異世界に転生したはいいけど原作キャラの兄とか聞いてないです   作:シャイニングピッグEX

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七夜と神崎の方の志葵の関係は某カードゲーム主人公達のリスペクトですね。片方の作品しか知らない人はwiki使用を推奨します。解説に裂くのもなんですし


第五話-1「事態は動く」

act1「掴めない会話」

 

「・・・・今は、あんたをリーダーとして認めよう!志葵センパイ!今は、な」

椅子をバン、と大きな音をたてて引くと姿勢こそ良くはなかったが座った。

(第一段階クリア、話くらいは聞いてくれそうだ。後はどこまでいけるか、だな)

信用(・ ・)いただけたようで---何よりだよ。被害者くん」

〔話に熱中しているところ、少々悪いんだがな〕

---っと、携帯に着信が入った。まあまず間違いなく師匠だろうな。毎回番号が非通知って辺りに用心深さを感じざるを得ないけど。

〔さて、言うまでもないだろうがこのチームは七夜くんを主力として戦って貰うことになるが、当然目指すものは個人の栄誉よりチームの、さらに言うならば人類の勝利。・・・どんな状況であっても感情より理性が勝るであろう、そんな人物をスカウトしたつもりだよ、キンジくん---無論、戦うのにふさわしい状況に置いたつもりだ。君の弱点をも計算に含めてね〕

(師弟揃って注意と来ましたか。息ぴったりなのか、どうなのか。いずれにせよ、少々やりづらい任務になりそうではあるな)

〔さて、今回はあくまで顔合わせ程度の会議ではあるが事前に言いたいことだけは言っておこうか〕

「それとキンジくん、さっきは申し訳ないよ、本当に。少しばかり気がのってしまってね」

そんな程度の理由であんな駆け引きしたくはねえよ、とキンジは思ったが怒りという「気に乗った」自分に言い分はないのも同様だ。・・・本当に面倒なやつだ。

〔さて、この中で死徒との戦闘経験があるものは?〕

手を上げたのはアリアとレキ、そして言うまでもないだろうが七夜だった。

〔では、上級死徒とは?〕

アリアが眉をひそめつつ手を下ろす。さすがに死徒なんてそうそうエンカウントするものじゃないし仕方ない。会ったら事故みたいなものだしな。

〔ならば、27祖候補クラスとは?〕

ここでレキが手を下ろした。余りに自然な動作で動いたので一瞬全員見逃してしまったが。

〔必要なときくらいは目立ってくれよ。しかし、本物の27祖ともその候補とも戦ったことがあるのはn---志葵のみか。・・・書類に書かれてないところでは、と期待していたが仕方あるまいな〕

何だったか、志葵センパイは確か『両儀加那』とかいう人と共同任務で21位を撃退したんだっけか。なんだか、凄い近視感を覚える名前だが関係はないだろう、多分。

名目上はSSR(超能力捜査研究課)所属・・・だったよな。けどあの人のどこに超能力要素があるんだ。さっぱりだ。人の心を読む超能力とかだろうか?

〔なら、君達は死徒27祖の能力を知らないんだな。よし、戦って知ってくるといいさ〕

えっ。いや、困惑した。冗談抜きでこの場にいた全員(ただし志葵を除き)困惑した。無理だろう。多分、というか十中八九。

志葵ならワンチャン存在するが、あくまでワンチャン。それすら希望は薄い。

「・・・なあ、師匠」

〔どうしたんだい、志葵〕

「分かりにくい冗談やめてもらえるか?」

〔ユーモアのセンスは見違えたな、それ以外も変わっているといいんだが〕

師匠の冗談は怖いんだよ。直接あったらあったでポーカーフェイスうまいし。いい加減仮面の裏を剥がしたいものではある。

「とりあえず丸腰で挑むのは不味いからな、週末にでもイイトコ連れてってやるよ・・・イイトコだ、いろんな意味で・・・けど、とりあえず今日はこんなもんで・・・」

イヤーな言い回しだけれど、あーゆーところに初見の奴を連れていくには実際問題警戒してないと大変だから仕方ない。怯えさせるくらいで丁度いい。

「そういうわけで、疲れたので俺はか「えんな」一々うるさいな被害者くん・・・しょうがないだろ?もう百時間も起きてるんだ、つまりもう限界だ。何ならここで寝てやるぞ!」

「少しは隊長っぽいとこ見せろよ、というかそんな長い間なにやってるんだ・・・?」

キンジがしかめっ面で(いつもそんなようなもんだけど)突っ込んでくる。

仕方ないだろ。死徒とおいかけっこだぞ。リアルリアル鬼ごっこだ。そんなこと言っても信用ないだろうし、今は行動で示すしかないけどな(今から寝ようとしている人間の言葉)

〔遠山キンジくんか。君のことはそれなりに評価している。頭も、体もだ。だからこそ副隊長だ。・・・が、それだけだ。君は特定の条件下に置かれなければまずそれなり程度の活躍しかしないだろう。にも関わらず採用したのは他のメンバーに勝るとも劣らないモノを秘めているからだ。期待しているよ、カナのお墨付きだしね?〕

「・・・よく性格悪いって言われませんか」

〔---ああ、そういえば言い忘れていたか?僕が君達のチームの司令官兼サポーターになる。諸事情により身元を明かすことは出来そうもないが、志葵くんとカナの師匠でもある〕

(そりゃあ性格悪いわけだよ)

キンジが思い浮かべるのは、先程の志葵の姿だ。別に動作におかしな点があったわけでもない。飛び抜けた強さを感じることもなかった。・・・が、何なのだろう。あの違和感は。威嚇射撃すらしようという気には---ならなかったのだ。

これから人となりを知っていく他は無さそうだ。カナについても、保留とせざるをえないだろう。

しかし、それは自分の行動を阻害する理由にはならない。

「リーダー、あんたのことが知りたい」

「ふうん、そうなのか」

気のなさげな返事だ。まあそうだろう、普通はこんな面と向かって言わないどうでもいい言葉だもんな。

「そうだ。さっきの誰かさん(あんた)のことが知りたいんだ」

「ふうん、そうなのか?」

今の返しはさっきのものとは少々意味合いが違うように感じた。ようやくこちらに目を向けた感じ、興味をもった、・・・というか。

「止めておけ。(チームの規律を乱すのは良くないし、今は)お前じゃ勝てん・・・」

しかし一々飛び出して挑発するのはどうなんだ、七夜。

後言葉が足りてないぞ。キンジ以外で理解できるのは言葉を交わす必要もない駄妹のアリアと、先生と、相性のいいレキくらいだぞ。

言ってて思った。キンジ以外全員だ。

(・・・さて、どうしたものか。目につくような状態で七夜には出てほしくはない。切り札ではあるからな)

「無論、受けようか」

『勝算はあるのか?相棒』

(俺は勝ち目のある勝負しか受けないよ。だからといって確実に勝てる訳ではないだろうけどね)

「・・・が、後でな。悪いね☆」

その場にいる全員が(レキを除いて)ずっこける。なまじシリアスな空気になっていただけに堪えられなかった。

「なんたって、これの大元になった吸血鬼の王様からお話があるんだそうで・・・そんな生易しいものではすまなそうだが、逝くしかないな!」

「急に元気になったな・・・え、ヤバくないか、それ。というか、四人で足りるのか?」

「少数精鋭の方がいいだろうと判断したまでだ。といえども、師匠?アイツらを紹介していいか?」

行ったら決戦間違いなしだし、いきなりこのチームで無理をするわけにもいかない。増員をかける必要があるな。

ドアを開けて入ってきたのは、一人?だった。

その一人は勿論と言うべきか、武偵高の制服を来ているため生徒だろう。そしてもう一人ではない、一匹の黒猫はその生徒の肩に乗っていた。

紺色の髪は流れるような癖毛であったが肩にかかる程度に綺麗に切り揃えられていて(ピョンと後ろに跳ねている後ろ髪の寝癖がチャームポイントだろうか)、その中性的な外見と艶麗な雰囲気によりキンジは女性ではないかと勘違いしてしまった。

女に弱いキンジは目をそらそうとして・・・澄んだ藍色の眼差しに捕まった。

「・・・あんまりこういうこと自分で言うのもなんですがキンジさん、でしたっけ?私は男ですよ」

顔に出ていたのだろうか、とキンジは慌てるが時すでに遅し。しかしその少年は特に苛立っているような気もない。慣れているのだろうか。

「だったらなんで、一人称が私なんだ?」

「だったらなんで、貴方の一人称は俺なんですか、って返すのはさすがに意地悪でしょうし・・・・あくまで、個人的にしっくりくるから、といったところです。敢えて言うような理由でもないですね」

友好的であることを示すつもりか、まだ座らず立っていた彼女---ではない、彼は微笑みを浮かべていた。

キンジが思うことはただひとつ。この女っぽい男、なんか雰囲気が苦手だ。

「・・・・っと、自己紹介が遅れましたね。毛利歩夢です。宜しくお願いします。武偵高では志葵さん以外と同じ一年生ですよ」

だったらなぜ敬語など使うのだろうと思ったが多分それもさっきと同じように流されるのだろうと諦める。

「あんたって確か、バカ兄の戦兄弟(アミコ)・・・だったっけ?」

若干空気とかしていたアリアと歩夢は仕事上面識があったな。

 

 

「はい、そうですね。ただ・・・僕はAランクなんですけど・・・」

「俺がBに降格したからな、諸事情により仕方あるまいが」

上級生でも下級生よりランクが低いっつーのはまあまあある話ではあるのだけれど、やっぱこういった上から下への契約で逆転するケースは珍しい。

旗から見たら不思議な契約だがまあいいや(投げ)なまじ納得できる理由だけに面倒くさいものである。

「まあ、そんなことはどうでもいいですよね。兎に角、僕もこの任務に参加する・・・と、いいたいのですが。お断りさせていただきます・・・では」

歩夢が志葵に耳打ちしてくる。折角のスカウトを断る点といい何か聞かれたくない事情でもあるのだろうか、と思いはしたもののすぐに納得する。

「・・・ふむ?なるほどな・・・まあいいんじゃあないか?交流がまた今度になるのが惜しいけどね」(しかしようやく七夜が裏に籠ったか・・・)

今度は七夜じゃないほう(ちなみに転生者だが、神崎の方として通しているのは名前が思い出せないからである)に変わった。七夜は話術とかは人並みだからこういう裏方は俺がやるんだが。

「ではこれで・・・じゃあないですね。この子は確かに返しましたよ」

「・・・猫?」

「どうした被害者くん、何を驚く。使い魔っていうの、聞いたことないのか?」

「無くはないですけど・・・」

『まあ、そういうもんだろうな。この一般人気取りからすればな』

(辛辣だなぁ、七夜。こいつは被害者なんだし、多目に見ようぜ。文字通りの意味でさ)

 

 

「そんでこの使い魔はレン。無口なやつだが、仲良くしてやれよ。今はいないが、歩夢にもな。アイツ、表裏激しいから気を付けろよ」

詳しいことは型月wikiを見よう!(メタい)正直作者もそう上手く説明はできない。なにしろ情報量が多過ぎて矛盾が・・・

〔・・・どうやら話しは纏まったようでなによりだ、この場はここで解散で構わないかな?また週末に微調整を、といったところか。細かいミーティング等は君達の自主性に任せたいし〕

自主性、かあ・・・また、便利な言葉を。しかし、なんか妙な・・・?

(・・・・師匠なんか嬉しそう・・・なのか?いや、何がだ?それにボイスチェンジャーの上からだし不正確ではあるものだし・・・気にしても仕方ないか)

『俺にはそれすら分からないんだがな』

ひとりごちる七夜は無視して---改めて濃いな、このチーム。そう思った。レキに至っては気がついたら本を読み始めてるし。何しに来たんだ。話は聞いてそうだけれど。

---しかし、流れていく小さな日常とは裏腹に。

事態は今も少しずつ進んでいく。

懸念材料は多い。それこそ数えきれないほどだ。が・・・・・今考えるべき対象は、二つ。当面の標的は、こいつらだ。

『・・・王。そしてホームズを殺す』

 

「焦っても仕方がないが、急ぐに越したことはない、か?」

そうかな?我が親愛なる友よ。





・・・ヒロインどうしよう(おい)

金一(カナ)は男だしなー

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