将来の夢はマダオ。 作:ら!
聖夜学園小、四年星組。
転校生というニュースは朝から教室中を賑わせるネタになっていた。
久我春日はそんなこともお構いなしに机の上に少年マガ⚪ンをひろげている。ここが学校なのに持ち込んでいいのかという脅しに春日は屈しない。
なぜ少年マガ⚪ンかというと、春日のしゅごキャラ、銀時の講⚪社という指摘から、自分も講⚪社の少年雑誌を手に取ったのだった。...決してそこに銀時への対抗心があったのではない。
この空間、いや、世界観なら知っておくべきだろうと考え、朝、コンビニに立ちより購入した。ちょうど銀時もジャ⚪プをみつけ、春日にねだった。もう一度確認するが、春日がマガ⚪ンをよむ理由は、この世界観を知ること、暇つぶしのためだ。
だが、春日は勘違いしていた。
このような世界観が、少年雑誌ではなく、少女漫画の世界観であることを。
だから、マガ⚪ンではなく、なか⚪しが正解だということを。
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「転校生の日奈森あむさんです。日奈森さん、一言どうぞ。」
「......」
教壇の前に立つ少女は異様であった。
(あの、ピンク頭って地毛?もしかして不良?)
春日もまた、彼女に圧倒されていた。ただ、他のクラスメイトと違う点は、やたら髪の色を気にしていたということだ。
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それから数日。日奈森あむが転校してきてから幾分か時間が流れた。春日はとくに彼女と話すこともなく、きょうも教室の窓側の席でひとりたそがれていた。春日にとってクラスメイトは、まだまだオコチャマで話すという行為そのものが精神的に疲れるのだ。だから、一匹狼みたく過ごしている。それが、春日のうわさを加速させているのだが。
そして、日奈森あむもまたひとり教室の席に頬杖をつき、足を組んで座っていた。
彼女はもはや有名人になっていた。カツアゲ犯を撃退したやら、校長の顔が上がらない、顔パス、ボンジュール。
すべては周りの勘違いとうわさがその状況をつくった。
「さっすが、日奈森さん!クール&スパイシー!!」
彼女のキャッチコピーはクール&スパイシー。
春日がそれを知ったとき妙に納得した。
(たしかにあの髪色はスパイシーだよな)
(おれの髪は銀色だ、春日)
(銀色?白髪じゃなかったんだ。...そこの転校生のことだよ、天パ)
(断じて白髪じゃねぇぞ?...あー、あいつか。直毛)
ちなみに久我春日のキャッチコピーは狂乱の貴公子だったりする。
(お前、ほんとヅラに似てんな。)
(ヅラ?)
(あぁ。そのむかつくくらいのストレートはあいつそっくりだぜ。)
(銀時は性格がねじまがってるようだな。)
(だぁれが、クルクルパーだコノヤロー!明らかにおれの頭みていったよな?!いまさら視線そわせたっておそい!なに、図星さされてショックを受けた顔してんだよ!...そのばかにしたような笑いもなんだよおおおおお!!めんどくせええぇぇ!!!)
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全校集会。
ガーディアンのキングスチェア、辺里唯世が演説をしていたときだった。
「はい!あなたが好きです!王子様!!」
手をピンとあげ、普段のクールとはかけ離れた顔で告白をした日奈森あむがいた。