やはり俺とこのダンジョンは間違っている   作:ばーたるゃん

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 投稿はしていませんが、別でダンまちSS、オリキャラ主役の作品があるんです。いやー、そっちでは14巻まで内容が進んだんですがね、いやー、こちらで続けれるかどうか。


極彩色

「...」

 比較的安全そうな丘の上に、剣を持ち、やってきた。

 たそがれる...というのは間違いだな。確か、意味が違ったはずだ。

 面倒ごとに巻き込まれる前に退散だ。俺の武器が無いことにすぐ気づくだろうし、心配はかけないだろう。

 もしかけるとしても、アレは受け取ろうとは思えない。

 ベルがあそこで絶対許そうとする、だから俺はその逆をするのだ。

 ベルができないことを俺がする。至極当然のことだ。他人ができないことを自身がして何が悪い?

 断固拒否だ。 ――まぁ、こちらが助けられるということがあれば、ソレを解くのも容易だが。

「――で、何ですかね。」

「おおっと、気づかれてたとは。」

「そりゃまぁ。一人で居るところに何かが来たなら分かりますよ。」

「......ハチマン君。皆、テントに居るけど?」

 この神は...なんとなく、嫌な予感がする。

「おやおや、そんなに警戒しないでほしいなぁ。」

「いや、しないほうが無理でしょう。 ...それで、わざわざこんなところへ、何を?」

「そりゃあ勿論、君に会いに来たんだよ。」

「...何故?」

「いやいや、君が居なかったものだからさ。」

「......それじゃあ、俺は戻る気は無いんで。 あのファミリアが居ないと気に言ってくれますか?」

「彼らもこの迷宮へは、志願してきたんだ。僕らが命令したわけでもないし、強要したわけでもない。ソレを分かってあげてほしい。」

「...まぁ、はい。」

「それじゃ、俺は行くよっ、気が向いたら戻ってきてくれよっ」

「はい。」

 ま、行かないけど。神には分かってるんだろうなぁ、嘘が。

 

 

「...ん、朝か...」

 明るくなっていた。特に寒くも無いこの気温では、外でも楽に寝られる。 ...モンスターに襲われることも無かったようだ。

 まぁ、この階層のモンスターなら、来れば気づく。ステイタスが強化され、そういうことに敏感になっているのだ。

 しかしまぁ...アレから誰もこなかったと考えると、いい場所なのかもしれない。

「...。モンスター...」

 バグベアー。知識はある、ミノタウロスよりも高い俊敏なので、もし、遭遇すれば用心は必須...

「...」

 階層主の際に、回復などを度外視した魔法の行使が行われた。それも、一瞬のみに期間を限定し、その分効果を増した。

 それが、できるか。

 イメージしろ、常に最強の自分を。――と、いうのは、大事なことだったはずだ。

 イメージの力こそが、魔法の能力を左右する。

「...いや、今は使えないか。」

 もしものときの為に、残しておこう。

 

 

 

 

「...確か、拠点が向こうだったな...」

 そろそろ戻るとしよう。

 

 

「...って、思ってたんだがなぁ...」

 そこはやはり初めての階層か。 まぁ、安全階層でよかったというべきだが。

 真逆だ、これは。

「...ハァ。」

 ステイタスのおかげで、精神的な疲労のみですんでいるが...これが、何も無いころだったと思うとゾッとする。

「森の中――」

 そのとき、地面がパックリと、まるで、罠のように、落とし穴のように。

「――ッ!?」

 なんとか両足で着地し、下にあった液体溜りについたせいで、飛沫が――

「熱っ...!?」

 足が、ブーツごと少しずつ、溶かされていく。

「...っ、酸...――なッ!?」

 痛み、熱を忘れるほどの衝撃――骸骨と防具、武具の群れに、思考が止まる。

「――。」

 ポタリ、と肩に酸が。――そして、上を見て、再度。

「――モンスター...?」

 冷静さを保て、理不尽に身をゆだねるな。今だ、今こそ、冷静になるべきときだ、未知の相手には、冷静に対処するしかないのだ。それが、命を――

「はっ...はっ...はっはっ...はは...っ」

 俺には、理不尽がよく降りかかるな。

 ゴライアスの件についてもそうだ。あんなもの、俺が――

「...っ。」

 思考を、諦めるな。こういった熱いのは俺の性分ではない、だが、そんなことも言ってられない。余裕は無い。

 考えろ比企谷八幡、ここは、斜め上も斜め下も必要ない。――考えることは、シンプルだ。

 コイツを倒して、外へ出る。

「ッ!!」

 しなる鞭、敵の肩口から射出されたそれを何とか回避する――が、足元に広がる酸が飛び散ってくる。さらには、今の風圧からして――

 普通の状態でまともに喰らえば即死、だ。

 幾らここにある盾を持ち、構え受けたとしても、腕が粉砕されるだろう。

「ッ!」

 再び紙一重。骸骨が粉砕され、骨と装備の破片があたりに広がる。

「――。」

 使って、出るしかない。

 だが、使いどころを間違えてはいけない。アレは、格上だ。それも、俺が今まで遭遇したモンスター内最高レベルで。

 敵の腹の中、というのもかなり大きい。

 倒すためには――奥の手を。

 骸骨達のもとへ、たどりつくことが最優先。武器だ、武器が居る。

 俺の武器では、あの本体はおろか、この壁すら、傷つければそれで融解していくだろう。

 骸骨の群れの中から、一つの柄を取る。

 あの攻撃を喰らって、無事な武器――つまり。

 それだけの強度、それだけの武器ということだ。

「――っぜああああああぁぁぁっ!!」

 少しでも強く、少しでも早く。

 斧で鞭の一撃をはじく。だが、こちらも大きく後ろへはじかれる。

「ッ、はぁッ!」

 そのまま後ろへ攻撃対象を向け、壁へそのまま埋め込む。

「――ッ!」

 斧を手放し、回避する。

 痛みで冷静に。肉の溶ける悪臭にも、足の状態にも、対処はまだ可能だ。

 機会は回避。次の回避だ。

 鞭がしなる。その、瞬間。

「【インガーンノ】」

 集中する。

 床を踏み込み、真上に居る――

 そのとき。冠型の器官が発光し――

『アァァアァァァ――――――――!!!』

「~~~~~~~~~~~ッッ!?」

 その、怪音波に飲まれる。ステイタスを幾ら強化しようが届く音波。それに、平衡感覚を失わされた。

 そして、隙ができた身体に、鞭が迫った。

 絶体絶命の一撃、Lv.2ではとても対処できるものではない。

「がっっ!?」

 壁へたたきつけられる。しかし、それだけで終わらず、足に鞭が絡められる。

 そして、そのまま真上、真下、真横へ。酸が出る壁へたたきつけられながら、その身体を溶かしながら、その体を崩していった。

 魔法を使用して、これか。

 痛み、今の状況とは裏腹に、冷静だった。

 たたきつけられながらも、思考は別のばしょへ。

 なぜか、それは――

 魔法を再燃させる。

 発動はした、だが、超微力に。ならば。

 やはり、時間もそれに対応して伸びていた。

 壁にたたきつけられた瞬間に、差し込まれた斧の柄ををとる。

「――っ、はあああああああぁぁっっ!!」

 それを真下に押し込み、自身の体を真上、モンスター本体のいるもとへ。

 そして、剣がモンスターの胸に――突き刺さることは、なかった。

 跳んだ勢いのまま、突き刺すように砕けていく。そして、鍔までその刀身が砕け、モンスターの間近に。

「――。」

 目が、あった――そんな気がした。

 そして。

『アァァァ―――――――――ッッ!!!』

 先ほどの怪音波が、この近距離で放たれる。

「――――ぁ、があああああああああああっっっっ!??? ああっ、ああああああッッ!?」

 自分の声が聞こえない。そのまま、床へ落下した。

 気が狂うような音波、それをあの距離で。

「ひッ、ひぃぃぃっ!!」

 わからない。なにが、どうなって――

 視界にあるものをとらえられない、なんだ、なんだ。

 鞭が体へ。

「――ごっっ...!?」

 魔法も切れた。

 ヒキガヤハチマンには何ができた? 比企谷八幡には何が出来る?

 3度目の生を、こんなところで無駄に終わらせるのか? 諦めるのか、疲れたのか?

「...~~...ぎ...ッ!?」

 そこへ、何度も鞭が。

 2、3、4、5、6、7――

 背中に、熱が。

 その熱は、体を伝導していった。

 ――8。

 体を大きく縮こませ、鞭を回避――そして、下におしこみ、抜けかけていた斧の柄を、再度握る。

「――あああああああっっ!!」

 背後へ迫っていた鞭を切断する。

『――』

「――はっ。」

 足が灼ける。構わず、駆ける。

 見知らぬドワーフの斧を担ぎ、第二陣、鞭を再び切断する。

 そして、目的の場所へたどり着いた。

 骸骨の群れ、その中に一本の異質な光。それは――

 白銀の、短剣。

 斧で迫った鞭をいなし、遠心力を利用して、投げつける。

 背中の熱は、火を噴くように。

 灼ける足で、床を踏みしめる。

 そして、跳んだ。

 斧がはじかれた。だが、それで、鞭の俺に対する対応は遅れた。

『――。』

 目があった。気がした、ではなく、今度は確実に。

「どけ。」

 短剣を、敵の胸へ。

「――、っ!」

 モンスターは塵へ、その体を変質させ始めた。

 落ちる前に、逆さまの上半身をどうにか上にのぼり、天井にナイフを突き刺す。...どうやら、この肉の壁が蓋になっているようだ。、

 まぁ、そうでなければ、上に戻れないんだが、俺...

 モンスターが消える前に、縦に蓋を切り開く。

「――。はッ...!」

 切り込みを無理やり切り開いて、地上へ。

 しばらく待っていれば消えていたのだろうが、これ以上あの酸に足をさらしたくはなかった。...それよりも、今、重要なのは...

 上半身裸、靴全損、ズボンも多少...足は肉が剥き出しに、手も、焼け爛れている。

「...は...ぁ。はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~っ!」

 生きている。

 倒れる。

「...ベルみたいな、魔法の一つでもあれば違ったか。」

 

 




 どうか、成長できますように...文才がつきますように...

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