『んで、突然来たのは中忍試験の事か?』
「ん…あ、そうそう、中忍試験。再不斬の報告書が気になったから来た。」
『…再不斬の報告書だろ?再不斬に聞けよ。』
「聞こうとしたら逃げた。」
「あの人上忍だよね?」
霧隠れの上忍が水影から逃げるとはこれ如何に。
原因があるとすれば…
『チビ影、再不斬になんかしたのか?』
「だからチビ影じゃないし…俺の取り柄をアイツらは…って叫びながら消えたから。」
「大体分かった。
中忍試験の為の修行で、
『あ〜あったな、あれ…半年かかったとかどうのこうの言ってたが…嗅覚感知や血継限界にも対応出来るようにしたら…』
「「「…。」」」
真実を包み隠さず言えば急に黙り込んだショタ影御一行。
「牛鬼、ショタ影様が黙っちゃった…。」
『お前が自分より大人びてるから泣くのを我慢してんじゃねぇかな。
「お前ら…人が黙り込んだ事をいい事に言いたい放題言いやがって…大体、モエギよりは背が高いぞ!?俺は143cm、モエギは142cm、1cmも俺の方が高いんだ!」
『比較対象がモエギな時点でお察しだろ?』
「うぐっ…でも、俺はショタ影なんかじゃない!モエギより4つ歳上の大人なの!」
ドヤ顔で頭を撫でるやぐらさん。
気持ちよくて目を薄める。…私は前世の前世は猫だったのかもしれない。
ただ単に好きな人だから、というのもあるが。
「…目の前でイチャつくのはやめろ…。」
「そうよ…爆発しなさいよ。」
「い、イチャついてなんかないって!」
『お前…あんなに甘い雰囲気出してたのに気付いて無かったのか?』
「私は撫で撫でしてもらっただけだよ?」
「女の髪は美容師か好きな人にしか簡単には触らせないのよ。
つまり…そういう事よね?」
「?」
『やぐらの事男として見てるのかって事だ。』
ちらりとやぐらさんを見ると、少し赤い顔でじっとこちらを見詰めている。
「私、やぐらさんの事好きだよ?」
どう好きなのかは言ってないが、どう取るかは本人の自由だ。
男として見ているかなんて本人の前で言うチャレンジャーはあまりいない。
女性に対して毎晩お前をオカズにしてるからと申告する男性もまたいないのだ。
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「ここが…雲隠れ…。」
あれから話は終わってしまった為、どう取ったかは分からないまま。
ま、やぐらさんの中で私に対する認識が変われば御の字である。
気持ちに蓋をしたのに、至近距離で会ってしまった事で蓋は外れ、割れてしまった。
僅か数話で決意が無駄になってしまった。
とりあえず、今は中忍試験だ。
原作では木ノ葉で行われるはずだった合同中忍試験。
今は、雲隠れだ。
つくづくここは現実なのだと思い知る。
何事も予定調和の様にはいかない。