修行で額に白毫の術が現れ、大騒ぎしたのはつい先ほどの事だ。
私は庭の木の下で座り、タコ足でリンゴを2つとって一つを牛鬼に渡し、一つを自分で食べ始めた。
木遁の適正がある事が分かってから、医療忍術に加え木遁も修行内容に加わっている。
恐らく、柱間の様な大規模なものでは無いだろう。あれは、特殊な要因が重なって現れた希な例だ。
「モエギ、そろそろ出ようか。」
「分かった。」
部屋に戻り、身だしなみをチェックする。
モエギという名前の理由にもなった、萌黄色の瞳。クルリとカールした長い赤茶のまつ毛とぱっちりとした二重まぶた。
額には、白毫の印が刻まれ、フワフワの赤い髪はボブヘアに切りそろえられている。
前世の言葉を借りるなら、「お人形みたい」である。
自分の顔ではあるが、可愛いと思う。
良くもなく悪くもない前世の顔を知っているから、余計にそう思う。
中身がアレであるのが残念でならない。
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父と一緒に水影室に入ると水影様は勿論、2人の老人と2人の男の子がいた。
現在人柱力である、2人の老人。
新しく人柱力となる、ウタカタとやぐら。
父は水影様に挨拶をして、新しく人柱力となる2人に目を向ける。
「初めまして。封印を担当させていただく、うずまきハクレンと申します。
こちらは娘のモエギと八尾の牛鬼。」
ふ、2人が幼い…可愛い…!
クール系のウタカタと、プリチー系のやぐらだ。
「ウタカタだ。よろしく。」
「僕はやぐらだ。よろしくな、モエギちゃん。」
イケメンの後光が、私の緊張感を煽る。
やめてよ、コミュ障を煽らないでよ…!
「よ、よろしく…お願いします…?」
『なんで疑問形なんだよ…俺は牛鬼。
スマン…こいつ、ちょっと人見知りでな…。』
「ハクレン、娘さんの…モエギちゃんはもしかして、白毫の術を体得しておるのか?」
水影様─60歳程のおじいさん─は、私をじっと見つめて聞いてきた。
「はい。今日、白毫の印が出てきまして…。」
「白毫の術?」
やぐらが、頭の上にハテナを浮かべて聞く。
可愛く首を傾げるショタやぐら。
「確か…数年間常に一定量のチャクラを額に溜め続けることで刻むことができる、精密なチャクラコントロールを必要とする術だの。」
「はい。白毫の術で力が数倍は上がり、創造再生という〝再生〟能力も白毫の印を解放する事で使用出来るようにもなります。」
『ま、代わりに寿命が減るがな。
モエギは、白毫を教えてから1年で貯めた。』
「優秀なのだな、モエギちゃんは…。」
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里から離れた水辺。
そこで、人柱力への尾獣の移し替えを行った。
老人─ロンさんとリンさん─の最期は、笑顔であった。
『六尾、三尾共に穏やかな性格だからすぐに仲良く慣れるさ』
「ありがと、牛鬼!」
いい笑顔で返すショタやぐらを見れただけで…とても美味しいです。