さん達の夜間演習も提督の許可を得ているとの事であったので、私にはそれ以上何も言える事など無い。
ご自身の歓迎会の最中に夜間哨戒に向かわせたのには、何か考えがあるのだろうか。
帰投した龍田さんの話では、単純にあの夜の海の様子が気になったのでは、との事だった。
やはり歓迎会の最中にも、あの脳内では休むことなく執務をこなしていたのだろう。本当に頭が上がらない。
ならば、今現在、ようやく訪れたひと時の休息くらいは、私達が守らねば。
私は決意を新たに、顔を上げて言葉を続けたのだった。
【待機】
・大淀(備蓄作戦指揮)
・長門、金剛、比叡、榛名、霧島
・赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴、龍驤、春日丸
・妙高、那智、足柄、羽黒、利根、筑摩、青葉
・天龍(夜間哨戒任務にて大破し入渠中)、龍田(夜間哨戒任務後の休息兼、天龍の付き添い)
・夕雲、巻雲、秋雲、風雲(夜戦演習後疲労の為休息中)
・鹿島、明石
「残りの方々は鎮守府内に待機となります。戦艦、空母、重巡の皆さんには歯がゆい思いをさせてしまいますが、備蓄確保も立派な戦いです。いつか再び迫り来る決戦の時に向けて、英気を養っておいて下さい」
「ひとついいか。大淀、昨日も言ったが私も改二を発動すれば大発動艇を」
「英気を養っておいて下さい」
◆◆◆
「おっ、大淀さんっ! 大変っ、大変ですっ!」
先遣隊を送り出してから数時間、もうすぐ昼になろうかという時であった。
この先一か月間の備蓄管理計画について頭を悩ませている私のもとに、鹿島と羽黒さんが駆けて来たのだった。
もしや提督の身に何か、とも思ったが、話も聞かぬうちに狼狽えていては頼りない。
私は焦る気持ちをぐっと堪えて、平静を装いながら二人に向き合った。
「どうしました? そんなに慌てて」
「あっ、あのっ……元帥が、佐藤元帥が、今からこちらにいらっしゃるとの事です!」
「えぇっ⁉」
思わず声が出てしまった。
鹿島と羽黒さんが慌ててしまうのもよくわかる。それほどまでに、元帥が鎮守府を直接訪れるという事は滅多に無い事だ。
大抵の場合、鎮守府を訪れるのは視察官であり、元帥が訪れる際にはよほどイレギュラーで無い限り、数日前には連絡が来るはず。
話を聞けば、佐藤元帥から直接連絡が来たとの事だから疑いようも無い。
すでに車でこちらへ向かっている最中であり、あと三十分もかからずに到着するとの事であった。
すっかり狼狽えてしまっている新米秘書艦の鹿島と羽黒さんを落ち着かせ、私自身にも落ち着くように心の中で言い聞かせた。
提督の真の右腕たるこの私が、この程度で動揺してはならない。
そう、この程度の事は、あの提督ならば想定の範囲内だからだ。
一つひとつ整理していこう。
何故、元帥自ら横須賀鎮守府を訪れるのか。
考えるまでもなく、今朝、艦隊司令部へデータを送った報告書が関係しているだろう。
横須賀鎮守府の近海にまで姫級に侵攻され、あと一歩で壊滅させられていたという事実は、艦隊司令部にとって見過ごせる事では無い。
つまり、詳しく話を聞きに来たと考えて間違いは無いだろう。
ただし、それも視察官で済む話ではあるはずであり、元帥自ら訪れる理由になるかと言えば、少し弱い。
「……佐藤元帥は、何か仰っていましたか」
「いえ、その、特には……ただ、提督と二人で話したいと」
やはり――むしろ、そちらが本命か。
元帥自らが訪れた意味。それは、提督と膝を突き合わせて直接話すという事にある。
視察官では意味が無いのだ。
しかし、直接会って話すだけならば、提督を艦隊司令部へと呼び出す方が自然だが……多忙な元帥の方が出向くとは、どういう事だろうか。
余程の事でも無い限り、今まで元帥自ら鎮守府を訪れるという事は無い。
それはつまり――余程の事が起きているという事なのだ。
「わかりました。提督はまだ目覚めてはいなかったですか?」
「はい、ぐっすり眠ってしまっていて、あまりにも幸せそうなので起こすのも忍びなくて。間宮さんのお布団はそんなに寝心地がいいのでしょうか」
「寝心地はわかりませんが……それはともかく二人は提督に付いて下さい。可能ならば起こして状況説明、身だしなみも整えてもらって下さい。佐藤元帥は私が出迎えます」
「は、はい。了解です」
鹿島と羽黒さんが去ったところで、私はようやく大きく息をつく事が出来た。
廊下に出て窓の外を眺めながら、改めて考える。
私のあの予想は何の根拠も無かったが……元帥自らが提督を訪ねてくるという状況に、現実味を帯びてきてしまった。
だとするならば、やはり提督はこの横須賀鎮守府には――。
「うん? 大淀、何難しい顔してんねん」
「りゅ、龍驤さん……」
いつからそこにいたのか、気が付けば龍驤さんが隣から顔を見上げていた。
私は動揺を押し隠すように眼鏡の位置を直しながら言葉を返す。
「い、いえ、何でも無いんです」
「大淀。加賀ほどじゃないかもしれへんけど、うちも人も見る目には少し自信があんねん。一人で抱え込むのはキミの悪い癖や。昨日から一体何を隠しとるん?」
図星だった。
先の戦いにおいても、提督の指揮に隠された意図をいち早く理解し、周りの艦娘へと繋ぐ大きな役割を果たしたこの人は、そう、色々と鋭いのだ。
だが、龍驤さんの言葉は私の意図とは少し違ったので、私は慌ててそれを否定した。
「い、いや! 隠しているわけでは無く」
「軽々しく口に出来る推測では無い、っちゅー事やろ。確たる根拠も無いのに鎮守府を混乱させるわけにはいかん、と慎重になる気持ちはよく理解できるわ」
うぐ、と私が言葉に詰まってしまうのに構わず、龍驤さんは言葉を続ける。
「せやけどな、うちも、うちらも、キミの頭脳は信頼しとる。外れとっても誰も文句は言わんから、聞かせてくれへんか?」
龍驤さんにそこまで言われてしまっては、私もそれ以上断る事も出来なかった。
「……その、ずっと考えてはいたんです。提督は一体何者なのだろう、と」
「まぁ、せやな。あの型破りな指揮能力……明らかに只者じゃあないわな」
「あの若さであれほど艦隊指揮に精通しているとなると、提督は提督候補として艦隊司令部に所属していた事は間違いありません。しかし最重要拠点の横須賀鎮守府に着任するまでに、一か月もの時間がかかりました」
「……提督の素質を持った、ただの提督候補では無い、っちゅー事か?」
「横須賀鎮守府があの状況にあっても艦隊司令部から容易に動かす事が出来なかった……この国にとって重要な人材だったのではないかと」
そう、それならば、元帥自ら提督を訪ねて来たとしてもおかしくは無い。
元帥からも一目置かれる、艦隊司令部の若き天才。
本来、提督は艦隊司令部に所属する立場の人間であり、一鎮守府に収まるような器では無いのだとするならば、たとえ提督の資質を持っていたのだとしても、容易に異動させる事が出来なかった事の説明がつく。
「――やはりそういう事か……」
「な、那智さん!」
どこから話を聞いていたのか、那智さんが私達に歩み寄ってきた。
噂では提督の指揮に最も怒りを見せていたという事なので、その後考えを改めたとわかってはいても、私も思わず警戒してしまう。
そんな私を、那智さんは鋭い目でジロリと睨みつけながら言った。
「……大淀。貴様も妙高姉さんと同じように、私が未だ提督に不信感を抱いているとでも思っているようだな」
「い、いえ、その……すいません」
「全く……龍驤、貴様には言っていただろう。提督の実力は戦場で見極めさせてもらうとな。そして中身は昨夜、この目で確かに見極めさせてもらった。不信感など抱けるはずもなかろう」
「うちは別に何も言うてへんし……それより、何やねん、やはり、って」
那智さんの目に全く物怖じしない様子の龍驤さんに、那智さんは言葉を返した。
「特に思い当たるわけでは無いのだが……あの男、私達に何かを隠しているように見えてな。いや、悪い意味では無いのだ。疑っているわけでは無いのだが……何だろうな、一晩明けて振り返ってみれば、昨夜の提督の行動のどこかに、違和感を感じるのだ」
「司令官がうちらに隠し事を? なんやねん」
「いや、わからん。わからんが……大淀の語ったそれも、提督の隠し事の一つかもしれん。考えてみれば、初対面の際も昨夜の歓迎会の挨拶も不自然なほどに短く切り上げ、自分の略歴などは何一つ話さなかったしな」
那智さんの言葉に、私もどこか納得してしまった。
思い返せば、艦隊司令部からも、新しい提督が着任するという以上の情報は無かった。
提督も自身の事を語らなかったが、たとえば昨夜、話の流れでお訊ねすれば答えてくれただろうか。
提督は果たして何者なのか――もしも艦隊司令部にとって重要な存在であるならば、それも容易には明かす事が出来ないのかもしれない。
今まで何人もの提督が不審死している状況だ。この国の将来を担う若き天才であるならばなおの事、謎の勢力に命を狙われる危険があるとしてもおかしくは無い。
そう、提督となる事、ただそれだけでも深海棲艦達に命を狙われている現状なのだから。
故に提督は、自身の素性を隠していても――。
「その、佐藤元帥が間もなく横須賀鎮守府を訪れるそうです。私が出迎える予定ですが、その際にさりげなくお訊ねしてみましょうか……」
「なッ……ど、どういう事だ⁉」
「こ、こら那智! 声が大きいって! 大淀、キミが悩んどったのはそういう事やったんか」
「え、えぇ……艦隊司令部へ今朝送った報告書関係の事だとは思っているのですが、おそらく本当の目的は佐藤元帥が提督と顔を合わせて話す事なのではないかと考えてしまって。しかし艦隊司令部に提督を呼び寄せるのではなく、多忙な元帥の方から提督を訪ねて来るなど、そうそうある事ではありません。そうなると、やはり提督は只者では……」
私がそう言うと、龍驤さんと那智さんは顔を見合わせて小さく頷いた。
「うちも付き合うで。佐藤元帥とは、彼が元帥になる前からの旧知の仲や。何か話してくれるかもしれへん」
「この那智も同行しよう。構わんだろう?」
「そ、それは構いませんが……」
駄目と言ったところで、どちらにせよこの人達は勝手についてくるだろう。
私としては一人で応対した方が動きやすいのだが、龍驤さんと那智さんならば、状況をややこしくする事は無い、はずだ。多分。
ともかく、佐藤元帥が到着するまで時間が無い。すぐにでも鎮守府正門へ向かわねば――。
「――話は聞かせて頂きました」
「じ、神通さん!」
どこから話を聞いていたのか、神通さんが私達に歩み寄ってきた。
神通さんは他に人影が無い事を確認するかのように周りを見渡し、口を開く。
「申し訳ありません。盗み聞きをするつもりは無かったのですが……よろしければ、私も元帥のお出迎えに同行させて頂けないでしょうか」
「じ、神通さんもですか?」
「はい」
普段は腰が低く、川内さんと那珂さんが周りに迷惑をかけるたびに頭を下げて回っているが、実は芯の強い人だ。
この人がこういう目をしている時は、決してその意思を曲げない事はよく理解できている。
しかし、戦闘時や演習時以外にこういう目をするのは初めて見たような気がする。
「理由を、伺ってもいいでしょうか」
「……私は提督が何者であろうと構いません。只者であろうとなかろうと、私はあの方に付いて行くと決めました。ただ、私は提督の事をもっと知りたい。そして私の事を知って頂きたい……それだけです」
その目に迷いは見られない。
先の戦いを通して、神通さんは提督に揺るぎない忠誠を誓ったのだろう。
提督の正体などはどうでもいい。ただ、それを知る事自体には大きな意味がある、という事か。
提督への忠誠心ならば私も負けるつもりは無いが、この神通さんをここまで心酔させた提督が今までいただろうか……。
「……わかりました。ただし、三人とも傍に控えるだけにして頂けませんか。元帥へは私がお訊ねします。この件に関しては少し慎重に言葉を選んだ方がいい気がしますので……」
私の言葉に、那智さんは怪訝な目を向けた。
「少し大袈裟すぎではないか?」
「いや、大淀がここまで言うっちゅー事は、そこまでせんとあかん想定があるっちゅー事や。せやろ?」
龍驤さんの言葉に、私は小さく頷いた。
「はい。あくまでも想定の一つですが……提督が横須賀鎮守府から去る可能性もあるかと」
「なッ……⁉」
私がそう言うと、三人の目が大きく見開かれた。
冷静な神通さんですら、その目には動揺の色が浮かんでいる。
何故と問われる前に、私は言葉を続ける。
「これは私にとって最悪の想定として考えていた事なのですが……提督が本来、国の中枢に所属するべき御方なのだとするならば、艦隊司令部は提督をすぐにでも危険な前線から異動させたいはずです。一方で、前提督は責任を問われて横須賀鎮守府から去りましたが、提督の資質を持つ者は未だ貴重です。厳重指導と再教育を施して、提督と入れ替わりで再び着任する可能性もゼロではありません。あくまでも可能性の一つとして想定していたのですが、提督がこの国にとって重要な人材である可能性がある事、そして今回の佐藤元帥の急な視察で、現実味を帯びてきたかと……」
「……なるほど。つまり、提督の素性について詮索される事は艦隊司令部にとって不都合。私達があまりにも余計な詮索をした場合、艦隊司令部の機嫌を損ね、そのような判断を下す可能性もあるという事ですね」
「司令官を呼び戻す事を優先するあまり、十分に指導、再教育が出来ておらん状態で前司令官が横須賀鎮守府に再着任させられる可能性は……アカン、十分にあり得るわ……」
「フン。佐藤元帥はともかく、未だ人間に逆らった兵器として我らを見る者も少なくは無い。提督がこの国の中枢でその能力を発揮すべき人材であるならば、こんなところには一刻たりとも置いておきたくは無いだろうな」
神通さん達はそれぞれ納得してくれた様子だ。
無論、これはただの想定だ。最悪の事態を考えただけに過ぎない。
そんなはずがないだろう、と一蹴する事も出来る。杞憂である可能性の方が大きい。
だが、そう考える事が出来ないのは、あの提督の領域に触れてしまったからだろうか。
提督ならば常に最悪のケースを考えるべし。
「だろう」ではなく「かもしれない」で動くべき。
あの提督ならば、そう考えると思ったからだ。
杞憂であったのならばそれで良し。
最悪のケースにも対応できるよう、佐藤元帥に接する必要がある。
龍驤さん達は再び私に目を向けて、小さく頷いたのだった。
「大淀。もしも、最悪のケースが事実だったと判断できた場合、それを回避する策はあるんか?」
「……今は、まだ。ただ、策ではありませんが……唯一考えられるのは、そう……熱意。私達の熱意が理解して頂けたのならば、伝わったのならば……親艦娘派の佐藤元帥が、艦隊司令部に意見して下さる可能性もゼロではないかと……」
私がそう言った瞬間、ザッ、と背後から足音が聞こえた。
「――どうやら私の出番ね」
「か、加賀さん!」
「おいおい、まさか私を置いて行く気じゃないだろうな?」
「な、長門さん⁉」
「フッ、お前達だけにいい恰好はさせんぞ」
「い、磯風ー⁉」
振り返れば、曲がり角の陰からスッと姿を現した加賀さん。
廊下の真ん中で腕組みをして、仁王立ちしている長門さん。
壁にもたれかかり、不敵な笑みを浮かべながら腕組みをしている磯風の姿が、そこにあった。
――佐藤元帥の視察の時は、刻一刻と迫ってきていた。
大変お待たせしてしまいました。
年末で仕事が忙しい中、予告無しでのはっちゃんのクリスマスグラに狂喜乱舞しました。ダンケ!
是非ともイムヤにも限定グラが欲しいところです。
長かった歓迎会編も今回でようやく終了となります。
次回から元帥視察編がスタートする予定です。視察自体は編というほど長くはならないと思いますかもです、多分。
元帥、艦娘、提督の複数の視点を同時に考えながら執筆していく予定ですので、また少しお時間を頂くと思います。
お待たせしてしまいますが、気長にお待ち頂けますと幸いです。