異世界に転生したはいいけど原作キャラの兄とか聞いてないです   作:シャイニングピッグEX

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やだ、いつも型月成分・・・・多すぎ・・・・
というかゲームの台詞使いまくってるのに中二な七夜くんマジ七夜くん。
原作で言うバスジャックくらい?(一巻中盤あたり?)ですね。

・・・しかし、具体的な日にちが分からなくて書きにくい。ラノベ世界では分かる必要がないのかもしれませんがね。深く考えない方がいいんでしょうか?
そういうわけで少なくとも今回では日にちとか気にしないように。

そして原作キャラの容姿を書く気にはならないので脳内変換お願いします。最後に原作キャラとの戦闘がありますが、相性の関係上詰んでるので主人公補正の暴力をしました。本当に申し訳ありません。


第三話 七夜の嫌なしがらみ、そして編入試験

「ああ━━やっぱりここが俺にとっては一番いいよなぁ」

 

 

不思議な空気のする森のなか、一本の大きな木にもたれ掛かるように座った七夜がそう呟いた。

『確かにそうだな、それにそうでなくても、ここは落ち着いた雰囲気がする』

ここは、七夜志葵にとって、もっともその時神崎志葵と呼ばれてもいなかったし現在呼ばれている自分もいなかったので七夜にしかよくはわからないが、生まれ育った場所なのである。

「毎回旅の終わりには来るようにしてるけど、それにしても今回は早いな。日帰りか?まだ夜の八時だぞ?」

『日帰りではないけど、だからさ。今は、吸血鬼が辺りに潜んでる。『七夜』と『両儀』あたりを付け狙ってるところだろう。この森には結界が張ってあるし、『誓い』があるから下級の死徒の跳ねっ返りくらいしか手は出せない。地理もある程度しか知らない京都の宿泊所に泊まるのは得策とは言えないしね、これでいいのさ』

つまりは、七夜の森で野宿。七夜はそれを察したのか、左手のナイフを(正確には武偵高の制服に隠していたナイフを)地面に置く。

「さすがは相棒。しかしそうなると仕方ない、次の昼までは休業か?」

『いやいや、忘れるなって、明日は早朝からイ・ウーで試験だぞ?序列の低い奴等から勝ち抜き戦だ、ある程度の立場は得ないとな』

目立ちすぎはせず、かつある程度の権力がなければ師匠からの任務は果たせないだろう。金一も似た任務に参加しているが、気にくわない(私怨)

「━━━っとそうだな、念のため相棒、眼で周り見といてくれ。そしたら寝るかな」

『それじゃあ、少し変わるぞ・・・・』「いや、何にもないな。なーんにも、視えない(・ ・ ・ ・)

実をいうならば神崎はここで嘘をついた。眼に視えたのは燃えるような赤色の線。これが見えたことを言わなかったのは七夜を思ってのことであるが、それが分かるのはもっと後の話だ。

その後もう一度七夜に変わると、長く二人(一人?)の間で沈黙が続いた。お互いにその沈黙を悪いとは思わなかったが、およそ一時間程たっただろうと思ったところで、七夜が口を開いた。

「なあ、相棒。不謹慎だし、この事件で恐れてる他人には悪いと思うんだけどさ」

そう前置くと、救われたと思ったんだ、と七夜は言った。

「例の任務を師匠から受けて、漸く七夜として居場所が出来たな、って━━━未練は捨てれず、義理も果たせず、こんなんじゃ己であった証も、七夜としての誇りを精算することも出来ずに死ぬだろうなとか、子供の頃から思ってたけど、いい機会が出来て救われた!・・・・なんて感情が先に出てきちゃってさ、やっぱりおかしいよな。人間としてさ」

『珍しく饒舌だね。しかしそうでも無いんじゃないかな?誰かに認められたい、評価されたいなんて思うのは人間として正当な感情だと思うよ。肉親が近くにいなくて、自らの感情を自覚することすら少なかった君としては尚更さ』

「それに━━もうひとつ理由があるのさ」

 

小さい声だったが、神崎志葵には不思議とよく聞こえた。

 

「・・・・復讐出来るからな。父さんを殺したあいつに。アルトルージュ・ブリュンスタッドに、さ。ずっと待ってたんだよ、この時を。合法的に死徒のトップクラスに手を出せる時をさ」

 

『今のままは不満なのか?』

 

「悪くはない。誰のせいとは言うまでもないだろうけれどね」

その言葉でつい神崎はニヤついてしまう。

『━━そりゃ中々なこって』

「まったく、そういうことだけど━━前々から決めていたが、七夜を名乗り直そうかと思うのさ。然るべき場所に限るけどな」

『もしかして七夜一族の再建でもするの?』

それはただの当てずっぽうだ。そもそも現状七夜が一人である以上、ほぼ不可能だと思っていたからこその軽口だった。

「よくわかったな。というか元よりこういうことがあったならやるつもりだったよ━━しかし、やっぱり俺は異常か?」

『凄い「らしい」よ、今の七夜としては。それで七夜はいいんだと思う』

吸血鬼と戦えるからって水を得た魚のようになるのは一般人からしたら頭が狂っているとしか思えないが、それが自然に見えるのが退魔の「七夜」たる証なのだろうと再認識した。

「そういうものか?」

『そういうものさ』

お互いの意見を確認しあった後、七夜が短くそうか、といって目を瞑る。結局それ以上話すことは無く眠りに落ちたが、暗い夜の中の七夜の顔はどこか満足げに見えた。

そして翌日、目標時間の早朝の四時ぴったりに七夜は起床し、(神崎は意識のなかで眠り続けていたが)ナイフを用いて準備運動を行っていた。

(さて、あっち側の指定場所は東京か。まあ、いずれ戻る必要があった以上は丁度いいか。・・・後、起きろよ神崎)

『・・・・んむ、眠いなぁ。いや、ああ━━━何でもないかな?と、どぉーした?』

「起きるのはいいが、はっきりしてくれ。気が抜ける」

『ふわぁぁ、んぐっ!よし、目が覚めた』

その擬音は何があったんだ、と突っ込みたくなったが七夜は自重すると立ち上がると、携帯を見て指定された場所へ向かう。しかし移動はカットカットカットカットカットォ!(メタい)

(・・・・ここだな)

「成程成程。東京の工事現場か、しかし事故でもあったのか放置されてるな。言うならば廃ビルか?そんなところは溢れるほどあるがな・・・ま、やつらもイ・ウーなんて加入している以上他に悟られにくい場所を指定するのは道理か」

見たところの景観からそう納得すると、中にはいる。

中に居たのは銀髪の「騎士」を体現したような美少女だった。---あ、あいつだこれ。

(・・・臭うな、こりゃ。貴族で騎士ときたか、それならやり易い)

『原作キャラか、概ねイメージ通りといって間違いはない。けど、「正面からの勝負に強い」ぞ、騎士ってのは。俺は直接は戦えないから、頼むぜ七夜』

(期待に応えようか、相棒)

「まずは自己紹介からだ。俺の名前は七夜志葵」

「そうか、私はジャンヌ・ダルクだ。よろしく頼む」

見た目に違わず、馬鹿正直と来たのがあまりにも予想通りだったので七夜はつい呆けてしまったが、神崎の声で正気に戻る。

「では、決闘の場へと案内しよう。・・・・と、いいたいのだが、待て。お前、それは武偵高の制服ではないか?スパイか何かか?」

実は七夜はずっと武偵高の制服で活動している。替えは3枚持っているので旅の途中でも心配はないが。

(・・・どう答えたものかな)

『正直に言え、ただし全部は言うな』

「スパイだよ、二重スパイ」

「・・・・一応はよしとしておこうか」

(おい、疑り深い目で見られたぞ?大丈夫かよ)

『問題ないだろ、どこのとは言ってないし、相手はそれが本当かどうかかも分かっちゃいない。惑えば惑うだけこちらが有利、それに師匠もいるんだ』

そのまま案内された場所は特になにもなく、言うこともない部屋だった。廃ビルと言えど、完成するところはしているようだ。少しばかり狭いのが七夜は不満なようだが、仕方がないので諦める。

「では、決闘を始めよう」

「その前に少し質問いいですか、お嬢さん」

(お嬢さん・・・?日本人なのにこう呼ぶのは珍しいな)

「好きに言うといいだろう」

「まず、どうしてお嬢さんひとりだけなんだい?」

ずっと疑問に思っていたことだ。まさか単独とは、審判一人くらいついてるものと思っていたのだが、イ・ウー事態が巨大な組織であるとおぼろげながらも認識していただけに二人にとっては意外であった。

「まさか新入りに組織のメンバーがそう多く顔を晒すわけもないだろう。・・・では、今度こそ始めるぞ。殺害はなし、体への直接の攻撃は打撃のみで最初に名乗りをあげ、名乗りの中断は無しだ」

確かに、正論である。こういう組織に「新入り」として入ろうとしているのはこちらなのだ。立場を弁えるのを忘れているようでは、危ないところだった。ただし、七夜はそういった人間関係のいざこざが苦手なので、これからは変わって会話することにしよう。

そして部屋の中で五メートル程距離をとって向かい合うと、お互いに武器を構える。

『七夜、あれは最高峰の魔剣、デュランダルだな。国宝級のヤツだ。真っ正面からの攻撃は危険だ』

(その他の情報は?)

『残念、思い出せない』

原作知識は、本当に残念だと思っているのだけれど、徐々に消えて今は殆ど無い。これが悪く響かないといいのだけれど。

「七夜志葵、推して参る」

「ジャンヌ・ダルク。いざ尋常に勝負だ!━━━ッ!?」

お互いに宣言をし終えた途端にジャンヌの鎧をナイフが掠めたため、つい硬直してしまう。しかし、ルールとしての行動が終わった後であるため、七夜を卑怯ものと責めることはできない。

(━━不味い!相手は何処から来る!?)

急いでジャンヌは構え直し、相手が元いた場所に目を向けるが、姿は見当たらない。それを認識した矢先、後頭部に鈍い痛みが走る。

ナイフによる峰打ちだ。

直後、背後からナイフで鎧に何度も攻撃を加えられる。

鎧があろうと、攻撃を受けると痛い。が、その痛みを無視してデュランダルで振り向きつつ凪ぎ払うと、相手は直ぐに引いた。

 

スピードを活かした、中距離からのヒット&アウェイ。これが七夜の戦闘スタイルだった。

(スピードは高いが、攻撃力は中の上の域を出ない、守備も中々だが一番は回避頼りで、間合いを図って戦うタイプか。ならばやることは決まった━━━!)

ジャンヌは辺りに巨大な氷をばらまいた。これにより七夜は回避に成功したが近接戦を余儀なくされる。ならば自分の魔剣と相手の何の変鉄もないナイフならば、技術はどうあれ有利なのはどちらかなど、わかりきっていた。

「これで中距離戦は封じられたぞ?さあどうする、七夜志葵、と言ったか?お前の実力を見せてみろ」

ジャンヌに挑発的な態度をとられても、志葵はただ状況を冷静に整理し続けていた。

正確には、中距離戦はまだ可能だが、やろうとすると確実に氷に足をとられる。一瞬での超加速ならば隙を晒してしまうのは確実だ。

(一旦近接戦に持ち込む。それくらいしか手が浮かばないな)

最初に正面からの戦いは禁物だと言ったにも関わらず、せざるを得なくなった。

武偵高の制服に隠していた二本目のナイフを抜くと、猛スピードでの連激を仕掛ける。

相手のスピードを理解したジャンヌは(逆に言うと見ての対応は諦めているのだが)ある程度予測しての反撃を放つ。適当に放たれたものとはいえ魔剣の一撃を受け流すことは出来ないと判断した七夜は後退して回避しようとするが、氷に足を阻まれそうになり中途半端な構えになってしまうと、当然魔剣による強力な攻撃を受けてしまう。

(・・・・駄目だな、最初のあれで決めきれなかった時点で詰みか)

「さて、どうする?何か手はあるか?」

ジャンヌに最終通告を受ける。

 

これを聞いた七夜は長く息を吐くと、宣言した。

「これ以上は時間を無益に使うのみ。結果は見えた、つまりは降参だ」

イ・ウーへの編入試験は初戦敗北で幕を閉じた。




実は七夜の森の居場所が未だによく分からない。何かいわれてましたっけ?

後今更ですけど、志葵と書いてシキ。父親の名前を継いだんですね。それと分かりにくいんですけど、
七夜→元からいる人格。転生者成分なし。中二
神崎→後からできた人格。転生者。

支配権は2・3。七夜が3。

まさか、初戦で詰むとは。間合いを封じられ、かつ接近戦でも負ける要素があり、決闘というルール上暗殺者としての能力は使用不可能なので仕方がありません、次回救済。因縁のヤツとでも勝負させますかね。

では意見、質問、誤字報告、感想等ありましたらよろしくお願いします。

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