将来の夢はマダオ。 作:ら!
「私と久我くん、許嫁なんです。」
藤咲なでしこの爆弾は、明智くん(仮)のHPをすみからすみまで削りまくった。とくせい:がんじょう により、なんとか持ちこたえている。
それは春日も同様であるが、それは顔に表れることはなかった。とくせい:マダオ は伊達じゃない。
なでしこは春日に腕を絡ませながら続けた。
「私たち、あーんなことも、そーんなこともしちゃったの」
「あ、あんなこと?!そんなこと、だとぉ!!?」
大嘘である。
明智くん(仮)は真に受けてショックを受けるどころか、春日に「う、うらやましいなんて、おもってねぇから!」と、チラチラ見ながらいった。それは顔とセリフがあっていなかった。
「...そうだっけ?...んー。そうみたいです、はい。...藤咲さん般若の顔こっちに向けるな、300円あげるからぁ!」
「やだ、久我くんたら!そうでしょ?だから、ごめんなさいね、明智くん(仮)」
「さっきから何度も言おうか迷ったが、おれは空智だぁ!明智くん(仮)じゃねぇよ!というか、(仮)ってなんだよ!おれはふられたのかよぉぉぉ?!」
空智は絶叫しながら走り去った。
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「どう言うことだよ、10文字以内で説明しろ」
「私と貴方は許嫁(笑)」
「きっかり10文字じゃねぇか!(笑)って他に言い方あるだろ」
「あら、貴方もこの類いの件には困ってるのではなくて?...まぁ、都合のいい断り文句ができたと思ってくれたのでかまわないわ」
「お前はかまわなくても、ぼくはなぁ...」
狂乱の貴公子と呼ばれる春日だが、その頭脳明晰、死んだ魚のような目だが整った容姿は良い意味でも悪い意味でも目立っていた。事実、春日は呼び出しを受けることがあった。
「毎日毎日、ストーカーに付きまとわれるこの心労、わかってくださりますか」
「...へぇ、明智くん(仮)ストーカーだったのか」
「空智くん、でしょ?...そしてそうなった原因は貴方も関係していると耳にしたのだけど?...彼の恋愛相談にのっていた、とか」
たしかに春日は空智から恋愛相談を受けていた。だが、春日はマダオで興味のないことには無関心かつ適当であった。引き金を引いたのは春日の一言だ。なでしこの言い分もあながち間違いではない。言い淀む春日になでしこは1枚のカードを切り出す。
「...ガン⚪ムなんて、お父様にも、描かれたことないのに...」
「なんでもかんでも親父まきこめば、アム⚪になれると思うなよ!...ったく、女ってのは怖ぇよ、しょうがねぇなぁ」
さすが日奈森あむを懐柔し、ジョーカーに仕立てあげた策士、藤咲なでしこ。いつしかみたスタンドの片鱗はこの事であったと春日は確信した。
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放課後。春日は目の前に浮かぶ×印の入った黒いたまごをみていた。銀時も春日の視線の先をたどり、それをみた。
「なぁ、銀時。今日のブラック星座占いのてんびん座って、何位だったか覚えてるか」
「おれは、結野アナみてたからおぼえてねぇよ。...やべ、トイレ行きたくなってきた」
「おいおい。この状況でか?...無茶言うなよ。それよりも あれ、やばいだろ。妙な胸騒ぎがしやがる」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ピキキ
黒い×印のたまごに亀裂が走った。