一撃男の異世界旅行記   作:鉋なんか

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皆さま大変長らくお待たせいたしました。


やってやりましたよ続編

※絶対におかしいところがいくつかあります

とにかく長いですが暇つぶしに是非どうぞ


ほとんどサイタマは出ません


圧倒的正義

 

 

 

 

 

 

 

 

私は夢でも見ているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「いったい、どうなっている⁉︎」

 

地図の上を青く光る矢印が次々と消え

 

赤く染まる

 

「包囲網、ほぼ全壊です」「歩兵部隊、連絡とれません」「戦車部隊通信がとれません」「飛行部隊、消息不明」「ダニエル卿、スパロー卿、反応消えました」『ラズロー隊、反応消えました』『近くにいた、オイゲン卿、バレリー卿共にロスト』「報告は、報告はまだか⁉︎」「ダメです、ほとんどのナイトメアと通信がとれません」「帰ってきたものは⁉︎」「ただいま確認中、ですが今のところ帰ってきた者は確認されておりません」「上空からの偵察は⁉︎」「すでに15機、全て撃ち落とされてます」「敵の兵力は⁉︎確認はまだなのか⁉︎」「最初にいたグラスゴーの反応が消えてから敵の姿は確認されておりません」「ギルフォード卿からの通信が入りました、繋げます」『…陛下、…お逃げくだs』「ギルフォード卿⁉︎どうしたというのだ⁉︎」「ギルフォード卿、反応消えました」「陛下、御決断を」「陣形、崩壊、維持できません」

 

 

 

 

 

 

いったい何が起こっている?

 

 

 

 

 

 

「一時撤退だ、戦線を下げる」「しっ、しかし」「今は陛下の命が優先だ、ここにいては陛下の命すら危うくするぞ」「クインシー部隊、反応消えました‼︎」「防御網がっ⁉︎「守備兵隊、反応いつのまにか消えてます」「なっ、早くしろ⁉︎急げ」「敵影確認、モニターに映します」

 

 

 

 

 

 

モニターに何かが映る

 

 

 

 

 

 

 

「サザーランド⁉︎」「新型か⁉︎」「テロリストか⁉︎」「いや、それはないだろ」「どこの部隊のものだ⁉︎」「それどころではないだろ」「いや、まて、あのサザーランド動いてないぞ」「そんな、馬鹿な⁉︎」「確かにあのサザーランドは機能を停止しています」「敵サザーランド方向を変えていきます」「おい、何だあれは、まるで投げ捨てられたようじゃないか」「何かがこちらに向かって来ます」「さっさと退避しろ‼︎」

 

 

 

私は見逃さなかった

 

 

サザーランドが飛んだ時、確かにその足元に1人の人間がいたことを

 

 

 

その人間が鬼のような形相でこちらに向かっていることを

 

 

 

そして感じる浮遊感。何かに持ち上げられる感じ

 

 

 

そうだ、これは悪い夢だ

今ごろ現実ではシンジュクゲットーは壊滅していて

今ごろアレも回収できているはず。

 

 

 

 

「おい…どうした?なぜ下がらない」「そっ、操縦が効きません」「なんだと⁉︎」「陛下、このままでは湖に飛び込むことになります」

 

 

 

「おいおい、人の眠りを覚まそうとするなんて、随分無粋じゃないか」

 

 

 

「陛下ぁ‼︎お気を確かに待ってください‼︎」「もっ、もうだめだぁ‼︎」「おちりゅううううう」「直ぐに戻れはやくっはやくだあああゴホラボラボラブロ…

 

 

 

 

 

口の中に水が入り込んでくる

景色は変わらない

 

 

 

 

 

 

 

あぁそうか、これは現実だったのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……、ん?ここはどこだ?」

 

見知らぬ天井 真っ白な世界

 

「えっ?うそっ?ほんとに⁉︎先生っ、先生‼︎」

 

知らない女性の声が遠ざかり、重いまぶたをさらに開け辺りを見回す。

 

装飾は全く施されていない、決して自分の様なものが寝るのには相応しくないベット

 

高級感の全くない、自分の頭を置くにはおこがましい枕

 

安っぽい、ただ単純に温かくするためだけのタオルケット

 

薄い、どこで売っているのかすらわからない真っ白なカーテン

 

古臭い、いつの時代に作られたのかもわからない異様に厚いテレビ

 

 

 

自分がどこにいるのか分からないがとりあえず起き上がろうとする。しかしなぜか体言うことを聞かない、まるで自分の体ではないかの様にまたは何年かもの間寝ていたかの様に

 

 

 

 

 

手すりを掴み、両手を使いなんとかして起き上がる

 

体を起き上げるという動作だけでひたいには汗が滲み手が震え、体が軋む

 

よく見てみると服は普段着ているような貴族に相応しい服ではなく病人が着るような薄い袖の短いものだった。

 

 

起き上がり一息つくと扉の方から大勢の人が入ってきた。

 

全員が全員白衣を着ていていかにも医者だという格好であった。1番最初に入ってきた医者は自分のことをこの病院の医院長だと語り私がどうしてこの病院に来たのかを語った。

 

 

 

そして思い出した

 

 

 

 

とぎれとぎれではあるが自分がなぜここにいるのか

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日、私は深い湖の中からなんとか踠きながら陸に上がった

 

 

その時だ不意に誰かに襟首を掴まれて

 

「自分がなにしたかわかってるのか?」

 

 

 

そう言われた

 

 

 

その後引きずり回されるような形で見て回った

 

 

 

 

今まで自分が命令していたことを

 

 

兵士は銃を幼子(おさないこども)に向ける。母親が子供を守ろうと子供に覆い被さる、それを笑いながら撃ち殺そうとする 醜い

 

 

 

ナイトメアはわざと銃での狙いを外し人々を一か所に集めてから撃ち殺す、コックピットから聞こえる楽しげな笑い

 

耳障り

 

 

 

イレブンの子供が血を流しながらも倒れそうになりながらも自分の親を遠くへ逃がそうと一緒に逃げようとする それを無駄な努力だと言わんばかりに兵士が銃を向ける

 

 

辺りは阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた

 

 

 

 

私は自分の地位の為だけにこんなにも人を殺そうとしていたのか

 

 

 

そう思っただけで胃の中から酸っぱいものがこみ上げてきた

 

「うわぁああん」「おかぁさんおかぁさん」

 

子供の叫び声が聞こえる

やめてくれ

 

 

「イレブンが死にやがれ」「ヒャッハー」

 

 

兵士の持つ銃の撃つ音が聞こえる

やめてくれ

 

 

「だっ、だれかたすけてぇ」「せめて子供だけでも、子供だけでも助けてあげてください」

 

「イレブン風情を助ける義理はない」「イレブンに生まれたことを後悔しな」「ヒャッハー」

 

 

弱いものの力ない悲鳴が響く

兵士達の愉悦に満ちた声が聞こえる

血の匂いが鼻孔を直接刺激する

鉄の塊が人の肉をえぐり、突き抜ける音が聞こえる

 

 

大切なものを失ったもの達の地の底から響き渡るような叫び声が聞こえる

 

 

 

 

やめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて

 

 

 

 

何度となく後悔した

 

 

自分が今の地位で悠々と暮らしていけたのも多くの人の命がなくなったから

 

 

私が皇帝の座を手に入れようとすれば

 

もっと大勢の人の命が失われる

 

 

何がエリア11の総督だ、これじゃあただの人殺しのまとめ役だ

 

 

 

今、誰かが気づき止めることができたなら

 

目の前の命は救えるのに

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、お前が1番偉いんだろ?だったらお前の一言でこれは止められるんじゃないか?」

 

 

 

 

そうだ、確かにそうだ

 

 

そう思い私は立ち上がった

そして声を張り上げて喉が枯れても叫び続けたんだ

 

「全軍に告ぐ、ただちに戦いをやめよ」

 

銃声が未だ響く中私は今までに出したことのないくらいに声を張り上げて言った。

 

 

これじゃあダメだ全員に聞こえない

 

 

 

もっと広範囲に停戦命令を伝えないと

 

 

 

私は直ぐに先ほどと同じように引きずられる形となる。しかし声を張り上げスピーカーを使い言葉を告げる

 

 

『全軍に告ぐ、ただちに停戦せよ‼︎エリア11の総督にして第三皇子であるこのクロヴィス・ラ・ブリタニアの名の下に命じる即刻に停戦せよ‼︎』

 

 

 

そうだ、その後だ

 

私は大勢の兵士を連れてビルの隙間に挟まったイレブンを救い。お腹を空かせた子供達に食糧を与え、石を投げられながらも人を何人も救ったんだ。

 

 

「ブリタニアのクソが死にやがれ」「あんたなんかの助けなんていらない」「いいこぶるんじゃねぇ」「殿下はいったいどうなされたんだ⁉︎あれじゃまるできちがいじゃないか」「殿下おやめ下さい、体が持ちません‼︎」「お前のせいで、お前のせいでうちの子は‼︎」「クソ貴族がッ‼︎」「とっとと帰れこのクソ野郎」「ヒャッハー」「ブリタニアの豚のくせに」「今更何をしているのよ、そんなことしたってうちの子は戻ってこない」「おかぁさんを返せ、この人殺し」「ヒャッハー」「帰れ‼︎」「ブリタニアのクズが」「くたばりやがれ」「殿下を止めろ」「まぁなんて汚らしい格好」「あれじゃあ威厳も何もない」「殿下は皇帝の座を諦めたのか⁉︎」

 

 

 

 

 

いろんなことを言われた

 

 

 

悪口、陰口、嫌味、罵詈雑言それでも私が人を助けたのは

 

 

 

「お兄ちゃん、助けてくれてありがとう」

 

 

 

瓦礫の下敷きになっていた少女を助けた時

その言葉を受けて電撃が走ったからだろう

 

 

 

今まで受けたどんな賞賛の声よりも嬉しく

今まで受けてきたどんな罵詈雑言もかき消してくれる 胸が熱くなる言葉

 

 

 

 

 

皇帝の座を争っていたことが馬鹿みたいに思えてきて、陰口叩いているやつや悪口を言う奴らのことがなんとも思わなくなって、腕が棒になろうとも足が笑っていても、何度と倒れても何度とくじけそうになったとしても、あの言葉があったから私はあの時あの行動にうつれたのだ。

 

 

 

 

 

その後何日もかけて、シンジュクゲットーの人々を救い出したんだ。

 

ナイトメアがほぼ使えなくなり人命救助にかなりの時間がかかると予想されていたが、彼のおかげで比較的早く終わり、多くの人の命を救うことができた。

 

 

 

 

名誉ブリタニア人の兵士は進んで協力してくれた。ブリタニアの軍人も少しずつだが手を貸してくれた。ロイドの開発したランスロットでビルに取り残された人たちを多く救えた。

 

 

 

 

シンジュクゲットーの瓦礫を人のいない場所に一か所に纏められ、簡易ではあるがイレブンの住む居住区を作り

 

全てが終わって

 

 

 

 

心から喜ぶ人の顔を見て

 

 

涙が出てきて

 

 

誰かに呼ばれて

 

 

 

 

乾いた音が響いて

頭に衝撃が走って

 

 

空が遠くなって

 

 

 

 

 

暗い穴に落ちて

 

 

 

 

 

 

 

遠くで笑うルルーシュの顔が見えたんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

私は気がつくとまたベットの上で横になっていた。今度はスムーズに起きられるが体の節々がまだ痛む

 

室内には誰1人としていない、小さな机の上には赤いボタンと手紙が置いてあり、手紙には『何かご用がありましたらこのボタンを押して下さいと書かれていた』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今でも思い出すあの惨劇

 

幾度となく繰り返される銃声

銃声の数だけ辺りに悲鳴が響き

その悲鳴を覆い尽くすほどの銃声が聞こえてくる

 

私があの時停戦命令を出していなかったらと思うとゾッとする

 

いや、あの戦いは終わっていたのだろう

 

 

彼があの場にいた時点で

 

 

 

ナイトメアよりも早く走り抜け

 

ナイトメアを使ってですら持ち上げられないような巨大な瓦礫を軽々と持ち上げ

 

ブリタニアの軍人に向けて発砲するテロリストの弾丸を全て受け止める

 

 

 

理不尽な力

絶対の力

 

 

不意に窓の方から風が入ってきた

 

「あっ」

 

 

私が窓の方を向くとちょうど入ってきた人物と目があった

 

 

あの時、私を引きずり回した彼と

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

エリア11あらため日本上空

 

 

ここでは今までにないほどの規模の戦争が起きようとしていた。

 

シュナイゼル・エル・ブリタニア率いる黒の騎士団

 

ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア率いるブリタニア軍

 

 

世界の命運をかけた戦いが今始まろうとしていた

 

 

 

 

それをつまらなそうに眺める2人の男

 

1人は、白いマントを風にたなびかせながら、ぼーとした顔で空に浮かぶナイトメア群を眺めていた。男は黒く輝く靴と赤く光るグローブの付け心地を確認しながらもナイトメア群からは目を離さない。

 

 

もう1人はどこがで拾ってきたのかわからないようなひびが入った目の部分が黒いヘルメットを被りところどころ破れ少し黒ずんでいるの白いTシャツとなぜか真っ赤なジーパンを履いていた。

 

 

 

 

 

 

1人が不意に呟いた

「すみませんね、手伝わせてしまって」

「まぁいいよ、兄弟喧嘩を止めるのもヒーローの仕事だしよ」

もう1人もどこか呆れながら答える、その後、暇だったし という言葉を小声で言ったが声をかけた方には聞こえなかったようだ

 

その後も彼らは談笑しながら、ストレッチを始めた

 

目の前で繰り広げられている陣形合戦を無視して、たった2人で世界の命運をかけた戦いに割って入るというのだ

 

 

「それじゃ私があの船をやるんで、先生はあの縦長のやつお願いします」

 

 

ストレッチを終えた2人は立ち上がり歩み始める

 

 

 

 

ヘルメットの男は多数のフレイヤを搭載し、無数のフロートシステムを搭載したナイトメアに囲まれた天空要塞ダモクレスにいる自らの命に執着しない男に向かって

 

 

白いマントの男は“絶対遵守の力”を持ち、その力を使いブリタニアを支配し、そして自らを完全な“悪”となろうとする1人の少年に向かって

 

 

 

 

世界をかけた戦いも、彼らの視点で見ればただの兄弟喧嘩としか見えなかった

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「⁉︎前線部隊、何者かに砲撃を受けています‼︎」「陣形に大きく穴が‼︎」「右翼にも被害が」「浮遊航空艦、被弾しました」「地上部隊、攻撃されています」「前線部隊、残り半数⁉︎」「敵砲撃速度確認」「速度、マッハ3⁉︎」「うそっ?いくらなんでも、早過ぎない」「左翼、右翼共に未だ攻撃を受けています⁉︎」「砲撃部隊9割壊滅⁉︎」「地上部隊全て連絡が途絶えました」「浮遊航空艦、4機撃墜されました」

 

 

 

 

 

 

「前線部隊全て壊滅!」「ほぅ、ルルーシュの隠し玉かな?なら「右翼、左翼共に攻められつつあります」「黒の騎士団 小型可翔艦3機との連絡が途絶えました」「イカルガ搭載ハドロン砲破壊されました」「ピンポイントだと⁉︎」「黒の騎士団、暁34機撃ち落とされました‼︎」「ガレス7割破壊されました」「イカルガ未だ砲撃を受けています」「小型可翔艦また3機撃墜⁉︎」「モルドレット被弾、右腕損傷」「総戦力の4割がこんな早くもっ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

地図上に表示されている青い印と赤い印の上に次々とLOSTという文字が表示される、しかも異常なほど早い。

いち早く危険だと判断した2人は同じ決断を下す。

 

 

 

 

「一時戦線をさげる」

「戦線を下げよう」

 

 

 

 

両軍ともに一時的にではあるが戦線を下げることにした。ルルーシュは富士山に少しの部隊を配置し、残りを全て大きく下がらせた

 

 

シュナイゼルはダモクレスの要塞を敵の砲撃が届かなところにまで上昇させる、部隊には散らばるようにして一人一人の被弾率を低下させる

 

 

 

 

 

その判断が正しかったのかどうかは直ぐに分かることとなる。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

富士の樹海から飛んでくる謎の砲撃により、ルルーシュ率いるブリタニア軍もシュナイゼル率いる黒の騎士団も被害は拡大の一途辿っていた

 

誰かが樹海の上空を飛行すれば落とされ

樹海のどこかで黒煙が上がる

 

次々と落とされていくナイトメア、しかし二機のナイトメアだけは数十分ほど樹海の上を飛行していた。

 

 

 

 

赤と白

 

 

 

 

赤は未だ何もできていない状況をなんとか脱出しようとして

 

 

白はゼロ・レクイエムを成し遂げるため、自らの罪を償うため

 

 

 

 

 

「スザク敵影確認できるか?」

「紅月、敵の姿を捉えられるか」

 

 

 

 

 

富士の樹海から飛んでくる砲撃はたまに止むことがある、しかし直ぐにそれは再開する。数分に一回、数十秒に一回と規則性は無いが止む。

 

 

 

 

 

『君がやれと言うのなら』

『あぁわかった』

 

 

 

これで何回目になるだろうか、かれこれ数時間は避け続けている気がする、何度も何度も樹海に近づいては砲撃を回避し敵の姿を確認しようとする。しかしなかなか見つからない。見つかるのといえば、えぐられた大地、山のようにつまれたナイトメアか真っ二つに折れた大木くらいだ。

 

 

 

 

「オール・ハイル・ルルーs」不意に後ろで声がした、振り向くと1人の男がナイトメアのワイヤーを引っこ抜き何人かの人をぐるぐる巻きに縛りあげていた。男は縛りあげた人間を担ぐとどこかに走り去っていった。

 

 

赤と白はお互いがお互いがいることは認識していた、だが今は情報が先だそう思い映像を送る

 

 

『敵影確認そっちに情報を送る』

『見つけた!そっちに情報を送る』

 

 

 

 

赤はなんとなくだが分かっていた。あの日あの時もこの人は戦っていた。こんなことができるのはこの人しかいない。あの時思った、この人なら世界を変えることができるこの人なら私たちを救ってくれると、しかしこの人はその後現れなかった。どれだけ探してもどれだけ待っても現れなかった。

「なのに今さら現れて…」

 

 

 

白は納得した。あの日あの場所でこの人のおかげで多くの人命が助かった。あの時、突然の命令で人命救助に駆り出され、なぜかクロヴィス殿下と一緒に瓦礫をどかしたのを覚えている。その時となりで巨大な瓦礫を1人で運んでいた。ギアスよりもある意味タチの悪い力。

「だけど、今は‼︎」

 

 

 

 

 

再び砲撃が始まる前に情報を伝える

 

 

 

 

 

ルルーシュはスザクが持ってきた情報を元に策を練る

 

 

 

シュナイゼルは藤堂を通じて紅蓮から送られてきた映像を見て、ナナリーにフレイヤを使うように言う

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、数年ぶりに現れたヒーローは

今や彼らの敵である

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

2人の男は別々の方向に走っていた

 

2人からしてみれば軽い速度だったのだが周りからしてみればそれは目にも止まらぬ早さだ。

 

 

 

まず目の前の機械(おもちゃ)を没収する。こんな危ないものを喧嘩に持ち出すなんてよろしくない。次に空を飛んでいるもの、軽く石を投げつける、当たりどころが悪いと爆発してしまうので気を使わなければならない、第一に石を当てたぐらいで落ちるなんて人が乗るための安全基準がなってないと思うがしか立たない事だ。1番めんどくさいのが喧嘩を売ってくるやつだ、しかも何かを叫びながら突っ込んでくる。おでこに軽くデコピンをして気絶させてそこら辺に落ちていた機械からワイヤーを伸ばして縛って動けないようにして安全な所に運ぶ、集めた機械は危ないから一か所にまとめて置いておく。

 

 

 

 

「あっ!」「よお」

 

気絶させた人を一か所に集めていると2人は同じ場所で出くわした

 

「ったく、ほんと良い迷惑だな」

 

「すみませんね、私の弟と兄が迷惑をかけて」

 

重いため息をはく。彼らが行動したのはたった数分、それなのに数だけで言えば両陣営の半分は以上の兵力を排除した、しかしそれでもまだ残っている。

 

 

 

ドォおおああああんと巨大な爆発音が辺りを包みこんだ

 

 

「おいおい、まじかよ」

 

音がした方向を見ると富士山が轟々と煙を噴き出していた

火山が噴火したのだ

 

 

「すいません、あれ頼めますか?」

 

「ったく、隕石の次は噴火か、ヒーローも楽じゃないな」

 

 

 

そう言って彼らは再び動き出す。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「全く流石だよヒーロー、あの時と同じように絶対的な力で無理やり戦いを終わらせようとするとは、だがしかし、噴火という意志の無い脅威に対しどう立ち向かうのかな?」

 

ルルーシュはそう呟きながらも指示を出す。

 

あえて噴火している富士山の近くにギアスで操った兵士を置く、敵である筈の人間ですら救うのならそれに付け入る隙が生まれる。流石のヒーローも大勢の人間を救うのには時間がかかるだろう。たとえ少ししか時間が稼げなかったとしても、火山灰が肺を侵し、体には深いダメージが蓄積され弱体化はするだろう。

 

 

 

「今回ばかりはヒーローはお呼びではないのだよ」

 

ルルーシュはそう言って高らかに笑う

 

 

 

 

 

 

「必殺 マジシリーズ」

 

不意に何処かから声がした気がした

 

 

 

 

 

 

「へ、陛下、まっ、まえ」

ロイドが何かに気がついたのか声が震えている

 

 

「なっ⁉︎」

 

 

 

 

その時ルルーシュは見た

 

目の前に広がる巨大な

 

高く高くそびえ立つ黒い壁を

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 シュナイゼルは珍しく戦慄していた

 

目の前にそびえ立つ黒い壁に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではなく、目の前で起きているあり得ない現象に

 

 

アップで映し出される映像

 

 

 

 

シュナイゼルは黒の騎士団の残りの戦力全てを持って、目の前の男1人を消すことに決めた。

フレイヤの数はまだある。後に敵になるであろう黒の騎士団を一掃し、尚且つこちらが本気である事をルルーシュに見せつける。そのはずだった。

 

 

 

 

 

 

フレイヤ

それは空間を完全消失させる新型核兵器。爆発、熱反応、放射能がまったく発生しない、究極のクリーン兵器。第一段階でサクラダイトが起爆。第二段階で、核分裂。第三段階でフォールヴァング領域を生成。第四段階でセスルームニル球体拡大。第五段階でセスルームニル球体縮小および消失・空間転移。空気すら消失し第五段階終了後には圏内は真空になる。範囲と起爆に制限をつけていても半径10キロは消失する。

 

 

 

 

 

 

 

それなのに目の前の男はそれを抱きかかえるようにして押さえ込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男はボロボロになって落下していく、ナイトメアですら影も形もなくなるフレイヤを自ら受け、周囲に被害を出さないように押さえ込み自らの命を犠牲に周りの、敵であるはずの人命を救った。

 

1人の男の自己犠牲が大勢の命を一時的にではあるが救ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで終わってくれれば良いものを男は今度は勢いよく飛んで来たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

誰が想像できるだろうかフレイヤを抱き爆発し生き残り、高度数千メートルの高さまでジャンプをし、尚且つ全長3キロメートルもあるダモクレスの要塞をブライス・ルミナスという鉄壁の防御ごとぶち抜いたのだ。

 

 

 

 

 

 

数秒の浮遊感の後に誰かに抱えられた

 

 

あたりが爆風に包まれる

 

 

シュナイゼル・エル・ブリタニアは意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い壁は後退していたブリタニアの兵士たちを誰1人巻き込まずに富士山の噴火を押さえ込んだ。辺りに漂っていたすべての火山灰や火山噴出物は爆風により海の方へと勢いよく飛ばされた。そしてその場に残る浮遊航空艦は最早アヴァロンだけとなっていた。

 

 

 

 

5分前

 

 

『左翼、右翼ともに壊滅‼︎』『陣形維持できません』

 

「残存兵力をこのアヴァロンに集結させろ、この艦だけは何としても守るのだ‼︎」

 

 

3分前

 

 

『ヴィセント・ウォード残機13』「10機は砲撃に注意しつつアヴァロンを守らせろ残りの3機は私の護衛にまわせ」『第一フロート損傷率64%第二フロート損傷率93%、バランス取れませんこのままでは墜落します』「第一フロートの出力を下げそのまま高度を下げろ、墜落時の被害を最小限に抑えろ」

 

1分前

 

『紅蓮、トリスタン、モルドレッド、神虎(シェン・フー)、斬月ともに急接近中』

 

「ジェレミア、時間を稼げ‼︎」『イエス・ユア・マジェスティ』『私もでる』「C.C、頼む」

 

 

そして今

 

 

『ルルーシュ今の内に早くそこから脱出を』

 

「ああ、わかっている」

 

 

 

 

神聖ブリタニア軍の敗色は濃厚であった。空を覆い尽くすほどあったブリタニア軍は今や無く、煙を上げながら海に着水仕様としているアヴァロンとそれを守護するように戦う3機のナイトメアだけだった。

 

 

 

ジェレミアはトリスタンとモルドレットを相手にトリッキーな動きで翻弄しつつ戦況を有利に運んでいた。

 

スザクも神虎と斬月の2機を相手にかなり有利に戦っている。しかしその戦況は一瞬でも油断しようものならすぐさま覆されてしまうだろう。

 

C.Cは機体性能を活かし、致命傷を避けながら紅蓮に食らいついていた。

 

 

 

 

ルルーシュは海に落ちていくアヴァロンからギリギリのところで脱出する。海上にいたはずの竜胆は既に陸に運ばれており、今も主砲が使い物にならない竜胆が陸に上げられた。

 

 

 

 

陸にいるヒーローが戻ってくる前に蜃気楼を水中潜航モードに切り替え、潜航する コンコン

 

 

 

 

 

 

(幸い陸とここの距離はかなり離れている、いくら人間離れしたヒーローと言えどもこの広大な海、尚且つ火山灰で濁りきった海水の中、私を見つけることはできるまい)コンコンコン

 

 

 

 

(くそッまた計画を1から練り直さなければ、スザクもジェレミアもC.Cもおそらくは捕虜になってしまっただろう )ゴンゴン

 

 

 

 

 

(いや、まだ諦めるのは早い。ゼロ・レクイエムを完成させるため。どんな犠牲を払ってでも俺は成し遂げなければならない、ギアスだって)ガンガン ビシィッ

 

「ビシィッ?」

 

 

 

ルルーシュは目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

「まったく、バカな事を考えやがって」

 

「よう、そっちは終わったか?」

 

「あっ、はい終わりました」

 

「まったく服がボロボロになっちまったぜ」

 

「今回はなんかすいませんでした、その兄弟喧嘩止めるのに力借りてしまって」

 

「まぁいいよ、気にすんな、じゃあ俺は帰るから」

 

「それじゃあ服返しますね、先生」

 

「おう」

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

強大な力の前に人は無力である

 

 

子供は大人に従い

 

農夫は兵士に逆らえず

 

兵隊は上官に服従し

 

官僚は国の手足である

 

そして

 

小国は大国の奴隷だ

 

 

 

 

 

弱いものは強いものに従うしかない

横暴でも理不尽でもそれに従うしか方法はないのだ

 

 

 

『早く眠れ』と言われれば眠り

 

『食糧を提供しろ』と言われれば提供し

 

『前線に行け』と伝えられれば前線に行き

 

『その罪、命をもって償え』と言われれば自害し

 

『全てを寄越せ』と言われれば全てを差し出す

 

 

 

どこかの国の王の言葉にもある

 

 

 

『弱者が強者に奪われるのはごく当たり前のことだ』

 

 

 

史実、神聖ブリタニア帝国はその軍事力をもって他国を侵略し、自由と名前と権利を奪っていった。

 

強大な力を振るい

 

 

 

 

しかし我々は忘れてはならない

 

人は力を求める存在であることを

 

 

 

あの日、ルルーシュは私と契約をし、力を求め

 

絶対遵守の(ギアス)を得た

 

 

 

ルルーシュはその力を振るい、人を騙し、殺し、欺き、操り、貶め、裏切り、殺め、利用し、壊し、従わせ、辱め、虐殺し、脅し、踏み躙り、蹂躙し、苦しめ、狂わせ、共謀し、いたぶり、破壊し

 

 

ゼロという仮面を使い人々の心を奪った。

 

 

 

ゼロの行いは正義の味方の行いだった

 

奇跡を起こす力を使い、強者から弱者を救い

多くの人の命を救い

絶望に苛まれた人々の未来を明るく照らしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがルルーシュも、奴の前では無力な1人の人間でしか無かったのだ。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日、シンジュクで私は死ぬはずだった

 

しかしなんの因果か私は生き延びた

 

しかし直ぐに死にかけた、人の命を救うために

 

知らない土地で皇族としての地位を捨て

 

先生の教えを請い サイボーグの先輩のいびりに毎日耐え

 

先生の力の一端を身につけ

 

 

そして気がつけば───────

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

何かを得た代償はいつか必ず払う日が来る

 

それが前払いなのか

 

後払いなのか

 

大きすぎる代償か

 

些細な代償か

 

 

髪の毛一本、腕一本、血を一滴、足一本、爪一欠片、目玉一つ、指一本、体一つ、寿命一年、余命全て、友人1人、赤の他人100万人、愛しい人、憎むべき敵、己の名誉、己の命

 

死か永遠の命か

 

誰にもわからないだろうし、わかるわけもない

 

一括払いかもしれない

 

分割払いかもしれない

 

 

 

 

 

あの日、ルルーシュは自らの命で

その代償を払う未来を作る予定だった

 

世界の悪意を一任し、全ての憎しみの象徴となったその体で対価を支払う予定だった

 

 

 

だがそれは今となっては叶わぬこと

 

 

 

 

 

ルルーシュは今生きている

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

とある農村

 

 

 

温かい風が辺りを包み、森の木は所々緑に包まれ始めもう直ぐ春が来ることを予期させる、村の近くの小川では魚が釣れ、森ではキノコや山菜が取れる自然豊かな田舎だ

 

そんな中、道沿いの畑からザックザックという不規則な音が聞こえてくる

 

音の主は2人で、2人とも麦わら帽子で長靴でいかにも農家が履いてそうな白いズボンを履き一生懸命、鍬を使って畑を耕していた。実に険悪なムードを醸し出しながら

 

「まったく、なんで俺がこんな事を」

 

「おら、ルルーシュしっかり鍬を握れ」

 

ルルーシュと呼ばれる少年はふらふらの手足で畑を耕す。鍬を高く振り上げて真っ直ぐ振り下ろそうとしても彼の細腕ではどうしても曲がってしまう、最初の頃はまったくもって使えなかったが今では幾らかマシである、そういくらか…。もう1人の方はルルーシュが頑張っているのを横目に呑気にラジオを聴きながら休んでいる、まあ彼の担当する畑は既に苗植えまで終わられせているから後はルルーシュ頑張りを見ることしか仕事がないのだ

 

「くっ、俺はかれこれ3時間も畑を耕しているんだ、お前やスザクみたいな筋肉バカと一緒にするな、今日はシュナイゼルもやるはずじゃ無かったのか」

 

「あいつは家で編み物してるよ、なんか最近趣味で始めたらしい」

 

「ふざけっ るなぁ、はぁはぁ くっ なら、スザクは?ナナリーは?」

 

「スザクは家の裏で薪割り、ナナリーはあの緑髪の女と釣り、って手を休めるな‼︎」

 

「ったく、何で全部手作業なんだ‼︎非効率過ぎる‼︎」

 

ルルーシュが怒りを使い畑に向かって鍬を振り下ろす

それをもう1人がニヤニヤしながら眺める、いつものありふれた光景だ

 

『りっ、臨時ニュースをお伝えします。○○○にてテロリストが暴れています。繰り返します───────』

 

ラジオからその放送が流れた途端

ニヤニヤしていた男の顔は一瞬で真面目そのものになった

 

「行くのか?」

 

「まぁな、ヒーローだし」

 

「昔のあんたじゃ想像できないがな」

 

ルルーシュがその言葉を言い終わる前に男はルルーシュの前から消えていた

 

本当に理不尽だ ルルーシュは心の底から思った

 

あの後ヒーローが自分の兄である事を知り「たまには兄を信じろ」と言い見事に世界をまとめて見せた

 

その後あの戦争は兄弟喧嘩扱いを受け幕を閉じ、誰も命を失わなかったそのため、俺とシュナイゼルの罪は軽くなったらしい…。

 

その先を考えようとしたがルルーシュは大切なことに気がついてしまった。

先程まで耕していた3時間の努力がクレーターとなっていたことに

 

 

春の空に1人の絶叫が響いた

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

とある農村

 

そこではヒーローが家族と中むつましく暮らしていた

 




皆さまお久しぶりです鉋なんかです。


コードギアスのアニメ全話見てやっぱり奥が深いというのが感想です、ハッキリ言いまして、とにかく難しかった。
一時期コーネリアVSサイタマやルルーシュVSサイタマを考えたのですがどちらも1日持ちません(戦力の量的に)

コーネリアは自分から突撃して捕まりそうだし、ルルーシュは作ったチェス盤を破壊されれば無力です。
ユーフェミア救おうかと考えたのですが無茶でした


ご要望にお応えしてバゲにしました


はてさて次は何を書こうかな


是非とも誤字脱字を見つけた方がいらっしゃったらご気軽にどうぞ

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