やはり俺とこのダンジョンは間違っている   作:ばーたるゃん

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準備期間③

 

 

 

「それじゃ、行こうか。」

「...うす。」

 ルールを決めに行く。俺は、そこまでついていった後、使える人材を利用して、必要なものを買い集める。

 注目されないように、多くの店で、少しずつ。ちなみに自腹だ。

 

 指示を出せば俺の仕事は終わりだ。これ自身が行動するのはまずい。 とはいえ、何もしない訳ではない。

「はぁッ!!」

「...っ。」

 真正面からの戦闘で同じ程度の力量ならば、こちらに勝ち目はない。そうならないようにするのが常だが...

 相対するのはタケミカヅチファミリア団長、桜花。

「はっ...ふんッ!!」

 鋭い斬りかえしを柄ではじく。

 新しい装備の槍を使用した戦い方だ。なーに、容量は分かるとも。なぜなら男子は長い棒を振り回したりして妄想するのが好きだからね!

 そういった武器の戦い方調べて試してみちゃうまである。ちょっと男子、モップ振り回さないで!

 ――槍は、比較的使いやすい武器と言われている。習得までの時間がかなり短い、握力、腕力はアビリティにて強化されるので問題もない。

「ふんッ!!」

 真上からのたたきつけを横へ。そして――

「止め!」

「――。」

 その声をかけたのは、男神タケミカヅチだ。日本ならば、一度は皆聞いたことがあるであろうその神は、そのファミリア全員に武道を教えているという。先ほどまでいなかったはずだが...

「八幡君。」

 その男神の隣にいたのはヘスティアさんだった。

「...決まりましたか。」

「......あぁ。」

 うわー、聞きたくねー...その顔から悪い結果だったということだけはもう分かった、

「攻城戦...助っ人は、都市外の派閥より一人。」

「...うっわ。」

 考えうる限り最悪...

「すまない、八幡君!」

 タケミカヅチ様の後ろから出てきたのは神ヘルメス。

「俺もできる限りのことはしたんだが...!」

「......攻城戦、規模は分かりますか。それと、都市外の派閥に、何か。」

 こういう時役に立つのが神ヘルメスだ。誰よりも情報を手にしている。

「あ、あぁ。攻城戦の舞台ならおそらくシュリームにある城だろう。規模なんかは追々アスフィに伝えさせる。 で、都市外の派閥か......んー、よし。それもこちらで何とかする。」

「助かります。」

 手際がいい、やはり、見透かされてるのだろうか。

「...」

 まぁ、どうにしろ仕事が早いことはいいことだ。あえて突っ込む必要もない。

 ベルに伝えに行くべきか...いや、それはいらないと見ていいだろう。と、来ると...

「先に帰っててください。寄り道して帰るんで。」

 帰る前に、進行具合を確認しておくことと、今、決まったことの報告だ。

「ん、あぁ、わかった。」

 すでに、リリルカ・アーデについてはこちらに引き入れたということは、現在、神のナイフがないことが証明済みだ。これを見越したというわけじゃないが、それをかけて引き入れておくだけの価値はあった。

 

 

「...」

 情報を探るだけだったが、これならば。アレも気づいているだろう。

「わりぃ、ちょっと出かけてくる。」

 事前に決めておいた時刻、場所にアレはいるはずだ。普段出歩かないだろうに、なぜああいう場所を知っているのか。

 そんな疑問を浮かべつつ、目的地へ。

「また随分と酷い顔ですね。」

 情報をまとめたメモを投げつける。そこにいるのは比企谷八幡だ。普段よりも目つきが悪化している。

「顔というな目と言え俺のかーちゃんに失礼だろ。親父に関してはいいけど。」

 調査したものを確認しつつ、軽口を返してくる。

「いいんですか...」

「俺は顔つきには自信がある、目と性格と挙動さえ気にしなけりゃいい男だろ。」

「いい男の必須条件が抜けてますが。」

「ばっかお前ちょっと抜けてるところがチャームポイントってもんだろ。」

「ちょっとどころでないから今があると思うんですが...。 それで、今後はどうしますか?」

「...ひとまず、情報の確認だ。戦争遊戯について何を知ってる。」

「攻城戦、相手の助っ人は都市外の派閥の一人に限定する、と。」

「『ヘスティアファミリア』なら、助っ人としてでなく参加ができる、攻城戦の舞台はおそらくシュリームの城で、これが地図だ。」

 地図を受け取る。...こんな面倒なことを率先してやってのけているあたり、普段の怠け具合がよくわかる。

「助っ人に関しても...多分大丈夫だ。 ...じゃ、今後だが...戦争遊戯が始まった後だ、お前の仕事は。」

「なるほど、攻城戦...まともに攻め入るとなると確かに...では、裏から手引きですね。 でしたら...この裏の南東勝手口がよさそうですね。」

「あぁ。 ...そして、誤情報を飛び交わせて、まず最初にこの助っ人へ戦力を集中させろ。クロッゾの魔剣をもつ単独をしとめるには...50程度か、その中にエルフもいればなおよしだ。」

「外道じゃありませんか。...まぁ、おそらくリリもそうするでしょうけど。」

「ま、その程度だな。」

「いえ、八幡様。肝心の八幡様がどうするか、出されていませんけど。」

「...チッ、あぁ、忘れてた忘れてた、やだ俺ったら謙虚。 俺は最初の誘導と、助っ人の補助に回る。ほら、サポーターって大事だろ。」

「......まぁ、そうですね。」

 そう言われては、サポーターである自分は強く出られない。ましてや、助けられた身では。

「あとは...俺が、つかまったままってことにしといてくれ。以上だ。」

「...はい。では戻りますね。」

「っと、んじゃ、これ。」

「...?」

「出かけたことをいちいちごまかす必要もないだろ。」

「別に、自分で買っていきましたけど。」

「別に俺もいらねんだよ...もってけ。」

「らしくないですね。」

 出会って、そう長くないが、これでもこの世界では五本の指に入るほどに彼は知っているはずだ。そもそもの母数がすくないからそれは確実か。

「...まぁな。」

 そう言って、こちらから視線を外した。

「...では、もらっていきますね。」

「おう。」

 次に会うのは七日後、戦争遊戯、開始後だ。

 

 




 次回、明日19:00
   『準備期間終了』

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