やはり俺とこのダンジョンは間違っている 作:ばーたるゃん
「...時間だ。」
武器を手に取る。
攻城戦に与えられた時間は三日、相手はこの戦力差から、3日目に最終的な攻撃を行ってくるとみているだろう。
故に、最初からクライマックスだ。
銅鑼の音が鳴り響く。その瞬間に全員が移動を開始した。
「――、あれは...?」
奇怪な格好をした人物が、歩いてくる。とても静かに。
「...――!」
そして、100Mで加速し、二振りの剣をあらわにした。
「は?」
次に、こちらが行動を起こす前に、砲撃が城壁へとさく裂した。
「せ、攻めてきやがったッ!?」
破られた城壁の一部が、状況をありありと伝える、襲撃あり、と。
「敵は!?」
「ひ、一人ッ、で、でもあれは――、クロッゾの魔剣だ! あいつら、伝説の魔剣で城ごと吹き飛ばす気だ!?」
ルアンがおびえたように城内へ滑稽に逃げていく。
「ッ! がっぁぁっ!?」
砲撃は連続で城壁を遅い、破壊していく。
城壁の中では怒号と悲鳴が鳴りやまず続き、異常事態を広めていた。
そこへ、城内から飛び出てきたルアンが叫ぶ。
「ヒュアキントスの命令だ! 50人でアレを倒しに行け!!」
「ご、五十だと!?ふざけるな!」
「半端な数じゃただ潰されるだけだ! 敵は一人、さっさと倒して戻ってくればいい話だろ!!」
「ッ。」
正論に、誰もが口を紡いだ。 そう言っている間にも壁が崩れ落ちていく。
「うひゃあッ!? っ、は、早くいけよぉ!!」
「っ...やむをえまい、出るぞ!!」
50の人員をかき集め、魔剣の人物を撃ちに出た。
ルアンは被害を避けるかのように城内へ再び慌てて戻っていく。
「...」
砲声が鳴るのを確認しつつ、城の東の壁へ。
「ッ、敵しゅ――がぁぁッ!?」
その声よりも先に、爆音が鳴り響き、城壁に大きく穴が開く。
「ふッ!」
すぐ近くにいたヤマトが、爆破された城壁の黒煙へ飛び込む。俺も少し遅れてそこへ。
「ッ――!」
気づかれるのとほぼ同時に、爆発が起きる。
「...」
一度、侵入してしまえばかなり楽だろう。
「こっちだ!」
後ろから足音と怒声が。
「――。」
3つ目の袋の中身をぶちまけ、駆ける。
背中で爆音を感じながら、中庭へ追いつめていく。
「中庭だッ! 行け!!」
と、外へ出た瞬間に、重力の檻に閉じ込められる。
さて、もうじきベル達は上へ向かい始めたところだろう。
「腐れ目!」
「――、っと、そうだったな...」
「もう下に戦力は残ってない、あとは上だけだ!」
「そうか。じゃあ...」
確か、と思い出すより早く手を引かれる。
「馬鹿かお前は! いや馬鹿だったな! というかお前がめちゃくちゃしてくれたせいでこっちも危なかったんだぞ馬鹿!」
「馬鹿って言った方が馬鹿なんですー、つまりお前のほうが馬鹿だ、はいQ.E.D.」
「意味わかんねーこと言うなよ、で、こっから一人で20人以上相手するのか?」
「まさか。お前に騙してもらってたことを存分に活用させに行くだけだ。」
ベルとヒュアキントスが戦っているところへ俺が現れただけで、必ず隙ができる。理由は明白、そう仕向けさせたからだ。
ルアン...リリルカに、俺のやってきたこと(嘘)を流させた、その結果、相手の俺に対する評価も高まり、居ては面倒になると再認識させた。
「【インガーンノ】」
使うつもりはなかった魔法を使用して、階段を跳ねるように上っていく。
そして空中廊下にたどり着く。戦闘を繰り広げる二人の上を通過し、その先、崩れた玉座の塔へ。
戦闘にかける時間は10分に満たない。それほどの速度でこの場までたどり着いた。
「ふッ――。」
火炎石のつまったその袋を投げ、魔剣を振った。 ――そして、玉座の間の在ったであろう空間に、爆撃が。
「――っ、なッ!?」
「...っ。」
事前に話していた通りの爆撃を、少し余裕をもって回避する。相手がその爆風を身に受けつつも回避したのを見て、爆風の向こうに掻き消える。
そして、蓄積を、始めた。
「――、貴様、貴様はぁッ!!」
波状剣が、爆風の空けたそこにいる彼に向かうが、短剣が、それをはじいた。
「久しぶりだな。」
剣をはじいてがら空きになった体にけりを入れる。
槍の戦い方を練習していたことすらも保険に過ぎなかったのだが、それすら見破れなかった敵には、それ相応の結末が待つ。
「ベル。」
魔法が切れた俺のそばを、ベルが疾駆し、ゼロ距離。
「――【ファイアボルト】!!!!」
炎雷が、敵主将をそのまま、瓦礫へと吹き飛ばした。
「.........」
上空を見上げる。ちょうど、雲一つない下だ。
「...時間だ。」
初期予定時間を超えない、その程度には、予定通り進んだ。
いわゆる
次回、明日19:00
『ヘスティアファミリア』