モエギが8歳になり、やぐらさんとウタカタさんがアカデミーを卒業した。
父が担当上忍となったため、2人にお祝いとしてネックレス(幻術無効効果付き)をプレゼントした。
子分の白と長十郎に修行を付けるようになり、私も忙しくしていた。
「今日はこれで終わりにしましょう。
果物好きなだけ持って帰っていいわよ。」
「モエギ!モエギはいるか!?」
「…なんかあったみたいだから行ってくる。」
父の声が聞こえた方へ行くと、任務帰りの父とウタカタさん、やぐらさんと恐らくスリーマンセルを組んでいる女の子がいた。
女の子の足は血だらけで、少し焦った表情の父が背負っている。
「この子が怪我しちゃって…治せる?」
「ん、治す。」
父が女の子を下ろし、医療忍術を施していく。
独特の緑色のチャクラが患部を包み込むと、怪我の痕跡させ残さず治した。
「他に怪我ない?」
「もう大丈夫だよな?…助かった。」
「ありがとう。」
女の子─照美メイが笑顔で例を言ったため、それに応えると、いつも通りやぐらさんに突撃する。
いつも通り、暖かい体温と花の香りだ。
やぐらさんも頭を撫でてくれた。
『なぁ、庭にあの2人放置してるが良いのか?』
「あ、行ってくる…。」
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「ごめん、怪我人がいたみたいだったから治してきた。もう大丈夫よ。」
「さすがモエギ様…水の国でモエギ様に医療忍術で勝る人は居ないのでは?」
「本職の人には負けるでしょ…私の医療忍術なんてほぼ独学なんだし…牛鬼には教えてもらったけど…。」
「いや、霧隠れの里でモエギほど医療忍術に長けている人はいないさ。」
私の否定的な言葉に、庭に出てきた父が反論する。
「そもそも、白毫の術を体得するほどチャクラコントロールに長けているんだ。
チャクラ量が多いから燃費も良いし、創造再生・白毫の術は寿命を縮める代わりに致命傷を受けても再生出来る。つまり、戦場の最前線でも治療可能だと言う事だ。
治療所まで連れていく事が困難な場合も多いからね。」
「やはり…モエギ様は、天し…ぶへっ…!」
天使様と言いかけた白を殴り黙らせる。
『お前…なんでわざわざ地雷を踏みに行くような事を…。』
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子分2人を帰らせた後、5人で果物を食べる。
木遁も、草結び、眠り粉や痺れ粉などのポ○モン風の技を使ったり、くしゃみと咳が止まらなくなるという嫌がらせのような花粉を飛ばせるようになった。
完全に嫌がらせの方向へシフトしている気がするが、本来の木遁とはこんな物だ。
柱間は転生体がゴニョゴニョだったりするので、あれは木遁と呼ぶより柱間遁と呼んだ方が近いだろう。
本来の木遁は嫌がらせにて最強である。
「ねぇ、モエギちゃんって…やぐらの事好きなの?」
メイさんが私に聞いてきた。
コミュ障な私とは無縁の女子トークというやつだろう。
「…嫌いじゃない。」
「ふーん…」
女子トークの便利技、〝嫌いじゃない〟
好きな人本人が目の前にいる場合や、〝好き〟のベクトルが違う場合に使える。
私の場合は前者である。
「モ、モエギちゃん!?やぐら…モエギちゃんはやらんぞ!?」
「お父さんうるさい。」
「やぐら…まさか…幻術を!?」
「お父さん、因縁付けちゃダメ。
だから言ってるじゃない…嫌いじゃないって。」
『ん、つまり好きって事か。…ハクレン、そろそろ娘離れの準備しとけよ。』
「牛鬼、ややこしくしないでよ…。」
牛鬼がトドメを刺して〇| ̄|_の状態になっている父が復活したのは30分後である。