将来の夢はマダオ。 作:ら!
「あなたが好きです!王子様!!」
日奈森あむの発言は体育館中に響き渡った。うたた寝していた春日も周りの空気に気づき、事態を把握しようとしている。銀時は、はなちょうちんをぶら下げ、夢の世界へ旅立っていた。
ざわざわ。
(あの転校生、なにやってんのおぉぉぉ!)
春日は内心ヒヤヒヤしていた。まだ純粋なこどもだからこそ、この公開告白は心にきずを負うのではないかと思ったのだ。
(すき、だなんてちょっとした気の迷いだろ。だいたい小学生の恋愛がこれから十年先も続くなんてイマドキ流行らねぇよ。
昼ドラみたいなドロドロした愛憎劇が主婦のみなさまにはウケるんだよ。昼顔しかり、あなそれしかりいまや世間は禁じられた恋を求めてんだよ、コノヤロー)
(銀時、起きたのか。...そうだな。いつまでたっても成長しない、いや、変わらないともいうが、サ⚪エさん一家のような平和な日常か)
(その例えはわかりづれぇよ、春日。むしろ、いつまでもまる子を可愛がるとも⚪うじゃね?)
(いや、サザ⚪さんだね!)
(いやいや、⚪子だろ)
(いやいやいや、サ⚪エさんだ)
(いやいやいやいや、⚪子だ)
(だあぁぁぁ!さっきからピーって効果音なりすぎだろ。お前、それじゃ⚪子じゃなくて、P子って聞こえるぞ!ここにおすぎはいねぇぞ!
...それより、これ、転校生の黒歴史になるぞ。...あいつ、明日学校休むんじゃねぇか?)
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そんな春日の心配も外れ、日奈森あむは教室にいた。
(...メンタルつぇーな。さすが転校生。うわさはうそじゃないってか?)
(銀時、触れてやるな。あの子も女子だ。デリカシーってものをわかれ。)
(朝から爆音でヘビーメタル聴いてた奴に言われたくねぇよ!...ったく、朝から頭がいてぇ)
(あれじゃないと起きれないんだ、わかれ。銀時。そもそもお前のその頭痛は二日酔いが原因だろ。あと、深夜のテレビみて寝不足だろ。)
(ネチネチうるせぇよ、お前はおれの母ちゃんか!)
(...ある意味お前はぼくのたまごから生まれたが...まぁ、この話はおいておこう)
(...そうだな。
あのピンク頭、お前さんが思っているより元気そうだな。その心配性は母親じゃね?)
(ぼくは母親じゃない、春日だ!
あの転校生、クール&スパイシーなんて言われてるが、よくみたら寂しがり屋にみえてな。
どことなく不安定にみえるんだが、気のせいだっか。)
(そうみてぇだな。...ほら、みろ。もうダチができてるぜ。
それに比べてお前といったら。
休み時間も移動時間もひとり。銀さんはお前の方があぶないとおもうぞ)
(そういうお前も、ぼくの母ちゃんか!
ぼくはいいんだよ、ひとりがすきだし。
それに、いまは銀時がいるだろ)
(................................................)
(...なに、顔そむけてんだ?耳あかいぞ、銀時)
(だぁぁぁ!おまえ、いきなりそんなこというなよな?!銀さんの心臓と銀さんの銀さんがバックバクじゃねぇか、コノヤロー!!)
(......なんだ、照れてるか。)
(べ、別に照れてねぇし?うれしいとかおもってねぇし?おまえがどうしてもっつーなら考えてやらんこともないけども?!)
無表情がデフォルトの春日はめずらしくニマニマした顔を銀時に向けていた。