自分の部屋に戻って、壁にもたれかかりずるずると座り込んでしまった。
『私は…やぐらさんの事が…大好きだから…!』
無意識にみんなの前で言い放った言葉。
確かにどういった〝好き〟かは言ってないが、命を掛けたあの場面で、大勢の前で言ったのだ。
五影や護衛、人柱力達など、大勢の人の前で…大好きだからと言ってやぐらさん庇った。
…明日の集まりが不安でいっぱいだ。
やぐらさんの方はと言うと、普段と態度が変わらなかった。
やぐらさんは意識をしていない…?
別の意味で不安が膨らむ。
『直接聞けよ…やぐらに、どう思ってるのかを。』
「それが出来たら…全世界の恋する女の子は苦労してないわよ。」
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朝の9時30分。
白が買ってきた新しい忍装に身を包み、髪をまとめてやぐらさん達が来るのを待つだけとなった。
…サイズを何故知っているのかだとか、どうやって買ったのかなどは怖くて聞けなかった。狂信者コワイ…
「あ、来た…!」
やぐらさんのチャクラを感知し、部屋の前に出る。
「やぐらさん、おはよう。」
「あぁ、おはよう。」
頭を撫でてもらい、目を細める。
やぐらさんに撫でてもらうのが一番気持ちいい。
気持ち良さげにする私に嬉しそうにするやぐらさん。
「…ウタカタ、本当にこれで付き合って無いの?」
「らしい…ぞ?秒読みだとは思うが。」
2人の会話が聞こえ、私達はパッと離れる。
頬が赤くなっているのがわかる。
「お、おはようございます、ウタカタさん、メイさん。」
『動揺しすぎだろ…目がめちゃくちゃ泳いでるぞ。』
「さ、さあ…行こうか!」
『やぐらも動揺してるね〜』
『だな』
「ウブすぎない?アカデミー生でももう少し進んでるわよ!?」
「2人はこんな物だろう。磯撫や犀犬よりも進むスピードが遅いのは今に始まった事じゃない。」
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「え〜試験に参加した三名の結果発表を行います。波風ナルト、我愛羅、うずまきモエギは前に出て来て下さい。」
雲隠れのシーが前に出て言った。
「波風ナルト、我愛羅は中忍へと昇格。
うずまきモエギは上忍へと昇格と決まりました。」
「モエギが上忍ってどういうことだってばよ!」
「第二試験を史上最速で、しかも巻物を計15個も手に入れたからな。しかも、乱入者の対処も行い上忍でも手こずる忍蛇を班員と連携して一瞬で倒した。
上忍にならないと実力的に釣り合いが取れんだろう。」
シーの説明に騒いでいたナルトは納得し、黙る。
が、私を見てニヤリと笑う。
「それにしても…ちっちゃい水影のどこらへんが好きなんだってばよ?
いや〜熱い告h…痛ってぇ!」
余計な事を口走った為、腹パンを決める。
なにすんだってばよ!などと騒いでいるが…自業自得である。
「…で、どこらへんが好きなんだ?」
「な…我愛羅まで…!」
絶対防御で殴ろうにも殴れない。って言うより悪気が無いからやりづらい!
顔が真っ赤になり、何も言えない。
『あぁ、コイツは…グヘッッ!…尾獣の俺でも苦しいぞ、これ…。』
…みんなの前、大声で喋っている。
つまり…周りからの生暖かい目線が集中している。やぐらさんは…耳まで真っ赤にして机に突っ伏している。
か わ い い ! !
照れているやぐらさんは、天使が舞い降りたかのような可愛さだ。
赤くなっている事に、期待してしまうが…よく考えれば大好きってみんなの前で言われてるから照れているのだろう。
『モエギ、もうみんなにバレてるんだからハッキリ言えよ…やぐら、お前も薄々気付いてんだろ。男なら根性見せろ!』
牛鬼の激励に、やぐらさんが立ち上がる。
顔を赤くして近づく姿は可愛い。
やぐらさんは私の前に立ち、言った。
「モエギ、俺は…」