ハクレン小隊が結成され一年。
主にCランク任務を行っていた4名だが、2日間Bランク任務に出向く事になった。
Bランク任務と言えば、他国の忍者と戦闘になる可能性がある任務。
待つだけなのがこんなにも不安になるとは思わなかった。
だが、予定では今日の夕方帰ってくる筈だ。
『なんか…嫌な感じがするな。』
「ん、不安になる。」
アカデミーから帰ってきて1時間。
夕方になり、嫌な予感が募る。
それが的中していたと知るのは、それから1時間後の事である。
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インターホンがなり、来客を知らせる。
…父は、鍵を持っている筈だ。嫌な予感で心臓がバクバクとうるさく感じる。
「…はーい。」
玄関を開けると、父はおらず、やぐらさん、ウタカタさん、メイさんの3人のみであった。
3人とも表情が暗いし、所々怪我を負っている。
『…お前ら、どうした?何があった。』
「先生が…俺を庇って…亡くなった。」
やぐらさんから発せられた言葉で、時が止まった。
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それからアカデミーへ登校を再開したのは一週間後であった。
書類諸々は水影様がやってくれた。
葬式を行い、遺品の薙刀を貰っても実感は湧かず、一週間帰ってこなかった事で受け止められた。
不思議と涙は出てこない。
寂しいとは思ったが、その分牛鬼が居てくれた事で隙間を埋められた気がした。
3人とも私達を心配してよく家に来るようになった。
特に、やぐらさんは。
のめり込むように薙刀の修行をする内に、時は流れていく。
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「白、長十郎…ありがとう。」
父の2回目の命日。
いつの間にか2年も経っていた。
白と長十郎と共に墓参りをした。
3人はもう来ていたらしく、墓が綺麗になって花が生けられていた。
私達の花も生けてお参りを済ませた後、日課の修行をする。
赤い柄の薙刀は、父が使用していた遺品。
風遁を使って斬撃を飛ばせるようになるなど、私も立派な忍者風魔法使いとなっている。
サイのように墨で何でもできるような修行も行い、羽根で空も飛べるようになった。
移動が楽になるし戦闘の幅が広がった。