12歳、アカデミー卒業を控えたある日…水影が〝4代目〟へと変わった。
就任式の日、パレードを見に行ってみれば小柄なやぐらさんの水影衣装姿が目に写った。
やぐらさんがついに水影になったのだ。
『いや〜原作とは時期はズレているが…4代目な事には変わりねぇな。
幻術無効ネックレス渡しといて良かったな…。』
原作知識を共有し、原作ではやぐらさんの時代は血霧の里と呼ばれた事を知っている牛鬼は、ホッとした様子であった。
「そもそも洗脳は起こるかは分からないし…あれが写輪眼にどれほど効くかは未知数よ。
…今でもしてくれているかは分からないし。」
『お前さ、やぐらの事…その、好きなんだろ?アピールしないのか?』
「…釣り合わないって自覚してるしいいの。」
『お前可愛いのに…それは分かってるだろ?横に並んでも見劣りしねぇって。』
「見た目だけはね。…他はマイナスだし。牛鬼がいなければ今頃死んでるわよ。」
牛鬼が言うように私の自慢できる所は、見た目位だ。
何度も告白されたし、前世の知識から鑑みても可愛いと断言出来る。
だが、それだけではダメなのだ。
中身が致命的に残念すぎるし、牛鬼がいなければ何回か来た暗殺者達を退ける事は難しかっただろう。
やぐらさんの様な人に、見た目だけの私は釣り合わないばかりかアピールすることさえはばかられる。
だから、気持ちに蓋をしておく。
やぐらさんの目は、こちらを向いてはいない。一方通行だろうとやぐらさんの事を見る事が出来るだけで儲けものである。
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「お前らの担当上忍になった桃地再不斬だ。
お前らの能力は把握しているし、修行の中で見ていくから試験は行わない。
明日から任務を行う。朝8時、第二演習場に集合。解散!」
それだけ言うと再不斬は去っていった。
…試験があると思ったのだが。
「こんなに簡単に下忍になれるなんて…拍子抜けですね。」
メガネを掛けて父親から受け継いだらしい忍刀ヒラメカレイを背負った長十郎が口にする。
「…試験を行わないだけで、まだ合格と決まった訳ではないのでは?これからの勤務態度で決めるとか…」
推測を口にする白の容姿は、ますます原作開始時に近づいている。つまり、女にしか見えない。
「ま、何とかなるでしょ。」
『楽観的だな…。』
3人の首には、新品の霧隠れの額宛てが掛けられていた。
三者三様の戦い方を見つけ、連携も上手く出来るようになった。
何としてでも、2人を守りたい。
最初は金魚の糞でしか無かった2人だが、私の中で既に仲間だと認識していた。