将来の夢はマダオ。 作:ら!
やぁ。突然のプロローグ失礼するよ。
ぼくの名前は、藤咲なぎひこ。
ぼくの家は、男子が女形舞踊を学ぶために子供の間は女の服を着て、女の名前で暮らさねばならないという藤咲家の家訓があるんだ。
なでしこの名前で女子として振舞っていたんだけど、その女装期間があけていまはごく普通の少年として過ごしている。
初めてなぎひことしてあむちゃんと会った時には「なでしこの双子の兄」と名乗った。
思えば、これが後々のぼくの悩みの種になるんだ。あむちゃんには女装期間が明けたらちゃんと話すつもりだった。だけど、なかなか打ち明ける機会に恵まれず、罪悪感に苛まれ続けている今日この頃。ほんと、自業自得だよね......
実は、もうひとつ悩みの種があって......
言わずもがな、狂乱の貴公子こと、久我春日くんのことだ。
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聖夜学園小。まさか、ここに戻ってくるとは、しかもガーディアンになるとは夢にも思わなかった。感慨深く、教室の扉をみる。
おっと、いけない。これからクラスのみんなに編入の挨拶があるんだった。
六年星組。どんなクラスなんだろう。
ガララっと、ぼくが教室をあけると
いつかのお巡りさんの格好をした久我春日がいた。
え?なにこれ。新手のドッキリ?あっはっはー、んなわけあるかァァァ!おんどりゃァァァ!!!
ハッ!......いけない。このままではヤツのペースにのせられる。冷静になるんだ、ぼく。
「......なにしてるんだい?」
ピピィ~ッ!!
久我くんは警官服に付属している笛をならして、その音にあわせてピタッと敬礼して宣った。
「逮捕なのだ!!」
某赤塚作品を思い出させる特徴的な訛り。こころなしか、にじみでるギャグ漫画臭。某ドラゴン⚪ールのベ⚪ータが「コイツ、ギャグ漫画だ」とか言い出しそうだ。
いや、ちょっと意味わかんないんだけど、ぼく。それより、みんなはどこに行った?あれ、逃げ遅れたのかな、ぼく。
それより馴れ馴れしく肩を抱きながら「イヤミィ~」っていうのは、やめてくれ。ミーはおフランス帰りだけども!
頭の中でバカ⚪ンのパパが「これでいいのだぁ」なんて流れる。
......いいわけあるかいッ!!西から昇ったお日様は東へ沈んだり、柳のしたに猫がいるからネコヤナギって言ったり、もうぼくには手が負えませんんンンンン!!!
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元の姿に戻った久我くんがやっと説明を始めた。
「何ってお前、ひょっとしてあの約束、忘れた?」
「え?」
あの約束?この姿で久我くんと会うのは2回目だけど、きっと忘れてる。確信を持って言える。だって、思いっきり「はじめまして」って言ったんだよ。相変わらず、いい加減な性格。変わってないようで安心したよ。
「前に打ち合わせしたの覚えてねーの」
「は?何のこと!?」
ギックぅぅぅぅ!!前言撤回。安心できません。前っていつのこと?!なでしこのときのこと?!まさか、勘づいた......?よりにもよってこんなときに。......
ふぅーとため息をしながら、久我くんはやれやれと言った様子でしょう話し出す。
「連載が始まった2017年7月25日からしばらく経つが、いい加減この小説も目新しさがなくなってきただろう。
読者を飽きさせないためにも新鮮な息吹きを吹き込む必要があるって話したじゃん」
いや、そんな生々しい話した覚えはないよ?
ん?おでん屋の屋台で?
え?なにこのねつ造された思い出描写。うわ、しかもツケで食べてるし。ニート感、半端ないな、ぼくら。ほんと、マダオみたいだ。
それにしてもいつになく饒舌だ。まさか、キャラチェンジしてる?よくみると、いつも以上に死んだ魚の目をしているような......
「ただ、焦ってもいまのぼくたちじゃ、下り坂のアクセス数をはねあげることはできねェ。」
ちらりと銀時に視線を向けると、今度は銀時が話し出す。......やっぱり、こういうこと言い出すときって、たいていキャラチェンジの暴走だよね。(遠い目)
「だから、この休みを利用して各々がそれぞれのやり方で力をつけてくる。
そしてニューマダオとして必ずまた集結しようって」
どこからか麦わら帽子を取り出し、目の下にマーカーで縫い傷を書き出す久我くん。
「二年後にジャボンディ諸島で!!」
「知らねーよ!そんな約束!!?」
たしかにぼくはフランスに留学しに行ったけども!!ある意味、力をつけるためだけどォォォォ!!