気まぐれで器用貧乏な万能手   作:ハヤヲ

2 / 2
どうも、ハヤヲです。

お待たせしました。どうぞ。


第1話

 

 

 

 

私の名前は古賀樟葉。17歳の現役の女子高生で、しかもボーダーのB級隊員。三年以上もボーダーにいるのにソロ隊員。みんなにはなぜ?と言われるんだけど、いつも有耶無耶にしている。A級の人やB級の上位にいる古参の人たちにスカウトされたりもしたけど全部丁重にお断りしてきた。私は自由気ままに生きていたいのだ。それでもソロランク戦にはちょこちょこ足を運んでいる。

今もランク戦するためにブースの近くにあるソファーでお茶を飲んでいる。すると、一人が私に近づき声をかけてきた。

 

「よう樟葉、よかったらランク戦しねーか?」

 

「こんにちは、出水くん。いいよやろっか」

 

相手はA級一位太刀川隊の出水公平くん。天才射手で合成弾なんかも彼が編み出した。本人いわく何かやってみたらできた。とのことらしい。すごいね。そんな私もバイパー等の扱い方を少し彼に教えてもらった。だからこうしてよくランク戦に誘われるのだ。

 

適当なブースに入ると出水くんから申請がきた。勿論承認し、通信で何本やるかを決める。

 

「何本やる?」

 

『とりあえず10本で。』

 

「オッケー!」

 

『そういえば今日のメインは弧月なのか?』

 

なぜ、そのような事を聞くのかというと、私は普段から頻繁にトリガーセットを変えているからである。

その日によって攻撃手(アタッカー)になったり射手(シューター)になったり銃手(ガンナー)になったりする。狙撃手(スナイパー)はじっとしてるのが嫌であまりやらない。それにあまり狙撃が得意じゃないから完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)ではない。だいたい私は器用貧乏なだけでパーフェクトではない。

話を戻すと、私の今日の気分はバリバリの攻撃手なのだ。その為、弧月に旋空、後は定番のシールド二枚とバックワームしか入っていない。

 

「そうだよ!忍田さんスタイルで旋空をフル活用するつもり。付け加えると、出水くんの弾も切らせてもらおうかな?」

 

『げっ!!厄介なときにさ誘っちまったか…。』

 

「じゃあ、始めようか!」

 

転送が開始され、出水くんとの10本勝負が始まる。

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

ステージ、市街地A。昼間、天候晴れ。

 

 

『ランク戦10本勝負。一本目開始。』

 

転送が完了後、私はレーダーで出水くんの場所を確認する。距離は少し離れているので、このままだと射手が有利になってしまう。兎に角、姿だけでも視認しようと屋根に登り最短で近づくことにする。すると、前方から無数のハウンドが飛んできた。これは追尾弾で、トリオン反応に任せて射ってきたと思われるので左右に避けながら回避する。しばらくして出水くんの姿が見えるとこまで近づけた。でも、大変なのはここからである。

此方が見えれば彼方も見えることになるので、また無数の弾丸が飛んでくるのだ。

早速、出水くんがトリオンキューブを両手に出し、それを分割、放ってきた。凄まじい程の弾幕、並の人ならこれでシールド割られてベイルアウトしただろう。だが、私は右手を前に出し、二枚のシールドを広範囲に使ってフル防御した。

 

 

「うおっ!相変わらずシールド堅ぇーな!」

 

「ごめんね?トリオンは人よりちょっと多いの」

 

「何がちょっとだ!ヒビすら入ってねーくせに!…バイパー!」

 

出水くんは追撃とばかりに四方八方からバイパーを放ってくる。私は居合いの構えをし弾をよく見る。

 

「旋空弧月」

 

身体に当たりそうな弾を集中的に旋空を利用しながら斬り落とした。

だが、完全には落としきれなかったので腹に何発か当たってしまった。勿論致命傷ではないのでそのまま突っ込む。ここまでくれば攻撃手の間合い。私はすぐさま旋空を起動し、出水くんのシールドごと削り倒した。

 

 

「くそ、やられた」

 

『戦闘体活動限界。緊急脱出(ベイルアウト)。』

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

現在、ラウンジで出水くんと二人でお茶をしている。

先程行ったソロランク戦は、7対3で私が勝った。

お互い防衛任務もないことからゆっくり話でよしようとの事でブースからラウンジに移動してきたのだ。

 

「そういえば出水くん。今日は米屋くんと一緒じゃなかったの?」

 

私は、出水くんがランク戦をやる時は米屋くんも一緒のイメージが強い。あと、緑川くんも。三バカと言われるだけはあると失礼ながら思った。

 

「槍バカは宿題やってるよ。明日から新学期だってのに全く手を付けてなくてな。今頃、秀次が面倒みたんだろ。」

 

「あー。明日から新学期かー。」

 

「樟葉は宿題大丈夫なのか?」

 

「私は3日で終わらせたし。」

 

「流石だな…。」

 

春休みの宿題なんて大して量もないし、復習問題しかでないからノート見てればすぐ終わるものだ。それにしても明日から新学期だってことは完全に忘れていた。まあともあれ。

 

「同じクラスになれるといいね!」

 

「っ!!??…そ、そうだな。」

 

「じゃあ明日の準備があるから私は部屋に戻るね!バイバイ出水くん!」

 

「お、おうまたな。」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

ゴゥーン

 

「ただいま~」

 

「おかえり~」

 

私は作戦室兼自室に戻ってくると、何時もの癖でただいまを言う。すると返ってくるはずもないおかえりを言われた。

 

 

するとそこには、実力派エリートの迅悠一が私のソファーにくつろいでぼんち揚を食べていた。

 

「トリガー起動(オン)…。」

 

「ちょっ!!!」

 

「旋空弧月」

 

「ストップ!!ストップ!!今俺トリオン体じゃないから!!!」

 

そんなのお構い無しにぶっぱなしてやろうと思ったけど、私の部屋が滅茶苦茶になるのは嫌だったので仕方なく弧月を鞘に戻し換装を解いた。本当に仕方なくよ?

 

「はぁ…で、迅さんなぜ私の部屋に?」

 

「い、いや~少し未来を告げに。あ、ぼんち揚食う?」

 

「……いただきます。」

 

迅さんのサイドエフェクトは何でも、未来を見ることができるらしい。それは勿論、良い未来も悪い未来も。

確かに未来を見ることができるのはすごいことだし、戦闘になればとても脅威的かもしれない。でも絶対に回避することのできない悪い未来、例えば友人が死ぬ未来なんかを見たときには絶望的だろう。

サイドエフェクトの別称は副作用と言うらしく、私は得心した。人とは違う力を持っていると何かしらの苦悩があるのだ。ソースは私。

 

「どんな未来ですか?」

 

「近々イレギュラーゲートが開くことになる。そして、それと同時に人形近界民(ネイバー)がくる。」

 

「!?それは敵として、ですか?」

 

人形近界民とは私たちの世界にトリオン兵を送り込んでくるやつらのことだ。基本、トリオン兵に任せてこちらの世界に人間を捕獲しにくる。でも、人形がくることになると相当厄介なことになるはず。どんなことになるかは想像できないけど…。

 

「いいや、そいつは味方になる可能性が高い。でも、本部がそれを許さない。だから俺が動いているんだよ。」

 

「なるほど、それでソロの私に協力して欲しいってことですか?でも、私も一応本部の人間です。城戸さんに命令されて、それに反したら私は隊務規定違反でトリガーを取り上げられますよ。最悪除隊です。」

 

「そこは大丈夫。B級のお前に命令はされないよ。A級だけしか関わらない事だからね。それに隊務規定違反のほうは何とかするよ。」

 

A級しか関わらない事だからって、それ私関わっちゃいけないことのような気がするのは気のせいなんですか?そうですか。

 

「わかりました。それで、私は何を?」

 

「今すぐ何かしてくれって訳じゃないけど…

そうだな、とりあえず実力を見せてもらおうかな。明日から俺と模擬戦してもらう。」

 

実力?迅さんとは昔に何度も戦っているから知っていると思うんだけど。S級になるよりもさらに前、スコーピオンができる前から戦ってるし…

 

「じゃまた明日。」

 

そう言い残して迅さんは部屋を出ていった。

 

 

 

 

あ、明日からの学校の準備してなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





サイドエフェクトについては
近々触れると思います。

それではまた

誤字脱字感想等は随時受け付けてます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。