将来の夢はマダオ。   作:ら!

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第七話 粘り強さとしつこさは紙一重

午後3時おやつの時間のことである。いちご大福を片手に春日が唐突に呟いた。

 

「...お前の声って、キョンに似てるなぁ」

 

「おれはアイドルじゃねぇよ、コノヤロー。なんてったって糖分王だからな。糖分だけはやめられねーよ。学園天国のこのご時世で美人の隣なんかねらっちゃいねーよ。」

 

「大泉昨日子じゃねぇよ!これわかる人一体何人いると思う?!」

 

「35人」

 

「お決まりな答えありがとよ!バーロー。

 

......ほんっと、こんなちゃらんぽらんなのに、烏間先生と声いっしょだもんなぁ。

 

 

あわれなり。」

 

「そのかわいそうなものをみるかのような視線ヤメテ!!?そのあわれなりってどうした!!平安お坊ちゃんキャラって、斬新だな、オイ!急なキャラ設定はやめてくんない?!」

 

銀時のいちご大福は彼の動揺を誘い、そのまま春日の口へ入った。

 

「おれのいちご大福ぅぅ!!!」

 

銀時、あわれなり。

 

 

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桜の花が咲き乱れ、春の訪れを感じる今日この頃。春休みという名の《楽園》はおわりを告げ、春の出会いを胸に期待する人も多いのではないだろうか。あるいは、新しい環境に不安を抱き憂鬱な人もいるだろう。春日はというと、前者でも後者でもなく、この春休みを通して春日のステータスに〔引きこもり〕が追加された。

 

クラス発表の掲示板を確認し、自身の新しいクラス、五年星組へ向かう。ちらりと教室を見渡すと、見たことある顔がひとり、ふたり、三人、あれ、あの人なんか透けてない?...もう一度数えてみると数字があわない。春日が銀時を横目にみて、春日の瞳は遠くを写した。いまさら、自分に何が見えるのか気にしない。自称フェアリー的な存在、しゅごキャラの銀時がみえるのだ。だから、気にしないことにした。

 

新クラスと言えば、自己紹介。春日はわくわくしていた。例えるならドラゴン⚪ールの孫悟空が「オラ、わくわくすっぞ~」的なノリだ。もっとわかりやすく例えるなら、ワン⚪ースのルフィが目をキラキラさせて「いっしょに海賊やろう!」とさらりと仲間に勧誘するノリだ。

 

参考にいうと、去年の自己紹介は

 

「三年月組出身、久我春日。ただの人間には興味ありません。この中にモンスターボール、ピカチュウ、サトシの帽子を持っている人がいたら、ぼくのところにきなさい。

 

 

バトルしようぜ、ポケモンバトル」

 

なぜこの自己紹介をチョイスしたのか理由は語らずともわかるだろう。...グラウンドに地上絵を描いたことから察してほしい。

 

今年はどうしようか春日が考えていたとき、なんと担任が事故でお休みらしい。代理の教師のその説明を受け、そのままホームルームは終了した。

 

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春日に一方的だが、話し相手ができた。

 

「なーなー久我、やっぱりおれ告ろうかな」

 

「すまん。生理的に無理だ」

 

「お前じゃねぇよ!たまに目が合うんだよ!それに!例え毛むくじゃらなやつでも!まるごと愛する、女神のような心の広さ!...これって脈アリだよな!?」

 

「お前の脈は異常だ。...このままだと残り少ない学園生活を余儀無くされるだろう」

 

この場合の残り少ない学園生活とは、告白をして玉砕してしまうまでのカウントダウンのことである。

 

「うそだろ!?...よし!おれ、告白してくる!!」

 

そうやって送り出したのが20分前。明智くん(仮)はどうしているだろうか。

 

春日が廊下を曲がったとき、何かに腕を引っ張られた。

 

 

「ごめんなさい。私と久我くん、許嫁なんです。」

 

なでしこが春日の腕を掴みながらそう言った。

 

 

▼ なでしこは MK5を くりだした!

マジで 鼓膜破れる 5秒前

 

「「「「「ええぇぇぇぇーーーー!!」」」」

 

▼ こうかは ばつぐんだ!

 

▼ 明智(仮) は目の前が まっくらに なった


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